【作品#0590】ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝（2008）

【タイトル】

ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝（原題:The Mummy: Tomb of the Dragon Emperor）

【概要】

2008年のアメリカ/ドイツ/中国/カナダ合作映画
上映時間は112分

【あらすじ】

リックとエブリンの夫婦は外務省の依頼で中国の博物館へダイヤモンドを移送する仕事を引き受けるのだが…。

【スタッフ】

監督はロブ・コーエン
製作総指揮はスティーヴン・ソマーズ
音楽はランディ・エデルマン
撮影はサイモン・ダガン

【キャスト】

ブレンダン・フレイザー（リック）
ジェット・リー（皇帝）
マリア・ベロ（エブリン）
ジョン・ハナー（ジョナサン）
ミシェル・ヨー（ツイ・ユアン）

【感想】

7年ぶりとなったシリーズ3作目は、前2作品でエブリンを演じたレイチェル・ワイズが降板し、マリア・ベロが引き継いだ。また、前2作品で監督したスティーヴン・ソマーズが製作総指揮にまわり、ロブ・コーエンが監督が努めた。シリーズ最多となる1億7千万ドルの予算が費やされたが、1作目並となる4億ドル程度のヒットに留まった。また、本作で共演したブレンダン・フレイザーとミシェル・ヨーはそれぞれ「ザ・ホエール（2022）」で主演男優賞、「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス（2022）」で主演女優賞を同年に受賞した。

まず、レイチェル・ワイズからマリア・ベロへエブリン役が引き継がれたのだが、全く系統の違う女優と言って良いだろう。ただ、前作でアクションシーンに違和感を感じたレイチェル・ワイズよりかは頼もしさがあり、アクションシーンを見越してマリア・ベロを起用したなら成功と言えるだろう。

また、シリーズ1作目で結ばれたリックとエブリンに8歳になる息子のアレックスが登場したシリーズ2作目。そして、その2作目から7年後の本作には大人になったアレックスが登場する。映画の製作間隔以上に子供成長させる意図は理解できなくもないが、にしては設定が取って付けたようでしっくりこない。それに親子の確執がある設定である必然性も感じない。

そして、冒頭からの30分はもっと短縮できたように思う。イギリスの外務省から中国へ荷物を届けるという任務を託される設定も不要に思うし、素人に任せる仕事ではないだろう。これならアレックスが発見したお宝を拝みに両親が中国にやって来て巻き込まれるという話で済ますことができたはずだ。その浮いた時間で本作の基本設定をもっと丁寧に観客に伝えるべきだったと思う。基本的にごちゃごちゃした感じはシリーズである程度一貫しているとも言えるのだが。アクションシーンについてもCGの雨あられで何が何やらという状態。ファンタジーの要素はやはり説明的になるだけだ。

ベースはミイラの話なのでそれは問題ないし、これが登場することで本シリーズらしさも出てくるので良いが、これによって日本語オリジナルタイトルの「ハムナプトラ」は完全に関係ないものになってしまった。トム・クルーズ主演によるリブートでは「ザ・マミー」という本作の現代のカタカナ表記がタイトルになったのだから、「ザ・マミー」にしておけば良かったのにとは思う。

ラストに字幕で「ペルーでミイラが発見された」と出て映画が終わるのだが、これは続編を見越してのことだったようだ。続編が実現しなかったことを考えると何とも寒い演出になってしまった。ブレンダン・フレイザー主演によるシリーズは本作含む3作品だが、特に最初の2作品はCG発展期の作品とあり、それが作品の評価やヒットを後押ししたのだと思う。ただ、冒険活劇としてもロマンスや家族愛ものとしてもかなり無難であり、ある意味冒険心が不足していたようにも感じる。総じて印象の薄い部類の作品、シリーズだった。

【関連作品】

「ミイラ再生（1932）」…オリジナル
「ミイラの幽霊（1959）」…1度目のリメイク
「ハムナプトラ/失われた砂漠の都（1999）」…2度目のリメイク/シリーズ1作目
「ハムナプトラ/黄金のピラミッド（2001）」…シリーズ2作目
「ハムナプトラ/呪われた皇帝の秘宝（2008）」…シリーズ3作目
「スコーピオン・キング（2002）」…「ハムナプトラ/黄金のピラミッド」のスピンオフ1作目
「スコーピオン・キング2（2008）」…「ハムナプトラ/黄金のピラミッド」のスピンオフ2作目
「スコーピオン・キング3（2012）」…「ハムナプトラ/黄金のピラミッド」のスピンオフ3作目
「スコーピオン・キング4（2015）」…「ハムナプトラ/黄金のピラミッド」のスピンオフ4作目
「スコーピオン・キング5（2018）」…「ハムナプトラ/黄金のピラミッド」のスピンオフ5作目
「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女（2017）」…3度目のリメイク