【タイトル】
ジェイソン・ボーン(原題:Jason Bourne)
【概要】
2016年のアメリカ映画
上映時間は124分
【あらすじ】
地下格闘技の世界に身を置き生計を立てていたジェイソン・ボーンのもとへ、ボーンに関する新たな事実を得たニッキー・パーソンズが現れる。その事態を知ったCIAは彼らの暗殺指令を下す。
【スタッフ】
監督はポール・グリーングラス
音楽はジョン・パウエル/デヴィッド・バックリー
撮影はバリー・アクロイド
【キャスト】
マット・デイモン(ジェイソン・ボーン)
トミー・リー・ジョーンズ(ロバート・デューイ)
アリシア・ヴィキャンデル(ヘザー・リー)
ヴァンサン・カッセル(作戦員)
ジュリア・スタイルズ(ニッキー・パーソンズ)
リズ・アーメッド(アーロン・カルーヤ)
【感想】
ポール・グリーングラス監督、マット・デイモンらが「ボーン・アルティメイタム(2007)」以来、9年ぶりにシリーズ復帰を果たした作品。全世界で「ボーン・アルティメイタム(2007)」並みの興行成績を残したが評価は割れた作品となった。
本作は「ボーン・アルティメイタム(2007)」でジェイソン・ボーンが放った「I Remember Everything(すべてを思い出した)」というセリフから始まる。ところが、ジェイソン・ボーン(=デヴィッド・ウェッブ)の父親で分析員だったリチャード・ウェッブの話などは覚えていないわけで、すべてを思い出したわけではないのである。じゃあ「I Remember Everything」ってどういう意味なのという話になってきてしまう。
また、「ボーン・アルティメイタム(2007)」でボーンを助け、過去に彼らに関係があったことが匂わされる形で別れたニッキー・パーソンズが、ボーンのもとへ新たな情報を持って来ることから事態が急転する。いくら地下格闘技の世界に身を置くことを心配したとしても、新たな火種になるような情報をわざわざ持って来るニッキーの心情がいまいち掴めない。このシリーズの流れを考えると、自分を殺人マシンに仕立て上げた組織を破滅に追い込むのがボーンの生き甲斐にもなっているので、間違っていないといえばそうなんだが、わざわざ広場に移動するという手間も含めてもう少し良い導入があっても良かったと思う。
その後のアテネでの一連のシークエンスは、「ボーン・アルティメイタム(2007)」での雑踏のシーンを、ボーンと同乗する女性が撃たれるのは「ボーン・スプレマシー(2004)」を思わせ、旧シリーズへのオマージュに溢れ、このシリーズを見ているという感覚を味合わせてくれる。
以降は、CIA長官のデューイが新たな作戦を始めようとしていること、トレッドストーン計画はボーンの父親が考案したが息子が候補者になったことでその計画を阻止しようとしたところ作戦員(ヴァンサン・カッセル)に殺されたことなどが明らかになっていく。CIA長官のデューイとリーの関係は、「ボーン・アルティメイタム(2007)」のノア・ヴォーゼンとパメラ・ランディに近しいものを感じる。
何かのきっかけによってボーンはCIAに復帰するだろうというハーシュ博士の論文を読んだリーはボーンに味方するような行動に出始める。意地でもアイアンハンド計画が表沙汰になるのを避けようとするデューイはリーの行動を邪魔してくる。最終的にリーの手でデューイを葬ることに成功するが、彼女も「新たなCIAを」と言う割には所詮は出世欲のある普通の人間である。情報長官に話した言葉を録音されたリーは、ボーンへCIA復帰を改めて要請するが、「考えておく」と言われ実質断られたようなものである。「ボーン・アルティメイタム(2007)」でのパメラ・ランディのような人物は、「ボーン・レガシー(2012)」で事実上潰されたので、そういった人物がまたボーンに安易に手を貸す展開はできなかったのだろう。
アクションの見せ場としてはラスベガスの一連のシークエンスだろう。作戦員の乗るSWATの走行車両をボーンが車で追うシーンは、夜間のラスベガスで5週間かけて撮影され、200台近くの車が破壊されただけあり、迫力満点のシーンである。やや無理のあるシーンもあるにはあるが、父親を殺した強固な存在として作戦員の乗る車両は装甲車であり、それを普通車に乗るボーンが追いつめる展開も一応それなりに理詰めされていることは伝わってくる。ただ、このシーン含めアクションシーンは全体的にポール・グリーングラスが監督した「ボーン・スプレマシー(2004)」や「ボーン・アルティメイタム(2007)」をやや意識しすぎている印象はある。
「ボーン・アルティメイタム(2007)」がこの上ないきれいな着地だったことを考えると、やはり本作は蛇足感があるし、どうもモヤモヤしたまま終わってしまった印象がある。確かにマット・デイモン演じるジェイソン・ボーンを再びスクリーンで見られたのは嬉しかったが、それ止まりの作品だった。
【関連作品】
「スナイパー/狙撃者(1988)」…同一原作のテレビ映画。ソフトタイトルは「狙撃者/ボーン・アイデンティティ」
「ボーン・アイデンティティー(2002)」…シリーズ1作目
「ボーン・スプレマシー(2004)」…シリーズ2作目
「ボーン・アルティメイタム(2007)」…シリーズ3作目
「ボーン・レガシー(2012)」…シリーズ4作目
「ジェイソン・ボーン(2016)」…シリーズ5作目
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語/ギリシャ語/ドイツ語/日本語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語/ギリシャ語/ドイツ語/日本語)
├日本語吹き替え
映像特典
├ボーンの復活
├ラスベガスでのクライマックス(混乱するシンポジウム会場/大通りの封鎖)
<BD>
言語
├オリジナル(英語/ギリシャ語/ドイツ語/日本語)
├日本語吹き替え
映像特典
├ボーンの復活
├ラスベガスでのクライマックス(混乱するシンポジウム会場/大通りの封鎖)
├格闘シーンの裏側 (素手での殴り合い/密室での戦い/地下での戦い)
├アテネでの逃走劇
※下線部は上記DVDに収録されていないもの
<4K ULTRA HD+BD>
収録内容
├上記BDと同様
<セット(BD5枚組)>
収録内容
├「ボーン・アイデンティティー」
├「ボーン・スプレマシー」
├「ボーン・アルティメイタム」
├「ボーン・レガシー」
├「ジェイソン・ボーン」
<セット(10枚組/4K ULTRA HD+BD×5作品分)>
収録内容
├「ボーン・アイデンティティー」
├「ボーン・スプレマシー」
├「ボーン・アルティメイタム」
├「ボーン・レガシー」
├「ジェイソン・ボーン」