【作品#0497】ダークシティ(1998) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ダークシティ(原題:Dark City)


【概要】

1998年のアメリカ映画
上映時間は100分

【あらすじ】

とあるホテルの一室で目を覚ました男は、鏡に映る自分の顔にも記憶がなく、シュレーバー博士を名乗る男からの電話で逃げるように指示される。

【スタッフ】

監督はアレックス・プロヤス
音楽はトレヴァー・ジョーンズ
撮影はダリウス・ウォルスキー

【キャスト】

ルーファス・シーウェル(ジョン・マードック)
ジェニファー・コネリー(エマ・マードック/アンナ)
キーファー・サザーランド(シュレーバー博士)
ウィリアム・ハート(フランク・バムステッド警部)
リチャード・オブライエン(ミスター・ハンド)

【感想】

本作で使用されたセットの一部(屋根のシーンに使われたもの)は翌年公開の「マトリックス(1999)」の製作用に売却された。

本作はタイトル通り太陽や青空のない夜だけの街が舞台である。どこか40年代のフィルム・ノワールを思わせるダークさがありながらも、どこか「作られた」世界観である。この「作られた」世界観のまま、観客の目に馴染んできたところで、終盤に実は「作り物」の世界観であることが明示される。さらに時折挟まれるフラッシュバックで浜辺の太陽が燦燦と輝く世界が観客にチラっと見せられる。そして、ラストであのフラッシュバックにも出てきた海岸で彼らを映すショットは美しい。撮影の都合だと思うが、彼らのアップだけ違和感があるところが惜しいところではある。

このダーク・シティの住人は宇宙人により記憶を入れ替えられるなどしている。人間は誰しも生まれてから今までの記憶を頼りに生きている。その記憶がなくなってしまえば他者にとっての誰かであっても自分が自分でなくなってしまうようなものだ。その与えられた記憶だけで人たちが当たり前のように生活できてしまう様は非常に興味深いところではある。

何と言っても本作の主要キャストの素晴らしさは特筆すべきだろう。ルーファス・シーウェル、ジェニファー・コネリー、キーファー・サザーランド、ウィリアム・ハートが一堂に会するなんてキャスティングもちょっと奇跡的であると感じる。イギリス出身のルーファス・シーウェルが主演したことでハリウッド映画とは違う雰囲気を出すのに一役買っている。また、ブレイク後パッとしなかったキーファー・サザーランドも非常に重要な狂言回しとして役割を全うしていた。それに、刑事を演じたウィリアム・ハートも刑事ゆえの正義感と苦悩に揺れる姿を見事に演じていた。

本作には本作にしか味わえない雰囲気がある。美術も設定も俳優もすべての要素がうまく機能している。大傑作とまでは思わないが、「マトリックス(1999)」前夜のSF映画として多くの人の記憶に残すべき一本。

【音声解説1】

参加者

├アレックス・プロヤス(監督)

├デヴィッド・S・ゴイヤー(脚本)

├レム・ドプス(脚本)

├ダリウス・ウォルスキー(撮影)

├パトリック・タトポロス(プロダクション・デザイナー)


上記5人による音声解説だが、別撮りの音源を繋ぎ合わせたものである。また、下記の音声解説を担うロジャー・エバートが案内人として彼らを紹介している。どういう世界観を作り上げようとしたのか、日本のアニメ「AKIRA」や「童夢」から影響を受けた話、いかにも娯楽作っぽいラストに着地した話などしてくれる。

中でもエンドクレジット中に言及されるタイトルに関する話は面白い。ジョン・トラヴォルタやダスティン・ホフマンが出演した「マッド・シティ(1997)」と公開時期が重なるからタイトルを変更するように要請され、「ダーク・ワールド」にしようとしたら、「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(1997)」のスピルバーグの弁護士から拒否され、「ダーク・エンパイア」にしようとしたら、ジョージ・ルーカスから「スター・ウォーズ/帝国の逆襲(1980)」に使っているからと拒否され、そうこうしているうちに「マッド・シティ(1997)」が市場から姿を消したために「ダークシティ」が使えるようになったらしい。

【音声解説2】


参加者

├ロジャー・エバート(映画評論家)


映画評論家ロジャー・エバートによる単独の音声解説。ロジャー・エバートは本作を同年の映画では1位であると評価しており、この音声解説が実現したのだろう。映画評論家の視点から、過去作品との共通点、本作の世界観、観客にどこまで情報を見せるか、監督も気付いていないであろう箇所、ナイフの描き方などを解説してくれる。



取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

【ソフト関連】

 

<DVD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典(2種)

├アレックス・プロヤス(監督)、デヴィッド・S・ゴイヤー(脚本)、レム・ドプス(脚本)、ダリウス・ウォルスキー(撮影)、パトリック・タトポロス(プロダクション・デザイナー)による音声解説

├ロジャー・エバート(映画評論家)による音声解説

映像特典

├ドキュメンタリー

  ├「ダークシティ」を振り返る

  ├「ダークシティ」の世界

 

<BD>

 

収録内容

├上記DVDと同様