【作品#0483】デイ・アフター・トゥモロー（2004）

【タイトル】

デイ・アフター・トゥモロー（原題:The Day After Tomorrow）

【概要】

2004年のアメリカ映画
上映時間は124分

【あらすじ】

気象学者のジャック・ホールは、地球温暖化により溶けた南極の氷が海水の塩分濃度を引き下げ、それが将来的に氷河期に繋がる可能性があることを指摘するが、周囲からなかなか相手にされない。しかし、その数日後から世界中で異常気象が発生し始める。

【スタッフ】

監督はローランド・エメリッヒ
音楽はハラルド・クローサー
撮影はウエリ・スタイガー

【キャスト】

デニス・クエイド（ジャック・ホール）
ジェイク・ギレンホール（サム・ホール）
エミー・ロッサム（ローラ）
イアン・ホルム（テリー・ラプソン）
セーラ・ウォード（ルーシー・ホール）

【感想】

全世界で5億4千万ドル以上を稼ぎ出したディザスタームービー。20世紀フォックスは科学者を招待した試写を実施したが、科学者たちは何の感銘も受けなかったとされており、一部に正確な箇所はあるものの、科学的に不正確な映画である。

「インデペンデンス・デイ（1996）」では宇宙船が、「GODZILLA ゴジラ（1988）」ではゴジラが地球を襲い、そして本作では異常気象が地球を襲う（後の「2012（2009）」でも同様だが）。ローランド・エメリッヒ監督は基本的に、何か大きなものに戦う人たちを描くのが好きなようだ。

ディザスタームービーとして、アメリカ内の各所が竜巻や津波に飲まれていく様子は迫力があり、見応えはある。特に、大きなビルが竜巻に襲われてしばらくすると轟音が鳴り止み、ビル内の男が部屋のドアを開けると、壊れた建物を映すロングショットに切り替わる。この緩急こそ映画的で素晴らしいとは感じた。

世界各地で異常気象が発生し、アメリカも北部地方は海水の洪水と寒波が襲うことになる。ジャックの想定していた自体は予想をはるかに上回るスピードで実現してしまい、北部の人間は助からないとして南部の人間をより南へ避難させることを副大統領に進言する。ここで息子のサムが北部にいながら避難を諦めざるを得なくなる展開は、どこか「未知への飛行（1964）」を思わせる。大統領らへの説明がひと段落すると、ジャックは仲間を引き連れて息子のいるニューヨークまで助けに向かうことになる。ジェイ・O・サンダース演じるフランクが取る自己犠牲の行動もいかにもローランド・エメリッヒ監督作品らしい。

その一方で、サムらが図書館でただ暖を取っているだけでは画的にも見栄えが良くないからだろうが、ローラにケガを負わせ、ロシアの船が図書館の前に漂着し、そこに薬や食料を取りに行く展開を用意し、さらに動物園から逃げ出した狼が襲ってくるということになったのだろう。というか、このサムや友人たちのエピソードがどう考えてもショボいな。他校のライバルも黒人の友人もただそこにいるだけくらいの存在感。さらにローラへの片想いもいつの間にか通じ合っており、いとも簡単に2人は結ばれる。このサム側のドラマがどう考えても淡泊で、もう少しどうにかできただろうとは思う。

ジャックは6～8週間の異常気象を予想するが、終盤になると、突然何の理由もなく空を覆っていた雲は姿を消し太陽が顔を出す。氷河期に突入して映画が終わるとは考えにくいのでこうなるのも当然と言えば当然だし、その状況下で人間の力で異常気象を終わらせることもできないのは理解するが、もう少し映画的な理屈を盛り込んでも良かったのではないだろうか。

確かにディザスタームービーとして街を異常気象が襲う様は見応えがある。ただ、それに反比例して人間ドラマはものすごくあっさりしている。ジャックと職場や周囲の学者との関係にしても、ジャックとサムの親子のドラマにしても本当に淡泊。死を覚悟した人たちの感情がまるで乗ってこない。そういった淡泊さこそが本作を深刻にし過ぎない娯楽作に仕立てているのだと思うが、やっぱりもっとどうにかできたとは思う。

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