【タイトル】
犬神家の一族(1976)
【概要】
1976年の日本映画
上映時間は146分
【あらすじ】
戦後まもなく、犬神製薬創業者である犬神佐兵衛が死去した。彼の遺言は一族全員が揃わないと発表できないとして、長女松子の息子である佐清の復員を待つことになる。
【スタッフ】
監督は市川崑
製作は角川春樹
音楽は大野雄二
撮影は長谷川清
【キャスト】
石坂浩二(金田一耕助)
あおい輝彦(犬神佐清)
高峰三枝子(犬神松子)
島田陽子(野々村珠世)
加藤武(橘警察署長)
【感想】
角川春樹にとっての映画製作第1作は大ヒットを記録し、後に同じ監督・主演で計5作品と本作のリメイクまで作られる人気シリーズとなった。ちなみに本作の舞台となる「那須」は架空の町で、長野県の上田市がモデルになっているそうだ。
多くの監督作品を残した市川崑にとっての代表作の1つ。あまりにも有名でトリックや佐清のマスク、湖に浮かぶ脚など印象に残るショットも多い。急に静止画になったり、変な編集をしたりというのは市川崑監督らしいものではあるが、ちょっとノイズに感じる部分でもある。
初見時の感想こそ覚えていないが、佐清=青沼静馬であることは割と早い段階で分かってしまう。静馬と彼の母親が受けた仕打ちは終盤に明らかにされるが、いかにも当時の邦画っぽい背景である。結局は息子を守るための松子の犯行だが、ミステリーというには何のひねりもないので、それ目当てで見ると肩透かしを食らうだろう。
戦後の田舎町が舞台であり、それゆえの閉塞感も表現されていた。新聞紙面に事件の記事が載っていても、記者がこの町に取材へやってくる場面などは描かれない。また、金田一耕助が那須を離れてもその移動中や移動先の様子も描かず、那須で始まり、那須で完結しているのも良い。あっけなく終わるラストも味わい深いものがある。
ただ、そういった閉塞感が描かれながら、家族内で人が殺されていると言うのに、殺される可能性のある人物がいかにも呑気である。死ぬことで誰かを得させてしまう可能性のある人物たちが怯える様子や警戒する様子はもっと描いてほしかった。あまりにもあっさり殺されている。
そんな次々に死者の出る展開で目を背けたくなる描写がある作品を、飄々とした金田一耕助と「よーし、わかった!」を連呼する加藤武演じる警察署長の存在で良いバランスを取っていると言える。
映像的には癖のある作品だと思うし、ミステリーとしての面白さもそこまであるわけではない。それでも約2時間半見せ切る確かな演出と、戦後の那須という田舎町にまるで自分がいるように感じさせる映像は見事であった。
【関連作品】
「犬神家の一族(1976)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第1作
「悪魔の手毬唄(1977)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第2作
「獄門島(1977)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第3作
「女王蜂(1978)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第4作
「病院坂の首縊りの家(1979)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第5作
「犬神家の一族(2006)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第1作のリメイク
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(日本語)
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(日本語)
<DVD>
言語
├オリジナル(日本語)
映像特典
├「検証『犬神家の一族』は、こうして作られた。」
├「誕生! 金田一耕助」
<BD>
言語
├オリジナル(日本語)
映像特典
├特報/劇場予告編
<4K ULTRA HD+BD2枚>
言語
├オリジナル(日本語)
映像特典(4K ULTRA HD/BD1枚目)
├特報/予告編
映像特典(BD2枚目)
├「『犬神家の一族』4Kデジタル修復の軌跡」
├「市川崑 映像の秘密(リエディット完全版)」
├「オフショッツ<市川崑 映像の秘密を撮った日>」
├「検証『犬神家の一族』は、こうして作られた。」
├「誕生! 金田一耕助」
├スポニチクリエイツ映像「犬神家の一族 市川崑 高峰三枝子」
【音楽関連】
<CD(サウンドトラック)>
収録内容
├13曲/44分
【書籍関連】
<原作「犬神家の一族」>
形式
├紙/電子
著者
├横溝正史
出版社
├角川文庫
長さ
├432ページ
<市川崑と「犬神家の一族」>
形式
├紙/電子
著者
├春日太一
出版社
├新潮文庫
長さ
├208ページ