【作品#0244】人間の証明(1977) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

人間の証明

 

【概要】

 

1977年の日本映画

上映時間は133分

森村誠一の小説「人間の証明」の映画化

 

【あらすじ】

 

東京のホテルのエレベーター内で、黒人の青年ジョニー・ヘイワードが胸にナイフが刺さった状態で死亡した。警察による聞き込みで、ジョニーが「ストウハ」という言葉を残していたことが分かり、遺品から「西條八十詩集」も発見される。

 

【スタッフ】

 

監督は佐藤純彌

脚本は松山善三

製作は角川春樹

音楽は大野雄二

撮影は姫田真佐久

 

【キャスト】

 

岡田茉莉子(八杉恭子)

松田優作(棟居弘一良)

ジョージ・ケネディ(ケン・シュフタン)

三船敏郎(群陽平)

鶴田浩二(那須)

ジョー山中(ジョニー・ヘイワード)

岩城滉一(群恭平)

ハナ肇(横渡)

フレデリック・クロフォード(オブライエン)

 

【感想】

 

角川春樹が映画界に進出し、「犬神家の一族(1976)」に続く第二弾として世に送り出した一本。邦画で初の本格的なニューヨークロケが行われ、ニューヨークのパートでは「暴力脱獄(1968)」でアカデミー賞助演男優賞受賞経験のあるジョージ・ケネディや、「オーズ・ザ・キングスメン(1949)」でアカデミー賞主演男優賞受賞経験のあるフレデリック・クロフォードらが出演。また、ジョニーを演じたジョー山中の歌う「人間の証明のテーマ」も映画のヒットと合わせてヒットした。

 

はっきり言って物語や大枠は「砂の器(1974)」の焼き直しにしか見えない。「ストウハ」とか「キスミー」という謎の言葉から真相を割り出すところや、登場人物が過去に事情を抱えているなど、「砂の器」も無茶な話だったが、本作はそれを大きく上回る話である。果たしてどこの何が「人間の証明」なのかさっぱりだった。

 

あと、いとも簡単に人を殺し過ぎだわ。アメリカからはるばる訪ねてきたジョニーを八杉恭子が殺すのも、ドラ息子が女性を轢き殺して海に捨てるのも、中山タネが橋から突き落とされるのも…。ドラ息子が刑事に銃を向けて撃ち殺されるのは当然にしても、ラストでシュフタンが暴漢に刺し殺されるのはどうかね。棟居の幼少時代に目の前で親を殺したのがシュフタンであると、手の甲にあるタトゥーで判断する場面があった。棟居はその真相をシュフタンに話すことはなかったが、鏡に映るシュフタンを撃つという行動を取っている。あんなことして何になるのか。ニューヨークに行ってから棟居はいくら何でも暴れすぎ。棟居に怒りさえしないシュフタンはまるで仏のような存在だ。でも、過去に棟居の親を殺した過去があるから、ラストで罰が当たるということなのだろう。にしても偶然が過ぎるし、シュフタンが棟居の親殺しである確証はないため、映画的にはシュフタンを「多分犯人」ということで殺していることになる。そして、本作はあれがラストカットで本当に良かったのか。

 

東京都内から、群馬の田舎、果てにはニューヨークまで、登場人物を闇雲に登場させ、いかにもな大作に仕上げようとしたのだろうが、風呂敷を広げ過ぎただけで、物語を展開させるので精いっぱいという印象すら受ける。棟居がわざわざニューヨークまで出向く必要はないし、ドラ息子のエピソードはなくたって良いくらいだ。見せ場のニューヨークでのカーチェイスもしょぼしょぼ。麦わら帽子が飛んでいく時に挿入歌が仰々しく流れる角川印まである。メディアミックス、大掛かりな宣伝と、邦画人気が大きく落ち込む80年代を予感させる駄作。

 

 

 

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