【タイトル】
ドメスティック・フィアー(原題:Domestic Disturbance)
【概要】
2001年のアメリカ映画
上映時間は89分
【あらすじ】
造船工場で働くフランクはスーザンと離婚し、12歳になる息子のダニーは学校でトラブルを起こしていた。スーザンは会社経営者で街の顔となりつつあるリックと結婚を控えているが、リックはダニーと仲良くなれないままでいた。ある日、ダニーはこっそりリックの車に乗り込むと、レイという男を殺す現場を目撃してしまう。
【スタッフ】
監督はハロルド・ベッカー
音楽はマーク・マンシーナ
撮影はマイケル・セレシン
【キャスト】
ジョン・トラヴォルタ(フランク)
ヴィンス・ヴォーン(リック)
テリー・ポロ(スーザン)
マット・オリアリー(ダニー)
スティーヴ・ブシェミ(レイ)
【感想】
サスペンス映画を得意としてきたハロルド・ベッカー監督の劇場映画最後の作品。子供がキーキャラクターとなるサスペンスは彼の前作「マーキュリー・ライジング(1998)」を思わせる。音楽の担当は当初ジェリー・ゴールドスミスを予定していたが健康問題を理由に降板して、マーク・マンシーナが引き継いでいる。また、ジョン・トラヴォルタとスティーヴ・ブシェミの共演は「パルプ・フィクション(1994)」以来となる。
本作はレーティングでPG-13にするために、当初の111分から89分まで大幅に削られることになっている。だからとまでは言わないが本作には不自然な場面が多く、特にダニーがリックの車に乗り込むところが不思議でならなかった。かなり後の裁判所での場面で「フランクの家が近くだから途中で降りようと思った」と語るまでその理由は観客には分からないままだった。そこが解決していたからと言って、あるいは当初の111分だったとしてもおそらく理解できない場面は多々あったことだろう。
まず、昔の犯罪仲間に周囲へ知られたくない過去を持つ元犯罪者の男が、いくら西海岸から遠く離れた東海岸とはいえ、会社経営者という表舞台に出て目立つことをしているのかが分からない。なぜ会社経営者として成功しているのかも、なぜ周囲から好人物と捉えられているのかも、本作では一切理由は語られない。また、レイを殺した後、レンガ工場でレイと彼の荷物を処分するが、後で調べても証拠は出ないことも説明がない。あと、いくらオオカミ少年のダニーとはいえ、彼が警察に話した内容はかなり具体的だったはずで、警察側が嘘と言って片付けるにはいくら何でも無理があるだろうと思う。彼を孤立させる設定にしては周囲があまりにも信じなさすぎである。
それから、フランクに事情がバレそうになると、リックはフランクを後ろから殴って造船工場ごと燃やそうとするが、ばら撒いたガソリンが自分の袖に付着しており、自分の服に引火するという自爆行為を犯してしまう。そして帰宅後に腕の火傷を治療しているところをスーザンに見つかるというこちらも大失態を犯してしまう。そこからは、何でもありの大暴れで、殺し損ねたフランクにやっつけられるとなる。
リックこそやっつけたものの、スーザンはリックとの間に作った子供がどうやら流産したようだし、フランクは造船工場を火事で失った。家族の再生、ないしは父子の物語にしては代償が大きすぎるわ。全体的に「それじゃバレるよ」とか「もっと頭使えよ」と思う場面が多く、サスペンス映画の脚本、設定として及第にすら到底至っていない。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├ハロルド・ベッカー(監督)による音声解説
映像特典
├削除シーン
├ストーリーボード
├劇場予告編