【作品#0236】娘の結婚(2003) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

娘の結婚

 

【概要】

 

2003年の日本映画(テレビドラマ)

上映時間は95分

 

【あらすじ】

 

妻を亡くした雨宮周吉は娘の規子と2人暮らしをしている。周吉は娘の規子が結婚しないことを心配し、規子は結婚すれば父が苦労するのではないかと心配している。ある日、周吉は思い切って元部下の杉山を結婚相手にどうかと聞いてみるが…

 

【スタッフ】

 

監督は市川崑

音楽は谷川賢作

撮影は五十嵐幸勇

 

【キャスト】

 

鈴木京香(雨宮規子)

長塚京三(雨宮周吉)

仲村トオル(杉山)

井川比佐志(小田切)

緒川タマキ(綾)

 

【感想】

 

小津安二郎生誕100周年を記念して代表作の1つ「晩春(1949)」を市川崑監督がリメイクし、WOWOWの「ドラマW」枠で放映された。ちなみに市川崑監督は自身の作品で2度セルフリメイク(「ビルマの竪琴(1956/1985)」「犬神家の一族(1976/2006)」)をやっており、他のリメイクや再映画化(「雪之丞変化(1963)」「古都(1980)」)も手掛けてきた人だ。

 

なぜ市川崑監督が小津安二郎監督の「晩春(1949)」をリメイクすることになったのかは分かりかねるが、始まる前から結果は分かっていたのではないかと思う。大枠の設定はほとんど一緒だが、部分的に現代的な設定に置き換えているという印象で、その改変がかなり微妙である。

 

まず、ところどころのセリフ回しや間の取り方が小津安二郎監督の「晩春(1949)」そのもので、それを2003年時点の現代ドラマとしてやるとどうしても違和感が生じる。カメラの置き場所なども中途半端に小津っぽくて、戦後当時の小津映画だから成立していたものを現代にそのまま持ってきてもダメだろうなと思う。

 

それから、2003年当時にしても古臭さを感じる結婚観。「娘を婿にやる」という考えは2003年当時でならあり得た話だろうが、それなりに自立した生活をしている主人公を見ると、やはり周囲の大人たちが古臭いというか不勉強と言うか、どこか幼く見えてしまう。オリジナルから半世紀を経てなお同じような考え方では困る。こここそ現代なりのアレンジや解釈を加えるべきだろう。

 

また、キャストもほとんどが外れと言う印象。オリジナルで原節子が演じた紀子(規子)を鈴木京香が演じており、時折見せる表情が原節子っぽいのだがただそれだけで、作品通しての演技は平坦な印象だった。それからオリジナルで笠智衆が演じた周吉を長塚京三が演じており、良くも悪くも癖がない演技だった。笠智衆は大根だとも言われるが、彼のような味というか存在感は真似しようとしてできるものではないだろう。他のキャストも軒並み無難と言うか印象薄という感じだった。

 

21世紀に入り、オリジナル作品が作られた時代から何もかもが大きく変化した。なのにオリジナルと同じ結末ってどう受け止めたらよいのか困惑する。これならオリジナルを見れば良いじゃないかとなってしまう。

 

【関連作品】

 

晩春(1949)」…紀子3部作の1作目

麦秋(1951)」…紀子3部作の2作目

東京物語(1953)」…紀子3部作の3作目

「娘の結婚(2003)」…本作のリメイク。小津安二郎生誕100周年を記念して市川崑が監督し、WOWOWで放映された。

 

 

 

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