【作品#0083】麦秋(1951) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

麦秋

 

【Podcast】

Podcastでは、作品の概要、感想などについて話しています。


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【概要】

 

1951年の日本映画

上映時間は124分

 

【あらすじ】

 

家族と暮らす28歳の紀子は、友人が結婚したり、周囲から結婚について聞かれたりするが、あまり結婚するつもりではいない。すると、会社の上司から縁談の話を持ち掛けられる。

 

【スタッフ】

 

監督は小津安二郎

脚本は小津安二郎/野田高梧

撮影は厚田雄春

 

【キャスト】

 

原節子(紀子)

笠智衆(康一)

三宅邦子(史子)

東山千栄子(しげ)

菅井一郎(周吉)

高堂国典(茂吉)

二本柳寛(矢部)

杉村春子(矢部の母)

月丘夢路(アヤ)

宮口精二(西脇)

佐野周二(佐竹)

 

【感想】

 

当時の親も子供の幸せ(=結婚)を願っていただろう。ただ、「親の思い描く幸せ」、「親の知っている幸せ」であってほしく、子供が幸せになっていく過程を見て自分たち親も幸せになりたいのだ。紀子が28歳という年齢だからだろうが、縁談の話があると、周囲の人間は外堀を埋めるように紀子を結婚へ無理やりにでも進めていく。それを紀子は嫌がったのだ。紀子の気持ちを考えずに周囲の人間ばかりが浮かれている。縁談での見知らぬ相手ではなく、昔からの知り合いの家に嫁ぐことを家族に事後報告しているのは、紀子なりの復讐にも見えるわけだ。

 

紀子は矢部家に嫁ぐことになり、間宮家は1人減ることになる。さらに両親も隠居するとのことでこの間宮家は一気に半分くらいの人数になる。映画の冒頭と終わりに出てくる、波が寄せては返すを繰り返すようにそうやって家族は減ったり増えたりを繰り返してきた。そんな彼らが一緒にいた証として撮られる家族写真のシーンは感動的であった(写真が当たり前に撮れる現代からするとあまりピンと来ないかもしれないが)。

 

そして本作の名場面は紀子が矢部の母に嫁いでも良いと話すシーン。矢部の母は嬉しさのあまり、涙ながらに紀子へパンを勧める。杉村春子の名演もありもらい泣きしてしまった。

 

当時の結婚観、男女の描かれ方、映画内の余白、細かな演出など再見の価値の十分のある作品だった。

 

【関連作品】

 

晩春(1949)」…紀子3部作の1作目

「麦秋(1951)」…紀子3部作の2作目

東京物語(1953)」…紀子3部作の3作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

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