【作品#0209】学校Ⅱ(1996) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

学校Ⅱ

 

【概要】

 

1996年の日本映画

上映時間は122分

山田洋次監督による「学校」シリーズ2作目

 

【あらすじ】

 

障がいを持つ生徒たちが集う竜別高等養護学校を舞台に、あるクラスの先生と生徒たちを描く。

 

【スタッフ】

 

監督は山田洋次

脚本は山田洋次/朝間義隆

音楽は冨田勲

撮影は長沼六男

 

【キャスト】

 

西田敏行(青山竜平)

吉岡秀隆(緒方高志)

神戸浩(久保佑矢)

永瀬正敏(小林大輔)

いしだあゆみ(北川玲子)

浜崎あゆみ(由香)

 

【感想】

 

山田洋次監督による「学校」シリーズ2作目は、前作の夜間中学校から養護学校に舞台を移し、主演は引き続き西田敏行が別の役で努めた。

 

前作でもあまり日の目を浴びない夜間中学校が舞台で、それぞれが抱える事情が描かれていたが、本作は養護学校が舞台とあり、障害を抱える人や、身近にそのような人がいない限りなかなか見ることのできない世界を見ることができる。脱糞やその処理など、人々が目を背けたくなるシーンも可能な限り直視しており、その姿勢には好感が持てる。

 

そして本作は主演こそ西田敏行だが、観客視点は永瀬正敏が演じた小林先生が担い、一部は吉岡秀隆が演じた高志が担っているというような形である。小林先生は普通学校で教える予定だったが、養護学校で教えることになり、佑矢の世話を1日中していることに嫌気が差し、その不満を主演の西田敏行演じる竜先生や、いしだあゆみ演じる玲子先生へぶつける。言葉尻だけで批判するつもりはないが、竜先生や玲子先生の言葉にも全くの疑問がないわけではない。もちろん竜先生や玲子先生だって本人たちが言うように完璧な人間でも先生でもないのだ。竜先生が「何度辞めようと思ったことか」と語るビジネスホテルでの場面こそがまさに本音であり、そこで彼らのキャラクターにある程度のバランスを取っているように感じる。

 

それから吉岡秀隆が演じた高志。吉岡秀隆らしくナイーブな若者を好演。竜先生とラーメンを食べているときに吐露する「佑矢は自分が馬鹿だって分かってないんだろう?僕は馬鹿って分かるし、周りから馬鹿にされているのも分かる。もっと馬鹿だったら良かったんだ」と言う場面。障害にも当然程度があり個人差がある。普通学校と同じく養護学校だってどんな障害の人も同じクラスになる。卑屈になって、ネガティブな憧れを持ってしまう高志の発言は強烈に胸に刻まれる。

 

あと、何度か「卒業したら競争社会に出ることになる」と言っていたが、程度の差こそあれ、彼らが競争社会に参加することはないだろう。彼らへの支援がまるで学校で終わりのような発言をしているが、そんなことはないだろう。障害が治らない以上、彼らはその障害を抱えたまま一生を過ごすことになる。もしかしたら学校を卒業してからは学校の時ほどの支援を受けられないかもしれない。でも、その支援の手薄さを訴える映画ではないと思う。彼らが学校を卒業したら厳しい現実が待っていることを示して終わるのはちょっと意地悪のような気もする。前作のラストに夜間中学校の数を示す字幕が入ったように、養護学校やあるいは卒業後の支援の仕組みくらい字幕に入れても良かったんじゃないの。

 

ラストは前作と同じく西田敏行演じる主人公が女性キャラクターと話して終わるというもので、確かに悪くはないが、せめて小林先生も誘ってあげてよ。ラストであちこち電話かけるのは不格好なのは理解できるが。

 

【関連作品】

 

学校(1993)」…シリーズ1作目

「学校Ⅱ(1996)」…シリーズ2作目

学校Ⅲ(1998)」…シリーズ3作目

十五才 学校Ⅳ(2000)」…シリーズ4作目

 

 

 

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