【タイトル】
学校Ⅲ
【概要】
1998年の日本映画
上映時間は133分
【あらすじ】
零細企業の経理部で働いていた紗和子、大手企業で働いていた周吉はそれぞれリストラされてしまい、職業訓練学校に入校する。
【スタッフ】
監督は山田洋次
脚本は山田洋次/朝間義隆
音楽は冨田勲
撮影は長沼六男
【キャスト】
大竹しのぶ(小島紗和子)
小林稔侍(高野周吉)
黒田勇樹(小島富美男)
田中邦衛(井上幸男)
ケーシー高峰(鬼塚健)
笹野高史(キム・ヨンス)
寺田農(斉藤先生)
余貴美子(倉本節)
【感想】
山田洋次監督による「学校」シリーズ3作目の舞台は、夜間中学校、養護学校に続いて職業訓練学校である。
まず、周吉のキャラクターに違和感がある。彼もリストラの波に飲まれて50代になってから会社を辞めることになり、この職業訓練学校に入校することになった。友人の伝手で他の職場への就職を期待していたことがあるにしても、遅刻したり、掃除当番当日に誰に連絡もせずに帰ったりというのは後の彼を見ると違和感がある。大手のサラリーマンをしていた人間なら常識はわきまえて行動するはずである。だから彼が馴染めないのは分かるが、社会人として当たり前のこともできない人間として描かれるのは違和感がある。ここは社会人として当たり前のことをやった上で、嫌味なことを言ってしまうとかの方がリアリティがあった。そんな彼に対して紗和子だけが意識していると言う設定もやや不自然であった。
それから大竹しのぶ演じる紗和子には1人息子のトミーがいる。軽度の知的障害とはいえ、事故のリスクのある新聞配達の仕事をいくら本人が望んだとしてもさせるかな。というか新聞配達業者が彼を雇わない(もしくは雇えない)だろう。案の定、彼の仕事上のミスや事故で自分の勉強の時間がなくなっているわけだし。あと、トミーのナレーションが入るが、そこでの彼はいわゆる「普通に」喋っている。軽度の知的障害を持っていても、頭の中では整理して考えられていると言うことなのか。この演出は観客にやや混乱をもたらすため、不要だった。
紗和子のキャラクターは概ね理解できたが、やはり周吉のキャラクターに違和感があったので、彼らが恋愛関係になるのもちょっとどうかな。本作のテイストなら、共に年頃の子供を持つ良き理解者くらいの関係が良かっただろう。その後は、周吉の妻の自殺未遂、紗和子の乳がんなど特に紗和子にこれでもかと不幸が降りかかって来る。バブル崩壊後の暗い世の中にあって何が起こったとしても仲間がいるということを示すのは分かるが、わざわざ紗和子を乳がんにさせる必要もないだろう。
【関連作品】
「学校(1993)」…シリーズ1作目
「学校Ⅱ(1996)」…シリーズ2作目
「学校Ⅲ(1998)」…シリーズ3作目
「十五才 学校Ⅳ(2000)」…シリーズ4作目
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