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21世紀のポップ中毒者

映画や音楽など、ポップ・カルチャーに淫しがちなエディターのブログ

4月12日(火)、特殊漫画家・根本敬氏をゲストにお招きしてのトーク・セッション『ニッポン語の革命家たちの、文体レッスン。』を、音楽実験室<新世界>にて、予定どおり、開催いたします。

内容は、基本的に、音楽家/文筆家・近田春夫氏をゲストにお招きした第1夜の構成と同じです。

第1部では、根本さんが、自分の文体(漫画の場合はネームやコマ割りまで含むのか?)において影響を受けた人々を、幼少の頃からお伺いします。

おそらく、水木しげる先生や、ヘタうまの祖にして甘茶ソウルの首領(ドン)ことテリー・ジョンスンこと湯村輝彦さんについてのお話が出るかと思われます。そして。勝新太郎さんのことも。
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川勝は、勝さんの七回忌に、『勝新図鑑~絵になる男・勝新太郎のすべて~』(03)を編集した際、生前の勝さんから“電気菩薩”という言葉を引き出した“幻の名盤解放同盟”(82~)の3分の2———根本さんと湯浅学さんに対談をお願いしました。
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対談が始まる前の雑談で、根本さんや湯浅さんが、各々、ボブ・ディランのライヴの海賊盤を入手し、予想外のカヴァーについて語りまくっていました。そう。根本さんの“聴き直し”は、勉強期間を経て、特殊論考集『夜間中学 トリコじかけの世の中を生き抜くためのニュー・テキスト』(04)に結実します。“聴き直し”の継続については、4月から再開が噂されるラジオ番組『ドント・パス・ミー・バイ』(インターFM)の第1期(10)をお聴きになった方々なら、頷いてくださることでしょう。
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ちなみに、根本敬監督作品『さむくないかい』が、2010年3月、DVD化された際、サブ・タイトルに、ディランの代表作「ライク・ア・ローリング・ストーン」(65)の印象深い歌詞“HOW DOES IT FEEL?”が引用されています。

第2部では、根本さんが、同時代のクリエイターたち(先輩、同世代、後輩含む)に影響を与えた文体について、お話をお伺いします。
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根本さんは、特殊漫画集『龜の頭のスープ』(90)のあとがきで、「土曜日の晩、六本木のWAVEへファンカデリックのCDを買いに行ったら、気にくわない奴らがたくさんいた。そいつらに混じって目あてのを品を捜してるうちになんだか宮史郎(ぴんから兄弟)のCDを無性に買ってやりたくなったので買った。些細な事だが、こんな気持の働きが、自分にこんな漫画を描かせている様にも思えるのである」と書き記しています。
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しかし、根本さんは何かへのアンチではなく、特殊エッセイ『因果鉄道の旅』(93)に所収された“しおさいの里”の取材において、「でもやるんだよ!」という“至言=哲学”を捕獲します。そして、以後、自身の活動においても「でもやるんだよ!」を実践していきます。

『因果鉄道の旅』が、2010年4月に文庫化された際、吉田豪ちゃんはあとがきで、この「でもやるんだよ!」のサブカルチャーの世界における大いなる影響を、「クレイジーケンバンド、電気グルーヴ、スチャダラパー、松尾スズキ、町山智浩、柳下毅一郎、浅草キッド、チャーミー(ラフィンノーズ)ほか多数の、サブカルチャーというしょせんはサブ=傍流でしかない、世の中には何の役にも立たないジャンルを生業としてしまった者たちは、自分のやっていることが無意味だと自覚した上で、『でもやるんだよ!』と己を鼓舞して活動を続けてきたものだ」と書いています。

「漫画には、水木が入っているモノと、入っていないモノがある」と<ドミューン>の“電脳ハッテンバ”で語るほど、根本さんが敬愛する水木先生は、3月20日の“NEW YORK TIMES”で、次のような画を発表しました。
以下、都築響一氏のブログ『ロードサイド・ダイアリーズ』にリンクを貼らせていただきます。

東京キララ社の中村さんによれば、3月11日、「根本さんの仕事場のモノは紙1枚動かなかった」とのこと。特殊漫画集『生きる2010』(10)所収の「ズボン塚」において、読者に普遍的な光を与えてくれた根本敬さんは、今、何を考えているのか? 4月12日の夜、根本敬との夜を、自分自身がいちばん楽しみにしています。


『ニッポン語の革命家たちの、文体レッスン。』 第2夜
ゲスト:根本敬
日時:2011年4月12日(火)
開場:19時/開演:20時
会場:西麻布<新世界>
料金:2,500円+ドリンク代
予約:<新世界>公式サイトから受け付けています。
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WOWOW開局20周年ということ、スタート時の目玉であった「ツイン・ピークス」(90/91)ーーデイヴッド・リンチ☓マーク・フロストがクリエイトしたTVドラマ・シリーズーーのハイ・ヴィジョン放送が3月から連続放映!

という次第で、先日、15分の特番『日本上陸20周年!「ツイン・ピークス」の歩き方』(3月5日、6日放送!)と、5分弱の特番『「ツイン・ピークス」へようこそ #1~#6」(3月18日から毎週金曜6夜にわたって放送!)の収録がありました。

相方は、深夜TVドラマ番長こと大根仁さん(映像ディレクター目線担当)に、『色即ぜねれいしょん』(09)のオリーブ役で僕らの心のドアをノックした臼田あさ美さん(21世紀の女優目線担当)。
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僕は、もちろん、リアルタイムで狂った『ツイン・ピークス』馬鹿一代目線担当です。

92年、「ツイン・ピークス」のロケ地ーーワシントン州スノコルミーでドカ買いした便乗グッズの数々や、微妙な登場人物たちからサインをもらったレーザー・ディスク等々も披露しています。

改めて、観直すと、と言ってもファースト・シーズン(序章、第1章~第7章)に、セカンド・シーズンはリンチが演出を担当した回(第8章、9、14、29章)のみでしたが、その演出の用意周到さと、現場のハプニングをいただいた(と思われる)いい湯加減さのハイブリッドに、唸りました。

それにしても、『インランド・エンパイア』(06)のエンディングでも効果を発揮していた“踊り逃げ”というスキルは、「ツイン・ピークス」でもう確立していたのですね。

今ならではの発見、多々あり。

願わくば、『「ツイン・ピークス」へようこそ」における大根監督の、一見ドS、実は、愛のむきだし、じゃなくて、愛の裏返しとしての臼田さんへの個人的な質問(寝るときはどんな格好なの? 等々)がカットされていませんように。
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没後20周年ということで、1月に写真集『馬鹿者のためのレクイエム』がP-VINE BOOKSから翻訳/出版されたり、5月に映画『ゲンスブールと女たち』(10)が公開されたり、監督第3作『赤道』(83)が初ソフト(DVD)化されたり。

改めて、ビートのプレイボーイことセルジュ・ゲンスブールの野蛮と洗練、継承と破壊、ユーウツとユーモアを思い起こす機会が増えた今日この頃……。

もはや自他共に認める職業・フランス人! 梶野彰一くんから声をかけられ、彼が主催するパーティ『セルジュ・ゲンスブールの20回目の命日に捧げるレクイエム』@青山<ル・バロン>にて、DJをさせていただきます。

この夜は小西康陽さん、常盤響くん… …と名うてのDJたちが登場するので、僕は、例えば、荒木一郎とか女王蜂とか、セルジュ成分を共有/含有すると自分が感ずる和モノを中心に回す予定です。

猫沢エミさんによる『ゲンスブール:パーカッション』(64)にオマージュを捧げる生演奏もあるそうで、なにより自分にとって刺激的な一夜になりそうな予感大!