大手橋 (木曽郡木曽町福島) | 手当次第

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気になる所にいってみる

中山道の宿場町、福島の街中に「世界初」の称号を持つ橋があるというので行ってみました。

 

詳しい地図で見る

 

それがこちら、世界初のRCローゼ橋として昭和十一年に完成した大手橋です。

 

ローゼ橋はアーチ橋の一種で、桁とアーチが同じくらいの太さになっているものをそう呼びます。

 

…と言いつつ上の写真では桁が歩道に隠れて見えないので上流側からの写真。

 

どうも桁の方が太く見えますが、これでもローゼ橋ということになるらしい。

 

なにしろ土木学会が「中島武設計のRCローゼ桁群」として選奨土木遺産にしているんだから、間違いなくローゼ橋なんです。

 

で、何が世界初かというと、桁とアーチで荷重を分担しあうローゼ橋はこれ以前から建設されていましたが、それまで(というか現在も)アーチには鋼材を使うのが一般的なのに対して、RC(鉄筋コンクリート)を用いたのが新しい点でした。

 

橋のたもとにある説明板にも世界初であることが書かれています。

 

わざわざコンクリートを使ったのは戦前の日本での鋼材不足のためだそうです。

その他詳細については土木学会の解説ページをどうぞ。

 

これで思い出したのは、ジャンルが違いますがダムの方で戦後の一時期、コンクリートが高価になったため堤体の中を空洞にしてコンクリートを節約する、中空重力式コンクリートダムなんてのが建てられたって話(例1例2)。

必要に迫られるとやっぱり人間いろいろ工夫するんですね。素晴らしい。

 

そういう点を抜きにしても目を引く美しい橋だと思います。

 

同じアーチでも鋼材よりも柔らかい感じがする。いやコンクリートなのでやっぱり硬いんですが。

 

桁は鋼材で(後から?)補強されています。

 

RCローゼ橋はこのアーチと桁との接合部がたまらない。

 

上掲の解説によると設計的にもここの計算が鋼ローゼ橋との違いの中で肝となるらしい。

 

横構。

 

銘板は親柱に自然石?をはめ込んでいます。味があるのでひらがなの方を掲載。

 

いい橋でした。