畑薙第二ダム (静岡市葵区田代) | 手当次第

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気になる所にいってみる

静岡県内を流れる大井川水系には大小様々なダムがあり、ダム好きにとってはたまらない河川となっています。
(ただ、大井川下流の水がほとんどない河原をみると、ダムが環境を破壊していることを実感して複雑な気持ちになりますが。新幹線の車窓から目にする人も多いのではないでしょうか。)
 
そんな大井川の上流部に位置する畑薙第二ダムは大井川鉄道井川線の終点、井川駅(この時点でかなり山)から、さらに車で20㎞程というなかなか奥まったところにあります。

 

井川ダム周辺の集落を抜けると人家もなく、舗装路とはいえこぶし大の石がゴロゴロしていて、3月中旬なのに路肩に雪の残るすれ違い困難な細い道を走っていると、なんだかとても心細くなりました。他の車も通らないし。
 
途中で生まれて初めて野生のカモシカを見かけてビックリしつつ(セローに乗ってたらご対面~!ってできたのに)、ようやくダムに到着。
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発電用のダムで、堤体付近へ立ち入ることができないので、遠くからしか撮影はできません。
 
3基のラジアルゲートを囲む4枚のフィン状の構造が特徴的。
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下流側から。上の写真と比べるとかなり高さがあることがわかる。
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スキージャンプ式の減勢工は、放流があればかなりダイナミックな光景が見られることでしょう。
例によって下調べ不足で今回は見つけられなかったんですが、もう少し下流に正面からの撮影ポイントがあったようです。
 
この畑薙第二ダムは中空重力式コンクリートダム、英語だとホロウグラヴィティダムという必殺技みたいな型式で造られているのが特徴となっています。
外観からはわかりませんが、これは名前の通り堤体の中に空間を設けた型式で、普通の重力式に比べて構造が複雑になる分人件費はかかるもののコンクリート(セメント)の使用量を減らすことができるので、かつてコンクリートが高価だった頃に多用されました。あと資材を運ぶ手間を小さくできるというメリットもあるようです。
民主党政権下のスローガン「コンクリートから人へ」を先取りした、先進的な工法と言えましょう(皮肉)。
 
新しい工法の開発やコンクリートの値段が下がったことで、今後この型式のダムが新造される可能性は低いようで、日本では現在13基しか見ることができない貴重なものです。
 
しかもこの大井川上流部は、下流側から中空重力式コンクリートダムの日本における最初の施工例である井川ダム、この畑薙第二ダム、そして同型式では世界最大の堤高を誇る畑薙第一ダムと、この型式のダムが三連続しているという意味でも激レアな場所となっています。
 
その中空三兄弟の中ではちょっと特徴に欠ける上に、立ち入り禁止で見ることも難しい畑薙第二ダムですが、畑薙第一ダムへ行く途中にイヤでも通るので、是非合わせてご賞味下さい。
 
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