夏場所の優勝はやはりこの男、横綱朝青龍であった。昨年の11月場所から4場所連続で千秋楽を待たずして優勝を決めるという記録付きらしい。今日の優勝者インタビューでは、インタビュアーの「張り合いのあるライバルが欲しいのではないか?」との問いに対し「ライバルは自分である」と答えている。つまり彼がライバル視するのは、36連勝したり、年間6場所中5場所を制してきた他ならぬ自分なのだと言っているのだろう。もはや見ているところが違う。私自身、危うく彼のファンになってしまいそうなくらいだ。
 さらに今場所、日刊スポーツから次のような記事が出された。
朝青龍は不変!大関に「お手本」/夏場所 日刊スポーツ
ここで言っている「不変」とは「変わらない」ということ。つまり立ち会いで相手力士のぶちかましを横にひょいっとかわす「変化」をしないという事を指す。この変化はもちろん有効な戦法の一つではあるが、見ていてあまり気持ちのいいものではない。この記事の内容を要約するとこうだ。

 ぶちかましの強い関脇土佐の海に対して、千代大海、栃東の二大関はどちらも立会いで変化を使って勝った。それが土佐の海にとっては悔しかった。しかし土俵下でそれを見ていた横綱朝青龍は土佐の海との対戦で、変わることなく「2日分の土佐の海のうっぷんを全身で受け止めて、全力で投げ飛ばし」勝った。
 その後のインタビューで横綱は「立ち合いで変わられて負けたら悔しいよ。そうでしょ。オレは違う。オレは立ち合いで変わったりしない。お互いにぶつかって、その方がすっきりする」と言っている。

 おいおい大関二人、これでいいのか?ちょっと朝青龍がカッコよすぎやしないか?いや、この記事を読む限り大関二人より朝青龍は断然カッコいい。これが横綱相撲と言うのだろう。単に白星にこだわっているだけではないのである。頼むから日本人力士の誰でもいい、朝青龍以上に我々を魅了してくれ。このままでは私が朝青龍ファンになってしまう。
 期待の大関魁皇が休場、想像以上にがんばっている大関千代大海も二敗目、またしても横綱朝青龍が文句なしの独走状態である。横綱の残る3日は、関脇白鵬、大関栃東、大関千代大海の三番であろうが、果たして誰か一人でも土をつけられるかどうか・・・。

 ここには常々日本人横綱誕生の期待を書き綴ってきたが、なんとそれを予感させるこんな頼もしい記事が日刊スポーツから出ていた。
序二段で将来の横綱対決/夏場所 日刊スポーツ
 この記事から少し引用させていただこう。

ともに5戦全勝で高校11冠の西25枚目の沢井(19=境川)と同4冠で東61枚目の影山(18=春日野)が対戦し、同体取り直しの末に沢井が勝ち、春場所に続いてライバル対決を制した。師匠同士も現役時代しのぎを削ったという因縁の2人は、未来の角界を担うべく競い合っていく。 日刊スポーツより抜粋

 こんなアツい十代の若者二人が序二段で火花を散らしているというのである。素晴らしい。しかも「寝ることが趣味」という負けたほうのこの影山雄一郎は、取り直しとなった一番について兄弟子に「お前が勝っていた」と仕度部屋前で肩を叩かれると、悔し涙を流したと記事は言っている。見所満点の男のようだ。早い力士では初土俵から二年程で幕内力士になる。愛知県出身でニックネームが「タミヤ」の小結琴光喜などはわずか一年と少しで新入幕を果たしている。今回のこの沢井19歳と影山18歳も、もしかしたら来年の今頃には前頭に名を連ねているかもしれない。いずれはこの横綱朝青龍を負かす日もやってくるに違いない。なんて楽しみなんだろうか。
 この二人は毎場所チェックしていくことにする。期待しよう。
 日曜日、銀座の歌舞伎座へ行って歌舞伎を見た。今までに「能」は2度見たことがあったのだが、歌舞伎は今回が初めての経験だった。まずは結果から言うと、歌舞伎がこれほどまでに面白いものだとは知らなかった。本当に見に行って良かったと思った。
kabuki0s.jpg歌舞伎座/銀座

kabuki2s.jpg幕見席を買いたい人の行列

 運良く今月は中村勘三郎襲名披露の公演中で、通常よりも豪華なキャストで良い演目をやるとのことだった。その分人気も高く、前売りチケットはすでに売り切れていて、この日は「幕見席」という当日券を買わなければならなかった。その幕見席を買うにも、ずいぶん前から並ばなければ歌舞伎座へ入ることもできないらしいと知った会社の先輩Sさんが、なんと16:10に発売開始となる幕見席のチケットに10:30から並んでくれていたのである。感謝。お陰で無事、午後の三演目全部の幕見席を買って、最後まで座って見ることができた。この日の午後の公演の演目は次の3つであった。kabuki1s.jpg
  • 義経千本桜
  • 鷺娘(さぎむすめ)
  • 研辰の討たれ

話の細かい内容をここに書くことはしないが、特に印象深いのは「鷺娘」と中村勘三郎が出た「研辰の討たれ」だ。
 「研辰の討たれ」を見て初めて知ったのは、歌舞伎の中には私のような素人には難解なあの独特の喋り口調ではなく、通常の時代劇と同じような今の日本語に近い台詞が使われる演目もあるのだということ。特にこの演目は重々しい雰囲気は全くなくて、心の底から笑える面白おかしい喜劇だった。途中に中国の京劇のようなシーンがあったり、テレビでよく見るお笑い芸人のネタ風のシーンがあったりした。こういう歌舞伎もあるんだなぁと驚いた。
 そしてメインではない2つ目のこの「鷺娘」、実はこれがこの日もっとも私の心に強く響いた。というのも、この日歌舞伎を見に行こうと思った最大の理由が、何を隠そう私はこれから長唄三味線を習おうと思っていて、その前に一度生で長唄を聴いてみたい、ということだったのだ。そうして見たこの「鷺娘」は本当に良かった。舞台も玉三郎の舞いも美しくて幻想的で引き込まれた。そしてその舞台上で演奏されているあの長唄三味線の素晴らしいことったら無かった。実を言うと、すでに先月から三味線のCDを5枚も買って聴きまくっており、その中にはこの鷺娘の入っていたのである。しかしCDで聴くのと生を聴くのとではもう心に響くものが全く違った。この鷺娘をみてもはや機は熟した。長唄三味線を習わない手は無い。目下どこへ習いに行こうかを吟味中。楽しみ。
 先日JAZZが大好きなボーカリストのYさんに誘われて、銀座にある料理を食べながらJAZZのライブが楽しめるお店へ行った。この日その店で行われていたのは、矢野沙織という18歳のサックスプレイヤーがメインで、ベース、ピアノ、ドラム、ギターという構成のライブだった。
 私はまだまだ駆け出しのジャズファンである。村上春樹が選曲した「ポートレイト・イン・ジャズ」というCDを2年ほど前に買ったことをきっかけに少しずつジャズを聴き始めていたが、生のジャズを初めて聴いたのはつい2ヶ月前のこと。だから演奏をうまく評価できるほど耳が肥えていないので、今はライブに行けばだいたいは「いいもんだなぁ」と思ってしまう。今回もいいもんだった。
 ジャズのライブを見ていると、曲の中で演奏者同士が目配せをし合って譜面なんて見ないでソロ演奏を仕掛け合うことがある。そういうときの演奏者達は本当に楽しそうだ。彼らは、脳ミソに浮かんだ何かを理屈抜きにそのまま楽器で音にすることができ、そしてその音を聴いた我々リスナーを気持ちいいと思わせることができる。すごいなと思う。
 きっとそういうところがジャズの聴きどころなんだろうなと私は勝手に考え始めている。つまり演奏家の個性は、まず脳ミソにどんなことが浮かぶ人間であるか(感性)、そして浮かんだそれを楽器や歌でどういう風に表現できる人間か(演奏技術や声質)、で決まっていくのではないだろうかと勝手に考えている。いくら楽器がいい音を出しても、感じるものが違う演奏家の音では、リスナーは心地良いと感じないのではないだろうか。当たり前のようなことを言っているのかも知れないけれど。まだ2回しかライブに行ったことがない中で私が「この人は聞き心地がいいなぁ」と感じたのはベーシストの鳥越啓介、ドラマーの吉岡大輔。彼らはぜひまた聴きたいと思う。
脱線事故会見巡る不適切発言でおわび…読売・大阪本社 YOMIURI ONLINEより
 あの脱線直後の宴会に関する記者会見の放送をニュースで見ていて、この強気な発言を繰り返しているのは一体誰なんだろう?と訝しく思っていたが、読売新聞の記者だったようだ。今回JR西日本が犯したことはもちろん世間に非難されることだと思うけれど、あのいかにもテレビ放送を意識したパフォーマンスじみた罵倒を見ているのは気分が悪かった。テレビ映えする記者会見を演出したかったのか、大勢集まっていたに違いない各社からの記者の中で目立つ存在になりたかったのか、はたまた強気に出られない立場の権力者を責め立てることに快感を感じたのか、いずれにしてもジャーナリストのあるべき姿ではない。我々一般市民への影響力が決して弱くはない立場であることをもっとよく理解してもらいたいものだ。
中日新聞の記者でなくて良かった。