11月5日。
早朝からトラックが出てて、国旗と提灯を下ろす作業が始まっていた。
明治神宮鎮座百年大祭も無事終わり、次の千年の新しい毎日が始まる。
昨日から、明らかに、空気が変わった。
時代は変わったのだ、と感じた。
旗が降ろされるのを見ながら、わたしも御用を終えた、ってなぜか思った。

ご近所さんに、「花火見た?」と聞かれた。
「え?知りませんよ?!」
そりゃそうだ。その日その時間はまさに伊勢平氏おじさんとヨギの治療師との飲み会(満月と酒と、アワとスワ)の最中だったから。こっちも百年大祭の花火に匹敵するくらい、あり得ない祭りだった。
残念がるわたしに、親切なご近所さんは、花火の写真と一緒に「明日までですが、崇敬会員は本殿参拝、本殿裏を案内してもらえます」とメールをくれた。

ということで、駆け込み参拝。


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なんだか、「来ないで」の連鎖とかぶって痛いんですけど。

明治陛下にも、「心」があったんだろうか。
大御心っていうけど、心って、目まぐるしく変わる。
神に心はあったのだろうか。
心があったら、神の心は間違いなく傷だらけだ。

明治天皇御製
よき友に まじはりてこそ おのづから
人の心も たかくなりけれ
昭憲皇太后御歌
国のため 西の海ゆく まなび子は
船のうちにも 書やみるらん

本殿前参拝させていただき、本殿の奥を神職さんにご案内いただいた。
ごく最近、天皇陛下が参拝された場所から参拝できるなんて。
しかも、本殿の裏を見られるなんてもう生きているうちにはないかもしれない。
ご近所さんも初めて見たと言ってた。
ご案内いただいた神職さんのお話しでは
○明治神宮の候補地は、神奈川県の箱根、埼玉県の朝日山(飯能市)、千葉県の国府台、茨城県の筑波山、静岡県の富士山など、いくつかあってその中からこの地が選ばれた
○本殿の周りの白石は、白州(はくしゅう)から毎年届けられる
お白州(しらす)ってそういう意味なんだろうか、白州の場所を調べようと思って検索したら、白州(しらす)の方が出てハッとする。
○万一の火災や揺れに備えた防空壕に繋がる地下通路があって、万一の時には御神霊を避難させることができる
神職さんたちによって訓練も怠りなくされている
○創建当時の明治神宮は煉瓦を使っており、今もその煉瓦が残されているところがある
目にしたことはあるような気がするのだけど、どこで見たのか覚えがない。

そして、この日の朝、不思議なことに明治神宮の北側にある津島神社と稲荷、そして明治神宮が鎮座されるよりずっと昔からあったという大山街道のこと(百年祭のしめくくりは、大山阿夫利神社へ 〜新しいいのちの循環へ)を教えてくれたご近所さんが、
「本殿の裏に秘密の鳥居があるのよ」
と教えてくれたのだ。
だから、聞いてみた。
「北鳥居があります。この鳥居は、神様しかお通りになれません」
明治神宮本殿の北側(つまり裏)には、能登一宮 気多大社と同じように、人が入ることができない、「入らずの森」がある。
その森と、御本殿の間に、鳥居はある、ということになる。

せっかくだから、最近やんごとなきお方から教えていただいたことも、記録しておこう。
明治神宮の森は、日本全国の献木と勤労奉仕によって、荒地に日本自生する全ての木を、様々な知恵を結集して作られた森なのだそうだ。
すべての木を集める、というのは、実は簡単なことではない。
南から北までの木を集めるというのは、南の暖かい場所の木の北限、北の寒い地域の木の南限にチャレンジするということでもある。
一気に移動させると、枯れてしまうので、少しずつ、慣らしながら、移動させここに植えたというのである。
本当だったらそれはすごい知恵だ。
しかも、今もまだその取り組みは続いており、例えばナナカマドの南限が更新されているらしい。

お下がりは、羊羹と伊藤園さんが奉納された特別なお茶。
お祭りの日に配っていたが、列に並ばずもらいそびれたそれ。
あんな参拝、もうできないだろうな。
でも素晴らしい体験をさせてもらえてうれしかった。
大神さまの、ごほうびをいただいたような、気持ち。
ありがとうございました。

ついに年末の予定が掲示された。
2020年もあとわずか。

(明治神宮鎮座百年大祭を記念して、上がった100発の花火)

神の世から、人の世へ。
人は、たま を輝かせて、神をあらわせるか。
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