恋しくて 〜葛の葉をたどる旅 その2 和泉の森編 | かんながら

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旅の記録です

 

実の父は、家を追い出された後、母と直接連絡することなく再婚して、別の家庭を持っている。
25年前、わたしが突然現れるまで、わたしの存在は家族には秘密にされていた。
 
再開のきっかけは、アル中の仲間が、今はすっかり薄くなって存在感がなくなった「NTT電話帳」で父を見つけ出して、約束をとりつけてくれたことだ。
 
 
25年以上、なんの音沙汰もなかった存在からの突然の電話。
 
このあいだの神父ではないが、まるでアマビエにでも遭遇したような驚きと不安が入り混じった警戒感MAXの態度であったという。
当時はアマビエはメジャーな存在ではなかったが、「アマビエ」登場と同等の衝撃だったと思われる。
 
父もサーダカ(神がかり)なので、「家族に言って、後はよろしく」だ。
すべて父の再婚相手に報告し、家に連れて行って紹介された。
 
妹は、さすが父の血を引いているだけあって、驚きながらも突然出てきた姉の登場を受け入れてくれたが、後妻さんの方は普通の人だから、(いい人だけど)、葛藤があったと思われる。
 
ある時、父は自分のルーツを見せたいと、故郷の親族の家にわたしと当時の家族を連れて行った。
その時の様子は、実の父と二人旅 〜鹿児島へ にちらと書いたけど、能天気な父とは裏腹に彼女の方は不愉快だったらしくてお勝手(キッチン)で泣いていた。
 
そして、それを忖度する普通の人たちの集まりの中、わたしは誰一人話しかけてこない中、全く味のしないビールを黙って飲んだ。
「奥さんは何でもわかってくれている」と自慢する父に、「彼女には普通の感情がある」と事実を持って反論したが、
「せっかく平和に暮らしているのに、そんなことを言わんとってくれ」とまったく合理性のない依頼をされた。
 
怒っているのではない。
ただ、父には「自分の都合よく考えるのはいいことだが、周りも同じ感情を共有できるわけではない」ということが言いたかったのだが、わかってはもらえなかった。
 
父が喜んで見せる「いとこ作成の家系図」にはわたしの名前はない。
みるに見かねて、2度目に訪問した時、親族の家の奥さんは(彼女は継母でもある)、「ここには、りこちゃんの名前を入れるものやろ」と言ってくれたが、そういう都合の悪いことはスルーする父である。
 
わたしも別に名前を入れてもらわなくていい。
 
そのために、父の奥さんが泣くぐらいだったら、「いなかったこと」にされた方が気楽である。

 

 

父の奥さんは、とてもいい人である。

たぶん彼女を嫌いな人はいない。

 

でも、彼女の中には、「自分の子供を守りたい」という強い意識があって、そのせいでわたしと母は、存在を消されるしかなかった。

母はプライドの高い人で、世話になるのが大嫌いな人だったから、一切の権利を主張することなく、養育費だって請求したことはない。

 

 

今のわたしは必要だったら、平気で父に電話して、車を借り、泊めてもらう。

世話をしてくれるのは父の奥さんである。

だから、とても感謝している。

 

朝ごはんを食べながら、彼女の「家族の自慢話」や「しあわせな時間」の話を聞く時、

わたしは、わたしが父の不在によって被った苦労が報われたなって思える。

 

まだ、離婚もあり得ない時代で、母子家庭で育ったわたしは、子どもの残酷さにより、ひどいいじめをたくさん受けた。

 

でも、そのせいで、「しあわせな時間」を持てた人がいたんだったら、それでいいのだ。

 

 

 

 

今日は父の家の近くにある大鳥神社。

和泉國一宮。

でも、父はきたことがないというし、父と先日探した時も、正面の鳥居にたどり着かず、今回もカーナビに連れられてきたら、変なところに。

裏参道?

何で?

呼ばれてない?地元なんですけど。

 

 

 

 

 

 

入り口すぐのところに、どう見ても御神木の大楠。

 

 

 

小さな社があって、大鳥美波比神社とある。

近所の人たちはこちらにお参りしてか

 

なぜか、牛。

 

本殿を探すもわからず。

何で?大きな神社のはずなんだけど。

 

 

迷い込んだ先に、築山っぽいものが。

看板を見たら、清盛、重盛、の文字が。

 

かひこぞよ かへりてはてなば とびかけり はぐくみたてよ おおとりのかみ

 

と和歌一首 神馬一頭を献じた、とある。

ここも平家?熊野、ともある。一体何なの。

 

 

 

 

なにわの審神者(さにわ)に電話してようやく本殿。

 

 

昨年から授与されるようになったというおふだ。

なんか熊野チックに見えるのはわたしだけ?

 

聞いてみたら、御神影?を参考に作った、とのこと。

こういう護符があるってことなんだろうな。

木の中にいる神。

楠の中に神宿ってるってことだよね。

 

 

お参りを終えて帰ってきたら、小さなお宮の方に、猫がいた。

 

 

 

信太の森へ。

 

 

葛の葉稲荷神社。

 

 

稲荷秘文奏上。

涙が出てくるのはなぜ。

 

 

 

 
ここにも楠の木。
 
葛の葉は、楠の葉では?
 
恋しくば 訪ねきてみよ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉。
 
信太の森の裏には、くすの木があるけどね。
 
きっと楠って、何かあるんだな。
わたしの周りには、「楠木正成」に関わる人が多すぎる。
 
 
母って、息子には特別な思いがある。
だから、きっと、安倍晴明の母は、安倍晴明が困らないように、祈り続けていたはず。
 
それも彼の呪術の力だとしたら、空恐ろしい。
女の執念って言うけど、女の念って最強だと思うからね。