こんな本、読んでます。 -14ページ目

こんな本、読んでます。

どれくらい本を読んでいるのか記録してみます。。

最高は☆5つです。

水村 美苗
本格小説 上
水村 美苗
本格小説 下

☆☆☆☆

上下で1200ページ弱ある大作。非常に読み応えのある作品でした。

前半400ページほどまでは、本編への導入部分で、その後の展開が読めないため

読みづらいのだが、

後半はぐいぐいと引き込まれていく。

主人公は東太郎。ニューヨークで運転手から大金持ちになった伝説の男。

彼はかつて日本の貧しい家庭に育ち、借家の大家である金持ちの隣人の保護を受け

隣人の同年代の娘と深い絆で結ばれる。

物語はその隣人の女中の視点で進められる。

舞台はニューヨークから、家のあった成城や千歳船橋、別荘のある軽井沢と行ったり来たりし、

戦中~戦後という激動の時代にあって、

伝統ある家柄の家族の生活ぶりや、差別されて育つ子ども、

その超えがたい壁を超越した愛。

そして東太郎が金持ちになったときにおこる皮肉。


美しい文章で綴られるその物語は

通しで読んでから、再び最初から読み返したくなる。そんな本です。



石川 達三
青春の蹉跌
☆☆

蹉跌という言葉を辞書でひくと、「(つまづくの意から)物事がうまく進まず、しくじること。挫折。失敗」とあった。

主人公である江藤賢一郎の犯した罪は、蹉跌といってしまうには、しかも青春の過ちと言ってしまうには

あまりに重いと思う。


貧乏な母子家庭に育った賢一郎は、裕福な伯父の援助により大学で学んでいる。

司法試験に合格すれば、ゆくゆくは伯父の娘と結婚し、成功した人生を歩めるはずだった。

しかし、家庭教師として教えていた登美子と肉体関係を持ち、

妊娠を理由に結婚を迫られ、ついには殺害してしまう。


賢一郎は自分の法学の知識に絶対の自信を持っている。

生活におけるどんなことも法律にその論拠を比較し、

自己防衛を図ろうとする。

そこには他人への思いやりとか気遣いとか、そういう感情はあまりなく

極めて冷徹・利己的に自分の利益を守ろうとする。

登美子との関係についても、互いに本能の欲を満たすためのものだと結論づける。


時代は学生運動が盛んだったときだが、賢一郎はひたすら大学の図書館へ通い

司法試験合格を目指す。

試験を妨害する学生のピケに対しても、非常に冷ややかな目でみつめている。

サウス・バウンド 」の一郎とは真逆の人間だ。


そんな賢一郎が逡巡を見せるのは、登美子を殺した後だ。

伯父の娘と結婚するよりも、登美子と暮らした方が幸せだったのではないかと思う。

時すでに遅し、逮捕された警察で、賢一郎は登美子の身ごもっていた子どもが

自分以外の男のものであると初めて知る。

登美子にだまされていたのである。


法学については並外れた知識を持っていたが、その他のことはなにも知らなかった

賢一郎の性格上の不具。

現代の教育ではそんな人間を育てているのではないかと怖くなった。

小学生から勉強と競争に終われ、受験に必要ないことは優先度を下げられる。

そうして大人になって、一体なにになるんだろう?

青春時代にできなかったことは、大人になって取り返すことは難しいと思う。

いろんなものに触れて自分の道を選び取れる人間を育てて欲しい。







奥田 英朗
サウス・バウンド
☆☆☆

二郎の父は物心つくころからずっと家にいた。

時々文章を書いているらしいが、実際には何をしているんだかよくわからない。

実は父は、伝説の過激派メンバーだったらしい。

そんな父は、年金は払わず、徴収員ともめ、

二郎の修学旅行のお金が使途不明だと言って学校へ押しかける。

学校へも行かなくていいという。


1部ではそんな父に振り回される二郎の家庭と

中学生のいじめに悩む学校生活を中心に描かれる。


2部では借家を追い出された一家が西表島に引越し

自給自足の生活を始める。

沖縄へ転居するというだけで、公安から「米軍反対運動をするのか」と

恐れられる父。


勢いのある文章に、読みきってしまった。(特に2部)

学生運動の時代を私は知らないので、当時の学生がどのような思想を持っていたのかを

実感として受け入れることはできない。

でも父、一郎が、激しい運動の結果、個人主義にたどりついたということは分かる気がする。

一郎は言う。


革命は運動では起きない。個人が心の中で起こすものだ。


集団は所詮、集団だ。ブルジョアジーもプロレタリアートも、集団になれば同じだ。

権力を欲しがり、それを守ろうとする。


個人単位で考えられる人間だけが、本当の幸福と自由を手にできるんだ。


一郎の周りに現れる革命のメンバーたちとのやりとりが

当時の空気をしのばせる。

理論武装し、オルグにより仲間を増やし、総括により集団を保持しようとする。

そんな一本気な空気に当事者たちは酔っていたのだろう。

それに気付いたとき、一郎は運動から離れた。

そして自分の思いを貫く生き方をした。


時代は変わり、現代の東京に生きる二郎には父を理解することはできない。

父を恥とし、別の家庭にあこがれる。

しかし東京を離れ、西表島という、私有財産という意識のあまりない文化で

生活することで、父に対する味方はだんだん変わっていった。


私のまわりに一郎のような人はいないが

いたらちょっと怖いと思う。

でもいないという今の日本の状態もまた怖いと思う。

「多様な価値観」と一言にいうことは簡単だが

昨今の教育基本法の問題にしろ、思想の多様性がどんどん失われていっている気がする。

それが怖くて私は本を読むのかもしれない。



蓮見 圭一
水曜の朝、午前三時
☆☆☆☆

古典のようなきれいな小説だった。

45歳の女性が死を前に、娘のためにテープを残す。

そのテープの中には直美が大阪万博のホステスとして働いていた23歳のときに

恋し、分かれた恋物語が吹き込まれていた。


A級戦犯を祖父にもつ直美は、その家庭のうちに戦争の影を引きずる。

舞台は70年代。そんな家庭から逃れるために大阪万博のホステスに応募する。

大阪では将来の外交官として嘱望されていた白石がいた。

恋人になった白石は、突然姿を消す。その背後には民族問題があった。

真相を知り、逃げるように分かれた直美。 

彼女は白石の影を引きずりながら他の男と家庭をもつ。


直美が一人称で語る形式なので、読みにくいかと思ったら

きれいな文章が続き、すーっと入ってきた。

ところどころに印象的な文章がちりばめられている。


後に悔いを残したくなかったら、言うべきかどうか迷うようなことは

言わずにおくべきだ。


口にしてみて自分でも初めてそれと分かる真実もあるのです。


人間は、選択して決意した瞬間に飛躍する,(キルケゴール)


運命というものは私たちが考えているよりもずっと気まぐれなのです。

昨日の怒りや哀しみが、明日には何物にも代え難い喜びに変わっているかもしれないし

事実、この人生はそうしたことの繰り返しなのです。


私は失敗を楽しめるほどに成長することができたのです。


差別する感情の底にあるのは恐怖心に他ならない。


文庫版の池上冬樹氏の解説もいい。


阿部 絢子
「やさしくて小さな暮らし」を自分でつくる―ヨーロッパ流エコライフ
☆☆

スウェーデン、オランダ、ドイツ、フィンランドなどに滞在して

エコライフを体験した著者の体験記。

読みやすいのだけど、「ふーん」という感じで

とくに目新しいことは書いていなかった。

ヨーロッパで行われていることを、全て肯定的に受け入れるのではなく、

日本と比較して、日本だったらこうすればいいかもというふうに

昇華させてほしかった。


テス ジェリッツェン, Tess Gerritsen, 浅羽 英子
中間生命体
☆☆

ERに突然運び込まれた老人の様子に不審を抱く女医。

その老人の住む高級老人ホームでは不審な死が相次いでいた。

老人ホームの関連施設では、ホルモンによる若返り療法が行われていた。

それは、遺伝子操作した卵子を受胎させ、若さをつかさどるホルモンを生成する

脳下垂体を大量に生産して、それを老人に移植するということを行っていた。

女医がそのような組織を暴こうとするが、協力者がどんどん殺される。

そんな話。


よくできているストーリーだが、そんなに感動はない。

ちょっと描写がグロテスクで気持ち悪いところもあった。

林 真理子
美女入門 (Part2)
☆☆

久々に林真理子のエッセイを読んだ。

気持の良いくらいに彼女はブランドものを買い捲る。

洋服、バック。。そして着ないものは人にあげる。

私も彼女の友達になりたい。


いろいろ自分を卑下しているが、彼女はおしゃれなんだと思う。

それなりに着るものにはこだわりをもっているようだ。

愛用のジル・サンダーは高い高いと書いてあるので

どれくらいだろうと調べてみたら、

やっぱり高かった。

ハピネット・ピクチャーズ
美しき運命の傷痕

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不幸な誤解のせいで男は犯罪者となり

家族は崩壊する。

そしてそれを見ていた3姉妹は大人になり、父親を憎み続ける。

大人な映画だった。



レントラックジャパン
ブロークンフラワーズ

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ある日、中年の男のところに「あなたの子どもがいる」という無記名の手紙が突然届く。

彼は昔の彼女を一人一人尋ね歩く。


なんだか結論がよく分からない映画だった。

アメリカ映画だとは思えない。。


レントラックジャパン
ヨコハマメリ-

公式サイトはこちら


戦後、米国軍人の相手をすることを目的に

ヨコハマの歓楽街には娼婦がたくさんいた。

その中に一人、いつも白いドレスを着て、自分の納得する客しか相手にしない

伝説的なメリーさんがいた。

彼女は老人になっても白いドレスで街角に立ち続けた。

家もなく、ビルの片隅で眠るメリーさんと彼女を支える横浜の人々。

NHKをみているようなドキュメンタリーだった。

最後に老人ホームで暮らす普通の女性となったメリーさんが映る。

普通の姿の方が素敵だと思った。