『この話、続けてもいいですか。』 西加奈子 著 | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

 

 

ジェイン・オースティンの『マンスフィールド・パーク』を読み終わり、その充足感と余韻にもうしばらく味わいたい・・・そして、立て続けに10kmくらい泳いだ後の(そんなに泳げないけれど)ような、爽やかな疲労感もあったので、一旦読書筋をほぐしてリフレッシュするために、ストーリーを追わずにさらっと楽しめるエッセイ本でひと休み♪集中してトレーニングをした後にはストレッチを忘れずに、です(´ω`*)。

 

BSジャパンで放送していたオードリー若林さんMCの文筆系トークバラエティ「ご本、出しときますね?」が大好きだったのですが(第二シーズン熱望)、西加奈子さんはゲストの常連で彼女のトークする様子をその番組でよく見かけたのですが、周囲に上手く気を配りつつ、空気を読みながらのマシンガントークがメチャクチャ面白くて( *´艸`)。これはエッセイもきっと楽しいに違いない、とちょっと前に見つけて買ってあったものです。予想通りの楽しさ満載で、よい気分転換になりました^^。あ、偶然にも『マンスフィールド・パーク』と同じちくま文庫ですな。

 

2007年~2010年にかけて連載されていたものを文庫化したもので、掲載は時系列順ではなく、西さんの友人知人に関する話とか、旅行の話とか、イベントなどに出かけた話とか、食べ物の話とか、いくつかのテーマ別に編纂されています。予想通り、面白くていいリフレッシュになりました。1エピソード数ページ分なので、通勤電車とか銀行窓口の待ち時間とかちょっとした隙間時間に気持ちよく読み切れるのもよかったです^^。

 

もう、大阪弁と大阪人のサービス精神満タンで「ほいなら皆さん、わろうてねー、わろうてよー。ドヤサー」な自虐ネタも沢山。所々、少々お下品な小学生男子レベルのシモネタもあったりしますが、もう、ゲラゲラ笑っちゃいました(電車の中では必死にポーカーフェイスで心の中で爆笑緒。でもちょっとニヤニヤしていたかも・・・同じ車両に乗り合わせた皆さん失礼しました)。エッセイ連載が始まった頃の西さんは29歳。まだ作家生活が4年目くらいの頃。最大10年前ですし、若さの至りもエネルギーも溢れている頃なので、今現在の西さんとは当然イコールではないわけで。

 

ご本人もあとがきで気恥ずかしいけれどもあの頃の自分が愛おしい、というようなことを書かれていますが、軽く暴走しちゃっている西さんも、サラっと面白いことを何でもなくやり過ごしている風に装って無茶苦茶リキ入ってるのが読んでいても透けて見える部分も、エネルギーいっぱいキラキラしている部分も、他人事ながら、そして僭越ながらくすぐったくて微笑ましいです。皆、若気が至ったり余った元気をダダモレさせたり悩んだりワクワクしたりしながら大人になるんだよなぁ。西さんもそうやって大人になって今の西さんがいて、未来の西さんが待っているんだろうな。と思うとなんだかシンパシー感じて嬉しくなります(´ω`*)。

 

勿論、笑かそー!的な内容ばかりではなくて、時々はっとするくらいピュアな想いが綴られていたり、ドキっとするような鋭い洞察力で物事をみていたり、あ、これは『サラバ!』の主人公のエピソードと同じだな、と作品とのリンクが感じられた理、西さんが小説家になろうと思った鮮烈な思い出なんかも語られていて、興味が尽きません。

 

色々と気になったこと、好きな点はありますが、、、取りあえず「仁義なき戦い」シリーズを観てみたくなりました。ムズムズ。そして、西さんが海外旅行中(確かブルックリン)に出会ったいかついおっちゃんの腕に彫られた「勉族」というタトゥー、いったい彼はなぜそんな文字を刻もうと思ったのか、何だと思ったのか、どう説明されたのか・・・が無性に気になります。ざわざわします(笑)。

 

ちなみに解説は『この人と結婚するかも』の中島たい子さんでした^^。