ベイビー・ドライバー | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

2017年 アメリカ

エドガー・ライト 監督

原題: Baby Driver

 

 

秋のミュージカル祭り。純粋なミュージカル以外にも、ミュージカルの重要な構成要素である歌、ダンス、音楽が効果的かつ印象的にあしらわれている映画も対象とします。というわけで、劇場公開中作品からの選抜。8月は夏バテもあって映画館へ足を運ぶこともほとんどなかったので夏の新作情報には疎かったのですが、ZELDAさんに教えて頂いて、観たくてたまらなくなったコチラ。幸い自宅から徒歩圏内(といいつつ帰りはタクシー乗っちゃいましたけど^^;)の映画館で上映していたので、張り切って久々に平日レイトショー観てきました♪


 

”カーチェイス版「ラ・ラ・ランド」”というキャッチ。またすぐそうやって流行りモンに便乗するぅ~と思いつつ、まんまとググっと引き寄せられます(笑)。そして、たーしーかーに。ノリノリの音楽と迫力のカーチェイスとスリリングと可愛いラブストーリー♡。クール、スタイリッシュ、ラブリー、スカっと爽快、時々クスっ。お初の監督さんでしたが、他の作品も興味持ちました。久しぶりの劇場鑑賞、めっちゃ楽しみました( *´艸`)。

 

 

映画はいきなり銀行強盗のシーンから始まります。そこからのォ~、ハデに目まぐるしいカーチェイス!一気に引きこまれます。脈拍あがります(笑)。そんな犯罪グループの「逃がし屋」を担うのは天才的なドライビングテクをもつ若者、通称ベイビー(アンセル・エルゴート)。幼い頃に両親と乗った車の事故で孤児となり里親に育てれました。そして10年前のちょっとしたヤンチャの為に裏社会の大物ドク(ケヴィン・スペイシー)に対して巨額の負債を抱えるハメになり、その弁済の為に逃走車のドライバー役をやらされています。

 

 

事故の後遺症で耳鳴りが酷い為、常に音楽で耳鳴りをかき消しているベイビー。聴覚障害のある里親ジョー(CJ・ジョーンズ)との生活で手話と読唇術も身につけているので、作戦会議中に耳元で音楽ガンガンでも問題なし。それどころか、「仕事」の時は音楽がアドレナリン増強剤の役目を果たして、音楽にノレばノルほどドライブテクが冴えわたります。カーチェイスをしながらベイビーが聴いている通りの音楽を共有するので、シンクロ率髙し。この臨場感と迫力ある画面と音楽。この映画は絶対に劇場で観るべし(*'ω'*)。

 

 

ベイビーの事を昔からよく知り尽くしている悪のドン役にケヴィン・スペイシーというのも、ハマりまくり( *´艸`)。いかにも、貫禄あって腹黒そうで意外と人情に厚そうな、冷酷そうな、一筋縄でも二筋縄でもいかない底の知れない感じが漂いまくりです(笑)。監督もお初なら、主演のアンセル・エルゴート君もお初だった私。可愛いベビー・フェースで、無口にムスっとした表情も、格好つけてスカしてる感じも、里親ジョーとの気心知れた和んだ表情も、恋に落ちてポーっとなってる表情も、好きな子の前でキリっと見せる場面も、色々な表情を見事に表現分けしていて魅力が溢れていました。これからちょっと気にかけてしまいそう(*'ω'*)。

 

 

ジョーとの関係を本当に大切にしているベイビー。ベイビーが危険な仕事に巻き込まれていることを薄々知っていて心配しているジョーと、それを知っていて安心させようと頑張るベイビー。「お前はあっち側の人間じゃない」と必死で説得しようとするジョーに「あと一回で、自由だから」と説明するベイビー。ジョー役の役者さんは本当に聴覚障害のある役者さんだそうで、アンセルもこの役の為に手話を練習したとのことで、2人の会話もすごくナチュラルで微笑ましい。きっと、役作りの為に、個別で手話の勉強するだけじゃなくてジョー役のCJ・ジョーンズさんともいっぱい語り合って、しっかり時間をかけて信頼関係を築いたんだろうなぁ、アンセル君・・・と想像するものです(´ω`*)。

 

 

そんなアンセル君にキューピットの矢が刺さる。いきつけのダイナーの新人ウェイトレス、デボラ(リリー・ジェームズ)ちゃんと運命の出会い♡。「シンデレラ」とか「高慢と偏見とゾンビ」とかドラマ「ダウントン・アビー」とか「戦争と平和」とかの、クラシック・コスチューム姿を見慣れているので、アメリカンな超ミニスカ姿のリリーちゃんが新鮮(*‘ω‘ *)。音楽の話で盛り上がり「(ベイビーだと名乗った後)全ての曲があなたの曲ね!」と目をキラキラさせて話しかけるデボラちゃんに瞬間ゾッコンのベイビー。

 

 

ヤバい仕事もついに最後の1回を終えて解放され、これからは新しい人生の幕あけ。ジョーの勧めで堅実な仕事も初めたし、デボラとおてんとうさまの下でハッピーな人生への期待に胸が膨らみます。2人の最初のデート?(笑)はウェイトレスの仕事あがりのコインランドリー。どこから見ても幸せどっぷりのホヤホヤラブラブカップルな2人(*'ω'*)。このコインランドリーのシーンの最初で、沢山並んだドラム式洗濯機の中でそれぞれ赤、青、黄のカラフルな洗濯ものが回転していて、ヴィヴィッドでウキウキする雰囲気が表現されていて綺麗でした。「ラ・ラ・ランド」の渋滞のシーンやミアとルームメイトたちのドレスの色彩をちょっと彷彿とさせました。

 

ところが、ベイビー程の腕前をもつドライバーを、ドクが簡単に手放すはずもなく・・・。一旦借金はチャラにしておきながら、新たにチームとしてスカウトしてくるのでした。それも汚い大人らしく、狡猾で力づくな方法で・・・内心これが本当に最後、と覚悟を決めて承諾せざるを得なかったベイビーですが。新しい人生が開けたと思ったのもつかの間、結局一度ドブに足を突っ込んだらもう逃げようがないのか・・・ベイビーは、困難な人生から抜け出すことが出来るのか、ジョーやデボラら愛する人を守りきれるのか、デボラとの恋は成就させることができるのか・・・?

 

 

最後(Hope to be)の大仕事の為に集められたのはドクの信頼も厚い、常連メンバーたち。犯罪チームの面々も皆それぞれ個性的です。とにかく凶暴で考える間もなく人を殺しちゃう暴走野郎、それでいてやたらと勘が鋭い狂犬バッツ(ジェイミー・フォックス)。最近では「ジャンゴ 繋がれざる者」の記憶が新しい(私には)、すっかり大物の貫禄のジェイミー・フォックス演じるバッツ。ファッションも言動もとことんヤバいです、ハンパないです(笑)。

 

 

場所を選ばず四六時中イチャイチャしているフェロモン満載のカップル、バディ(ジョン・ハム)とダーリン(エイザ・ゴンザレス)も、バッツと並んでいるとマトモそうに見える(笑)けれどキレちゃったら何しでかすかわからない。意外といい奴なのか、サイコなのか、紙一重な危険な香り。それにしても、セクシーな美男美女!と感心していたら、ジョン・ハムは「ミニオンズ」でイギリス女王の座を狙うスカーレットの夫、ハーブ・オーバーキルの声優だったらしい。に、似合いすぎてる( *´艸`)。

 

 

さーて、いっちばんヤバいヤツ、だ~れだ?!のコンペティションは甲乙つけがたし^^;。狂犬バッツの暴走に始まり、どんどん計画はヤバめな方向に突き進んでいきます。映画冒頭では”逃げ屋”に徹するベイビーに「そのうち人を殺すことにならないうちに辞めとけよ。手が血に染まったらもうおしまいだぜ」なんてアドバイスしていたバディですけれど。もう、やたらめったら死体に遭遇しまくりのベイビー。簡単に死体増産しすぎ、コッチ側ほとんど無事すぎ、警察の追ってつかなすぎ(苦笑)。一人一人のキャラは個性的で立っているのですが、関係性や背後やストーリーの細部は放置しすぎてヌケが目立つのが少々難あり。

 

全てを説明する必要は勿論ないですが、ジョーとベイビーの絆とか、ドクとの関係とか、もうちょっと補足してもよかったような。そこがヌケてるから、せっかくのシーンや台詞の深みが足りずスカっと上滑りしている部分がいくつか。ま、基本は考えずに観ろ、感じろ、フィーリングで味わえ、そしてラブストーリーを応援しろ、が正解な映画なので致命傷ではないですが。続編が出来るなら、そのあたりにさらなる期待かなぁ^^。

 

 

スリリングなカーチェイスやアクション、それと緩急つけるアクセントにもなっているラブストーリーだけでも十分楽しめます。ラストミッションでどんどんアクシデントが泥沼にハマりえらい展開になり、ついにはカーなしで、自分の足で警察とチェイスするベイビー君なシーンも↑有り〼。かけっこでも、音楽は必須!

 

 

デボラと2人、音楽を流しながら20号線をあてなくドライブするデートを何度も夢想するベイビーでしたが。叶わぬ夢に終わるのでしょうか。「ボニー&クライド」的な展開もあり、どこに終着するのかハラハラドキドキ、目が離せません。こんな可愛い2人には、「ボニー&クライド」のような破滅的なラストは向かえて欲しくない・・・でも、まんまと逃げおおせて逃亡生活っていうのもどうだろう・・・事態がここまで大きくなってしまったらなかったことにも、無罪放免というわけにもできないし(>_<)。と気をもみましたが、最終的には納得の結末でした。(´ω`*) あのシーンが、こうなってあぁなってそこに繋がるのか!と、感無量。

 

あまり激しいバイオレンスは苦手な私も存分に楽しめました!車詳しくないけど、カーアクション楽しかったです。遊園地でジェットコースターやゴーカートをしつこくリピートしていた子供時代を思い出しました(笑)。これ、サントラも人気出そうですね~。聴きながら家のお掃除したらはかどるかな?(*'ω'*)