魔法にかけられて | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

2007年 アメリカ

ケヴィン・リマ 監督

原題: Enchanted

 

 

秋のミュージカル祭り~。「シカゴ」がゴージャスかつダークな大人の世界だったので、気分一新、平和でハッピーな世界へ^^。ディズニープレゼンツ、伝統的なディズニーアニメとミュージカルと実写の融合が見事なとびっきりのファンタジー。ディズニーアニメを子供の頃観ていた大人にはたまらない、そして今のお子様にも大ウケ。以前、親しい友人を招いてホームパーティーをした時に、友人の1人が同伴した美人姉妹ちゃんのリクエストで上映したら2人とも無我夢中でテレビ画面にかぶりつき、見おわってもリピートしていました。その間に大人たちは存分に大人の会話(笑)とお酒を楽しむことができました( *´艸`)。



物語の始まりは、アニメーションの世界。おとぎの国アンダレーシアの森に動物たちと暮らすジゼルは、理想の王子様との運命的な出会いを夢見て過ごしていました。するとどうでしょう、トロールに襲われたところを助けてくれたエドワード王子と一瞬でお互い一目惚れ、「明日の朝結婚式をしよう!」。出会った瞬間ソッコー翌朝の結婚式を決断って、現代っ子にはとうてい共感されなさそうなこの展開(苦笑)。勿論、邪魔する悪い魔女もちゃんと?います。。王子の継母の女王(実は魔女)は、王子が結婚して子供が出来たら王位を奪われると大焦り。老婆に化けて式に駆けつけたジゼルを騙して井戸の中へ突き飛ばし、「永遠の幸せ(Happy Ever After)が存在しない恐ろしい世界」へ追放してしまいます。



魔女に突き落とされたジゼル(エイミー・アダムス)がたどり着いた恐ろしい世界とは、現実世界のニューヨーク、タイムズスクエア。アニメの再現が見事な衣装とスタイリング!「メッセージ」では時代の最先端をいく科学者を演じたエイミー・アダムスのディズニー・アニメそのものの演技が上手すぎて、アニメ⇔実写の違和感なさすぎΣ(・ω・ノ)ノ!
 
実際に、エイミーの演技に合わせてアニメーションを作り、アニメーションの映像を見ながら撮影し、と常にアニメ⇔実写の共同作業で作り上げていったそうです。衣装も、実写版、アニメ版、両方の衣装デザイナーがお互い協力し合って調整したそうです。おとぎの世界を表現するために、アンダレーシアの世界や実写でのインテリアなどの細部にはアール・デコ風のデザインを取り入れて世界観も統一。アニメーションもCGによる3Dアニメが主流の今、あえて昔ながらの手書きの2Dアニメにこだわっていて、尚更クラシックで暖かい懐かしい雰囲気に。手書きアニメを作れる人材を集めるのが大変だったそうですが、かつてのディズニー作品を手掛けていた大御所アーティスト達が複数参加しているそうです^^。
 
 

意地悪な人たちばかりの見知らぬ不思議な土地で、お城への道のりがわからず途方にくれていたジゼルを行きがかり上助けてしまったのは、離婚弁護士でバツイチ男のロバート(パトリック・デンプシー)と、その一人娘モーガンちゃん(レイチェル・コヴィー)。私生活でも仕事でも「愛」ってやつの幻想にゲンナリしているロバートは、すっかりリアリスト気取りで娘のモーガンにはおとぎ話の絵本の代わりにキューリー夫人など賢く自立した女性の偉人伝の本を与えて習い事は護身術にもなる武道、夢とか愛とか禁止!(苦笑) そんなパパを半分呆れながらも労わる賢く可愛いモーガンちゃん(*'ω'*)。

 

 

ロバートとしては、なんか頭のネジが緩んだとしか思えないヤバめなプリンスなりきり女なんて関わりたくないから怪我の手当だけしたら即追いかえすつもりでしたが、非道になりきれず一晩泊めてあげることに。困ったロバートを他所にモーガンはすっかりジゼルと仲良し♪ジゼルがモーガンに話して聞かせる「赤ずきん」のお話が意外とシュールでビックリ。「聞いたお話と違うよ」「赤ずきんがお話を変えたのよ」まさかの真相発覚(笑)。

 

 

ロバートの家のカーテンでドレスを作っちゃったり、感極まるとすぐに歌い出しちゃうジゼルに振り回されっぱなしの何だかんだ人のよいロバート。セントラルパークでジゼルが歌い出したら周囲の人間全員巻き込んでのまさかのミュージカル・ショーに!のあり得ないデショ!でも違和感なし(笑)のシーンは、一番大掛かりで華やかな見どころシーン。楽しい、可笑しい、ハッピー♪( *´艸`)

 

 

愛に幻滅して否定することで自己防衛を選んだロバートも、おいおい勘弁してくれよ顔から、気が付いたらリズムにノリノリ、にっこり・・・おっといかんいかん、しっかりしろ自分(笑)。いやよいやよも好きのうち、ではないけれど、いつの間にかロバートも周囲の人間も皆ジゼルの魔法にかかっていっちゃう。一方でジゼルは、歌う代わりにお互いの事を語り合ったり、一緒に食事をしたりデートをしたりして相手を理解し合うという彼女にとっては”新鮮な”リアルな関係を知っていきます。

 

 

ところで、ジゼルを悲惨な世界へ追放したからといって安心しきった魔女ではありません。自分にホの字の従者ナザニエル(ティモシー・スポール)をたぶらかして暗殺者としてNYKへ送り込み、3つの毒リンゴを託します。女王との愛の生活を手に入れるために何とかしてジゼルに毒リンゴを口にさせようとあの手この手でトライするナザニエルですが、立て続けにエラーで魔女に大目玉をくらいます。いかにも悪役の手下キャラらしく、単純でマヌケでどんくさいナザニエルですが、彼も現実世界にやってきて少しづつ影響を受けて自分のしていることに疑問を持ち始め、人間臭さ溢れる憎めない味のある存在になっていきます。

 

 

もちろん、エドワード王子(ジェームズ・マースデン)も愛するプリンスを連れ戻すために追ってきます。まさに言葉通り、アニメからそのまんま飛び出してきたこの王子様ルックとリアクション!「X-MEN」シリーズのシリアスなサイクロップスと同一人物とはとても思えない突き抜けっぷりです(≧▽≦)。ジェームズ・マースデン、150%楽しんでます感溢れまくり( *´艸`)。実際、台詞やリアクションの数々は、彼のアドリブのアイディアが沢山採用されているそうです~。セントラルパークでジゼルの歌声を聞きつけて、愛する君よ、いま僕がいくからね~♪とばかりに歌い出す瞬間、スポーツサイクリング軍団に踏みつけられるシーンが個人的には一番好き( *´艸`)。

 

 

エドワード王子といえば。ジゼルと同じマンホールから、昼間のタイムズスクエアに出現してひと騒動(笑)起こすのですが、あっ背景にミュージカル「シカゴ(CHICAGO)」の看板が!なんてタイムリー!(´ω`*)

 

 

現実世界のロバート王子vsおとぎの国のプリンス・エドワードの対峙の構図(笑)。最終的にジゼルが結ばれる相手はネタバレせずとも自ずと予測がつきますが、とにかくそれまでの過程にオモシロポイントが盛りだくさんでたっぷり楽しめます♪脚本すごくよく出来てる。ジゼルとエドワードの大げさなまでのデズニーアニメ演技と現実世界とのGapが、夢や理想と現実の対比にもなっています。そうそう、エイミー・アダムスとジェームズ・マースデンのなりきり演技力も本当に素晴らしいのですが、それ以上にビックリなのが2人の歌唱力!そのまま2人ともブロードウェイの主役が務まるんじゃないかと思う程の歌ウマです。必見。

 

 

この映画全編、そこら中に過去のディズニー作品のパロディが溢れかえっています。あ、この台詞は、このシーンは、このアイテムは、このキャラはあの映画の・・・!と誰でもすぐにわかるものから、言われてみればわかるものから、コアでマニアックなものまで( *´艸`)。「白雪姫」「リトル・マーメイド」「シンデレラ」「眠りの森の美女」「メアリー・ポピンズ」「バンビ」「ピーターパン」・・・もう、キリがないほど。元ネタを見つけながら観るのも楽しみ方のひとつ^^。そして「美女と野獣」を彷彿とさせる舞踏会シーン↑も^^。ここでは、現実社会の皆が昔風のコスプレで楽しんでいるのに対して、ジゼルは逆に現代的なエレガントなドレス姿っていう対比も面白いです。

 

 

そしてついに真打ち登場?!ナザニエルのふがいなさにしびれを切らした魔女もとうとうアニメ世界から現実へ乗り込みます。魔女の実写化は、堂々たる威厳溢れる我らがスーザン・サランドン♪アニメ世界だけでなくコッチ側でも、老婆にドラゴンにと変身してくれちゃいます。もう、皆が真剣に振り切ってなりきっているのがめちゃちゃ楽しい( *´艸`)。

 

 

アニメ世界は手書き2Dですが、魔女が変身したドラゴンと、ジゼルを追ってきたリスのヒップは流石にCGです。このヒップの出来がまた半端なくすごい(*‘ω‘ *)。動きもリアルだし表情豊か♪そして動物たちはアンダレーシアではしゃべりますが現実ではしゃべれなくなっちゃうという設定。だからおしゃべりなヒップ君も、「キーキキキっ」とか「ククゥーっ」とかなっちゃうのですが、そのヒプ君の声?を当てているのはケヴィン・リマ監督だそうです。これもまた楽しんでやってる感モリモリ^^。

 

 

愛に幻滅したロバートが、愛ではなく理性と理屈でモーガンの新しい母親候補として交際相手に選んでいたのは、理知的なキャリアウーマンのナンシー(イディナ・メンゼル)。でもナンシーの方はしっかりロバートに恋しているし、内面はロマンチックが大好きな夢見る乙女だったりします。そういうことに気が付かず上辺しか見れないんだから”まったく男っていうのは・・・”って何万人もの観客が思ったのではないでしょうか(苦笑)。自分は恋していても相手には愛情では選ばれず、そのくせ突然現れたおとぎのプリンセスにもってかれるなんてナンシーがちょっと可哀相すぎない?!

 

・・・ご安心ください。隠れ乙女のナンシーに相応しいHappy Ever After なエンディングがちゃんと用意されています♪ジゼルもエドワードもロバートもモーガンもナンシーもナザニエルもヒップも、全員にそれぞれ幸せな成功が用意されていて皆がそれぞれにハッピーなエンディングが最後の最後に楽しいです。せっかくの絵空事だもの、ディズニーだもの、歌って踊って皆が楽しくハッピーなのがやっぱりいいよね♡ そう心から思える大好きな映画です。(´ω`*)

 

では最後に、劇中一番大掛かりなミュージカル場面、セントラルパークでジゼルが歌う「想いを伝えて(That's How You Know)」と、予告編動画をお楽しみください♪