バリアフリーマップをつくる旅 -6ページ目

この際はっきりさせておこう。


水族館は好きじゃない。


なかば義務でやって来た。


バリアフリーマップを作るために。



駐車場に車を止めたあと、すぐには入館せず、一旦、江ノ島方面へ向かう。

  バリアフリーマップをつくる旅


名物のしらす丼を食べるため。


入ったのは浜辺の小さな食堂。


朝獲れの生シラスを食べられる店。


事前にネットで調べておいたのだ。


水族館へ赴くことを思うと気が重い。


このしらす丼はオプションの一つ、自分をなだめる欺瞞工作として。


平らげてしまうと他にやるべきこともなくなり水族館へ。


調査は2時間ほど、我慢するしかない。



数年前にリニュアルした新江ノ島水族館、大小様々な水槽で、マグロやらペンギンやら様々な生物が展示されている。


目玉の大水槽、サメやエイと一緒に泳いでいるのはイワシの大群。


相模湾の自然を模したというこの中で、リアルな食物連鎖が行われているのだろう。


仕掛けもアイデアもとても良い。それでも、やはり興味が沸かない。



アクアリウム・ショップ。


アシカのぬいぐるみにも、クラゲのマシュマロにも触手は伸びず、完全スルー。


  バリアフリーマップをつくる旅

最後、イルカのショー。


日頃、写メだけでは心もとなく感じていた撮影機材、


昨日、家の中から偶然発掘されたデジカメを持参。


何年も前に買いほぼ未使用のまま消息を絶っていた。


ちょうどいい機会なので練習に充てる。


イルカがジャンプするシーンと車椅子席とを一つのフレームに収めるのだ。


失敗を繰り返してきたあと、何度目かのシャッターチャンス、連写機能を駆使して、捉えた感触を得る。


あとは出来栄えが問題。


WEBサイトに掲載できる代物かどうか。



だが、、保存されてる画像、連写しまくったせいで膨大な量。


使い慣れないデジカメ、しかも同じような画ばかり。


再生の順番がどうなってるのか、OKテイクがどこに埋もれてるのか、皆目見当もつかない。


そうこうしてるうちに、ショーが終了。



観客が退場してる中、その場にとどまり、デジカメのデータをスクロールし続ける車椅子の男。


ひょっとして・・・、


人々の目には、イルカショーの余韻に浸ってる風に映ってるのだろうか。


  バリアフリーマップをつくる旅 色とりどりの機体が並ぶ駐機場。

その中の選ばれし一機がブリッジから切り離される。


ゆっくりとした足取りで誘導路のかなたへ消え去り、


今度はこちら向きになって、滑走路の奥に姿を現す。


呼吸を整えるため一瞬だけ静止し、


次の瞬間には加速を始める。


滑るような助走、ピークに達すると自然な踏み切りで宙に舞う。


自由な弧を描きながら吸い込まれてゆく先は高い空、雲の陰に隠れてしまうのを見届けてから展望デッキを後にする。



オフピークの成田空港。


チェックインカウンターの中にしても、搭乗ゲートに向かう乗客にしても、ターミナルの中はゆっくり時間が動いている。


バリアフリー調査にあわせて、今日はかねてから抱え続けてきた疑問の解決を試みる。


  バリアフリーマップをつくる旅  ― 車椅子ユーザーは単身で飛行機に乗れるのか?


国内・海外キャリア数社をピックアップ、カウンターへ赴き、


スタッフの方に聞いてみる。


結論から言うと、答えはYES。割に確信を持って。


何でも車椅子ユーザーの単身搭乗は日常的なことだという。



手順としては、


①チェックインは早めに済ませる。(航空会社や便によって出発の30分~1時間前)


②搭乗ゲート内で機内用の車椅子に乗り換える。(必要に応じてスタッフのサポートが受けられる)


③座席に乗り移る。(同上)


④到着したら③→②の逆の手順。


※LCCの手順は少し違ったり、いくつかの制約があったりする。


以上。



自前の車椅子は、ゲートから直接飛行機の格納庫へ運ばれるので、どっか別の便に紛れ込む事故はないという。


どこの航空会社も判で押したような回答、きっちり手順が定められてる分だけ安心感はある。


で、そういう話を聞くと、旅心がうずき出す。


だからと言って、調査のエリアを広げるという訳ではないけど。


  バリアフリーマップをつくる旅 堤防から溢れそうなほど嵩を湛えた大河。

いろんな濁りを飲み込んだ流れは、


万代橋を抜けると日本海へ吐き出される。



荒川にしても多摩川にしても、一丁前の川ならば


河川敷を持つことが常識になってる者にとって、


信濃川河口の、陸いきなり大量の水、の画は異様に映る。


しかも、穏やかではない流れ、その滔滔(とうとう)とした姿には畏怖の念すら抱く。



この旅、日本海は初めて。


非関東的な光景にちょいちょい出くわす街、新潟。


お洒落な格好して歩く若者達の傍らで行商の婆さんが農産物を売ってる古町のアーケード。


まだ海じゃなく川だっていうのにこんな大きい埠頭をこさえっちゃってる佐渡航路。


そんなあれやこれやを目にするにつけ、遠くへ来た感があって、旅の風情があっていとよろし。


バリアフリーとは一切関係ないけど。


  バリアフリーマップをつくる旅 で、本日のメインイベント。


日本海に沈む太陽ショー。


ただただ何も考えずにボーっと見送る。


すっかり沈んでしまった後も水平線の向こうだけ


ほのかに明るい。


その辺も含めてひたすらボーっと。



どのくらい経ったのか、闇が完全に支配したのを見届けて家路につく。


くねくねした関越道を走る車中、来たときより、少しだけ自分の中の濁りが落ちたような感じがする。