ポーランドを巡る 2つの課題 その2
もう一つは中銀総裁問題だ。 本日 10日をもって世界金融市場でも権威ある
中銀総裁として、その信頼が厚かったバルセロビッツ・ポーランド中銀総裁が、
任期満了で退任となる。 カチンスキー・ポーランド大統領は先週 3日、
スワブォミル・スクシペク (Mr. Slawomir Skrzypek 42歳 ) 現ポーランド国営
銀行の一つである PKO Bank Polski SA 総裁を次期ポーランド国立銀行総裁に
ノミネートした。
次期総裁就任に対し一昨日 3時間半に及ぶ議会証言が開催されたが、市場関係者の
評価がやや低く、さらに経験不足が随所に見られたこともあり、今後の政策運営に
不安感を残すことになった。
というのはバルセロビッツ総裁は典型的なタカ派総裁として知られ、政府の財政支出増を
常に警告。 また景気の過熱感から来るインフレを視野に置き、再三利上げを主張して
きた。 さらにポーランド金融市場の再編を視野に、外資導入で国営銀行の完全民営化を
掲げ、これに反対する政府と対等な論議を繰り返した。
ところが次期スクシペク新総裁は、カチンスキー首相・大統領両兄弟の肝入りで新大統領に
就任することになったことで、今後ポーランド中銀の金融政策運営が政府寄りになり、
思い切ったインフレ防止策が取れなくなる可能性を市場は懸念。 さらに財政支出に
対しても苦言を申す機会が減るのではとの観測も早々と出ており、経験不足も加え
今後の手腕は未知数との評価が多い。
スクシペク新総裁候補は月曜日の議会証言でも、「ポーランドの実質金利は欧州各諸国と
比べ 5割ほど高い」と述べており、昨年 7月に日刊紙に寄稿した記事では、「ポーランド
中銀の金融政策は厳格過ぎ、インフレ抑制に過剰過ぎる」とコメント。 さらに「中銀の
+ 2.5 % のインフレターゲットは理想的ではあるが、ポーランドのインフレはその半分
にも達していない」と、暗に中銀の政策金利が高過ぎると述べた経緯もある。
なお本日同氏の正式承認が議会で承認投票される予定。
これら新中銀総裁と原油輸入問題が絡み、ポーランド金融市場は年初から軟調な
地合いが続いている。
年明け早々10年ポーランド国債は 5.22 % から 5.06 % まで買われたものの、
スクシペク新総裁がノミネートされた途端 10 bp 強売られ、現在5.20 %前後で推移。
またズロチも年明け対ユーロで 2.850 で取引が開始されたが一気に売られ、昨日は
3.000 目前まで下落を演じている。
今後のスクシペク新総裁の行動と発言に、より注意が必要になってきそうだ。
米ドル/対 円 : 119.35円 + 0.55 2年債: 4.53 % + 0.6 bp
ズロチ/対 円 : 39.90円 - 0.100 10年債: 5.21 % + 1.3 bp
ズロチ/対米ドル: 2.9892 - 0.022 原油価格: $ 55.64 - 0.55
ズロチ/対ユーロ: 3.8850 - 0.020 金価格: $615.00 + 5.60
きしむ政治に金融市場も混乱。 蔵相辞任の噂も。
先週から性的スキャンダル (12月 8日のコメントを参照してください ) などで混乱中の
ポーランド政局、とうとう金融市場も意識をし始めたようだ。
木曜日夜から金曜日朝にかけて、新聞およびラジオ・メディアが、「ジロウスカ蔵相の辞任
観測記事」を報道。
ひとつは次期ポーランド中銀総裁就任のためとし、もうひとつの観測は汚染された政局に
嫌気がさしたためとした。
ジロウスカ蔵相はすぐに否定コメントを表明したものの、同蔵相に全面的な信頼を持つ
ポーランド金融市場は明らかに動揺。 朝からズロチは対ユーロで 3.820から 3.8350
まで一気に急落。 またポーランド国債も10年債 ( 5.25 % 10-2017) で寄り付き直後、
瞬く間に 40セントもの急落となった。
一方ポーランド各政党間では雇用のため性的要求を強要したとされる連立政権の
ひとつ、自衛党所属レッパー副総裁。 および類似行為を同一女性に強要し、「 私の
3歳の娘の父親はあなただ」と名指しされたリズウィンスキー自衛党議員
(土曜日に DNA鑑定が行われた模様 ) の処遇をめぐり、ニュースが錯綜。
第一与党である法と正義党の上級幹部は、「現在入っている調査でクロの判断が出る
のであれば、しかるべき方法で対処するしかない」と、解散早期選挙を匂わせたものの、
これも後に否定。
さらに野党第一党の 市民プラットホーム党が、「全ての問題をクリアするために解散
総選挙をするべきだ」と持ちかけたが、今は調査を先行させるべきであると法と正義党は
拒絶している。
これら与党にはびこる一連の問題に対しカチンスキー首相は土曜日、「スキャンダル
続きの内閣の改造を計画している」と示唆。 ワルシャワ市長選で敗れたマルキン
キウェィツ前首相の閣議復帰もあり、近日中に何らかの発表が行われるという。
さらに日曜日に今度はカチンスキー大統領が、「今週発表する予定だったバルセロビッツ・
ポーランド国立銀行総裁の後任人事は、クリスマス前に延期する」と会見。 これも短期
的に市場にとって小さなネガティブ要因に働くかもしれない。
ポーランド金融市場は、政治ニュースからのゆさ振りがかかり、終日不安定。 為替は
引けにかけて戻したものの債券市場は朝方の安値から戻す局面も無く、そのまま引けた。
10年ポーランド国債は前日比約 5.5 bp の利回り上昇と、最近にしては珍しくかなりの
下げとなっている。
なおポーランド中銀理事の一人である、ピエトレウェィツ氏は、「 インフレはすでに
アンダー・コントロールにあり、2007年にインフレに繋がるような兆候は見当たらない。
中銀は利上げも利下げもする必要はない」とコメントしている。
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再度不安定要素が拡大してきているポーランドの政局
ポーランドの政局がまた荒れ始めている。 連立政権を組む
* 法と正義党 (PiS) 153議席、
* 自衛党 (Self-Deffence / Samoobrona) 47議席、
* ポーランド家族同盟 (League of Polish Families) 29議席、
合計 229議席の連立与党 (下院総議席数は 460議席)内で、ワルシャワ
市長選での敗北、および性的スキャンダルが数日前から浮上し、ポーランド政治に対する
国民の不満が増加し始めているという。 金融市場では社会主義国などにしばしば
発生する問題として大きく取り上げていないこと、また経済・金融市場とは別問題と解釈
していることなどもあり、為替や金利にこれら問題が波及している様子は少ないが、
今後ポーランドの政局の不安定要素になる可能性も秘めている。
まず 11月 27日に行われたワルシャワ市市長選挙。 この選挙には 与党である「法と
正義党」からマルキンキェウィツ元首相、野党「市民プラットホーム党」から、
グルンキェビッチ・バルツ女史議員 (前ポーランド中銀理事、ポーランドで最も有名な
議員の一人に数え上げられている) が立候補した。
当初 11月 13日に第一回選挙が実施され、マルキンキェウィツ元首相が僅差で勝利
したものの両者の獲得総数が接近していたため 11月 27日に決選投票となった。
結果今度は、グルンキェビッチ・バルツ女史議員の得票数が上回り、ワルシャワ市長選に
当選となる大波乱の選挙であった。
「市民プラットホーム党」は野党第一党であり、その議席数は「法と正義」の 153議席を
若干下回る 129議席。 また地方都市に強い法と正義に対して、「市民プラットホーム」
は都市部に強く、12月 7日に実施されたオピニオン・ポールでも 34 vs 23 と与党
「法と正義」を大きく引き離している。
このため今回のワルシャワ市長選はまさに国民投票に近い色合いとなり、法と正義の
支持率凋落が見事に証明された形となった。
この選挙後、「法と正義」、「自衛」、「ポーランド家族同盟」の各上級議員が、ワルシャワ
市長室でかなり激しい口論を繰り返したといい、ポーランド現連立政権に亀裂が生じて
いると各メディアが述べている。
もうひとつは性的スキャンダル。 連立政権のひとつ 「自衛党」のレッパー党首、現在
連立政権の副首相であり農務相も兼務しているが、レッパー副首相に対し ある
シングル・マザーが5年前に性的虐待を受けたとして訴えを起こした。 経緯は当時無職
であったこの女性に対し、「自衛党」の事務所で雇用する代わりとして、性的関係を持つ
よう強制したという。 またこの女性は、当時お金が無かったのでそれに合意したと新聞
記事は述べている。 さらにこの女性は同じく自衛党のリズウィンスキー議員からも
同様の要求を突きつけられ妊娠。 それが同議員の子供であると主張し、大きな問題へと
発展してきているようだ。
カチンスキー首相 (法と正義) は 前左翼政権が汚職とスキャンダルの蔓延で腐敗して
いたことを考慮。 一年前に「モラル革命 moral revolution」 を掲げ節度ある議会
および議員の運営を目指していたが、意外なところに落とし穴があったようだ。
同首相はレッパー議員と会談、「この件に関し事情聴取をしたが、全面否定の答えしか
返ってこなかった」とし、今週月曜日から行われている同国 法務調査局の査察でその
証拠が見つかるのであれば、レッパー議員の職を解くと述べている。
仮にレッパー副首相が辞任した場合、現連立政権の支持はますます弱体化すると見る
向きもあるが、その調査結果の内容により、議員に留まる可能性も高い。
また「自衛党」も今回の件で連立政権から脱退する可能性も不透明で、成り行きが注目
されている。 なお自衛党は 2007年度の予算編成に際し、多額の財政支出を要求。
これが認められなかったことで今年 9月に一旦連立政権を離脱したものの、再度政権入り
した経緯がある。
現在でも下院議席の過半数に 2議席足りない連立政権 (下院議席総数460議席に
対して 229議席) 、今後も苦悩が続きそうだ。
昨日のポーランド金融市場、特にニュースも無く市場関係者は欧州中銀の利上げに
終日目が行き、小動き閑散の中引けを迎えている。 2年債利回りは 4.64 % - 1.3 bp、
10年債は 5.077 %で前日比変わらず。
ECBの利上げが実施 ( 3.5 % + 25 bp ) されてもしっかりとした動きだ。
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米ドル/対 円 : 115.20円 - 0.05 2年債: 4.61 % - 1.3 bp
ズロチ/対 円 : 40.10円 - 0.100 10年債: 5.08 % + 0.3 bp
ズロチ/対米ドル: 2.8750 - 0.008 原油価格: $ 62.49 + 0.30
ズロチ/対ユーロ: 3.8205 - 0.012 金価格: $637.60 + 1.10
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欧州中央銀行、改めてポーランドの財政赤字を警告
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昨日欧州委員会と欧州中央銀行は、共同で新通貨統合メンバー国に対する
報告書を公表。 それによると、キプロスとマルタは通貨統合条件をクリアしている
とし、 2008年にユーロ導入が可能と示唆。 しかしながらポーランド、ハンガリーおよび
チェコは依然財政赤字幅が大きいと警告、一層の自助努力を求める文言を盛り
込んでいる。
欧州中銀はハンガリーに対し、欧州加盟 25か国中最大の財政赤字を記録しており、
より厳格な財政規律を望むとし、通貨統合基準条件に適合している箇所はひとつも
無いと厳しい判断を示した。
また東欧諸国最大のポーランドに対しては、低インフレ、長期金利の安定を評価しな
がらも、財政赤字幅は依然大きくズロチも振られやすい。 さらに中央銀行の完全
独立がなされておらず、ポーランド政府はなお通貨統合時期の具体的年限を示して
いないと、残る課題を早急に改善するよう求めている。
その欧州中央銀行から完全独立を指摘されたポーランド中央銀行、来年 1月 10日で
任期満了となるバルセロウィッツ・ポーランド中銀総裁の後任人事を、カチンスキー首相は
今週にも発表すると国内日刊紙が伝えている。 現在のノミネート候補として、
* Urszula Grzelonska, (女性) ワルソー経済大学 大学院教授
* Stanislaw Kluza ポーランド財務委員会 委員長
* Wojciech Kurylek Bank Gospodarstwa Krajowego 上級取締役
の 3人の名前が挙がっているが、市場の一部ではジロウスカ蔵相の噂も消えて
いないようだ。
昨日のポーランド・ハンガリー金融市場は両国通貨・債券とも小動き横ばいながら、
終日堅調推移で引けを迎えている。
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米ドル/対 円 : 114.95円 - 0.45 2年債: 4.64 % - 0.9 bp
ズロチ/対 円 : 40.18円 - 0.190 10年債: 5.09 % - 0.9 bp
ズロチ/対米ドル: 2.8610 + 0.002 原油価格: $ 62.43 - 0.01
ズロチ/対ユーロ: 3.8085 + 0.002 金価格: $647.90 - 3.00
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国力が好転しているポーランド・ハンガリー金利はジリジリ低下。
中南米を中心として、新興国金融市場に再び注目が集まり、東欧ではポーランドと
ハンガリーの金融市場の改善が著しい。 10年ポーランド国債は 11月 23日に
5.28 % をつけたあと、7営業日連続して買われ、昨日は 5.13 %。 10年ハンガリー
国債も同 11月 23日に 6.94 % で取引が終わった後、小幅の中堅調推移。
昨日は 6.92 % であるが、つい 2ヶ月前の 10月 01日には 7.77 % であり、
わずか 40営業日で、 80 bp もの利回り低下という驚異的な推移を示している。
最近のポーランド金融市場、改めての評価が出始めている。
* 欧州諸国で最も低い 1.2 % のインフレ率、
* 5.0 % を超える経済成長率、
* 1998年以来最速の設備投資成長、
* 低い経常赤字、
* 中銀の利上げが来年第 1四半期後半から第 2四半期にずれ込むとの観測
など、好ニュースを背景に再評価が集まり始めたようだ。 ズロチは対ドルで 10年来の
高値を記録。 また対円では 37~ 38円の繰り返し推移となっていたが、最近円高
傾向となっているにもかかわらず、11月 29日に40.0円台に入ってからこのレンジを
キープし売られていない。 株式市場も史上最高値を記録していることなど、ポーランド
の健全成長を物語っているようだ。
昨日ジロウスカ・ポーランド蔵相は新聞記者とのインタビューにおいて、「ポーランドは
2007年から 2013年の期間において 5.0 % 前後の成長を遂げる。 またズロチは対
ユーロで年末 3.80でフィニッシュ、 2007年は 3.70 間で上昇するであろう (昨日は
3.8115) 」と語り、改めて東欧諸国一経済環境の進んだポーランドの底堅い将来を
示している。
ジロウスカ蔵相には再び噂が上がっている。 バルセロビッツ・ポーランド中銀総裁が
来年 1月で任期満了により退任となる。 ところが後任人事が遅れており、未だ
決まらず。 一方政治関係では、マルキンウェイツ前首相が近々閣議に復帰するという。
このため一部関係者の間で、ジロウスカ現蔵相が一時的に同国中銀総裁に就任する
という観測があるようだ。
ポーランド金融市場のジロウスカ蔵相に対する評価は決して悪くない。 過去秘密
警察へのスパイ容疑で一時的に政権から外れていたが、これまで支出削減を敢行し
ポーランドの財政を好転させたこと。 さらにその時期こそ示していないものの、「ポーランド
はユーロ導入をするべきである」とし、その導入においては
「国民投票で民意を問うべきだ」と、経済保護政策派の多い同国閣僚の中においても
リベラルな意見を持っている。
さらにポーランドには先週末良いニュースが出ている。 1994年ロンドン・クレジッター・
クラブがポーランドのために発行したブレディ・ボンドの一部 USD 588 mil を買入
消却している。これも対外債務圧縮に動く同国の政策実行の現われとなっているようだ。
ポーランド政府は今週水曜日 (12/06)に 2年債 38億フォリントの入札を実施する。
発行上限額である 40億フォリントに近い大型発行であり、金融市場環境が好転
した中、どれくらいの倍率を集めるのか、非常に注目が集まっているという。
昨日のポーランド債券市場、2年債は 1.5 bp、 10年債は 3.5 bp 利回り低下。
ズロチはほぼ横ばいで引けている。
米ドル/対 円 : 115.40円 + 0.20 2年債: 4.65 % - 1.4 bp
ズロチ/対 円 : 40.37円 - 0.060 10年債: 5.10 % - 3.5 bp
ズロチ/対米ドル: 2.8585 + 0.009 原油価格: $ 63.43 + 0.30
ズロチ/対ユーロ: 3.8110 - 0.005 金価格: $650.60 - 2.30
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ポーランド中銀、政策金利変更なし。 これで9ヶ月間 4.0 % に据え置き ①
市場予測どおりではあったが、ポーランド中銀は昨日定例理事会を開き、政策金利である
7日間の基準金利を 4.0 % に据え置くことを決定した。 これで 3月 1日に 4.25 %
から現行の 4.00 % に利下げを決定して以来、9ヶ月間連続の政策金利据え置きと
なる。
ポーランド中銀の一部理事は、「10月の CPI + 1.2 % が示すように、中銀のターゲット
である + 2.5 % をはるかに下回る現状であり、ポーランドのインフレはアンダー・シュート
している」とも述べている。
ポーランドの経済環境 は2004年に欧州連合に加盟して以来 輸出が伸び高水準の
経済成長を遂げているものの、失業率が次第に低下しているといえど、なお二ケタ台
( 10月 14.9 % )。 この影響で家計消費が低迷しているため、内需に盛り上がりを
欠いていること。 また2004年当時と比べズロチは対ユーロで 20 % 高くなっている
ことで、インフレが低水準推移となっている。
10月 CPI + 1.2 % (YY) も、ズロチ高による輸入物価の値下がりと、原油価格が前月比
5.0 %、年率 6.2 %下落したことが大きく寄与した。
結果ポーランド中銀は 10月の CPIから判断するに、第 4四半期のインフレの伸び
率は、当初計画を下回ると公表している。 ただいつもの定例句となるが同中銀は、
「インフレに対する中期見通しを変更する予定はない」と、あくまで将来に対する警戒感を
解いていない。
ちなみに先月公表になったインフレ報告書では、「景気活性化による国内需要の増大で、
ポーランドのインフレは今年末にかけて上昇し、来年第 1四半期には中銀ターゲットで
ある + 2.5 % を超えてくるであろう」としている。
先週ポーランド政府が発表した同国第 3四半期の全投資は + 19.8 % と大きな伸びと
なり、第 3四半期の GDPは+ 5.5 % 前後になると見積もられている。
同様にバルセロビッツ・ポーランド中銀総裁は、「今年全体のポーランドの経済成長率は、
政府予測の + 5.0 % を超え、 + 5.5 % にまで達する勢いだ。 また来年も 5.0 %
の成長を遂げよう 」と述べ、経済成長から来る需要増、それに伴うインフレに注視する
ことを示している。
ポーランド中銀、政策金利変更なし。 これで9ヶ月間 4.0 % に据え置き ②
一方ポーランド政府は昨日、新たに財政赤字削減公約を発表。
Jカチンスキー首相は、「年金改革コストを含めた財政赤字の削減を閣議で承認し、
今後それに向けて財政を立て直す」とし、「西側諸国に追いつくためにも、通貨統合
参加を達成しなければならない」と演説した。
またジロウスカ蔵相も、「財政赤字を削減し、ユーロ導入基準である対 GDP比 3.0 %
以下を達成し、3年以内に条件適合を出来るように計画する」と発表。 下記数値の
ように、昨年の計画が修正され、高度成長が続く中、一層の歳出削減で通貨基準適合を
達成。 2009年には同国財政赤字を対 GDP比で 2.9 %に収めるプランとなっている。
. 2006 2007 2008 2009
Budget deficit (pct of GDP)
2006 update 3.9 3.4 3.1 2.9
2005 update 4.6 4.1 3.7 n/a
Govt gross debt pct/GDP
2006 update 48.9 50.0 50.3 50.2
2005 update 51.2 52.1 52.6 n/a
Real GDP growth
2006 update 5.4 5.1 5.1 5.6
2005 update 4.3 4.6 5.0 n/a
HICP inflation (annual avg)
2006 update 1.4 2.1 2.5 2.5
2005 update 1.5 2.2 2.5 n/a
ただそこにはいくつかの課題が残っている。 当初ポーランドは 2007年に通貨統合
基準を達成する計画を立てていたのであるが、高失業率などで財政支出の削減を思う
ように出来なかった経緯がある。 今回閣議が承認した計画において 2009年に基準
達成としているが、正式な通貨統合年を表明していないことだ。 市場では早くて
2011年、計画がずれ込めば 2015年になるのではとの観測も根強い。
また今回の財政赤字削減の承認において、具体的な削減案が何も出なかったことで
ある。 現在与党である法と正義党は議会で過半数の議席を持っておらず、連立政権を
組む身であり、大胆な年金改革や労働市場整備、税制改革などの立案は非常に厳しい
現実がある。
さらに今後の同国成長率の見通しにかなりの楽観的な数値があり、2009年の GDP は
なんと + 5.6 %になっている。 同様に市場では、「かなり きらびやかな数字だ」との
見通しも多く、バルセロビッツ総裁も、「希望的観測のような数値を受け入れることは
出来ない (もし現実的になるのであれば、インフレ経済となる)。 大胆な構造改革を
伴わなければ、多くのリスクを含んだ成長となろう」と、政府見通しに警告を与えている。
昨日のポーランド金融市場は閣議承認とはいえ一歩前進した今後の財政赤字削減
計画を評価。 さらに金融政策の据え置きや中銀のややハト派的ステートメントも
好材料となり、ズロチは対ドル、ユーロとも反発。
債券市場も様子見症状の中短期債は軟調であったが、長期債は買われ、2年 vs
10年債のイールド・カーブは約 5.0 bp フラット化して終了。
次のポーランド中銀定例理事会はクリスマス前の 12月 19-20日に予定されているが、
恐らく再び金融政策は据え置かれるものと思われる。
米ドル/対 円 : 116.45円 + 0.40 2年債: 4.68 % + 4.0 bp
ズロチ/対 円 : 40.08円 + 0.08 10年債: 5.18 % - 0.4 bp
ズロチ/対米ドル: 2.9045 + 0.001 原油価格: $ 62.46 + 1.47
ズロチ/対ユーロ: 3.8190 + 0.012 金価格: $641.80 - 1.90
原油価格:
米国エネルギー情報局が発表した週間在庫統計で、同国備蓄が前週末比 30万
バレル減となり市場予測を下回ったこと。 また今週末から米国北東部に寒波が
押し寄せるとの気象予報が、需要増を招くとの観測で原油価格の上昇を招いた。
欧州蔵相会合、ポーランドの財政赤字一層の削減を勧告
.
ブラッセルで開催された欧州蔵相会議、欧州連合各国の経済・財政内容が討議され、
その内容が公表されたが、同会議はポーランドに対して財政赤字削減を改めて警告。
今後の財政赤字と累積債務に一段の改善を求めた。
報告書 (議長国フィンランド) によればポーランドは 2004-2006年の財政ポジションは
高水準の経済成長とともに改善を示したが、2007年の同国財政赤字は統合基準である
対 GDP比 3.0 % の枠を下回らないとしている。
欧州委員会の試算によるとポーランドの財政赤字は対 GDP比で昨年が + 2.5 %、
今年が + 2.2 %まで低下するとしているが、これは年金改革に伴う費用を除いた
数値であり、来年からポーランドはこの赤字相当分の除外が適用されなくなる。 この
コストが対 GDPで約 + 2.0 % 相当額になり、現行発表されている同国の財政赤字に
それを加えると今年が + 4.2 %、2007年 + 4.0 %、2008年は + 3.9 % と統合基準の
+ 3.0 % を超えることになるとしている。
欧州経済・通貨関係委員会はポーランドに対して新たに、同国財政赤字を通貨統合
適用基準以下に抑えるとする書簡を送り、同国の追加財政赤字削減案の提出を求める
予定である。
昨日のポーランド金融市場は様子見症状が強く、小動きの中終日堅調推移。 米国
10月耐久消費財受注が – 8.3 % と、2000年 7月以来最大の落ち込みを示した
ことで、米国・欧州債とも上昇に転じたこと。
また昨日・本日とポーランド中銀 定例理事会が開催されているが、今月は 10月の
CPI が + 1.2 % と再び低水準になったことから「政策変更なし」との見方が支配的と
なったことで、同国金利も断続的な買いを集めイールド・カーブ全体に 3.0 bp 前後
利回りを落として引けている。
なおポーランド中銀の政策決定の討議結果は、本日発表される。
またズロチは最近異常に強まっているユーロに対しては弱含み推移となったものの、
対ドルでは買いが先行。 ドイツ連銀が年次報告書の中で、「米国経常赤字が最高水準
にあることなどで、ドルが急落する恐れがある」と述べていたことが、ドルの前面売りに
繋がったようだ。
なお昨日世界経済協力開発機構 (OECD) は東欧各国の経済見通し報告書を公表。
同報告書によると、ポーランドおよびスロバキア中銀はインフレを中銀ターゲット内に
収めるために政策金利を引き上げるであろうと予測しながらも、両国およびチェコの
経済は非常に顕著な成長を遂げており、特にスロバキアの経済成長派は今年および
来年とも 8.0 % 前後となるであろうと賞賛している。
一の方ハンガリーは健全財政を追行するため、一層の財政支出削減に努めなければ
ならないとし、財政赤字削減のために実施した一連の増税と公共料金の引き上げが
家計部門を直撃し、ハンガリー景気は今後鈍化すると予想している。
さらにもう一段の財政赤字削減のために永続的な支出削減が必要とし、早急な構造
改革の実施を求めている。
同機構による東欧各国の経済見通しは、
ポーランド:
今年の経済成長率は + 5.1 % となり、2007年までこの水準を維持し、欧州域内最高の
失業率を低下の方向へと導くであろう。 継続的な力のある投資と輸出が、2007-8年の
高水準の成長率を支えよう。
ただインフレは今年の + 1.4 % から 2008年には + 2.3 % へと景気の成長とともに
上昇することになろう。 このため中銀の金融引き締めを適切な操作に調整するため、
政府による賃金上昇幅は節度ある水準で決定しなければならない、としている。
ハンガリー:
ハンガリー経済成長は今年 4.0 %、来年は + 2.2 % へと鈍化しよう。 なおハンガリー
とチェコは当初目標であった2010年の通貨統合に対しての条件達成が困難であり、
今後 10年間に再操作よって財政支出の削減を講じなければならない。 ハンガリーは
引き続き輸出が大きく拡大するが、春先の選挙後から実施された財政改革 (増税など)
により国内需要は鈍化し、2007-8年の成長は計画を下回ることになろう。
ジュルチャーニ首相の財政赤字削減策実施により赤字拡大に歯止めがかかり始めた
ものの、欧州域内諸国で最も財政バランスが悪化している。 ハンガリーは2001年から
毎年財源不足となり、目標を達成出来ていない。 これは同国が 2010年に通貨統合に
参加することに対し政府が無策のであった結果であり、現行のプログラムも参加ターゲット
が無いに等しい、とハンガリーとチェコの財政問題を指摘している。
米ドル/対 円 : 116.05円 + 0.05 2年債: 4.64 % - 3.0 bp
ズロチ/対 円 : 40.00円 + 0.15 10年債: 5.19 % - 3.0 bp
ズロチ/対米ドル: 2.9035 + 0.008 原油価格: $ 60.99 + 0.67
ズロチ/対ユーロ: 3.8315 - 0.005 金価格: $643.70 - 3.40
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大活況。 東欧通貨は今後強まる予測が目立ち始める
先週に引き続き、東欧金融市場は活況を呈している。 ハンガリー政府発表のデータに
よると、非居住者のハンガリー国債保有残高は、先週木曜日が 2兆 9,190億フォリント
( 約 1兆 7,200億円 )、金曜日は若干減少し、2兆 9,080億フォリントとなったが、
それでも有史来最高額の水準を維持している。
月曜日ハンガリー国立銀行は金融政策を据え置き今後の利上げの可能性も示唆したが、
会議後に出されたステートメントの内容が、景気は後退する反面 増税などによる財政赤字
縮小予測が述べてあったことなどを市場は評価。 連日のフォリントと債券買いで大賑わい。
ハンガリー債券はイールド・カーブ全体に大きく買われ、短期債は 18 bp、10年債は 24 bpも
利回りを落とすという 今年最高のパフォーマンスを演じた。
またポーランドも目先明るい見通しが出ている。 5.0 % を超える経済成長に対し低インフレ
(+ 1.2 %) が続いていることが金利低下を伴っていることも含め、これから年末にかけて
ズロチの買いが一段と進むと為替市場は予測。
2004年に欧州連合に加盟したポーランドは欧州域内に休職を求めることが容易になり、
国内低賃金と限られた雇用場所に嫌気したポーランド人の海外流出が止まらず。 その数は
ポーランド経済の空洞化を招く危険水域近くにまで達しており、50万人強のポーランド人が
国外で働いているという。 これは非熟練労働者のみならず、博士号取得ポーランド人の
10人に一人は海外に流出しており、英国では年間 5万人を超す労働者が流入しているという。
これら海外移住の労働者がクリスマスに向けて一斉に母国に仕送りを開始すると見られて
おり、今後ズロチ買いに拍車がかかるとする観測も多い。
ある程度政治・経済問題が一巡した各東欧諸国の金融市場、当面しっかりとした展開が続く
可能性が高いかもしれない。
米ドル/対 円 : 117.85円 - 0.20 2年債: 4.66 % - 1.5 bp
ズロチ/対 円 : 39.82円 + 0.02 10年債: 5.21 % + 1.4 bp
ズロチ/対米ドル: 2.9595 + 0.006 原油価格: $ 60.17 + 1.37
ズロチ/対ユーロ: 3.8011 + 0.004 金価格: $628.70 + 6.60
原油価格はアラスカの悪天候で積み出しに遅延が生じる可能性があることと、北海で製油
機器のガス漏れが生じ、一部操業停止になったことが大幅上昇の要因。
また金価格はファンドのプラチナ買いでチューリッヒで過去最高値をつけ、年初来 24 %
上昇したことによる連れ高と原油高が上昇要因となっており、11月 9日以来最大の
上昇を記録した。
鉱工業生産連続の 2ケタ台成長、 PPI は低下。 連銀理事は利上げ示唆
週明け 20日に発表になったポーランドの各経済指標、
前月比 前年比 前月比 前年比
10月 鉱工業生産 + 4.1 % + 14.6 % ( 9月 + 9.2 % + 11.6 % )
10月 P. P. I. – 0.3 % + 3.4 % ( 9月 unch + 3.6 % )
10月鉱工業生産は前月比衰えたとはいえ未だ 2ケタ台成長が続き、年率換算では
+ 14.6 % と前月の + 11.6 % から上昇。 これで今年 5月に + 19.1 %
(4月 + 5.7 %) を記録してから 6ヶ月連続の 2桁成長となっている。 この高度
成長を支えているのが、建設・自動車および電子機器産業であり、この水準から想像
するに第 4四半期の動向成長率は + 5.0 % 超えを記録するような猛烈な勢いと
なっている。
一方インフレ指標となる生産者物価指数 (PPI) は前月比 – 0.3 % と、原油価格の
下落が寄与。 低 インフレの中高度成長が現在進行形となっている。
なお鉱工業生産の市場予測は + 13.7 %、PPIは + 3.4 % であったため、鉱工業
生産の大幅伸びに金融市場は一瞬揺さぶりが出たが、その後落ち着いた動きに
終始した。
また今回の PPIおよび鉱工業生産の伸びに対し同国財務省は、「2006年全体の
ポーランドの成長率はインフレを伴わず、+ 5.4 % となろう」とコメント。 同省の
過去最新見通しでは + 5.2 % であったため、再びその見通しを引き上げたことになる。
さらに IMFは月曜日、ポーランドの今年の成長率は + 5.0 %、来年も 5.0 %
以上の成長が続くと予測し、10月に最も成長した部門は建設部門の + 29 %、
製造業部門の + 17 % であり、住宅融資の伸びと企業設備投資の伸びが顕著で
あったと述べた。 またこの伸びに対する価格上昇は建設費用および資材価格が
年率で + 4.0 %、製造業価格は、原油価格の下落とズロチ高および世界的製品
価格の競争によってむしろ下落しているとし、2004年にポーランドが欧州連合に
加盟して以来、国内市場は価格競争力が付いてきたと分析している。
また PPIを見る限り、インフレの兆候は現れていないとし、来年第 1四半期まで
利上げの必要性はないと述べている。
ただ IMFは同国が 2009年 (ポーランド政府が目標としている通貨統合年) までに
通貨統合基準である対 GDP比 3.0 % の以下の財政赤字達成に届かないと
みており、政府の財政赤字見通しは非常に楽観的であり、もう一段の財源不足の
解消手段を採るべきであるとしている。 またインフレが徐々に芽生える傾向に
あり、今後 6ヵ月後には + 2.5 %にまで達するであろうと予測。 同国は貯蓄率が
低く、また更なる海外からの投資資金呼び込みが必要と今後の課題を述べた。
さらにポーランド中銀理事の発言が相次いだ。
スラウィンスキーNBP理事は、「ポーランドの経済回復とともにインフレ圧力は同国
中銀の低水準である + 2.5 % のインフレ・ターゲットを超えようとする圧力に
さらされている。 中期的観点から見ると、インフレを安定的に保つために金融
引き締めが必要になろう」とし、
ワシレウスカ-トレンクナー理事は、「物価上昇圧力が増加しつつある。 ただ
利上げを必要とするほどか否かは判断に苦しむ。第 3四半期はその兆候が
なかったようだ。 原油価格の下落によって 10月のCPI は + 1.2 % と
ターゲットである + 2.5 % を下回っている。 しかしながら 2008年の中銀 3ヵ年
計画のゴールに対して、金融引き締めは必要となってくるであろう」と述べ、
バルセロビッツ NPB総裁は、「金融政策担当者は、物価上昇圧力が芽生え
始めていることを見過ごしてはならない。 これを放置すると来年にはターゲットで
ある + 2.5 % に近づき、やがてそれを上回ることになろう」と、いずれも将来の
金融引き締めを説いている。
ポーランド金融市場は欧州および米国債券市場が小動きだったこともあり、
短長期債とも小安いながらほぼ横ばいで一日を終えている。
米ドル/対 円 : 118.05円 + 0.30 2年債: 4.67 % + 1.5 bp
ズロチ/対 円 : 39.80円 + 0.005 10年債: 5.20 % + 0.8 bp
ズロチ/対米ドル: 2.9660 - 0.003 原油価格: $ 58.80 - 0.17
ズロチ/対ユーロ: 3.8015 - 0.001 金価格: $622.10 - 0.40