ポーランド連立政権、夏休み明けまで維持の方向へ
先週ポーランド与党第 1党である法と正義党のカチンスキー首相は、と連立政権を組む自衛党
およびポーランド家族同盟との意見対立を元に、解散・総選挙を国営ラジオで表明。その後
3党の最終会談が今週月曜日に開かれたが、早期総選挙に難色を示す自衛および家族同盟の
賛同が得られず、結局夏休み明けとなる 8月 22日に再び協議をすることになった。
ヤロスワフ・カチンスキー首相は昨日ラジオにて再び発言。 「 我々は忍耐強く協議を重ねている
ものの、両党の公務員や農民に対する賃金引上げ要求が強く、限界に来ている。 その修復は
ほとんど出来ないであろう。 ポーランドは恐らく来年春に総選挙が行われると思う 」 と語り、
当面は連立政権を維持するものの、早期総選挙実施は避けられない旨を表明している。
また双子の兄弟であるレフ・カチンスキー大統領は新聞のインタビューに対し、「 仮に解散総選挙と
なった場合、今年の 9月あるいは 11月、もしくは来年春の 3つの選択肢があろう 」 とし、
「2011年下半期にポーランドは欧州議長国となるため、4年毎の総選挙がこれに重ならないよう
2012年に総選挙が実施されるとして逆算すれば、来年春が望ましい 」 と述べている。
いずれにせよ今月後半まで連立政権が維持されることになりそうなので、当面の政治的な混乱は
避けられそうだ。
一方ポーランド金融市場ではノガ・ポーランド国立銀行理事が発言。 「現在の引き締めサイクルは、
恐らく現行の経済成長のスピードが減速する2008年 年央まで続くであろう。 政策金利は
5.5 % (現行 4.5 %) にまで上昇する可能性がある」とし、「現在の低インフレに対し危険が
迫っており、段階的な引き締め措置を採らなければならない。 我々のインフレ・ターゲットは
+ 1.5 % ~ + 3.5 % のレンジで考えるのではなく、あくまでも + 2.5 % である。 ポーランドの
インフレは、いずれこの + 2.5 % を上回っていくであろう」と、今後のインフレ上昇を制御するために
金融引き締めを継続するとしている。
また同氏はユーロ導入に関し、「参加は早ければ早いほど良い。 ただ政府のスタンスに
変わりはないこともあり、ERM-2への加盟は恐らく 2010年になるであろう」と述べ、ユーロ導入は
早くても 2012年になることを示唆している。 また同国 GDPについて、「第 2四半期の
GDPは + 6.2 %、今年全体で + 6.4 % の成長が見込まれる。 また 2008年は + 6.0 % と
若干低下する見通しを持っており、インフレリスクは約一年間で終焉するであろう」と述べている。
米 ド ル/対 円: 118.40円 - 0.75 02年国債: 5.17 % + 0.7 bp
ズ ロ チ/対 円: 42.66円 - 0.50 10年国債: 5.60 % - 0.8 bp
米 ド ル/ズ ロ チ: PLN 2.7750 - 0.014 原油価格: $ 78.21 + 1.38ドル
ユ ー ロ/ズ ロ チ: PLN 3.7930 - 0.012 金価格: $679.30 + 2.70ドル
ポーランド議会、解散 総選挙へ 連立政権修復ならず
今月に入り与党 3党のあいだで確執が続いていたポーランド連立政権は、修復が困難となり
来月解散、9月に総選挙となる可能性が高まった。
与党第 1党である法と正義党のヤロスワフ・カチンスキー首相は、与党第 2党である自衛党の
レッパー党首を副首相・農務相の職から解任。 その後自衛党は与党第 3党であるポーランド
家族同盟と会談を持ち、新党結成を働きかけ連立政権維持を計っていた。 この動きに対し
カチンスキー首相は、連立政権に留まるのであれば、法と正義党が出す政策に対し全面協力と
忠誠を求める書簡を送付。 しかしながら自衛党とポーランド家族同盟は、概ねそれを受け入れた
ものの公務員や農民に対する年金増額を逆に要求し、今週水曜日に再び対立。
修復の糸は絡まり、ついに決定的な結果を招く形となってしまったようだ。
昨日夜 カチンスキー首相は国営ラジオに出演し、「ポーランド議会は夏休み明けの 8月 22日に
解散、9月 30日に総選挙を行う」と述べている。
ただこれは正式な発表ではなく、同首相の決断を述べたものに留まっている。 というのは
7月 22日、フランス・グルノーブル近郊で、バスが川辺に転落。 この事故でポーランドの巡礼者
26名が死亡。 24名が負傷する惨事が起きたことでポーランド国内が哀悼の中にいる最中。
国民の目が政治に向いていないこともあり、カチンスキー首相は、議会解散の正式な意思表明を、
明日金曜日に発表すると述べている。
本来与党 3党のあいだでは、次の選挙は 2009年以降に行う合意を取り付けていた。 また国内に
過半数を占める政党もなく、さらに国民の支持率は、野党第 1党である市民プラットホームが高く、
現与党第 1党の法と正義党はその後塵を拝している。 このため仮に解散総選挙となった場合、
再び政権を奪還する可能性に不透明な部分があり、市民プラットフォーム (企業寄り) に取って
替わる可能性も高い。 また人気度が薄い自衛党とポーランド家族同盟には致命傷にもなり兼ねず、
カチンスキー首相は一種の危険な賭けに出た雰囲気をも かもし出しているようだ。
- to be continued -
ポーランド政策決定会合、4.50 % の基準金利を据え置き
上から ↓
一方金融市場では、昨日ポーランド国立銀行 定例政策決定会合が開かれた。 各金融当局者の
討議の結果、市場の予測どおりポーランドの政策金利は 4.5 % で据え置きとなった。
会議終了後に発表となったステートメントでは、「今年 2回の金融引き締め策が実施されたにも
かかわらず、賃金とインフレ上昇圧力の可能性が依然残っている。 しかしながら同国インフレは
中期的観点から見ると、ポーランド国立銀行のインフレ・ターゲット・ミッド・レンジである + 2.5 % を
下回るであろう」と述べられている。
ただ市場関係者の一部では、「大幅な賃金上昇と生産性のバランスに歪が見えつつあり、
インフレは払拭されていない。 早ければ 8月の政策決定会合で再度利上げが実施されるで
あろう」 との観測を早々とマーケットに流している。
昨日のポーランド金融市場、ズロチは利上げが見送られたことで、政策決定会合終了時から
ユーロに対し徐々に軟調。 欧州引けは 2.770 ワン・タッチと、ほぼ安値で引けている。
ただポーランド債券市場は金利が据え置かれたこと、欧州債券市場全体がしっかりしていた
こともあり、短期債で約 1.0 bp、10年債利回りで 2.5 bp 金利低下となった。
なお上記議会解散のニュースはマーケットの引け後であったため、影響はほとんど出ていない。
米 ド ル/対 円: 120.50円 + 0.35 02年国債: 5.13 % - 0.8 bp
ズ ロ チ/対 円: 43.60円 - 0.20 10年国債: 5.55 % - 2.5 bp
米 ド ル/ズ ロ チ: PLN 2.7615 - 0.018 原油価格: $ 75.88 + 2.32ドル
ユ ー ロ/ズ ロ チ: PLN 3.7910 + 0.001 金価格: $686.50 -11.20ドル
揺れ動く連立政権 再び亀裂が芽生え始める
7月 9日、ヤロスワフ・カチンスキー首相が、レッパー自衛党党首の副首相および農務大臣の
役職を解任。 これに伴い自衛党は一時連立政権離脱をほのめかしたが、その後ポーランド
家族同盟と組み新党を結成し、引き続き連立政権に留まることを表明。 これで一段落すると
思われていたポーランド政局が再び波乱を含んだ動きとなってきたようだ。
カチンスキー首相属する法と正義党は、先週木曜日 連立政権を組む自衛党とポーランド家族
同盟に対し書簡を送付。 7月 28日までに両党の合併実施、政策協力、連立政権内規則
遵守などを求め、来週末までに合意が出来ない場合、早期解散総選挙を実施すると警告した。
この法と正義党の要求に対し、自衛党およびポーランド家族同盟は先週土曜日 これら数々の
要求に基本合意。 しかしながら両党は 「全てのことを受け入れることは出来ない」とし、
公務員や農民に対し年金増額などの要求を再度提出している。
ポーランドでは来月 夏期休会明けから、2008年度予算編成と通貨統合年度設定の時期に
差し掛かる。支出削減を目指す法と正義党にとって新たな支出増額は絶対避けたいところであり、
受け入れがたい要求となった。
また自衛党および家族同盟は 7月 28日の受け入れ合意最終日前に、法と正義党との一切の
会談を拒否しており、自衛党幹部は、「法と正義党は、我々を連立政権から排除しようと企んでいる。
首相はすでに議会解散の準備をしている 」 とコメント。再び連立政権を支える 3党の関係が
ギクシャクし始めたようだ。
ポーランド国内メディアは再び早期解散総選挙を論評。 仮にそうなった場合、11月に早期選挙が
実施される可能性が高いと報じている。
一連の政治混乱に関し、ポーランド金融市場はほとんど関心を示さず。 すでに慣れきっている
こともあり、成り行きを注目しているのみで、市場への影響は出ていない。
金曜日も今週水曜日 (7/25) のポーランド中銀 政策決定会合を意識してか、ジロウスカ財相が
「来週の政策委員会で利上げが決定されれば、驚くべきことだ。 ポーランドのインフレは
制御下に入っている」 と述べたことや、サブ・プライム問題に起因する質への逃避
(クレジット商品 → 国債) で、米国債が大きく買い込まれたことで欧州債も上昇。 ポーランド
債券市場もそれにつられ、 2.5 bp から 3.0 bp 金利は低下して引けている。
ただズロチは金利低下に伴う売りが目立ち、対ユーロで 3.7550 から 3.770 手前まで
後退して終了している。
米 ド ル/対 円: 121.40円 - 0.75 02年国債: 5.13 % - 2.6 bp
ズ ロ チ/対 円: 44.58円 - 0.34 10年国債: 5.58 % - 3.0 bp
米 ド ル/ズ ロ チ: PLN 2.7230 - 0.003 原油価格: $ 75.79 - 0.28ドル
ユ ー ロ/ズ ロ チ: PLN 3.7675 - 0.014 金価格: $684.70 + 6.60ドル
引き続き金融当局者の、金融政策に関する発言が相次ぐ 1
一昨日発表の5月 平均賃金上昇率が 年率 + 9.3 % となり、インフレ懸念が増え始めた
こともあり、昨日も要人の発現が相次いだ。 まず、
ピエトレウィッツ ( Pietrewics ) ・ポーランド連銀理事
6月 27日に早期金利引き上げが実施されたため、7月 25日に開催されるポーランド中銀・
政策決定会合において更なる金利引き上げは必要ないであろう。 ただ年内再利上げの
必要性があるかもしれない。
昨日の賃金上昇率 + 9.3 % から判断するに、今後もその上昇は加速すると思われる。
このため労働コストが圧力となり、現在の生産性を維持することは難しくなろうが、やがて
インフレに結びつく恐れが出てこよう。
国内の失業者は減少し始めている反面、高給を得るため海外に職を求めて国を離れる
労働者が依然多く、熟練技術者が不足し始めている。 離職を防ぐために高額給与の
オファーが賃金上昇速度を加速させていることも一因だ。
オーシアク ( Owsiak )・ポーランド中銀理事
ポーランド中銀は今年 2回金融引き締め策を実施し、政策金利を 4.0 % から 4.5 % へと
引き上げた。 6月 CPI が年率 + 2.6 % となったことで、年末のインフレは + 2.5 % となり、
当局インフレ・ターゲット・レンジの中間値である + 2.5 % と同一数値となる。 また来年の
CPI もターゲット上限の + 3.5 % を越えることはないであろう。 インフレが 3.0 % を越える
ようなことがないのであれば、追加利上げは必要がないと考える。
今年 2回利上げをしたことで、金融当局は監視を強めているという警告シグナルを市場に
発することになり、これで充分だ。 加速度のついた価格上昇に、中期的にリスクは見えて
いない。 また政府によるこれ以上の財政支出を望んでいない。
スラウィンスキー (Slawinski ) ・ポーランド中銀理事
インフレ経済を引き起こさないよう、ポーランドの政策金利は徐々に上昇することになろう。
高水準の賃金上昇はインフレを高めるだけでなく、経済の競争力を引き下げることになる。
インフレが直ちに大きく上昇する兆候は見えていないものの、インフレ・リスクを払拭する
ためにも我々は段階的な金融引き締め策をとる必要があろう。
賃金が急上昇していることは、明白であり懸念材料の一つだ。 労働コストが大きくなり、
やがてポーランド経済に影響を与え、長期的にはインフレを招き、競争力減退へと導くであろう。
ただ昨年予想外の通信費引き上げが払拭されるため、今後数ヶ月年率ベースでの CPI は
落ち着くと考える。
フィラー ( Filar ) ・ポーランド中銀理事
6.0 % を越える経済成長は、潜在的成長率を上回るシグナルとなり、金融当局は行動を起こす
準備をする必要が出て来よう。 金融引き締めサイクルは、恐らく 2008年上半期まで続くと
考えられる。
と、いずれの金融当局者も将来の金融引き締めを示唆。 ただ今後若干の CPI 低下と、
利上げが実施されてもあと 1,2回で充分との意思表示も、ほぼ共通しているようだ。
- to be continued -
引き続き金融当局者の、金融政策に関する発言が相次ぐ 2
上から ↓
一方ポーランドの政治において、カチンスキー首相は昨日も方針を表明。 「 今後連立政権を
維持するかどうかは、自衛党およびポーランド家族同盟次第だ。 2党が一緒になり新党を
結成するにしても、法と正義党を中心とした連立政権の政策運営に非協力であれば、解散
総選挙を実施したい。 その時期と実施はまだ決めかねているものの、今年 11月前後になる
可能性が高い」と述べ、連立政権を組む他 2党を牽制している。
以前から自衛党とポーランド家族同盟は大幅支出増を要求していたが、法と正義党はこれを
拒否。 連立政権発足当時からその関係に歪が見えており、今後他 2党は財政政策方針
変更を受け入れるかどうかが鍵となってくるようだ。
昨日のポーランド金融市場、ピエトレウィッツ中銀理事が、 7月 25日の政策決定会合に
おいて金融引き締めの必要はないと語ったことから債券市場は反発。 断続的な買いが続き、
短長期債とも堅調推移。 イールド・カーブ全体に買い進まれ、2.0 bp 前後金利は低下して
引けている。
同様にズロチも引き続きしっかりと推移。 対ユーロで 3.750 から 3.7440 まで買い進まれて
おり、対円でも再び 45円の大台をワン・タッチしている。
米 ド ル/対 円: 122.10円 + 0.20 02年国債: 5.17 % - 2.2 bp
ズ ロ チ/対 円: 44.99円 + 0.19 10年国債: 5.60 % - 1.8 bp
米 ド ル/ズ ロ チ: PLN 2.7410 + 0.006 原油価格: $ 74.02 – 0.13ドル
ユ ー ロ/ズ ロ チ: PLN 3.7435 + 0.003 金価格: $665.90 - 0.40ドル
6月 CPI、平均賃金上昇率 いずれも高く、再利上げムード 1
ポーランドでは週末から週初にかけて、重要経済指標が 3件発表されている。
6月 C. P. I. unch (MM) / + 2.6 % (YY) ( 5月 + 0.5 % / + 2.3 % )
5月 経常収支 (Euro) ▲ 12億0,200万ユーロ ( 4月 ▲ 7億 3,600万ユーロ )
6月 平均賃金上昇率 (年率) + 9.3 % ( 5月 + 8.8 % )
まず金曜日発表になった 6月 消費者物価 (CPI) であるが、年率 + 2.6 % と、ここ 2年来
最も高い数値となり、同国中銀のミッド・インフレ・ターゲットである + 2.5 % をも越えてしまった。
これは主に食品 + 4.1 % (年率)、燃料 + 4.1 %、水道・家庭用燃料 + 4.1 %、などが全体の
CPI を押し上げていたが、事前予測では + 2.7 % の上昇がコンセンサスと実数を上回っていた
こともあり、面白いことに債券市場では買戻しの材料となってしまった。
なおCPI 構成品目の中で前年比マイナスとなっているのは、衣料品価格の – 7.4 % のみで、
家庭用品、輸送費、ホテル代などその他項目は全て前年比上昇となっている。
同日発表になった 5月経常収支、▲ 12億 0,200万ユーロの赤字と、ここ 3年来最大の
赤字幅となり、市場予測であった – 7億 1,000万ユーロを大きく上回った。 これは5月
同国では配当・利払いシーズンとなり、その資金が海外に流失したこと。 さらに貿易赤字が
▲ 7億 3,400万ユーロと、昨年同月のほぼ倍になったことがその原因となった。 同国
経済回復が目覚しいことで輸出入とも大きく伸び、5月の輸入は前月比 + 14.4 %、輸出は
+ 11.4 % 増となっている。
さらに昨日月曜日発表になった 6月 平均賃金上昇率 (年率)、 + 9.3 % と 5月の + 8.8 %
および市場予測であった + 9.0 % を大きく上回り、2001年上半期以来最大の伸びであり、
過去 6年来最速のペースで伸びている。 この予想外の数値にさすがに債券市場も驚きを
隠せず。 昨日は特に短期債を中心に売りがかさみ、終日軟調な推移が続いた。
来週木曜日 (6/26) はポーランド国立銀行 政策決定会合が開催される。現在のところ 11名の
エコノミストのうち 25 bp の利上げを予測しているのは 1名のみであるが、ここに来て
ポーランドの主要経済指数が相次いで大きく伸びていることから、市場では今年秋口、ないしは
年末までに 25 bp、来年初めにさらなる 25 bp の利上げ観測を唱える声が強くなってきている。
昨日月曜日、ノガ・ポーランド中銀理事 (タカ派) は、「ポーランドは今年一回、もしくはあと二回の
利上げが必要であろう」とコメント。 さらにクゼカイ理事も、「賃金動向が金融政策を決定する
鍵となる」と述べ、現行のインフレよりも大きく伸びている賃金上昇率を懸念。 将来予測される
消費需要増から来るインフレ加速を懸念。 数値発表後将来の利上げを示唆している。
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6月 CPI、平均賃金上昇率 いずれも高く、再利上げムード 2
上から ↓
一方揺れ動くポーランドの政局であるが、昨日月曜日に新たな展開が発表された。 政策の
違いで連立政権内で逆境に立たされたレッパー自衛党 (右翼) 党首とジエルッチ・ポーランド
家族同盟 (極右) 党首は昨日、両党が合併し新党を創ると表明。 その時期こそ明らかに
していないものの、現在の連立政権は2009年に行われる総選挙まで現状維持が難しいとし、
新たな展開を模索するようだ。
なお両党とも、2004年の欧州連合加盟には反対の立場をとっているため、今後の同国通貨
統合参加に課題が残ることになろう。
一方金曜日まで、連立政権が維持できなければ解散総選挙も考えていたカチンスキー首相は
昨日、当面連立政権維持することを決定。 ただ 3党の関係にずれが生じていることは明白で
あり、自衛党とポーランド家族同盟が合併することで新たな力配分が必要になってくることもあり、
まだまだ余談を許すことが出来ない連立政権の維持となるため、今後ポーランドの政局動向には
注意が必要となって来るであろう。
昨日のポーランド債券市場、2日連続の大きく伸びた経済指標を背景に特に短期金利が上昇。
2年国債は 2.2 bp上昇し 4.87 %。 10年国債は 1.0 bp 上昇の 5.61 % で引けている。
ただズロチは将来の金利上昇を好感し引き続き強含み。対ユーロで金曜日の 3.7600 近辺から、
昨日月曜日は 3.7450 まで買い上げられ、ほぼ高値で引けている。
米 ド ル/対 円: 121.90円 - 0.05 02年国債: 5.19 % + 2.2 bp
ズ ロ チ/対 円: 44.80円 - 0.03 10年国債: 5.61 % + 1.0 bp
米 ド ル/ズ ロ チ: PLN 2.7205 + 0.002 原油価格: $ 74.15 + 0.22ドル
ユ ー ロ/ズ ロ チ: PLN 3.7470 + 0.006 金価格: $666.30 - 1.00ドル
本日の CPI 予測がやや高く、ズロチが強含み推移
ポーランド・ズロチの動きが堅調だ。 欧州金融市場の中において、ズロチは今年第 6番目に
良好なパフォーマンスを示しており、昨日も一本調子で上昇。 ポーランドでは本日 ( 7/13 )
6月の CPI 発表を控えているが、市場の事前予測は食品価格などの上昇を受け年率
+ 2.7 % と、 5月の + 2.3 % および中銀インフレ・ターゲットである + 2.5 % を上回る
見通しだ。 これに先立ち 7-8月の利上げを予測する向きも一部に出ていることもあり、
ズロチ買いへと進んでいるようだ。
また今週水曜日、トレンクナー・ポーランド中銀理事が、「インフレ圧力を和らげるために、年内
利上げが必要だと思うが、あと一回で充分であろう」とコメントしたこと。
さらにニッカーツ理事も新聞記事内で、「ポーランドの実質経済成長は今後 2年間、持続可能な
成長率を越えてくるとは思えない」と述べたことなどが、今後利上げがあったとしても限定的な
ものになる可能性が強く、健全な経済成長と未だ欧州一低いインフレに対する評価がズロチ
買いに拍車をかけていると思われる。
一方混乱している政局であるが、連立政権離脱を示唆していた自衛党のレッパー党首は、
「現段階において直ちに政権離脱は考えていない」と表明した。 これには大きな理由があり、
仮に自衛党が連立政権を離脱した場合、与党第一党の 法と正義党は解散総選挙を宣言。
早期選挙となった場合、人気の薄い自衛党は恐らく総議席の 5 % 未満の票しか獲得
できないと見られていることにある。
また法と正義党も人気が凋落しており、野党第一党である市民プラットホーム党に政権を
奪われてしまう危険性をはらんでいる。 直近の聞き取り調査によると市民プラットホームは
27 ポイントを獲得しており、法と正義党を 2ポイント上回っている。 このため法と正義党に
とっても自衛党を保持し、現在の連立政権を維持したほうが得策と考えているようだ。
一方野党である市民プラットホーム党と民主左翼連合は、今週火曜日議会解散を提出。
その信任を図ったものの、解散条件となる議会の 2 / 3 を獲得できず、否決となった。
これで当面の選挙はないと見る向きが強まり ( 次の選挙は 2009年に予定されている )、
混乱は未だ続いているものの政治問題は沈静化しつつあることもズロチ高を誘っているようだ。
昨日ズロチは対ユーロで 2.7420 から 2.720 まで買い進まれ高値引け。対円でも 45円台に
差し掛かりはじめ、連日の高値更新。 債券市場も CPI 発表待ちであるが堅調推移。
2年国債は 3.5 bp、10年債は 2.5 bp 利回りが低下して引けている。
米 ド ル/対 円: 122.45円 - 0.05 02年国債: 5.22 % - 3.4 bp
ズ ロ チ/対 円: 45.00円 + 0.33 10年国債: 5.62 % - 2.4 bp
米 ド ル/ズ ロ チ: PLN 2.7200 + 0.022 原油価格: $ 72.50 – 0.06ドル
ユ ー ロ/ズ ロ チ: PLN 3.7800 + 0.020 金価格: $668.30 + 6.20ドル
ズロチに売り ! ポーランド連立政権、内部分裂 1
週末明けの月曜日、ポーランド金融市場が終わりかけようとした午後遅く、大きなニュースが
流れた。
現在ポーランドの下院は、総議席数 460議席。 うち
1) 法と正義党 ( Law and Justice – PiS ) 149議席
2) 自 衛 党 ( Self-Defence – SO ) 46議席
3) ポーランド家族同盟 ( League of Polish Families – LPR ) 29議席
の 3党、合計: 224議席で連立政権を組み組閣を執り行っているが、この 3党
全体でも下院過半数である231議席に達しておらず、これまでも閣議事項決定などで度々
紛糾を繰り返している。
このように連立政権の基盤が弱い中、法と正義党のヤロスワフ・カチンスキー首相および
レフ・カチンスキー大統領は、副首相 兼農務大臣を司るレッパー自衛党党首の解任を発表。
その理由として贈収賄スキャンダルがあったとされているが詳しい内容は未だ発表されて
いない。
一方解任となったレッパー自衛党党首はテレビ・インタビューにおいて、「自衛党はもはや連立
政権を組まないであろう」 と表明。 連立政権離脱を示唆しているが、党からの正式表明は
まだ出ていない。 一方連立政権第一党である法と正義党広報は、「 今後新たに連立政権を
組む別の党を模索する。仮にそれが出来なかった場合、解散総選挙も否定できない 」 と
新連立政権の設立の難しさと、最悪早期選挙の可能性を早々と示した。
ただ昨年 9月下旬にも似たような事象が起こっている。 自衛党は連立政権内において、
医療システム支出増額と公務員賃金引上げ拡大要求を提出したが、法と正義党はこれを拒否。
自衛党は連立離脱をちらつかせたことからカチンスキー首相はレッパー党首の副首相兼
農務大臣を解職とし新たな政権を模索。 しかしながら他党の新連立政権参加が難しく、結局
自衛党と再交渉。 2006年 10月 18日に再び自衛党が連立政権参加に合意。 レッパー自衛党・
党首も再度 副首相と農務大臣のポストに就いている。
まだ成り行きに不透明感が強いこともあり政局の方向は定かではないが、場合によっては
再び元の鞘に収まる可能性も無いとは限らない。
自衛党は現レッパー党首 ( 53歳 ) が 1992年に創設した、ポーランド旧共産主義の流れを
汲む保護主義を掲げており、金融関係では通貨統合、国営民営化、市場改革などに反対。
またイデオロギーの面では米国によるアフガニスタン、イラク侵攻にも強い反対を示している。
自衛党と連立政権を組みながらも、法と正義党にとっては目の上のたんこぶ状態。 今年
4月 17日、ジロウスカ現財相は、「財政・構造改革を目指すせっかくの良い時期であるのに、
自衛党とポーランド家族同盟が大幅支出削減および増税に常に反対の立場をとるため、
政策決定が阻害されている。 このままでは所得税増税などで 2年間に 100億ズロチの
税収計画の制定が実行できない」 と、同国構造改革の実施に常に反対する自衛党を非難
している。