国債入札堅調、中銀メンバーの利下げ示唆発言も好感。 債券買われる
双子の元首誕生で一時的に動揺が走り揺らいでいたポーランド金融市場であったが、
一昨日から落ち着いた推移となった。
昨日は注目されていた 10年ポーランド国債の入札が実施されたが、平均落札利回り
5.595 %、発行額 8億ズロチに対して、応札額は非居住者の参加もあり、49億ズロチ。
落札倍率はなんと 6.13倍と非常に好調な結果となった。
市場では新しく任命されたクルッア蔵相が、「財政赤字削減を堅持する」と所信表明を
したことで、J・カチンスキー新大統領は当面これまでの緊縮財政政策を変更しないと
評価。 それが今回予想以上の好結果となった 10年国債の入札に現れたと考え
られる。
午後に入りポーランド中銀メンバーの一人であるオイチナ政策委員が、「世界的な景気
鈍化が、ポーランドに更なる利下げ余地を与えてくれるであろう」とコメントしたことから、
これを好感。 過熱した国債入札後の余韻も残り 10年ポーランド国債は急騰。 その
利回りを 5.68 % から 5.58 % へと一気に買い上げられ、ほぼ高値で引けている。
ただズロチは東欧通貨全体が弱含んだこととカチンスキー新首相自ら、今週金曜日に
議会で信任投票を実施することを表明したため、終日軟調推移であった。
10年ポーランド国債は 5.61 %、 6bpの利回り低下のほぼ高値引け。
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これぞ社会主義体制か ? 双子の兄弟がポーランドの国家元首に就任
ポーランドの政局が混沌としている。 現首相であったマルキンキェウィツ首相連立
政権内の経済・政治政策の対立から辞任を表明 (辞任に追いやったとも言える)。
次期首相として 「法と正義党 PiS (旧 連帯) 」 のヤロスワフ・カチンスキー (Jaroslaw
Kaczynski) 党首が首相に就任した。
ここで問題なのがカチンスキー新首相。 同氏を新首相に任命したのがレフ・カチンスキー
大統領 ( Lech Kaczynski 元ワルシャワ市長) である。 この両氏はなんと双子の
兄弟。 一卵性双生児で、
* ヤロスワフ・カチンスキー (Jaroslaw Kaczynski) 兄 ポーランド新首相
* レフ・カチンスキー ( Lech Kaczynski) 弟 ポーランド大統領
と、双子の兄弟でポーランド国家を司ることになった。 いずれも旧連帯の流れを
汲む社会主義時代の反体制派メンバーであるが、同国大統領は首相が選んだ議員を
内閣に任命する権限を持っているため、今後の政局運営に私情が入りやすくなるで
あろう。 またポーランド国民の半数以上がこの双子の元首に難色を示していることも
あり、今後の舵取りに不安を表す声も多い。
旧連帯で有名なのが、ワレサ前大統領。 ポーランド民主化のために 1980年に
「連帯」を発足。 この勢いが旧東西ドイツの垣根を取り払う要因ともなった。 ただ連帯
結成当初、当時 1,000万人以上いた党員も民主化に伴う貧富の差が大きくなったこと
などで離党が続き、新党へと移籍する組合員が続出。
その後党名が変わり「法と正義党」となった現在 100万人に満たない政党へと弱小化
しているものの、ポーランド第一政党である。
現在の「法と正義党」は中道・右派に属し、財政赤字削減、経済政策重視、雇用創出
などを公約に掲げ、2004年にEU加盟を果たした。 しかしながら旧社会主義の流れを
汲み、カチンスキー両氏もナショナリズム重視のところがあるため、ポーランド共和国の
政治が保守社会主義の方向に流れる予測もある。
さらにポーランド閣僚の変更も発表された。
秘密警察へのスパイ疑惑問題で辞任したジロウスカ元蔵相、その後任として就任した
ウォーチェコウスキー新財相であったが、わずか 2日を持って更迭された (後日別ポスト
が用意される予定)。 次の新財蔵相は Bank Gospodarki でチーフ・エコノミストを経験
したあと大蔵省に入省、クルツァ大蔵次官が新蔵相に就任することになった。
このクルッア新蔵相は、すでに先週日曜日夕刻 テレビ・インタビューを受けており、
「ポーランドの今年の財政赤字ギャップは当初計画どおり、対 GDP比で 300億ゾルチを
維持する。 この赤字額は対 GDP比 + 3.0 % とユーロ導入基準に適合したものだ。
付け加えるのであればその額を若干ながら下回る可能性がある」と発言。 さらに、「財政
赤字削減のための構造改革は、当初計画よりも早く進めることを約束する」とし、
「2009年にはユーロ導入基準にポーランド経済を適合させることは十分可能だ」と力説
している。
急速に進んだ一連の政治的動向に、ポーランド金融市場は戸惑いを見せ寄り付き
ちょっとした混乱でスタート。 ポーランド国債は寄り付き直後、軒並み 20 bp前後
利回り急上昇の売りを浴びせられた。
ズロチも対ユーロで急落。 1ユーロ 4.08近辺から 4.095まで売り込まれたが、先週
金曜日の引け前にはこの政治変革の動きが市場に流れていたためわずか一時間
だけの揺さぶりとなった。
その後ゾルチは急速な買戻しで一気に上昇。 4.040まで買われ、午後は横ばい推移で
引けを迎えている。
また対円では、 35.55円から 35.95円まで売られ、引けは 35.85円。
ポーランド国債は朝方強烈な売りが出た後、急速に回復。 10 ~ 15bp 乱高下した
あと落ち着きを取り戻したものの、前週末比では 10年国債で 9bp利回りが上昇して
引けている。
この急回復の原動力となったきっかけは、上記クルツァ新蔵相が、「財政政策は今までの
手法を継承する」と述べたことが、市場に安堵感を与えたことによる。
今回のポーランド元首交代に関し格付け会社である S&P社は、「元首が交代したから
といってすぐに何かが起こるわけではない。 また経済・財政政策に大きな変化がない
限り、現行の信用格付けの変更とはならない」と述べている。
また2006年におけるポーランドの財政・経済政策の実行度合いは、同社が用いている
尺度で欧州 28カ国のうち 17位となっており、まさに平均水準。 歳入だけをとって
みると 28か国中13位。 歳出面では 20位に位置し、支出だけが平均を下回っている」
とのレポートを出している。
また Fitch社も S&P社と類似したコメントを昨日発表している。
市場関係者の間では、カチンスキー大統領、新首相とも政治面はともかく、おそらく財政・
経済政策には早急に手を付けることはないと読み、その舵取りをクルッア蔵相に一任する
と見ている。 早急なる各所変更が為されないのであれば、ポーランド金融市場の混乱は
一時的なものに終わると推測される。
明日水曜日 (7月 12日)は 10年ポーランド国債 (2015年償還 ) の入札 8億
ズロチ (約 286億円)が実施される。 非居住者投資家が今回の政権交代をどう見て
いるのか、ポーランドそのものへの将来の信頼感を計るひとつの指標となりそうだ。
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ポーランドの雇用統計発表がされるも、終日閑散。 小動き横ばい
新興市場が徐々に落ち着きを取り戻し始めたことと、先週初に発表になった同国 6月の
CPIが + 0.9 %と欧州域内諸国で最も低い数値であったことから、ポーランド金融市場も
平穏な一日に終わった。
金曜日は同国 6月 失業率が発表になったが、5月の 16.5 % から 16.0 % へと小幅
低下。この 16.0 %の数値は 2000年 7月以来、6年振りの低い水準となっている。
失業者数は 249万人。 前月比 3.6 %の減少。 前年同月比では 10.4 %の減少と
なっている。
ポーランド政府は輸出の好調、国内需要の増加から、今年の G.D.P. を + 5.0 %
(昨年 3.4 %) と見込んでおり、2004年欧州連合加盟以来域内主要国からの産業
および工場導入が増加。 今後も失業者数は順次改善の方向に向かうとしている。
ポーランド金融市場は上記失業率の発表があったにもかかわらず、ほとんど同意づく
場面なし。
午後に米国雇用統計の発表を控えていたことが動きを鈍くしたのであるが引けまで盛り
上がりに欠け、話題は週末に行われるワールド・カップ準決勝および決勝戦に飛び火。
結局同国債券市場は短・中期債とも前日比ほとんど変わらずで引けた。
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ポーランド金融市場は、特にニュースなし。 インフレ見通しはかなり良好
リビンスキー・ポーランド中銀副総裁、「ポーランドのインフレは今年の中銀目標
ターゲットである + 1.5 % ~ + 3.5 % の加減近くで推移可能である。 5月 CPI は
+ 0.9 %、今後穏やかな上昇を見込んだとしても、2007年下期から 2008年上期に
+ 2.5 % 程度の上昇に止まる」、と発表。 また「仮にインフレになる要素を考慮すると、
労働生産性が向上し、賃上げ圧力が見受けられることと、ゾルチ安に伴う輸入インフレ
および増税が上げられる」としている。
ハンガリー中銀理事の幾人かは、「利上げの必要性があれば、中銀は直ちに行動する」と
述べているが、市場では実際利上げがあるのは早くても今年後半。 その時まで中銀は
様子見スタンスを崩さないと予測している。
昨日のポーランド金融市場は、朝鮮ミサイル問題がまだ残っているため、短期中心に売り
が散見。 特にニュースのない中、やや弱含みで終日推移。 短期債 + 5.0bp、長期債
+ 2.0bp売られて引けている。
トルコ金融市場の落ち着きが東欧にも波及。 ボーランド債券・為替とも小幅高
秘密警察へのスパイ疑惑で辞任したジロウスカ財務相、裁判所が身辺調査を拒否した 場合、マルキンキェイツ首相から改めて経済相のポスト就任打診されたものの辞退した。 この影響でゾルチは朝方一時的に打ち込まれたが、トルコ金融市場が徐々に落ち着きを 取り戻してきたため、東欧諸国全体の金融市場に好影響を与えた。
寄り付き対ユーロで 4.02近辺まで売られたゾルチは各新興市場の反発とともにじりじり と値を戻し 4.00 の大台を割り込んだ。 ただ米国が祝日ということもあり、市場は閑散。 その後 4.00 丁度を頭に横ばい。 債券市場も薄商いの中、下値に買いがやや目立つ程度で小動き。 午後は閑散の中、 そのまま引けを迎えた。
10年ポーランド国債は 5.50 % 前日比 5 bp利回り低下。
与党 2党連合政権内でユーロ導入の意見の相違が大きくなってきており、マルキン キェイツ首相が辞任もしくは退任に追い込まれるとの観測が出て来ている。 仮にマ首相が辞任した場合、ゾルチは 4.10 超えまで再び打ち込まれる可能性を指摘 する声がある。
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短期債が軟弱ながらも、長期債は堅調。 財政赤字はやや悪化
ウォーチェコスキー・新ポーランド蔵相は、今年のポーランド・ゾルチとポーランド国債の
下落について不安視していない。 今年の財政赤字は目標である 300億ズロチを
下回る公算が強く、現状海外での資金調達の必要性はなく、金融市場の回復を
待つのみで十分。 また為替市場への直接介入も考えていないと述べた。
一方ポーランド中銀理事からは、当初 2008年と見ていたインフレ・ターゲット到達が
原油高などの影響で、半年程度早まりそうだ。 穏やかな金融引き締めを実施し
(2007年から ?)、同国の GDP成長の阻害要因とならないようにしたいとコメントが
出ていた。
昨日は特に大きなニュースがなく、周辺国の為替動向に追随したことで短期債は
弱含んだものの、長期国債はポーランド蔵相の発言を好感。 前日比 9bp利回りを
落としている。
他新興市場国の回復に伴い、ポーランド金融市場も落ち着く
トルコ中銀は2日間連続の預金金利入札を実施。 昨日は 1週間物を 18.92 %
5.38億、2週間物を 19.10 %で 1.65億、合計 6.94億リラを市場から吸い上げ
通貨防衛策をとったため、トルコ・リラ、ポーランド・ゾルチ、ハンガリー・フォリントなど
東欧通貨が素直に反発。 この影響で債券市場もようやく買いが目立ち始め、
ポーランドでは特に株式市場が一番の活況となった。
またオシェホウスキ新蔵相が、ジロウスカ前蔵相の財政再建策をそのまま引き継ぎ、
今後の運営に携わると各メディアが記載したことも市場にとって安定材料。
ポーランド中銀は本日から 2日間政策委員会を開催するが、おそらく政策変更はない
ものと市場は予測している。
ポーランド国債および為替市場は終日の買戻しを伴い、 10年国債は前日比 9bp
買われ 5.80 %。
蔵相辞任が尾を引き、ポーランド金融市場は引き続き軟調
金曜日ジロウスカ・ポーランド蔵相辞任ニュースで、寄り付き売り先行で始まった
ポーランド金融市場ではあったが、週末にマルチンキエウィツ首相とオシェホウスキ新
蔵相が、引き続き 300億ゾルチの財政赤字を上限に、確固たる財政構造改革に
取り組む姿勢をテレビ演説で見せたことから、市場は徐々に下げ止まりを見せ始めた。
また閣議において同国保守党から、「ジロウスカ前蔵相が辞任したことにより今後の
財政改革に懸念が残る」との答弁があったものの、「蔵相のスパイ疑惑が払拭されれば、
再度任命される可能性がある」と述べたことも市場の動揺を少なからず抑えた。
明日 28日 (水) はポーランド中銀、定例理事会が開催される。 FOMCを翌日に
控えていることやインフレに伴う通貨防衛の観点から利上げを予測する向きもあり、
その声明文に注目が集まっている。
市場の予測は政策変更なしが多いものの、将来は金融引き締めに走らざるを得ないと
する意見も多く、目先の悪材料がすべて払拭されるにはまだ時間がかかりそうだ。
10年ポーランド国債は 2bp売られ 5.89 %。 ただ為替市場が不安定なことと、
理事会を控え短期債の売り圧力は依然強く、5bp上昇し 5.14 %でクローズ。
ポーランド蔵相、スパイ容疑で辞任示唆。 マーケットは動揺し一段の下落
ジロウスカ・ポーランド現蔵相、1989年以前に国家機密情報を秘密警察に漏洩
協力があったのではないかとの疑惑を、閣議が裁判所に調査依頼を提出。 本人は
これを否定するも、マルチンキエウィツ首相が蔵相辞任を突きつけ、次期蔵相候補に
オシェホウスキー財政アドバイザーを指名した。 この報道が朝から流れ、ポーランド
金融市場は大混乱。 為替も債券も売り圧力にさらされ急落。
日中 5月 CPIが年率 + 1.0 % と 4月と同じ数値となり、ポーランド中銀の
ターゲット内に収まった安定的な推移となったが、最近のゾルチ急落で予想以上に
インフレが進むのではないかとの見通しもむしろ売りを誘うこととなった。
また 5月 Retail Sales は内需と個人消費を受けて急増。 4月 + 12.3 % (YY) から
5月は + 13.7 % へとジャンプ・アップ。
さらに 5月 失業率は + 16.5 % (4月 + 17.2 %)と 12万人減。 過去 3年間で
最小の数値も売りの材料となり、終日軟調。
結局債券市場はイールド・カーブ全体に前日比 8 ~ 9 bp 売られ、週末を迎えた。
エマージング市場に再び売り圧力。 ポーランドも続落
朝方比較的落ち着いて始まったポーランド為替・債券市場であったが、南アフリカ
市場が急落の展開となったことが東欧市場にも影響。 また英国中銀唯一の利上げ
派であったウォルトン政策委員死去の報道がドル買いとなったことも通貨安に働いた。
ポーランドの利上げ懸念が囁かれる中、昼前にピエトレウィッツ・ポーランド中銀政策
委員が、「ズロチが安定推移するのであれば、政策変更の必要性はない」とコメント
するも、市場は耳を貸さず。 原油価格高止まりの影響で目先インフレ懸念が予測
されていること、ハンガリーの不振、スロバキアの選挙などの不安定要因が重なり、
日中ほとんどニュースのない中、ジリ貧の為替市場となり、ゾルチは 11ヶ月ぶりの
安値をつけた。
また S&P社が、「ポーランドとハンガリーは、今後財政赤字削減にどのように取り組む
かでその信用度が反映されるであろう」、と発表。 「東欧諸国メンバー各国のユーロ
加盟はその構造改革の遅れから、一時的な遅延となる可能性があり、これが格付け
への障害となっている」とした。 このコメントで、東欧各国通貨は対ユーロで下落。
為替市場ではスロバキア中銀の介入が続いている。
一方債券市場では 2005年 2月以来の高金利に近づきつつあり、一昨日発表
された 5月鉱工業生産 +19.1 % が物語るとおり国内景気の過熱感も利上げを
連想。 昨年の財政赤字が対 GDP比 + 4.7 %、今年 ユーロ導入基準である
+ 3.0 % 以下と見られているものの、S&P社のコメントも債券の売り要因に働き、
結局イールド・カーブ全体に 5 ~ 6 bp その利回りを押し上げて引けた。 ポーランド
債券市場は 4営業日連続安。