愛鷹・グリーンシーズンの愛鷹山(愛鷹山登山口〜黒岳〜越前岳) | 単独行者の山行録

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歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

3連休最終日の5月15日。
昨日、一昨日で急ぎの用は済んだので、連休最終日はせっかくの晴れ予報なので、日帰りで行ける何処か近場の山に出掛けることにしよう。
今回は実家からだと自宅に比べて割安な愛鷹山をチョイス。(自宅からだと往復800円くらい余計にかかる)
ヒル目撃の定かではない情報に怯えて冬場にしか訪れたことがなかったから、初めてのグリーンシーズンの愛鷹山は初めてで新鮮に映るだろう。
連休中は晴れが続いたから、仮にヒルが生息していたとしても鳴りを潜めているだろう千載一遇のチャンスという訳だ。
偶然にもアシタカツツジという固有種のシーズンにも重なっているということで、これは行くっきゃない!

今回は5年前の行程の丸パクリで周回することにした。



いち早く御殿場駅の改札を出たのにコンビニに寄ったものだから、バス停には既に10人以上の列が出来上がっていた。
本来なら自分が先頭だったのに、場所取りできないソロってこういう所が不利だよなぁ。
その後も続々と伸びる人の列。
その大半が登山者で、愛鷹山の人気の程が窺える。
30分程揺られて愛鷹山登山口バス停で下車。
振り向くとまだまだハイカーが下りてくる。
バス待ち中にストレッチを済ませていた私は先陣を切って出発。
登山口の山神社駐車場も8割方埋まっている盛況振り。
山神社から鬱蒼とした植林の樹林帯を登り始める。
ふと、背後からの足音に振り向くと、同じバスに乗っていた私の倍近くは年を取っていそうな御仁が迫って来ていた。
決してコンディションが悪いわけではなく、ノロノロ歩いていたつもりもないのに、いつの間に?
このままでは抜かれる。だけど同年代ならまだしも老人なんかに抜かれたくない。
···ダメだ、競ってたらこちらがバテてしまう。
敵わないと悟り、追いつかれた所で潔く道を空ける私。
人当たりの良さそうな御仁と笑顔で挨拶を交わすと颯爽とペースを落とすことなくぐんぐんと先へ行ってしまった。
年配に抜かれた悔しさよりも、あんな風に年をとりたいと思わせられる憧れのような気持ちが強かった。
山では時々スーパーな老人に出会うことがある。
ふと、以前黒部五郎小舎のテン場で出会った黒く日焼けした肌の筋骨隆々とした御仁を思い出した。
やっぱり年を感じさせない老人って格好良いよなぁ。
呆気なく抜き去られてからは再び自分のペースでゆっくりと登っていく。
標高を上げていくと退屈な植林帯から深緑や苔が瑞々しい自然林の樹林帯へ。
緑の中にひっそりと佇む愛鷹山荘。
まるで隠遁者が隠れ住む庵のよう。
越前岳への道は一旦見送って今回も黒岳をピストン。
急登を終えると富士山の展望所。
富士山を取り囲む緑が額縁のよう。
黒岳へ向かう途中に点在する大杉は裾野市の天然記念物なのだとか。
黒岳山頂から望む富士山
ダイナミックな宝永火口を手前に配したパノラマが特徴的だ。
黒岳(1,086m)到達。
先程追い抜かれた御仁が既に先着しており、思わず「めっちゃ速いですね!」と声を掛けると謙遜しながら照れ笑いするのだった。
曰く、山芍薬を探しに来たとのことだが、どうやら少し遅かったようだった。
黒岳の三角点
冬枯れの時季は正面に箱根の山々を見渡すこの場所も、今の時季は木々の緑に遮られている。

足の速い御仁ともここで別れて富士見峠の分岐へと戻り、越前岳方面へ。

標高1,200mを越えるとツツジゾーン。
早速お目当てのアシタカツツジ発見!と思いきや、葉は5枚なのに事前に調べたより花が大きいぞ?
交雑種が増えているとは聞いていたけど、ミツバツツジと同等の花の大きさにアシタカツツジの葉の枚数を併せ持つことから、これは交雑種かな?
そして、やっと正真正銘のアシタカツツジを発見!
ただ、今年は全般的にツツジが裏年と言われているせいか、ツツジ類は限られた箇所でしか見られなかった。
まぁ、お目当てが見られただけでも良しとしよう。
崩落地より望む位牌岳と鋸岳。
グリーンシーズンでもその鋸歯のような稜線が目立つ。
去年歩いた前岳から位牌岳。
展望台(とは名ばかりの)から望む富士山。
そのうち完全に遮られてしまいそう。
イワカガミもちらほら
11:255年ぶりに愛鷹山最高峰の越前岳(1,504m)到達。