愛鷹山・新年招福を期して。北部日帰り周回(愛鷹登山口BS~黒岳~越前岳) | 単独行者の山行録

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歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

1月3日に行ってきた愛鷹山日帰り山行の記録。

新年初登山はどーんとでっかい富士山が見たい。
日本人なら(多分)殆どの人が縁起の良い富士山を拝みたいはずだ。
しょっぱい中途半端な場所からではなく、とびきり特等席のお山からの富士山を拝みたい。
そこで白羽の矢が立ったのはずっと温存してきた富士山の展望台として知られる愛鷹山だ。
富士三茄子、、、何と縁起の良い山だろう。
そんな新年初登山に相応しい愛鷹山に足を運ぶことにした。

始発を乗り継ぎ国府津駅で御殿場線に乗り換える。
辺りはまだまだ暗く、車窓から見る明神ヶ岳などの箱根外輪山はうっすらとその稜線が窺い知れる程度だ。
山北駅辺りで周囲は大分明るくなり、駿河小山駅を過ぎると綺麗に朝焼けした神々しい雰囲気の富士山が出迎えてくれた。
その歓迎に今日は雲一つ無い素晴らしい眺望の山行を期待せずにはいられなかった。
左手に金時山の急峻な山容を見送り足柄駅を過ぎるといよいよ御殿場駅へ。

御殿場駅のホームに降り立つと、身を刺すような冷たい空気に思わず身が縮み上がる。
念のため再度バス停で時刻表を確認し、一時間程暖かい待合室で時間を潰す。
15分前前に先頭に並ぶと、後から続々と人がやって来て、バスが来た頃にはかなりの行列になっていた。
何れも富士山麓のスキーリゾート、イエティに向かう人々が殆どのようで、登山の格好をしているのは私一人だけだった。

バスは南西に向けて走っていき、市街地を抜けると時々遮るものが無い雄大な富士山が間近に迫る。
猫耳(私が勝手にそう思ってるだけだが)の可愛らしい愛鷹山も目前に。
8:29、樹林を通る国道にひっそりとある愛鷹登山口に到着。
はっきり言って地味な感じは否めず、これからスキーを楽しむのであろう乗客は好奇の目を向ける。
日が届かずめちゃめちゃ寒い。
とっとと歩いて身体を暖めることにする。
植林の中の林道を登山口目指して歩いていく。
時折樹間から射し込む陽光に樹冠から降り注ぐ氷の粒が煌めき、地味な植林の樹林に美しい情景を演出する。
8:43、登山口に到着。
側の駐車場はたくさんの車でいっぱい。
私と同じように、新年初登山は色々と縁起の良さそうな愛鷹山でという人が多いのだろうか。
まぁ、元々二百名山に名を連ねる好展望の人気の山なので、それは考えすぎだろう。
緩やかな樹林を過ぎると山腹のトラバースへ。
暫くは富士見峠までトラバース気味に登っていく。
苔と新雪の綺麗なコラボレーション
可愛らしい猫耳(´ω`)
無料無人の実質避難小屋の愛鷹山荘。
近くには垂れ流しの寒々しいトイレもある。
未確認だけど、内部は綺麗らしい。
越前岳と黒岳分岐点に当たる富士見峠に到着。
心無いいたずらか、道標の文字が削られ不明なことに。
黒岳へ寄道するため、分岐を右へ。

分岐から暫くは中々の急登が続く。
そんな樹林の薄暗い登りをやり過ごすと俄に勾配が緩み富士山展望台へ。
木々が邪魔してイマイチな富士山の眺め。
しかも突如なんか富士山頂辺りに雲が湧いてきたし。
黒岳山頂は更に15分程歩いた先らしい。
この軽い寄道感覚で予想以上に時間を費やしてしまい、愛鷹連峰縦断を取止め北部周回にすることに。(はなから十中八九北部のみの山行になるだろうと考えてはいたが。)
黒岳手前は明るく平坦な静かな冬枯れした樹林。
心が落ち着きます。
9:31、黒岳(1,086m)到達。
先の展望台よりこちらの方が富士山の眺めは良好。
山中湖周辺の三国山稜や遠く杓子山も望むことができた。
愛鷹山の稜線。
やっぱり可愛く見えてしまう。
三角点付近より箱根の山々の眺望。
ここでテン泊したら朝焼けの富士山も眺められるし、さぞ最高だろう。

パノラマを満喫した後は再び富士見峠の分岐まで戻り、越前岳方面へ直進。
尾根沿いに始めは緩やかに登っていく。
途中何度も下山する人とすれ違う。
雪上に無数の足跡があることから、やはり人気の名山だ。
北白ガレンの崩崖地からは位牌岳とギザギザの迫力ある鋸岳を望むことができる。
更なる風化で通過出来なくなる前に一度はと思っていたけど、あの稜線は死亡事故の前例もある侵入自粛の難ルート。
危険な場所には行かないと決めたので、今となっては私にとって近いようで夢幻の稜線。
鋸岳の稜線も中々迫るものがあるが、足元の北白ガレンのガレも目を見張るものがある。
愛鷹山は富士山よりも古い火山、恐らくこの付近も噴火の爆裂により形成されたものではないだろうか。
あれこれ考えながら、その景色に、自然の力に畏敬の念を感じるのだった。
北白ガレンから間もなく富士見台。
雁ヶ腹摺山や本栖湖が旧札の撮影地であることは知っていたけど、こことそうだとか。

山頂手前は微妙に急坂。
木枝を掴みながら登っていくと人々の賑いが聴こえてくると共に空が見えてきた。

11:07、愛鷹連峰最高峰の越前岳(1,504m)に到達した。