三浦・落魄の日々に気晴らしを(横浜市民の森・鎌倉アルプス) | 単独行者の山行録

単独行者の山行録

歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

母の入院が決まって以降、崖を転げ落ちるように落魄の日々が始まった私。

ネズミが巣食う物が散らかった実家で過ごした最初の1週間は本当に気が狂うような日々で、今でこそ掃除や断捨離をして自炊など生活できる程度にはなったけど、本当に大変だった。

そして、2週間程度の母の入院予定が術中に神経を傷つけてしまい、容態が入院前より悪化。

しかも同意書にある免責事項なため補償は無し。

母の在宅復帰が不透明になり、入院期間は延長。

それに伴い私の実家での生活も延長する羽目に陥り、今現在も実家での生活を強いられている。

不幸はそれだけに留まらず、なんと生活費やカードの滞納が発覚し、その額およそ30万超。

入院費や交通費(職場に申請しているルートとは異なるため実費)、それに滞納を肩代わりしたことで、一ヶ月も経たないうちに60万円超が一瞬にして吹き飛んだ。(この金があればどれだけ贅沢な山行ができたことか・・・)

今思えば物を片付けられなくなったり、買った物を忘れたり、荒唐無稽な被害妄想によるご近所トラブルなど前兆は幾らでもあったのに、面倒事には関与したくないばかりに強く介入しなかったのは自分の過失でもあるのかな。(介入や諫言を酷く嫌い、自身に都合の良い言葉しか聞き入れない性格なのでとても面倒なのだ)

これに関しては本当に後悔先に立たずだ。

休日の大半は役所と病院と地域包括を行き来する毎日で、山が遥か遠くに霞むようになってしまった。

人生でもワースト3に入るような悪夢を彷徨っている私、早くも今シーズンの夏山のご破算が決まった。

5月中も四国や八ヶ岳の山行を立てていたものの、それらも全て水の泡。

6月以降の夏シーズンもあれこれ計画したのに全て来年以降に持ち越しだろう。

幸いなのは、5月に計画していた三連休全てが雨予報で未練なく諦めがついたことと、嫁が今置かれている現状を理解してくれていることだ。

そんな陰鬱とした日々の中の5月14日。

病院の面会時間まで久し振りに余裕が出来たので、病院に行くついでに実家近くの三浦丘陵北端のハイキングコースを歩くことにした。


横浜市といえど実家のある南部の鎌倉市との市境付近は田舎で、駅から20分も歩くとこのような緑地や谷戸が広がる。
今の時季、夜になると繁殖期の蛙の鳴く声が聴こえる程だ。
ここは市内に点在する市民の森の一つで、最近知ったところによると、仰々しくも“横浜アルプス”なんて呼ばれることもあるそうだ。
今日は病院に行くついでに久し振りに横浜アルプスと鎌倉アルプス2つのプチアルプスを散歩しよう。
ここは子供の頃に蛙や小魚、ヌマエビなんかを捕りに来た場所だ。
今は分からないけど、かつてはホタルや野ウサギなんかも居たのを覚えている。
度重なる開発の危機に、今では変わってしまったところも。
最近では都市部で絶滅危惧が叫ばれているアメンボの姿も。
確かに昔は雨後の水溜りでも見かけたのに、最近は全く見なかったなぁ。
茶色いきったない水を湛える瀬上池
私が幼少の頃からブルーギルやブラックバスの稚魚が捕れたことから在来種は皆無だろう。
強いて捕れたといえばヌマエビくらいでメダカとかフナは捕れた試しがない。
奥にも鬱蒼とした叢が広がり、時季によっては美しい色彩のイトトンボが飛び交う。
ふと何か跳んだと思えばナミハンミョウ。
ありふれた種ではあるけれど、大顎を持つ厳つい顔つきとは対照的な極彩色の美しい昆虫だ。
以前は通行できた複数の道が封鎖されていたので、瀬上池手前まで戻って尾根に乗り上げよう。
途中、これから縦走する大平山が垣間見えた。
稜線の合流地点、いっしんどう広場からは箱根山や富士山の遠景。
箱根や丹沢は登り過ぎて飽きただの仕方の無い消極的選択だの愚痴っていたけれど、今思えば登山が出来ただけでも幸せだったんだな。
飽き性を直してもっと謙虚にならないと。
稜線の途中より再び箱根山と富士山の眺望。
名前通りの二子山に中央火口丘にして最高峰の神山、明神ヶ岳の大きな山体と金時山の鋭鋒。
箱根の山はどれも個性的で良く目立つ。
二子山(三浦)など三浦丘陵の核となる山々
一度稜線を外れてひょうたん池へ向けて一気に下る。
初めて訪れるひょうたん池
山深い渓流の清冽さは無いけれど、都市部にしてはまぁキレイ。
何かいるかなと目を凝らしたけど、めぼしい生き物はいなかった。
ひょうたん池の先には遊歩道沿いに小川が続く
小川を離れてぐんと登り返したところで横浜市最高峰の大丸山(157m)
人工物のランドマークタワーにも劣る高さで、最高峰でありながら影が薄い(笑)
実際、山登りを始める前は知らなかったし、興味もなかったしね。
眺望は割りと良好で、金沢区や横須賀の追浜辺りの市街地や遠く房総半島を望むことができる。
房総の鋸山や富山の遠景
中央付近は追浜駅、左手前辺りが横浜と横須賀の市境付近か。
左に目を移すとのっぺりとした房総の丘陵地帯が続き、中央付近には八景島シーパラダイス。
大丸山を後に鎌倉市と市境尾根に入ると切り通しのような道が多数。
鎌倉らしい古を偲ぶ光景
ヤマユリはまだ蕾
これはナルコユリかな。
以前歩いたときには気付かなかった横浜市内最高地点
尾根の南側には古都鎌倉の市街地
14:27天園(153m)
北側には横浜市街
真の最高地点、ランドマークタワーもよく見える。
以前来た時はこの辺り大勢の人で賑わっていたのに今日は無人。
右奥の小高いコブが大平山だ。
14:34大平山(159m)
こちらは然りげ無く鎌倉市の最高地点。
建長寺の境内に入ると拝観料500円徴収されてしまうので、今回は初めて今泉台へ。
稜線の分岐から3分も下るとそこはもう何処にでもありそうな高台の住宅地。
病院まで距離はあるけれど、運動も兼ねて歩いて行こう。
今泉台からバス路線もあるけれど、見知らぬ土地を散歩するのも好きな私。
この辺りは地元から近場ではあるけれど土地勘の無いエリアだったから、今回歩いてみて脳内地図の空白地帯が更新されました(笑)
訪れたことがない鎌倉湖にも寄ってみたかったけど、予想以上に時間を費やしたため今回は見送り。(流石に出発が遅すぎたか···)
1時間程歩いて病院での用事を済ませて帰途に就いた。
山登りと言えるような内容では無いけれど、鬱屈な生活の気晴らしにはなったかな。

5月14日 24,576歩
港南台(未記録)→瀬上池12:41→ひょうたん池13:38→大丸山13:50→天園14:27→大平山14:34→今泉台14:52→本郷台(未記録)