比良・花と景色を楽しむ充実の比良山地テン泊縦走(2日目:堂満岳〜蓬莱山〜) | 単独行者の山行録

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歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

堂満岳に登るまではまだまだ余裕があった私。
それが山頂に着いた時点でめっきり疲れ果ててしまった。
妥協するのが嫌なのと、人の出がそこそこあって盗難が心配だから、ピストンだけれどザックのデポはしなかった。
結果、ザックを背負った状態で急登をこなしたものだから、予想以上に体力を浪費してしまった格好だ。
堂満岳の山頂もまた展望の良い山で、山頂からは広闊な琵琶湖の大パノラマを一望。


分岐へ戻る途中、昨日歩いた釈迦岳の稜線と伊吹山の遠景
こちらは先程通過したコヤマノ岳
往路は登るのに必死で気付かなかった。
岩の隙間からそっと姿を見せるニホントカゲ
堂満岳を後に分岐まで来た道をぐっと下る。
南比良峠への道は堂満岳の山腹を巻くようなフラットな道。
周囲の森の雰囲気も落ち着いていて良い感じ。
9:04南比良峠に到達。
朝早くから登山を開始したこともあって、既に疲労困憊。
辺りが開けた気持ちの良い場所だったので、近くの岩に腰掛けて休息をとることにした。
広々とした空間の南比良峠。
ここに幕営するのも良さそうだ。
南比良峠から先はアップダウンが連続。
昨日同様にそれはもうバテバテで、一つ登り返す度に休息をとる格好だった。
行く先に無慈悲にも連なる峰々。
ドラクエでいったら既に残りHPは橙色でMPは枯渇しているのに、これからボスの連戦を控えているような気分だ。
それに近くに感じていた左奥に見える蓬莱山がまだまだ遠い・・・。
稜線の雰囲気自体は結構良い感じなんだけどね。
10:05鳥谷山(1,077m)到達。
これまでに歩いてきた山々や眼下に広がる琵琶湖、それに遠く伊吹山地や鈴鹿山脈を望む好展望の頂だ。
左手にコヤマノ岳と重なる武奈ヶ岳、右手に堂満岳と重なる釈迦岳
茫洋たる琵琶湖の大観
そして最奥に最後の目的地の蓬莱山。
と、その前に次のアップダウンのエグさに言葉を失う私。
縦走では往々にしてあることだけれど、疲弊してきた所に予想外のアップダウンに直面した時の絶望感といったら・・・。
エッぐいアップダウンを余力を振り絞ってやり過ごす。
せっかくここまで来たのだから、妥協はしたくない。
縦走路から少し外れた比良岳(1,051m)へピストン。
10:46の到達。
分岐へと戻り木戸峠へと進む。
比良岳一帯は眺望にこそ恵まれないものの、美しい樹林が広がっている。
アップダウンも漸く落ち着き、後は蓬莱山への登りを残すのみとなった。
11:18木戸峠
複数ルートがある中で、何となく汁谷方面へ。
もうこの辺りから観光地といった様相で、ゲレンデや建物などの人工物が目立つ。
僅かに残るゲレンデの雪。
残雪があったのはこことイブルキノコバから武奈ヶ岳に登る途中の北斜面のみだった。
ラスボスの蓬莱山はゲレンデの急坂。
折しも太陽が真上に昇り、日差しの暑さと疲弊しきった体力の中での死闘とも言える過酷さだった。
ロープウェイからの道と合流するとゲレンデの最後のひと登り。
正真正銘、最後の登りだけれど一切の温情を感じられないような登りだった。
そして、何より人の多さに目眩を覚える程だった。
11:57蓬莱山(1,174m)到達。
遠目から見たハゲ山からも分かる通り、山頂は全方位が開ける大展望。
だけれど、それはあくまで開発によるもので、嘗ての名残りが感じられないのは残念なところ。
これでも日本三百名山の一座ではあるのだけど、人工物だらけで風情や情緒が全く感じられない展望だけが取り柄の山が何故選定されたのだろう。
しかも、そこら中鹿の糞だらけだし···
ディスりが多くなってしまったけど、山頂からの大展望、特に縦走してきた北側の景色はこれまでの大変さも相俟って、感動は一入だった。
途中、あまりにも疲れて蓬莱山は切ることも何度も頭に過ったけれど、諦めずにここまで来て本当に良かった。
あの山々を越えてきたんだぞ!と心のなかで胸を張りながら、キツかったけど充実した2日間の集大成とも言うべき景色を地べたに座りながら眺めた。
西側の丹波高地
今回は縦走を見送った南比良の権現山や霊仙山方面。
一見すると結構良さそうな感じのトレイルが続いてるじゃないの!
再訪の楽しみが増えたってもんだ。
信楽高原の遠景や琵琶湖大橋、比叡山を望む
東には奥島丘陵の向こうに鈴鹿の山並み
山頂でガッツリ大休止した後、だだっ広いゲレンデを下って打見山へ。
前後共にハイカーの列が続く
下山はゴンドラ駅の手前を右手に入りキタダカ道へ。
ほとほと疲れていたので本気でロープウェイを使いたいところだったけど、片道だけでも結構お高め。
それにここまで頑張って最後に妥協するとなると、これまでの努力を否定してしまうような気がしたから、自分の足で下山することにした。
ロープウェイ駅と索条を見上げる
琵琶湖南湖と比叡山
キタダカ道の大半が見通しの悪い植林帯だったので、これが山上からの最後の展望となった。
天狗杉の大木
周囲の杉に比べて何倍もの太さを持つ異質な存在。
樹林の足元にひっそりと咲くミヤマカタバミ
意外なところではカタクリが一輪だけ。
まさかまだ見られるとは思わなかった。
最後に町中を抜けて琵琶湖畔へと辿り着いた。
本当に体力的に限界だったので、どっと座り込んだまま、暫く動くことができない状態だった。
山の上から見下ろす琵琶湖も広大だったけれど、湖畔から見るその広さはそれ以上。
流石は日本一広い湖だ。
湖畔に来たのは初めてだけれど、想像とは対照的に澄んだ水を湛えていた。
湖畔の公園で再び大休止をとった後、最寄りの志賀駅へ。
···なんか湖西線の駅って無骨な感じの駅舎が多いなぁ。
充実した比良山地縦走の山行もこれで見納め。
本当に(めっちゃしんどかったけど)素晴らしいあっという間の2日間だった。
電車が来るまでの僅かな時間、次に訪れる機会が何時になるか分からない比良山地の山並みを名残惜しい気持ちでじっと見据えた。

夜行バス出発の時刻までまだまだ時間を持て余していたが、行動する余力は無いので山科駅近くの満喫で残りの時間を消化。
余力があったら京都の街を散策したかったんだけどねー。
春の比良山地は展望は言わずもがな、種々の花々や生き物との出会いがある心躍るものがあった。

4月12日 34,819歩
近江高島駅7:50→長谷寺8:11→岳山9:30→鳥越峰10:18→岩阿沙利山11:08→ヤケ山13:06→ヤケオ山14:01→釈迦岳14:45→カラ岳15:01→八雲ヶ原15:46(泊)

4月13日 46,970歩
八雲ヶ原3:54→イブルキノコバ4:14→武奈ヶ岳4:57→コヤマノ岳6:33→金糞峠7:34→堂満岳8:13→南比良峠9:04→烏谷山10:05→比良岳10:46→木戸峠11:18→蓬莱山11:57→打見山12:58→琵琶湖畔15:00→志賀駅15:59