比良・花と景色を楽しむ充実の比良山地テン泊縦走(1日目:岩阿沙利山〜釈迦岳〜八雲ヶ原) | 単独行者の山行録

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歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

岩阿沙利山到達時点でかなりバテ気味の私。
朝食はしっかりと摂ったつもりでも、やはり夜勤明け夜行バス移動の睡眠不足が祟っているようだ。
コンディションの良し悪しは水分の消費量と小休止の頻度で大体判る。
本当に調子が良い時は20km以上縦走しても500mlの補水で済むし、休憩も大体1,2回程度。
対して今日は持参した水も半分は消費しているし、そもそもアップダウンを繰り返す度に休憩をとる有り様だ。
勿論、久し振りのテン泊の重荷や高い気温による影響もあるだろうけど、とても調子が良いとは言い難い。

想定以上に水を消費してしまったので、鵜川越の水場で水をチャージ。
ここの水場が枯れていたりでもしたら、危うく心半ばでの撤退を決め込むところだった。
鵜川越から先も一つ、二つとピークを越えていく。
途中のピークからは釈迦岳と最奥に比良山地の最高峰、武奈ヶ岳の展望。
これから進む目前に迫り上がる釈迦岳の稜線の高さに不安が募る···
12:41寒風峠到達。
ここから北小松駅へと下ればハイキングとして丁度良い塩梅だ。
しかし、今日の幕営予定地の八雲ヶ原は稜線の先に擡げる釈迦岳の稜線の更に向こう側。
とても今のペースでは予定時刻に間に合いそうにない。
そもそも、辿り着くことができるのか。
いや〜、低山だからと完全に舐めてたなぁ。
13:06ヤケ山。
繰り返されるアップダウンに半狂乱の私。
一山登る度にすかさず休憩をとる。
正面に一気に迫り上がるヤケオ山と釈迦岳。
これまでとは一線を画す見るからにキツそうな標高差に満身創痍の身で乗り越えられるのだろうか。
そしてヤケ山を越えるといよいよヤケオ山の急登へ突入。
もう時間は気にせず兎に角牛歩のペースで体力の温存に努めよう。
この際、日没後の到着になっても構わないと開き直ることにした。
ぐんぐんと標高を上げるに連れて木々は少なくなり、周囲の展望が広がっていく。
左手には再び琵琶湖の景色が見えてきた。
振り返れば歩いてきた山々の連なり。
これまでの山域は1,000mにも満たないことから通称“リトル比良”と呼ばれているそうだ。
低山故になだらかな稜線に見えるけれど、その実幾つものアップダウンが待ち受ける侮れない山域だった。
ヤケオ山の頂が近付くと琵琶湖や鈴鹿の山々をも一望。
北側には左手に釣瓶岳と右手に蛇谷ヶ峰
遠景は野坂山地
僅かながらイワナシの花も
途中何度も立ち止まって休憩を挟みながらも14:01ヤケオ山(970m)到達。
南側には明日目指す最終目的地の観光開発で禿げ上がった山頂が特徴的な蓬莱山と左手背後には比叡山。
一見、あれ?案外近くね?と思ったものの、まあよくある山あるあるで、全くそんなことありませんでした(笑)
開放的で快適な稜線歩きに気分も徐々に復調。
目の前のとんがり頭の釈迦岳までもう少し。
多くの崩落地を抱えるヤケオ山から釈迦岳の稜線は今回の行程でも2、3を争う指折りの好展望。
景色に見惚れて滑落しないよう注意しないとね。
琵琶湖大橋と奥に昨年末歩いた湖南アルプスなど信楽高原の山並み。
彼方に霞む鈴鹿の山並み
琵琶湖南部
沖島と平地に点在する奥津島、八幡山。
そのうち18きっぷ旅で観光と併せて寄ってみるつもりだ。
釈迦岳が近付くにつれて険しさを増す登山道。
際どいところも···
14:36釈迦岳(1,060m)到達。
予想に反して天然林に囲まれた静かで落ち着く山頂。
更に15分程で電波塔があるカラ岳。
15:01カラ岳(1,030m)到達。
足元を彩る稜線上のお花たち。
バイカオウレン
イワウチワ
その後も群落が続々と。
アップで。
景色と花々に癒やされ、すっかり元気を取り戻した私。
目的の八雲ヶ原まであと少し頑張ろう。
致命的な高さの崩落ではないけど、ちょっと危なっかしい。
八雲ヶ原の分岐に到達。
この辺りも幕営して下さいとばかりの広々とした空き地だ。
もういっそうここに幕営しようかと思ったくらい素敵な場所なんだけど、何だかんだ時間に余裕があるので八雲ヶ原へと下りてみよう。
この広々とした空き地、嘗てはスキー場だったんだとか。
右後方に武奈ヶ岳を見ながらゲレンデ跡(?)を下っていく。
おぉー、あれが適地として名高い八雲ヶ原かぁ!
めっちゃ良さそう!
先着者は他にソロの男女1名ずつ。
それぞれから離れた池の畔に幕営♪
近くの小川から採水できるし、控えめに言って最高すぎるw
池にはイモリちゃんがいっぱい!
初めて野生下で悠々と生活しているのを見るものだから、これには感動したなぁ。

そっから中にうじゃうじゃ蠢くアカハライモリ。
子供の頃に熱帯魚屋で300円くらいで2匹買って、せっかく冷凍赤虫も買ったのにその日のうちに脱走されたっけ。
脱走がめちゃめちゃ得意なんだよなぁー。
何かの水生昆虫!子供の頃に図鑑で見たことあるけど思い出せない!

長々と水辺で生き物観察しているうちに時刻は16時を過ぎ――
明日は未明に発つ予定なので、早々に夕食の準備に取り掛かる。
八雲ヶ原の風景
結局、この日の幕営者は私含めた3名だけだった。
ラジオからは京都弁のトークが聴こえてくる。
それが耳にとても心地良く、寝そべりながら聴いているうちに意識が遠のいていった。