信楽・奇想天外の湖南アルプス!(枝〜笹間ヶ岳〜迎不動) | 単独行者の山行録

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歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

遠征2日目の12月25日。

京都北山の山々や湖北の賤ヶ岳、湖西の比良山地、東海に目を向ければ鈴鹿や養老山地なんかも面白そうだと今回の遠征を計画する段階では考えていたけれど、関東の低山とは異なり西の低山の積雪は関東の比ではない。

前夜、直近の情報を収集すると案の定どこもそれなりの積雪があることが判った。

遠征1日目 の山行でそれなりに疲れていたこともあって、ここは無理せず気楽に登れて楽しそうな琵琶湖南部にある2つのご当地アルプスのどちらかに登るとしよう。

その二つのご当地アルプスとは信楽高原の山地にある金勝アルプスと湖南アルプス。

どちらも大津市内にある距離的にも近い山々だ。

前者は遺憾にも平日のバスの便が良くなかったので、遠征2日目はバスの本数が多くアクセスも容易な後者の湖南アルプスに行くことにした。


青春18切符1回目はJR奈良駅からスタート。
京都駅で琵琶湖線に乗り換えること数駅、目的の石山駅に到着。

路線バスに乗り換え終点のアルプス登山口バス停に着いたのは9:02。
わざわざアルプス登山口バス停と名付けられているあたり、人気の高さが窺える。
到着して先ず驚かされたのは、背後の巨大な建造物。
周囲の山々と比べても遜色ないような大きさだ。
巨大な建造物の正体は新名神高速道路の橋梁。
付近は平日とあって作業員や工事車両の出入りが慌ただしい。
巨大な橋梁を過ぎると間もなく低い山並みに囲まれた谷戸のような落ち着いた雰囲気。
でも山並みをよーく見ると至る所から露出する岩肌。
これを見て本家アルプス高山帯の岩稜みたいなものがあるのかと期待せずにはいられない。
そうこうしているうちに富川道登山口に到着。
今回はここから矢筈ヶ岳、太神山、堂山を縦走し、新免若しくはアルプス登山口へと周回する計画だったのだが・・・
シダが鬱蒼と茂る沢沿いの登山道。
関東では稀有な景色の登山道で、その目新しさに早々意気が揚がる。
そして両岸に犇めく巨岩の数々。
高尾山の標高に満たないような低山のくせに、これは凄いぞ!
剥き出しの岩肌と原初を感じさせるシダの密生。
こんな個性的なコースを歩いて気分が昂らない訳が無い。

登山道の脇を流れる斜瀑のような沢は全体が凍結していて見応えは十分。
見るべきものが多くて本当に飽きさせない。
登山道はツルッツルのカッチカチ。
ここは右岸側が割と岩肌が露出していたので、そちら側から迂回。
稜線付近まで登ると背後には大津市街と比叡山。
本当はこの辺りが矢筈ヶ岳への分岐だったものの、道標が無かったので通過してしまい、知らずのうちに笹間ヶ岳へのコースに入ってしまう。
東海自然歩道も通っているので道標は完備されているものと考えての判断だったが、まさかあの分岐の道が矢筈ヶ岳への登山道だったとはね。
なんか違和感を覚えつつも先へ進むと澄んだ水を湛える小さな池。
更にその先には全面凍結した大きな池があって、低山とは思えない特異な景色。
結果的に間違えて笹間ヶ岳方面に進んで良かった。
この山、めちゃめちゃ面白いじゃん!
縦から見るとこの広さ!
国が整備しているこの東海自然歩道の道標、笹間ヶ岳へ0.3kmとあるが実際は···

上の道標を見て漸く笹間ヶ岳のコースに進んでしまっていることを確信。
予定していた縦走ルートから外れている笹間ヶ岳には登る予定は無かったけど、あと0.3kmの地点まで来ちゃったし、ついでに登っておくか。
この付近の景観もまた独特で、およそ山の上とは思えない砂礫のビーチのような景色が広がる。

とりあえず、あとたった0.3kmなので先へと進むと階段の登り返し。
この上が山頂かと思えば山名を示すものは何もなく、登山道は稜線のその先へ。
途中の展望地より望む琵琶湖の向こうには比良山地の山並み
谷を挟んだ正面には最後に縦走する予定の堂山。
その背後には秀麗な独立峰が目を引く近江富士こと三上山も見える。
0.3kmとは思えない距離を歩かされ、10:25漸く笹間ヶ岳(433m)に到着。
どうやらこの大岩の上が山頂のよう。
途中で薄々道標の数字が詐欺だったことに気付きながらも結構歩かされたので今更引き返すのは勿体無いと思い、結局ここまで来てしまったという(笑)
お手製の山名板
笹間ヶ岳からの眺め。
右奥には京都・滋賀境に聳えるなだらかな山容の音羽山。
読みも漢字も全く同じだけれど、前日に登った奈良の音羽山とは別。
右に視線を移すと比叡山や比良山地の遠景。
南側は著名な山が無いのでよく判らない。

笹間ヶ岳を後に来た道を引き返す。
先程の道標を今度こそじっくり見て納得。
0.3kmの0の部分にマジックで書いたような薄い縦線が。
実際のあの道標と笹間ヶ岳との距離は1.3kmあったようだ。(国が誤った道標を立てたらダメだろ···)
結果、往復2.6km以上余計に歩いてしまい、時間的な都合から縦走は断念。
一度富川道登山口へと下山して迎不動から堂山を目指すことにした。
結局、笹間ヶ岳ピストンという形で一度富川道登山口へと下山することとなり、縦走ではなく個別に登る羽目になったのだった。