守れない約束をした。

叶わない願いを望んでしまった。

でのその約束が、願いが。

今日の私を生かしてくれる。

もういない君の代わりに。
「死ね」

そう言うだけ言って何もしないなら、意味がない。
それほどの言葉を吐くならそれ相応の覚悟でしょう?
ナイフでも持たせてあげる。
心臓はここだと教えてあげる。
肉に食い込む刃の感覚を教えてあげる。
だから離さないで。
震えてないで、押し込んで。
あなたが言った通り、私は死ぬから。
望んだ通りでしょう?
怯えるなんて許さない。
その言葉を吐いておいて逃げるなんて許さない。

私はあなたが望んだように死んであげるから、
あなたは私が望んだように狂って生きて欲しい。

それでお互い様でしょう?

私はきっともう誰かを愛せない。

だって誰よりも自分が大事で仕方がないの。

誰かが私を「可哀想」と嘲笑ったり、同情をくれるけれど、そうは私は思わない。

だって誰より私を愛しいと言ってくれた君がいた。

もう君はいないけれど、君が好きだった私がいる。

じゃあその私を大事にしよう。

君が好きだと言ってくれた私のままでいよう。

そう思う。

誰にも間違っているだなんて言う資格なんてない。

私はきっとそう生きる。

それで幸せだと思える。

私が私のままで、またいつか君に会えるのを心待ちにする。

ずっと待つよ。

私の心臓が、君の為に鼓動を止めるのを。

会いに行くよと、胸を叩くその一音を。

私はずっと待ってる。

たまにひどく惨めになるんだ。

あんたといたら。

一緒にいると楽しい。

ずっといたいと思う。

けれどそれを上回る気持ちで

自分が汚いものに見えてくる。

汚いくせにきれいなものに縋ろうとする。

そこで気付くんだ。

こんな手であんたに触れられない。

ああ、自分はこんなにも。

そう気付く。

自分で自分を救う。

最後に振り絞るのは這い上がる自分の強さだ。

汗を拭って、上を向く。

拳で地面を押せ。

土を蹴り上げろ。

前を見据えればいい。
眠った君の頬。

その冷たさに心臓が忙しなくなる。

もう、動かない手に縋る。

だって、この手しか知らない。

この手しかいらない。

ねえ、どうか。

僕の手を取って。
どうせ死ぬのなら今の人生を全うしたい。

動かなくなる体や脳、その全てを酷使したい。

病んでいくよりも、健やかにありたい心がある。

生きるのは辛い時もあるけれど、

もう半分は笑っていられる幸せがある。

こうやって再確認しながら生きていく。

小さな私。

よくもまあこんな世界を作り出したものだ。

小さな子供のように身勝手で傲慢。

手に入らなければ癇癪を起こす。

なんて強欲で愚かしいんだろう。

解り切っている行く末を案じる気すら湧きはしない。

ああ、でも。

最期まで見届けよう。

君がどんな無様な姿で倒れ込むのか。

どんな顔で縋るのか。

それを見たい。

「私」を求めてくれる、その「手」が見たい。
先が見えない不安を君は笑い飛ばす。

でも僕はそれが出来ない。

「君がいなくなる」

逃れられない焦燥。

こんなにも君が儚く笑うから。

こんなにも僕は君を想うから。

うまく笑うことができない。
どうしたらあなたを救えるか考えてみる。

あなたには「自分すら救えないのに」と笑われたけれど、

こんなにも、大切な存在を失いたくはない。

ねえ、どうしても、どうしても。

あなたを救えないのなら、

あなたがいない今日がくるなら。

どうか私にそれに耐える力をください。

どうか私に笑う力をください。