国産の周波数デジタル表示トランシーバーは、ニキシー管を採用したフロンティア・エレクトリックのDIGITAL-500Dで、アメリカではSBEブランドでも販売されました。続いて八重洲のFT-501なのですが、この機種は6KD6パラレルの200W出力、ブリミックス式、真空管とトランジスタの中途半端なハイブリッド化など、企画にフロンティア的なところが多々あります。統一デザインの外部アクセサリー機器が一切無かったのも不自然で八重洲の商品群の中では全く浮いた存在ですので、フロンティアとは何等かの関係があったかも知れません。
初期のアナログ機のデジタル表示機構というのはVFO周波数をカウントし、それを実周波数に換算して表示していました。従って、バンドやモードを変えるたびにローカル水晶発振の偏差を修正するため、マーカー発振器でキャリブレーションする必要があったのです。面倒なことも甚だしいのはFT-101の外部オプション表示器YC-601で、バンドスイッチがあります(もちろんバンドの表示を切り替えるだけ)。その点、使い勝手に敏感なトリオはこんな不便は最初から許容していませんが、八重洲は1977年、しかも最高級機の FT-901DMでもまだバンドやモード毎のキャリブレをやっていました。なお、アイコムではHF再参入はVFOもシンセサイザー化したIC-710(海外ではIC-701)からなので、この手に該当するものはありません。
ただ、本当にバンド・モード毎に正直にそんな較正の手間を掛けていた人は余りいません。アナログ表示と同じで、普段は1kHz台さえ怪しい状態で使っており、バンドエッジとか待ち受け受信、あとはセバレート機ならセバレートらしい送受信別の運用の場合にだけ合わせていたのが実情です。「デジタルで100Hzまで直読」、の広告はニューカマーには魅力的だったでしょうが買ってびっくり、実態はそんなものでした。