さて、前回に続きアキュフェーズ社のことを書いたきっかけから。
先日の事、個人宅を訪ねて横浜市の北方を歩いていたところ、公園や幼稚園などと居並ぶ住宅地の一角に偶然にアキュフェーズ社の社屋を見つけたのでした。社史によればそこに拠点を構えたのは1973年、とかなり歴史がありますから、恐らくは密集した住宅街の方が後から形成されたのでしょうが、はっきり言えば工場立地らしくない場所ですし、しかも路地を入ったところです。そこに見知った社名が突然現れたので少々驚いたのでした。
こうなると色々と気になり始めてアキュフェーズ社のサイトを見たところ、高級品市場に特化して少数精鋭主義をモットーとしているようです。そういえば他業種の話ですが、技術に髙い信頼のある某企業が「作り過ぎに注意しましょう」を標語にしている例があり、アキュフェーズ社も大体そのような経営方針と思われます。私が見つけた施設は本社兼工場という同社の唯一の事業所のようですが、現在以上に展開する目標はなさそうですね。なお、代表取締役社長のS氏の名前には「トランジスタ技術」誌の筆者の一人として見覚えがあります。内容を思い起こすと恐らく同一人物でしょう。
トリオは私が初めて従事者免許を得て9R-59D受信機キットを購入した当時にはまだ企業規模としては中堅で、本社は東京・渋谷にありました。渋谷と言っても繁華街ではなく中心を外れ、しかも路地を入ったところなので大通りを練り歩いて目に入る場所ではありません。そのビルは5階建てくらいだったか?とにかく大企業の地方支店、程度のサイズ感でしたが、屋上には立派なHFビームが上がっていました。
翻って現在のアキュフェーズ社の屋上に見えたのはFM(もちろん放送受信用)のアンテナだけでした。今やトリオ時代を知る人も皆無なはずで、かつアマチュア無線という趣味も凋落した現状では、ハムのクラブももはや存在し得ないのでしょうか。