電波関係の手続きも年ごとに電子化が進みましたが、昔は全て紙での提出、しかも正本副本の2部作成が必要だった、などの事情は「工事設計書の記入」でも書いてきました。しかし、今月(2025/10)から無線局免許状さえも電子化されたのを機会に、もう少し詳しく思い出してみます。
当時の電波法には「アマチュア局では免除・省略」、という例外規定は今よりもかなり少なく、何かにつけプロの世界と同様でした。例えば船舶の通信室などプロの局を見学すると、壁に掲載された無線局免許状などの体裁は全くアマチュア局と同じですし、それにハムだからといって指定事項などの項目の省略がないのにも気づきます。「一体どこが違うかな?」と興味を持って眺めていたものです。そのような中、10ワット局のJARL保証認定による予備免許と落成検査の省略は導入済でしたから、これは当時としては大変な例外措置だったのです。
ただし、JARL認定登録機種の制度による工事設計書のブロック図記載の省略は未実施で、それを全部手書きするのは大変な作業でした。ですから開局申請代行を始めた販売店もあったのでしょうが、大した対価が取れたとも思えず、割が合わない仕事だったことでしょう。
とにかく私・駆け出し者には申請書類をどの程度丁寧に書く必要があるのか分かりません。極端な話、印刷済のブランク様式を使わなくては受理されない、くらいは無意識に思っていました。考えてもみてください。小学校から中学に上がるくらいの子供にとって無線関係の手続きとは、親の保護下でもなく自分ひとりの名の下で行なう恐らく初めての公的申請行為です。当時は私の身近に指導者はおらず、用語からして難しいのにまして手を抜く算段などに頭は回りません。
もちろん本当は法の指定する内容ならば全て手書きで構いませんし、黎明期の申請者は誰もがそうしていたのです。 私は6m 1W移動機のトリオTR-1100があったのに移動範囲を陸上だけで開局してしまい、後に海上を追加したのが最初の変更申請でしたが、その時には市販の様式を買わずに法令集を見て手書きする知恵を得ていました。