曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム -2ページ目

曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

元『BURST』、『BURST HIGH』編集長の曽根賢(Pissken)のコラム

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第131回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「6/8在廊」

佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

●伊藤桂司さんとのコラボ展の時に2人で制作、展示した作品

 

 

 

6月8日に上京し、在廊する事になりました。

週末という事もあり、日帰りですが、都合のつく人は、ぜひ見にいらして下さい。

 

一昨日、

「ブライアンの作品を買いたいんだけど、金額を教えて」

と、旧友の某大手アニメプロダクションのプロデューサーのM君からメールがあった。

金額を書いて返信すると、

「予算オーバーでした」。

 

すると、夜にまたメールが来てて、

「ブライアン、ごめん! 老眼鏡かけないで見てたから、ゼロ一つ多く見えてましたw。購入します」

って。

おいおいww

早速ブログのネタにさせてもらいました。

 

 

[今週のブライアンのオススメ人物像/伊藤桂司さん(UFG Ink.代表、京都芸術大学大学院教授)]

●伊藤桂司さんとのコラボ展の時に2人で制作、展示した作品

 

伊藤さんの作品は、誰もが一度は目にした事があると思う。

巨匠にもかかわらず、驕らず高ぶらず、いつもおだやかでチャーミング。

絵を描き始めの頃から、気にかけてもらい、会うたびに、10年後は伊藤さんの様な人になっていたいな。と、思わせてくれる最高の先輩であり師匠。

 

 

 

 

5月30日(木)鬼子母神は曇り。

 

PM3時半、役所まで歩き、不動産屋へ渡す住民票を取る。

体調すこぶる悪し。

歩くだけで眩暈がし、吐き気もひどく、よっぽど今夜の『BURST公開会議』を休もうかと悩んだ。

が、そんなわけにはいかない。

今夜のホストは私であるのだから。

 

 

PM8時より『BURST公開会議』を阿佐ヶ谷タバサよりライブ配信。

今回は私のお題で、

90年代を迎えるに当たって『BURST』編集長が読んだ80年代一般教養文学あれこれ」

を、ざっくりと私がしゃべりちらした。

ジャンルを絞ったつもりだが、それでも作家名と作品名をあげるだけで時間を取り、浅い話に終始したのが悔やまれる。

 

最後は新作詩「盲目書簡」を読み、10時過ぎに終了。

終了と同時に低血糖症状に陥り、慌ててコーラを飲み、客の若い女子から飴玉をいただき貪る。

で、コーラ代を前田プロフェッサーへ払ってもらい、そそくさと部屋へ帰った。

 

そもそも、20年ぶりに風邪をひいたようで、だいぶ気管支炎も治まってきたが、からだがだるくてしようがなかった。

前回のブログの最後にそのことを書いたら、心配したシギーが電話をくれた。

「コロナじゃないか?」

なるほど、気管支炎なんて記憶がない。

 

そのことを前田プロフェッサーたちへ話そうか迷ったが、どうせ今夜は私がしゃべらねばならないので、コロナのことは黙っておいた。

もちろんマスクもしなかった。

お互い心配したってしようがない。

 

あ、メキシコの危険地帯へ20日間撮影しに行っていた釣崎清隆は、無事、今回も死体にならず帰ってきた。

姿を見てほっとし、思わずやつのからだを触ってしまった。

つきあって25年以上経つが、そんなことをしたのは初めてだろう。

「おう、やっぱり、こんなゴツイからだをしていたのか」

と、少々驚く。

 

なんと、あっちで仕事ばかりして、いっさいラインを引かなかったそうだ。

たしかに、日焼けこそしていたが、全然痩せていなかった。

まあ、そんなことをしながら仕事なんてやれやしないか。

キース・リチャーズ師匠だってそろそろ止めた齢だ。

 

ちなみに現在のメキシコは、ウィードはもちろんハードドラッグ(コカインやヘロイン等)も3グラムまでの所持なら犯罪とならないそうだ。

「ガンジャの副流煙は凄いけど、そこらですぐ手に入る(コカイン)と思うとやらないもんだよ」

 

今回の新作「死体写真」は、次回の増補改訂版『THE DEAD』(キララ社)に掲載予定。

現在、そのクラウドファンディング中なので、興味のある方は検索してみてちょうだい。

(いま覗いてみると、もう230万円以上集まってるな)

 

●左から釣崎清隆、ライターの肥沼さん(ゴールデン街『月に吠える』店主)、私(これでも眼を開いているような?)、ツージー、前田プロフェッサー、前列3人はお客さんの大学生たち。

 

 

 

5月31日(金)鬼子母神は曇り。

 

PM1時、アパートの内見をする。

もちろん、ボスYが一緒に立ち会ってくれた。

立ち会ってくれただけじゃなく、さっそく私の代わりに「ネズミ捕り」へ引っ掛かってくれ、踏みつけた赤いソックスをダメにした。

 

そのあと、不動産屋さんの運転で、高田馬場の店へ行き、書類を書く。

もちろん、私の脇にはボスYが座り、前回のブログで書いた「消毒費」と「なんとかサービス料」は払えないことを伝え、結局「無し」にしてもらう。

 

あとは週明けに金を払えば、契約が済み、6月20日から部屋に入ることができるそうだ。

それまでの間にクリーニングが入るそうだが、内見では(不動産屋さんも驚くほど)十分に掃除がされてあった。

(前の住居者は女性)

 

ボスYと高田馬場から歩いて鬼子母神へ帰った。

ネズミ捕りでソックス1足分をダメにしたボスYは、片足だけ石田純一状態であった。

仕事があるボスYと、コーヒーも飲まず、七曲りの路地入口で別れた。

 

※ここまで書いて、本格的に寝込む。

 

 

[今週の曾根のお勧め作品/   ]

NMIXXつれづれ草]

●5月の学祭ツアーにより第2期覚醒を果たしたソリュン(19)のヴィジュアル。

エモーショナル・レスキューな「ザ・アイドル」の微笑。

 

体調が目黒のサンマ状態なので、

(どちらも)

休載します。

 

 

5月2日(日)鬼子母神は雨。

 

風邪? それともコロナ?

高熱が出るとか、立ち上がれなくなるとかまでじゃないのだが、ただただ気分が悪く、からだがだるい。

食欲もなし。

しかし、未だに「20年ぶりに風邪を引いた」ことがピンとこない。

退院して4年以上、ずっと体調不調ゆえに、風邪の症状がよく理解できないのだ。

とはいえ、昨日は日がな寝込んでしまった。

 

何か食べなきゃなのだが、買い物に出る気力が湧かない。

こうして独居男の悪循環にはまり、我知らず、近所が気づくころには「溶けて」いる。

釣さんはそんな姿でも「いいよ」と言ってくれはするが、どうしても「撮られるならもっと身ぎれいな姿を」と、見栄を張る自分がいる。

ま、溶けた姿を晒しても、死んだ私とは最早なんの関係もない。

 

しかし、詩の言葉は、数千年数万年経とうが「完全」には死なない。

数億年後、誰かの眼に触れた瞬間、言葉という私は存在する。

そのとき、せめて慰めあいたいと殊勝にも思い、以下の言葉をつらねてみた。

(以前にも載せた「盲目書簡」は初稿、今回は2稿目である)

 

 

BALLS用新作詩]

 

 

「盲目書簡」(第2稿)

 

 

あなたがこの書簡を読み始めるとき、すぐそばに私がいる。

遠い距離と時間を超えて、あなたのそばで私の言葉がかすかに部屋を温める。

お互い夜の雨を眺めながら、ひとつきりのティーパックでミルクティーを淹れよう。

金はなくともミルクはたっぷりだし、友に欺かれるよりも、友を疑う方がよっぽど恥ずかしい。

善人面したものが誠実ではありえない。

騙されてもともとだ、あなたも相手を疑ってかかったのだから。

われわれにはどこまでも狂気がついてまわる。

自分だけでも賢明でありたいなどと願うのは狂気の沙汰だ。

バランスのとれた人間なんて正気じゃない。

あなたの魂の欠陥こそが、あなたの宿命の羅針盤なのだ。

クリミアの塹壕に天使の避妊具が落ちていないように、クレムリンの脱毛サロンに魔女の縫い針は落ちていない。

あたかも電球の光が太陽を照らし出すように、たったいま、天井からぶらさがった運命が、われわれの美徳と悪徳を照らしていることを認め、ひとつきりのティーパックでミルクティーを淹れよう。

 

 

あなたが誇り高く、臆病で、貧しく、群衆から疎外されているのなら、せめて襟を正し、独り裏通りを颯爽と歩け。

どんな人間の人生であれ、それがどれほど複雑で、かつ充実したものであっても、実際は一つの瞬間から人生はなりたっているのだ。

そう「わたしは何者なのか?」を永久に知る瞬間のことだ。

あなたは知るだろう、通り雨が街角を折れ、襟を立て颯爽と歩くとき、友に欺かれるよりも、友を疑う方がよっぽど恥ずかしいと。

他人に対し頭が高いものは、滑稽で、不名誉以上にちっぽけだ。

けれど、自分に対し頭が高いものは、武勲以上に輝かしい。

たまに己惚れでもしなけりゃ、この世にそう楽しいことはない。

太古より、戦士の「謙虚」とは、生贄を捧げる祭壇であるけれど、人生には時として、自惚れて、気が狂うしか切り抜けられない、そんな厄介で、無分別な状況があるものだ。

 

 

自分がどこまで不幸であらねばならないのか?

それを知るのも一種の幸せなのだ。

自分の中に安らぎを見出せなくて、よそを探しても無駄だ。

あなたは、今、思っているほど不幸でもないし、昔、願っていたほど幸せでもない。

こちらから良いことをして上げよう、という立場にいる限り、恩知らずには出会わないものだ。

夜の雨を眺めながら、あなたは膝をついて認めなければならない。

世の災いと幸不幸の原因はわたしの誕生と死にあるのだと、わたしの魂の欠陥こそが神話の注釈となるのだと。

なぜなら、あなたの生き方が世界そのものだからだ。

 

 

運が奴らの悪行を支持していようが、明日、不支持に回ろうが、友に欺かれるよりも、友を疑う方がよっぽど恥ずかしい。

あなたの苦しみこそ地上における苦しみの最大値なのだ。

一万人の男女があなたと死んだとしても、あなたが一万倍苦しむわけじゃない。

貧困も苦痛も累積することはない。

ゆえにあなたの幸せが地上における幸せの最大値なのだから、一万人の男女の幸せをうらやむな。

苦しみと共に祝福せよ。

古の筆によれば、人類には常に三十六人の正義の味方がいるそうだが、そのうちの一人は間違いなくあなたなのだから。

 

 

2024/5/29

 

 

 

かなりストレートな物言いの作品なので、少々気恥ずかしいが、友への手紙は、どうしたって恥ずかしいに決まってるから諦めよう。

(そもそも古今東西の「友への手紙」からさらってきた言葉の切れ端のコラージュだ)

 

おやすみなさい。

今日もまだからだも気持ちもつらい。

どうやら七曲り荘が「終の棲家」として最後のあがきをしているような。

つまり「ここで死ね」と絡みついているような気分がしてきた。

 

何も食べたくない。

が、食べよう。

 

[夕食]

●スイカ(8分の1)

●グレープフルーツ

●冷たいパック茶碗蒸し

●ゴルゴンゾーラ・チーズ&クラッカー2枚

●ミルクティー

 

けっこう食べた。

スイカは初物。

(確か、去年は食べ損ねたような)

微熱があるのか、塩をふった冷えたスイカがめっぽう旨い。

あなたも、体調が悪いなら、いや健康なら尚更、スイカはいかがかな?

良い夢を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第131回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「東京でグループ展開催中」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

●「もし夢を叶えたいのなら、十字路へ行って悪魔に魂を売ればいいよ」

昔、曽根さんがゴッホ美術館へ行った時の話を聞かせてもらった事があった。その時の会話からヒントを得た作品。

 

 

 

 

グループ展がはじまって、2点ほど購入してくれた方がいた。

ありがとうございます!

あと、

「インスタに載っていた絵はないんですか?」

とギャラリーを訪ねてくれた人がいたそうだ。

(前回、ブログに載せたUFOの絵)

最近描いたので、まだ手元にあるんです。

申し訳ない。

 

あ、そうそう!

今回、その場で購入し持ち帰りがOKだそうです。

サインのない絵は、後日ギャラリーから、作品証明書が届くみたい。

1ヶ月開催しているので、読者の方はタイミングをみて是非見に行ってみて!

 

 

[今週のブライアンのお勧めテキーラ/ドンフリオ・レポサド]

 

久しぶりに、ドンフリオでも飲みながら絵を描きたいなと思い、業者さんに予約注文。

届いたのは10日後くらい。

「納品書です。置いておきますね」

「ありがとうございまーす」

あとで、カウンターに置いてあった納品書を見たら、コロナ前より2000円位値上がりしててびっくり!

でも、まあ、しょうがないか……。

 

絵の具と画用紙を準備して、早速一口飲むと、鼻にぬける甘〜い花の香りのような匂い。美味いわ〜。

なんか天国にいる様な気分になるんだよな。そして、絵も進む進む。

ちなみに4日で全部飲み干しました。笑

 

 

 

 

 

5月21日(火)鬼子母神は晴れ。

 

昼前、ケイタイの着信音に起こされる。

コアマガジンの担当Tからであった。

半分まだ眠った耳に、元同僚Teの死が伝えれらた。

 

彼と連絡がつかなくなったライターの某が「虫の知らせ」をおぼえ、警察に頼み、部屋を調べてもらうと、死んでいたという。

自殺ではないが、まだ死因は不明。

しかし、今年になって、体調不調をXでこぼしていたらしい。

 

Teは会社の先輩であったが、同い年(ただし学年は上)で、いろいろと因縁があった男であった。

お互い、性格に難があったので、酒席であわや殴り合いをする寸前に――皆が止めた――なったこともあった。

(殊勝にも、翌日Teは謝りにきた)

 

当時、彼は『ブブカ』の編集長、私は『BURST』の編集長だった。

ある年の、忘年会の三次会で、末井昭さんとコアマガジン社長(私の親分)の中澤が、

「さっきまで、次のコアマガジンの社長は、Teがいいか、曽根がいいか、話してたんだよ」

と、酒席の戯れ言をもらしてくれたこともあった。

が、もちろん、

「結論は、どっちもダメだな」

と、ちゃんと正しく我ら2人の未来を予測していたのだった。

 

 

Teの死を伝えれ、ケイタイを切ったあと、煙草を吸いながら思った。

「あの頃から、ずいぶんと時が経ったんだなあ」

と。

「あっけないもんだ」

私が、4年前に死んでいたら、それを耳にしたTもこんな気分だったろう。

 

 

Teとの悪い思い出は、ずいぶん前に消えており、けっこう仕事についてのエピソードが記憶に残っている。

ひとつは、以前も書いたが、2001年7月号『ブブカ』の奥菜恵スクープについて。

 

たまたまその色校を見た私が、どれだけ部数を乗せたんだとTeに訊いたところ、1万ほどだとぶっきらぼうに答えたので、そりゃ、ないだろ、100万部でも完売するぞというというと、突然、私の手を握り、

「そうだろ! じゃあ、いっしょに営業へ言ってくれ」

と、そのまま営業へ行き、2人で談判したこと。

(それでも、ようやく10万部を乗せただけ。もちろん瞬殺完売)

 

もうひとつは、相棒のユージに編集長を譲った『BURST』が売れず(ユージのせいではなく、もう雑誌の寿命が尽きていた)、当時流行っていたDVD付き雑誌(その分ページを減らす)に形態を変更しようと、企画会議にかけたところ、Teだけが

「バーストは、読み物が面白かったんだから、雑誌のままのほうがいいよ」

と、言ったこと。

「へえ、こいつけっこう認めてくれてたんだなあ」

と、意外に聞こえたことを、今も憶えている。

 

また、返本率7割後半を叩きだした『SEX BURST』の企画会議でも、

「スカトロとかSMとかやめて、グラビア中心のソフトな内容にしたほうが『BURST』読者も買いやすいよ」

と、ホント、まっとうで建設的な、プロの意見をとなえてくれたことも懐かしい。

ま、どちらの意見も、まったく聞かなかったわけだが。

(彼の意見が正しかったと認めたのは会社を辞めて数年もしてからだ)

 

 

ここ「七曲り荘」に暮らし始めて12年目。

その間に、ずいぶんと友人知人が死んだが、もはや、それほど感慨にふけることも少なくなった。

やはり、本来なら、私のほうが4年前に死んでいたはずだったこと。

そして当たり前だが、ひとは誰もが死ぬし、自分も死ぬってことだ。

 

「死んだやつはほっとけ、おれはこれから朝飯だ」

という、誰かの詩のフレーズが好きだと、吉行淳之介がエッセイで書いていた。

そう、死人と「自分の死」につきあうことはない。

生きているあいだだけが「私」なのだから。

 

 

[遅い朝食兼昼食]

●マルちゃんZUBAAAN! 豚骨魚介中華そば(煮豚スライス、茹で卵、生ワカメ、ネギ)

●グレープフルーツ

●ミルクティー

 

40を過ぎてこっち、衰弱した内臓がインスタントラーメンを受けつけず、年に2、3度しか食べないのだが(食べる度に悔やむ)、今年になって、この商品の点数は高い。

(若かったら点数は倍になっていただろう)

同じ「ズバーン!」で背脂醤油(?)ってやつもなかなかだ。

 

煮豚も茹で卵もつくりおき。

テーブルの卓上コンロで調理しているせいもあるが、酒を呑まなくなって以降、もう凝った料理をつくる気にはなれず、肉・魚・野菜を、煮るか焼くかの独居暮らしである。

が、塩か醤油か酢で味付けすれば、十分おかずとして上等だ。

そもそも、ごはんが1番好きな「米どころは大崎平野のど真ん中生まれ」の男であるからにして、糠漬けのカブだけで一膳ぺろりなのだ。

糖尿病患者にごはんは麻薬であるけれど。

 

 

[絶賛発売中]

文芸誌『スピン』河出書房新社/300

掌編「雑司ヶ谷鬼子母神『七曲りの路地』奥の

七曲り荘二〇二号室からずっと」曽根 賢(PISSKEN

 

 

 

5月22日(水)鬼子母神は晴れ。

午後、ケースワーカーより電話あり、やはり「引っ越し代」は大家さんへ頼んでみてくれという。

(ただし、大家さんが拒否すれば区が払うという)

先日、池袋の生活課へ行った際、引っ越し代も区が持つと、2人のケースワーカーから返事を貰っていたのだが。

その件は、すでに大家さん(の娘さん)へ話してあったし。

 

もちろん、すぐに大家さんへ話に行く気にはならず。

眠るまで悶々とする。

「金の話か」

その後、3度も悪夢で目覚める。

 

 

NMIXXつれづれ草]

 

●先週は毎日学祭に出演し、木曜日(23日)などは、夕方6時と8時スタートの学祭2つを掛け持ちしたりと精力的にソウル学祭ツアーを回ったNMIXX。ソリュン(ヴィジュアルと馬鹿でかい声)とリリー(ハイトーン)という「飛び道具」が遺憾なく発揮され、確実にファンを増やした模様。

公式がそのライブ映像2校分をYouTubeにアップし、その歌唱力の高さに、あらためてKPOPファンの度肝を抜いた。

(どちらも2日ほどで50万回再生を超えた)

 

●学祭が始まったあたりでスタイリストが変わったという情報が元JYPスタッフから流れた。確かにシンプルだがフレッシュなスタイリングとなっており、ファンには好評である。

 

●高麗大学(韓国3大トップ校)のステージのMCで、リリーが「母の母校」だと初めての情報を語り、母が来ているのでと、校歌を観客と大合唱となった。

当日、X上で「高麗大学には学校公認のNMIXXファン・サークルがある」と知らされた。

山口百恵が本格的に跳ねる寸前、東京大学で「山口百恵を守る会」が結成されたことを思い出した。

私の持論に、インテリに評価されるサブカルチャーこそ「ホンモノ」がある。

 

●それにしても、各大学かるく1万人以上の観客を動員し(高麗大学は3万人はいたんじゃなかろうか)、それを前にハンドマイクで踊り回るメンバーの嬉しそうなことよ。特にソリュンは毎回嬉しさが爆発し、その「将軍ヴォイス」を轟かせたのであった。

 

 

 

●5月25日の誕生日で18歳になったマンネ(最年少)のキュジン。第4世代第5世代中、屈指のダンサー。なのに歌がうまく、ラップも凄く、細かい小言や指示で副リーダーのポジション。私の眼には、まだまだこれから覚醒段階を上ってゆくだろうKPOP界の逸材である。彼女の小言がある限り、NMIXXの成長はつづく。

 

 

 

5月23日(木)鬼子母神は薄曇り。

 

体調最悪。

しかし意を決して、1階の玄関のチャイムを鳴らす。

珍しく、娘さんではなく、大家さんが迎えた。

要件はやはり拒否。

ホッとする。

 

散々、家賃を滞納に滞納を重ねておきながら、今さら引っ越し代を払ってくれはないだろ。

とはいえ、現在も、ほぼ寝たきりの私が、段ボール箱を運べば、以後3カ月は本格的に寝込むのは、過去で何度も実証済み。

 

そういや、結婚前の20代前半、同棲していた4畳半(便所共同、風呂無し)から、近くの6畳(風呂無し)へ引っ越す際は、机や冷蔵庫までひとりで担いでいったっけ。

そうそう、この七曲り荘へ来た際も、ボスYがテーブルをくれ、2人で下げて歩いたもんだ。

コンビニから台車を借りたのもボスYだったな。

 

あのときは、家を追い出された身であったから、

荷物は段ボール箱で2つくらいで、布団もなかったっけ。

着るものもバッグに1つぶんほどか。

なにせ、ボスYの事務所のマンションのゴミ捨て場から拾った、つんつるてんのセーターまで着てたし。

 

今はだいぶ本と着衣が増え、本は棄てるつもりだったが、砂丘くんがいくつか引き取ってくれるという。

私は本を大事にしないので、売り物にならないのだ。

20代のころはかっこつけて読む分だけ引きちぎっていた)

 

 

[夕食]

●カツカレー(スーパーの総菜とレトルト)

●ラッキョウ(総菜屋から)

●冷やしておいたほうじ茶

※トンカツは、薄く中くらいのやつが2枚入って320円。

1枚は明日へ。

 

 

味気ない、まったく身にならない食事。

総菜屋のラッキョウの味はいいが。

それでも、レトルトカレーは富良野のご当地ものだ。

 

昨日からの「金の話」の気づかれで、何もつくる気になれなかった。

が、大家さんとの話し合いが穏便にすんで、気分はだいぶ楽になった。

食後、クスリを飲んで眠る。

 

 

 

5月24日(金)鬼子母神は晴れ。

 

午後3時、ケースワーカーへ大家さんの返事を伝える。

どうにか穏便に話が進んだ。

が、課へ送られてきた不動産屋の見積書に、「消毒代」と「???サービス料?(忘れた)」(どちらも1万6千円くらい)とあったが、この2つはこちらでは払えないとのこと。

 

「消毒代?」

不動産屋から聞かされていないので、電話をしようとケイタイを手にしてから、やはりいったんボスYへ電話する。

31日の内見の際に、理由を聞き、払えない旨を伝えようとなった。

それでもどうしても払わなきゃいけない場合は、う~む、どうしようか?

ま、もうここまで来たら、どうにかなるだろ。

 

 

[朝食兼昼食]

●カツ丼(玉ねぎ、トンカツ、卵2つ、一味を振り海苔をもんで)

●カブとキュウリの糠漬け

●冷やしておいたほうじ茶

 

 

カブをおそるおそる噛んでいるうち(前歯がぐらぐらなので)、死んだTのことで、ある記憶が蘇った。

 

20代後半、私がエロ編集者時代のことだ。

同僚の机にあった「エロ告白」誌をざっとめくってみると、その号で休刊だという。

少年出版社(コアマガジンの前身名)の『ルポルノ・マガジン』、当時よくあったA5版の文字ものエロ雑誌だ。

(募集した女の告白が何十編とあつまったもので、漫画雑誌くらいツカが厚い)

 

私も、同様の『大人倶楽部』とか『官能時代』とか編んだことがある。

が、びっくりした。

その雑誌の本文がオフセット印刷で、小見出しまで写植だったからだ。

まだ、その手の雑誌の本文は活版印刷の時代である。

「少年出版社はしゃれてんなあ」

と感心した。

 

で、その号の編集後記が引っかかった。

編集長が、会社の休刊(=廃刊)の判断に対して、色々とモノ申していたのである。

「往生際が悪い」

とも思ったが、会社の方針に反対するあたりが、私の胸をひっかいたのである。

それがTeだったのである。

 

もしかしたら、私も2冊同時に(事実上)発禁となった頃かもしれない。

曽根にはエロ本をつくらせちゃいけないと、会社側から、お荷物となっていたころかも。

つまり、『BURST』の前身雑誌である『クラッシュ・シティ・ライダース』を企画し始めたころか?

 

お互い、編集者として、あとがないころだったろう。

どんな職種でも同じだろうが、編集者の失敗は1度まで許される。

がしかし2度目に失敗すれば編集者失格となるのだから、さあ、大変。

そんな2人が同僚となり、ほぼ同時に編んだのが『ブブカ』に『BURST』だ。

最初は2誌とも全然売れず、呑み屋で愚痴を漏らしあった一夜もあったな。

お互い31歳であったか。

あれはあれで、編集者の青春であった。

 

 

[今週の曽根のお勧め作品/ボブ・ディラン「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」MVYouTube)]

20代前半(85年前後)、このMVとシド・ヴィシャスの「マイ・ウェイ」の映像、コッポラの『地獄の黙示録』が、私へ与えた衝撃は、その後の、私のヴィジュアル嗜好を決定づけた。

ディランで1番好きなアルバムが『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』(1965)なのだが、そのオープニングを飾る曲のMVMVの先駆けとされる)。

●ディランが次々と歌詞の一節を描いたボードを見せては棄てるを繰り返すだけのシンプルなアイディアが素晴らしい。またボードに描いた色々なタイポグラフィーも秀逸である。

 

●ディランの「この世のものともいえぬ生意気な表情」とうしろを徘徊するギンズバーグの対比が笑える。この曲がラップの嚆矢であるとも言われる。

 

 

 

 

5月25日(土)鬼子母神は晴れ。

 

月末まで金がギリギリだが、米が切れたので5キロ買い足す。

ま、米さえあれば、こころは豊かだ。

先祖は農民なのだから、代々、血がそうさせるのだろう。

もちろん、ごはんが1番好きな「米どころは大崎平野のど真ん中生まれ」の男であるからにして。

 

 

[夕食]

●がんもどきの煮物(大根、人参)

●豚スペアリブ塩煮(ひとつをスライスしてポン酢&辛子)

●納豆

●カブとキュウリの糠漬け

●ごはん

●ほうじ茶

 

 

スペアリブ肉が半額。

で、子どものこぶしほどのがんもどきが3つ入った袋も半額で、気づけば2袋を籠に入れていた。

で、それを大根と人参と煮しめたらば、田舎の法事に出る大鉢いっぱいになってしまった。

自炊煮物は、やはり独居男には、どうもね。

さて、冷蔵庫に入るかしら?

 

 

おやすみなさい。

まともな夕食を食べると、たちまちまぶたが落ちてくる。

どうにも目覚めてから喉が痛いな。

あれ? これってもしかしたら風邪?

そういや、エアコンの除湿をかけたまま寝たら、朝方寒くて起きたっけ。

 

風邪のひきはじめか?

風邪なら、40歳の正月にインフルエンザで死にかけて以来20年ぶりだぞ。

やばいな、七曲り荘に籠る魂が、引っ越しを阻止しようとしてるのかもしれない。

ここを終の棲家にせよと。

早く眠ろう。

元同僚へ黙禱しながら。

良い夢を。

 

 

[5/30 遊びに来てちょうだい]

#BURST 公開会議 #40
5/30
(火)
OPEN 19:30 START 20:00
¥1000
D @TABASA_asagaya
http://asagayatabasa.com

観覧できます! ぜひ会場で!

配信アーカイブ
https://m.youtube.com/@user-lf9ff9zw5v/streams


#ピスケン #ハードコア文学 #ポエトリー
#ハードボイルドムーン
#肥沼和之 #ケロッピー前田
#釣崎清隆 #TSOUSIE

 

 

90年代からゼロ年代にかけて、最も過激なストリートカルチャー誌として時代を疾走した『#BURST』のオリジナルメンバーがお送りするネット配信トークイベント。
今回は #BURST 元編集長にして作家・詩人 #ピスケン が「#ハードコア文学 #基礎教養」と銘打って#BURST 読者やそれに憧れる若い世代のために 無頼で野蛮でパンクな 詩人・小説家たちとその作品を解説します。


いまでこそネットやSNS、少し遡るなら雑誌や映画や音楽からカルチャーを学んでいた時代がありましたが、さらにその根底には文学や詩といった「言葉」による新しい表現の開拓者たちの戦いがありました。

1960年代に始まるカウンターカルチャーも「ビート・ジェネレーション(ケルアック、バロウズ、ギンズバーグ等)」と呼ばれるジャンキー作家たちがけん引役となったのはご存知の通りです。

ゲストに今は亡き作家・永沢光雄を追って、ノンフィクション作品を執筆している ジャーナリスト #肥沼和之 を迎え、「言葉」による表現が人生に及ぼす影響について、BURSTレギュラーメンバーと語り尽くします。

ご期待ください!

 

●曽根 賢(PISSKEN

1)吉行淳之介 短編「鳥獣虫魚」「出口」、エッセイ集『軽薄のすすめ』――グロテスクな性愛を描き、また政治から離れた遊び人の思想を説いた作家。

人生の指南書。硬派より軟派、重厚より軽薄、堅気より遊び人。純粋・純情・純愛なる胡散臭い嘘っぱちを信じないこと。思想よりも生理を信じること。あらゆる声のでかいものへの嫌悪。体制側へつくことの危険と羞恥心。それを語る吉行淳之介さえ疑ってかかる姿勢。

娼婦、SM、ゲイとオカマ、男娼、立ちんぼう、フェチズム、スカトロの紹介、奇妙な味の作家の評価――サキ、ロアルド・ダール等。

 

 

2)ヘミングウェイ 短編集『われらの時代』――その中の特に「二つの心臓を持つ川」は、その後、オマージュした作品を曽根は書くことになる。

センチメンタリズムを表面上排除して、娼婦やレイプや殺し屋やパンチドランカーのボクサーや、闘牛士などを、新聞記者のようなリアリズムの筆致で描く。

 

アメリカ文学――「ロストジェネレーション」フィッツジェラルド、ヘンリー・ミラー、フォークナー、『ロリータ』ナブコフ。

「ハードボイルド」ハメット、チャンドラー、村上春樹翻訳で有名になった短編作家レイモンド・カーヴァ―。

 

 

3)無頼派――坂口安吾 評論集『堕落論』――その中の特に「不良少年とキリスト」を『BURST』5号に全文掲載した作家。太宰の情死の報を聞き、太宰論、芥川論、文明論を展開。

織田作の死を悼みながらもシビアに評論する「大阪の反逆」。酒と女とドラッグまみれのロックスター。

 

 

4)戦前の私小説(心境小説)作家たち――葛西善三、嘉村磯田(かむらいそた短編「七月二十二日の夜」、近松秋江(しゅうこう)短編「黒髪」、志賀直哉 短編「濠端の生活」、川崎長太郎 短編「抹香町」――80年代にとことん否定された「私小説」作家たち。

 

 

5)田村隆一 詩集『四千の日と夜』――萩原朔太郎 詩集『月に吠える』、金子光晴「おっとせい」、横光利一 短編「春は馬車に乗って」、梶井基次郎「檸檬」、中原中也「月夜の浜辺」、宮沢賢治 詩集『春と修羅』らの、しかばねを選別し、その骨の響きのみを伝えるハードコア詩人 。

 

 

 

 

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第130回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「来週から東京でグループ展」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

アブダクト/2024 

 

 

Butt  Tatoos2024

 

 

 

 

来週火曜から、ドローイング作品のグループ展が開催されます。

お会いした事はないけど、一緒に展示するイ・ドンギさんはBTSのジャケやステージセットをやったりしてるかた。

曽根さんの大好きなNMIXXじゃないのが、ちょっと残念……でも、いつか絡みがあるかも知れないと期待!

 

自分の作品は10点展示されます。

考えてみたら、ドローイングの展示は初めてなんだよな。

いつものこってりとは違う、ゆる〜い感じの絵を是非見に行ってみてください。

 

 

Sho1では、2024521()より6月25()までの期間、クララ・デジレ、イ・ドンギ、佐藤ブライアン勝彦、付箋girl®4名によるグループ展「夢の中のお伽話 fairy tale in a dream」を開催いたします。

本展は、4人のギャラリー・アーティストによる新作のドローイング作品で構成いたします。

それぞれのアーティストは、普遍的な無意識と個人が経験した出来事に関する記憶を結びつけ、虚構と現実を交錯させながら作品に落とし込んでいます。

ハイファンタジーとローファンタジーの境界を自由に行き来する4人のギャラリー・アーティストが放つ躍動的な作品の数々を、この機会に是非ご高覧ください。 

 

「夢の中のお伽話 fairy tale in a dream

会 期|2024年5月21() - 625()

時 間|12:00 - 18:00 / 日・月・祝 休廊

会 場|Sho1  東京都台東区上野1-4-8 上野横山ビル1F 

 

https://shoplusone.com

 

 

[今週のブライアンのお勧め画材/マルマンのヴィフアール水彩紙]

今回の展示の為に使用した紙はこれ。

水彩紙に描いた事がないので、画材屋さんで何種類かのメーカーさんのを見て、何となくこれだな! と購入。

細目から荒目まであるんだけど、どれもいい感じでした。

 

 

 

 

 

5月15日(水)鬼子母神は薄曇り、夜から雨。

 

「遍在する自殺の機会に見張られながらおれたちは生きてゆくのだ、これがおれたちの時代だ」

 

これは大江健三郎の長編『われらの時代』の末尾の台詞だ。

次回の『BURST公開会議』は、私のお題で、80年代に私たち(ケロッピー前田、釣崎清隆)が、90年代を迎えるにあたって読んだ「一般教養文学」であった作家&作品を語り合う、文学セッションとなる。

 

私にとって80年代とは、高校1年生16歳から26歳の時期だ。

私がエロ本編集者となったのは90年だから、このお題が浮かんだのだ。

前田プロフェッサーは同い年、釣さんは2つ下だが、まあ、ほぼ同い年でいいだろう。

 

いつの時代でも、大江健三郎は、当然読んでおかなければならない作家だが、80年代の高校生ならマストだった。

もちろん、うちのド不良校で、大江健三郎を読んでいたのは、たぶん私と数人くらいだろう。

が、ちょいと本好きな高校生なら、1冊は手にとったはずだ。

 

大江の文体はクセの強い悪文だが、それが当時は新鮮で、80年代初期の高校生にも「これぞ純文学」と思わせるスタイルであった。

ここに何度も書いたが、特に17歳の誕生日に読んだ短編「セブンティーン」の、読後の興奮は忘れられない。

私が「一人一殺」のテロを容認するのは、間違いなくこの作品の影響だろう。

(主人公のモデルは山口二矢)

 

で、先の主人公の台詞だが、これは60年代のインテリ学生の厭世的な諦念であるが、時代は変われど、こういう思いに駆られる青年はいつだって一定数いるだろう。

その数はけっこう多いかもしれない。

とはいえ、「これがおれたちの時代だ」と言い切るには、やはり「おれたち」と、他者との連帯を信じさせる時代感がなければならないだろう。

 

しかし(私には)80年代には感じられなかったし、90年代にも感じたことはない。

ましてや今の時代に?

いや、現代に、そんな連帯感はいらないと思う。

集合より孤立。

全体主義より、エントロピー増大への加速。

 

市民のひとりひとりが独立することこそ民主主義の理想なのだし。

ま、いつだって権力側とその犬や豚は、市民に「連帯」を誘うのだけど。

 

 あなたの苦しみこそ、この地上における苦しみの最大値だ。

 あなたの幸せこそ、この地上における幸せの最大値なのだ。

 貧困も苦痛も幸せも、決して累積することはないのだから。

 だから、孤立を恐れず、ぜひ、ひっそり孤塁を守った生活を送ってほしい。

 特に、モラルを足場にしていない言説には耳を貸すな。

 大きな声でかたる奴らの、一聴合理的な正義は、大概、私怨を足場にしたルサンチマンでしかない。

 唾棄せよ、小僧よ。

 

――てな、アジテーションを内に含んだ7行詩を朝方書いて、連載詩として担当Tへ送った。

昼にケイタイのメールを確認すると返事があり、珍しく今回もお褒めの言葉があった。

「すごく前向きな健全な詩じゃないですか」

Tに「健全」と言われると、ホントに自分が健全な人間なような気がしてくるよ。

 

 

[毎度のくどい宣伝]

文芸誌『スピン』河出書房新社/300

掌編「雑司ヶ谷鬼子母神『七曲りの路地』奥の

七曲り荘二〇二号室からずっと」曽根 賢(PISSKEN

 

 

 

ところで、常々思うことなのだが、あのころコルホーズや文化大革命を支持し、地上の楽園とされた北朝鮮を夢見ては、日本でも「共産革命」を起こそうと躍起になっていた学生たち、労働者たち、いわゆる「団塊の世代」の誰が、その後に「自己批判」の言葉をわれわれ年少者へ語っただろうか。

「おい、謝らなくていいと思ってるわけか? 誰もが犯す青春の過ちだと?」

私を危うく「平壌の水槽」へと落としそうになったというのに?

 

ま、今さら謝られても、こちとら気づけばもう60だしなあ。

韓国の同い年なんて、80年に「光州事件」だし(軍事独裁政権下の弾圧だが)、今さら当時の権力側の犬と豚から謝れても、銃殺されたり拷問された高校1年生のからだと魂は癒されることはないだろう。

正直、90年代から2000年代前半まで、いけない雑誌ばかり編んできた私も、謝る気なんてさらさらないしな。

つくづく大人を信じちゃいけないよ、小僧たち。

 

 

いや、80年代の文学基礎教養を思い出して、作家と作品を思い出しているうち、あの「殺伐とした東京」が思い出され、少々、筆が荒くなった。

まあ、殺伐としていたのは私のほうに決まってるが。

しかし、自殺の機会に見張られていた気はしない。

41歳前後の数か月くらいか。

(ヤバかったある日の10分は忘れられない)

貴重な体験ではあるが、もちろん、二度と経験したくないもんだ。

 

 

[夕食]

●釜揚げしらす入りトロロ(大葉と海苔)

●煮豚(辛子酢醬油)

●カブの糠漬け

●ごはん

●ほうじ茶

●甘いラスク

 

 

80年代に読み、90年代の『BURST』編集長へ影響を与えた(漫画以外の)作家とその作品をつらつら思い出してみると、出るわ出るわとビックリするが、しかし、その原点はやはり私の場合、中学3年生のときに初めて読んだ吉行淳之介である。

彼が勧める作家・作品を読んでいくうちに、枝が伸びていくように、多くの作家に出会え、そのうち自分の作品を表現するようになったのだし。

 

おそらく彼の作品だけは、対談も含め、そのほとんどを読んでるが、高校生の私にとって彼のエッセイこそが、人生の指南書であった。

硬派より軟派、重厚より軽薄、堅気より遊び人。

純粋・純情・純愛なる胡散臭い嘘っぱちを信じないこと。

思想よりも生理を信じること。

あらゆる声のでかいものへの嫌悪。

体制側へつくことの危険と羞恥心。

それを語る吉行淳之介さえ疑ってかかる姿勢。

 

高校生の私にとって、彼は師匠であり、何でも真似したいアイドルであった。

そんな私が、堅気の世界で「健全」に生きることができようか。

いや、あくまで本人は健全な「部分」もあると自負するけれど。

 

 

80年代以降、上野千鶴子らのフェミニスト一派から、女性蔑視者、ミソジニストと叩かれてきた吉行だが、上野らの座談会を読むと、彼女らこそ生理的男性蔑視者で、それを恣意的論理で押しつぶそうとしているのがみえみえで、下品極まりないのであった。

(これを書いている今、上野の共同親権に対する無茶苦茶な物言いが炎上中だったのを知る)

百歩譲って、吉行がミソジニストであっても、それはマッチョ的ミソジニストではなく、女にモテるミソジニストなのだ。

(もっと女は怒るか)

 

とはいえ、フェミニズムを教わったのも吉行であり、論理的に「女」を嫌いながら、結局「女」を嫌いになりきれない「男」の生理を語っていたのが吉行だった。

ゆえに、女性フェミニストは、論の上に論を重ねるじゃなしに、女の生理から論を立ててもらいたい。

 

吉行は、娼婦の位置まで身を落とせた男であり、売春防止法施行から、現在の「売春」の形とそのネガティブな面を予測できていた遊び人であった。

「男は広く浅く、女は狭く深く、性に耽溺するものだ」と、童貞にさとしたオジサンである。

「舐めるときは横に舐めろよ、縦に舐めるとくしゃみするから」

とも教えてくれた、健全な遊び人であった。

 

彼の死後、6人の女が彼について本を出した。

 

●その人生がテレビドラマとなった母親の吉行あぐり。

●女優でエッセイストである妹の吉行和子。

●最期まで籍を抜かなかった本妻の吉行文枝(女児を生み育てた)。

●女優で歌手であり、ねむの木学園の創立者、そして最期までパートナーであった宮城まり子。

●最後まで(28年間)愛人であり、長編『暗室』の主人公のモデルとされる大塚英子。

●吉行との子もいる愛人、やはり『暗室』の登場人物のモデルとされる高山勝美。

 

大塚英子の本がいちばんスキャンダラスであったが、どうにも文章というか、そのパーソナリティが不健全というか、おそらく、そんな危うさに吉行は惹かれたのであろう。

モノノ怪ぐあいが、宮城まり子に負けていないように思う。

 

とはいえ、6人全員がモノノ怪女子であることは自明の理だ。

兄の本は書かずに死んだが、詩人で作家である、もうひとりの妹の吉行理恵だって控えていたのだ。

ましてや、おばあちゃん子で(ただし可愛がられてはいない)、母親のあぐりが当時珍しかった「美容院」を経営していたため、美容師見習いの女子たちに子どもの頃から囲まれてきた東京っ子。

女系家族のたったひとりの長男。

 

で、なにより、その父親は、稀代の遊び人でダダイスト、早世したアバンギャルド作家であった吉行エイスケである。

喘息に肺結核にアレルギーに鬱病。

一高、東大、戦争、雑誌(エロに近い)編集者。

健全な大人になれっていわれてもなあ。

 

 

[今週の曽根のお勧め作品/吉行淳之介エッセイ・コレクション1~4(ちくま文庫)]

 

15歳にも理解できるほど平易な文章で、実は人間性の深い話を、あくまで「性&エロ」話として語る、根っからの詩人であり作家のアンソロジー。これらは特に、1020代のひとにお勧めする。が、まよえる中年にもぜひ。

●肝心の小説は、彼は短編作家であるあるからにして、初期の傑作短編「鳥獣虫魚(ちょうじゅうちゅうぎょ)」、「寝台の舟」、「出口」、「水族館にて」などがお勧め。

●長編『暗室』は傑作だが、売れたせいで評価が低い長編『夕暮れまで』は、この先、日本長編小説10選に入るであろうハイクラスな作品だ。ダイヤモンドのように硬質な文体が素晴らしい。

 

 

NMIXXつれづれ草]

●右が「モチモチ」なリーダーのヘウォン(20)、その頭の良さからバラエティ番組に引っ張りだことなっているようだ。左が「将軍」ソリュン(19)。5月18日19日の台湾でのファン・コンサート(バラエティー色が強い)へ向かっている飛行機にて。

 

 

●5月16日に韓国の成均館大学の学祭ステージにNMIXXが立った。デビューから2年約3カ月にして初である。また初であったのが、観客がオールスタンディングという状況であった。がしかし、メンバーは怖気るどころから登場から満面の笑みで愛嬌を振りまき、もちろん曲になればハンドマイクで歌いまくり踊りまくったのであった。

特に「メンバー唯一の内向的な性格」のソリュンが、スタンディングの客に嬉しさを爆発させ、3曲目に歌った「DICE」では「5段階オクターブ上げ」を、2年ぶりに生でシャウトしたのだっだ。つくづく、姫の中身は「芸能将軍」である(将軍はソリュンの綽名ーーその低く野太い声と男子高校生みたいな普段の態度所作から)。明らかにソリュンの歌声とステージングが覚醒していたのに驚かされた。

●リーダーのヘウォンとジウのマイクが不調であったが、運営はすかさずステージの模様をYoutubeにアップした。ぜひ、

 

(Youtubeのサムネ)

NMIXX(엔믹스) Stage Cam @ 2024 SUNGKYUNKWAN UNIVERSITY | 2024 성균관대학교 자연과학캠퍼스 대동제

 

を観てほしい。腰を振るソリュンに思わず「おおーっ」と声を漏らす、男子学生たちの性欲の高まりが可愛いから。

●去年は「どうせ学祭に呼ばれてないんだろ」と陰口をたたかれていたNMIXXだが、どうやら満を持して解禁となったようで、今月は9学祭のステージをこなす。ぜひ、客のダイヴが観てみたい。あ、ダイヴはまずかいか、モッシュが観てみたい。

 

 

 

5月18日(土)鬼子母神は晴れ。

 

80年代に一般教養として読まなきゃいけない文学は、古典はもちろんだが、流行りとして、

●ビート・ジェネレーション(ケルアック、バロウズ、ギンズバーグ)

●南米文学(マルケス、ボルヘス)

●耽美文学(サド、ワイルド、バタイユ、ジュネ)

●中上健次

といったあたりだったが、私がハマったのは、日本独特のスタイルであった「私小説」であった。

そっちのほうが、リアルでスリリングに感じたのだ。

 

しかし、80年代は、大江や丸谷才一らに、私小説がとことん否定された時代でもあった。

(当の大江自身、私小説作家だと評論家からののしられた)

吉行淳之介も私小説作家だとけなされたが、本人も反論しているように、そんなわけはない。

ただし、私小説も書いているから、勘弁してちょうだいといったところか。

 

だが、作家にとって経験を元に作品をつくることは当然であって、それが「本格小説」じゃないというなら、ヘミングウェイの初期短編はみな私小説になってしまう。

私にとって、当時は、リアルであることがいちばん重要であったから、そっちを深掘りしたのだろう。

 

とはいえ、たいがい皆、貧乏くさいし、まるで異常で我がままな男の日記を読まされるようで、そのほとんどに閉口した。

いや、近松秋江(しゅうこう)の短編「黒髪」とか、めちゃくちゃ面白いんだけどね、でも、実際のところ、こいつは、まぎれもないストーカーじゃないか。

 

で、「私小説の極北」と呼ばれた嘉村磯多(かむらいそた)を読むにいたって、すこぶる感動したが、こんな人間にはなりたくないし、こんな作品を書きたくもないと思うにいたった。

そこらへんが、平凡な健全人の限界であったのだ。

 

それでも、志賀直哉や芥川龍之介の私小説、坂口安吾の「矢田律世子」もの、川崎長太郎の「抹香町」もの、檀一雄の太宰ものは愛読した。

日本の長編では、大江の『万延元年のフットボール』より、中上健次の『岬』や『枯れ木灘』より、村上春樹の初期三部作よりも、檀一雄の『火宅の人』のほうが、後世に残る傑作だと思うくらいだ。

 

どうにも、私の嗜好tお資質はそっちにあったので、長編作家、物語作家になれるはずもなかった。

自分がどうやら、私小説作家の皮をかぶった散文詩人であることに気づいたのは、死にぞこなってからだから、つい数年前のことである。

ホント、ぼんくらだな。

 

しかし、まあ、80年代はけっこう勉強したんだなあ。

なにせ、本を読むより、レコードは聴かなきゃならないし(80年代はまだ洋楽の時代だ)、映画と小劇団は観なきゃならないし、漫画だって読まなきゃいけない。

 

で、絵描きなるんだってデッサンして油絵を描いて、いきなりバンドマンになるんだってギターを持ち曲を書き歌う。

その間、沖縄で半年暮らしたり、上京してすぐライブハウスのブッキングとなり、女と同棲し、5年間土方に励んだ。

もちろん毎晩呑み、喧嘩だってしょっちゅうだった。

 

暗黒の10年間であったが、いろいろと土中で勉強し、経験してたんだね小僧ながら。

それが雑誌編集者として、作家として、90年代を無様にしろ走れた糧になっていたんだな。

と、いい話を捏造して、クスリを飲んで寝よう。

 

おやすみなさい。

5月19日(日)鬼子母神は曇り。

ただいま午後9時5分。

今さっき、文学フリマと軽い打ち上げから帰ってきた。

これをアップして、クスリを飲み寝ます。

疲れた。

良い夢を。

 

 

 

[処女詩集販売中]

『火舌(かぜつ)詩集 Ⅰ ハードボイルド・ムーン』

著者:曽根 賢(PISSKEN

ドローイング:佐藤ブライアン勝彦

 

判型A5/平綴じ/96ページ

部数:300

税込み価格1320

 

さて、販売方法だが、以下の2つの書店で、通信販売、また店頭発売します。

2書店のサイトを検索してもらって注文してください。

ネット注文できない私のようなひとは、誰かに頼んで注文しましょう。

 

詩集には私のサインが入っています。

 

「タコシェ」

http://tacoche.comには、遊離型テストステロン11.8 pgば要注意(ボーダーライン)8.5pg/ml以下の場合は明らか

(シングル小説もセカンド&サードも注文できます)

 

 

「模索舎」

http://www.mosakusha.com/

 

「阿佐ヶ谷ネオ書房」

書店販売のみ

 

尚、くどいようだが、この処女詩集は、あくまで『火舌詩集』のⅠであって、今後あと2冊を発行します。

3冊合わせて『火舌詩集』となるので、ぜひコンプリートしましょう。

「火舌」とは中国語で、火事の際、窓から吹き出し、壁を舐める炎をいう。

 

[サード&セカンド・シングル通販中]

A面「PISSINTOMY HEROES
B面「七曲荘二〇三号室」

 

セカンドシングルのジャケット。被写体は細菌学者の志賀潔。撮影は土門拳。

 

アドレス:budroll.shelvis.sy3@gmail.com

――以上へ以下のことをメールしてから、お金を振り込んでください。

郵便番号と住所
名前(口座のカタカナ読み振りも)
電話番号
サード、セカンドのどれを希望するか

(ファーストは売り切れ)

●1,600円(発送代込み)
振込先――ゆうちょ銀行

BUDROLL(バドロール)
普通口座:店番908
口座番号:5133817

 

 

『キャンプ日和』(河出書房新社)

キャンプ小説&エッセイのアンソロジー。トリに曽根 賢の短編「二つの心臓を持つ川の縁で」が掲載されています。

 

 

『点線面』5号(ポンプラボ)

曽根 賢の特集と、論評風の新作エッセイが載ってます。詳しいことはネットで検索してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第129回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「締め切り」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

※これは画像が倒れて横になってます。直せずすみません。

 

 

 

 

 

 

ギャラリーへ絵を送り、ひと段落。

平日お店のディナーを休みにして集中して描いたら、円形脱毛も治ってきた。

て、どんな体質?

 

最初は余白を生かして描いてたけど、だんだんとこんな感じになってきたところで締め切りに。

最後は余白が、ほとんどなくなってきた。

 

 

[今週のブライアンのお勧めビール/エール『裏通りのドンダバダ』よなよなの里]

近所のウェルシアで買ってよく飲んでる。最初は、ただルチャリビレっぽいデザインが面白いなと思って買ったんだけど、味もなかなか。

絵を描き終わった時に飲むのが最高に気分がいい。

 

 

 

 

5月9日(木)鬼子母神は晴れ。

 

昼過ぎ、ボスYからメールがあった。

いい部屋が見つかったと、間取り図(&映像)等の物件概要が貼られてあった。

すでに不動産屋へ電話し、私の状態状況条件を伝えてあるという。

で、さっそく担当者は、それを大家さんへ伝え、OKを貰ったというではないか。

(やはり生活保護受給者59歳のハードルは高い)

 

相変わらず、いざとなったら電光石火な我がボスYである。

すぐに鬼子母神で待ち合わせ、そのアパートを見に歩いた。

まだ女性が住んでいて、退去は今月末になるため、内見や入居は来月6月半ば以降になるそうで、ひとまず外観だけでも見にいこうとなったのだ。

 

場所は鶴巻通りを200メートルほど歩き、左に坂道をのぼった高台にある。

そこらへんは住宅密集地で、古い土地なので、豪邸こそあるが高いビルはなく、路地が張り巡らされた、私のようなカフカ的方向音痴には、ボルヘス的迷宮に思える区域である。

 

アパートは木造モルタルの2階建て(築53年)で、5部屋づつあり、空く予定の部屋は1階であった。

住宅密集地なため、日当たりは期待できないだろう。

が、20.2平米(6畳間、3畳のキッチン、便所と風呂が別々)で、この家賃(5万3千円――この金額まで生活保護が出してくれる)は、そうそう見つからない物件だ。

七曲り荘から歩いて7分といったところか。

昼間のその辺りは、ひっそりかんとしていた。

 

 

[雑司ヶ谷旧宣教師館]

 

その後、近くの「雑司ヶ谷旧宣教師館」へ寄って見学した。

明治時代に宣教師J.M.マッケーレブが建てた洋館は、清潔に管理され、なんと入館は無料だ。

私はこんな館があることを知らなかったが、ボスYは散歩がてらたまに寄るのだという。

 

2階には雑司ヶ谷ゆかりの文士コーナーがあり、色々な文士の展示が組まれるのだという。

現在は秋田雨雀(劇作家/童話作家/詩人)の生原稿や、ハガキ等が陳列されたあった。

庭もよく手入れされ、ベンチもトイレもあり、カフェなんていくより、ちょいとデートで寄るのに絶好な場所だろう。

 

平日なら、めったに客はいなさそうだし、何より静かで品のある場所だ。

その時代の、質素なアメリカ郊外住宅を模しているためだろうか。

もし、アパートが決まれば、ここで独りを過ごす時間が増えるかもしれない。

 

 

それから鬼子母神参道通りにある喫茶店(煙草が吸える)で、ボスYはアイスコーヒー、私はアイス・チョコレート・フロートを飲む。

インスリンを打って、ドーナッツをひとつ口にしただけだったので、歩いているうちに低血糖症状をおこしていたからだ。

(私の場合、それはまず手の震え、眼のかすみから始まる)

 

不動産屋から、いい物件なので(すぐに決まってしまうだろうから)内見する前に、登録だけでもしたほうがいいと聞かされたという。

内見せずとも、映像で確認済みでもある。

私に是非はない。

ボスYが見つけたのだから「あそこに決めたよ」といった。

 

 

で、不動産屋へ電話し、さっそく高田馬場の不動産屋へタクシーで向かった。

ボスYの金で。

担当者は腰の低い、丁寧な口調の青年で(私の書いた弟の住所を見て)東北大震災のときは半年間もボランティアで働いたという。

彼は「大家さんも、とても感じのいい人です」と太鼓判を押してくれた。

 

これで保証会社の審査が通れば、私のケースワーカーとのやりとりになるという。

私とボスYは、最後まで腰の低い彼に、何度も頭を下げ、不動産屋を後にした。

そのまま、帰りは歩いて鬼子母神へ。

久しぶりにボスYと駄弁りながら。

 

 

[昼食兼夕食]

●牛丼(すきやき肉、玉ねぎ、突きこんにゃく、生姜)

●温泉卵を乗せて(自家製)

●たくあん

●ほうじ茶(岩手の城戸醤油屋若旦那よりの頂き物)

●イチゴ5粒

 

1,000円のすきやき肉が半額、イチゴ380円が100円引きだった。

若鶏の骨付きモモ肉1本(岩手県産いわい鶏)1,000円がやはり半額。

モモ肉は明日に。

 

馴染みのスーパーはこの通り、やたらと見切りが早い。

野菜と果物は他のスーパーより100円がた安い。

ここだけの個人店だからだろうか。

転居後も当然ここへ通うことになる。

温泉卵のせ牛丼は、なかなか旨かった。

(小鍋半分はタッパーに入れて冷蔵庫へ)

 

 

実は、不動産屋から追ってメールが来ていた。

保証人を1人ではなく2人にしてくれとのこと。

「やはり、おれじゃあなあ」

なんで、次男のジュンへメールして住所を送ってくれと頼む。

(ジュンも転居していて新住所を控えていなかったのだ)

 

ジュンからの返信が怖かった。

「もしや、こんどこそ棄てられちゃうんじゃないか?」

4年前も、入院代や家賃やらのほとんどをジュンに払ってもらったのだ。

 

杞憂だった。

すぐに住所が送られてきた。

こんな私も、メールを眺めながら、しばし人生を反省するのであった。

 

 

[NMIXXつれづれ草]

●去年の夏のカムバック期のNMIXXー―右からリリー(現在21)、ヘウォン(20)、キュジン(17)、ソリュン(19)、ジウ(18)、ベイ(18)。

 

 

NMIXXのプロデュース・グループSQU4Dのアプローチは、80年代のポストパンク的だ。

その曲は(世界観、ファッション、MVを含め)サイケ、プログレ、ファンク、ソウル、パンク、ヒップホップ、ワールドミュージックなんでもござれをバブルガム的に接着させたものとなっており、ゆえにKPOPアイドルの枠を逸脱している。

 

なにより、ジョン直系の「MIXXPOP」というスタイルの発明。

●ただし、そのヴィジュアルやパーソナリティは、まさに日本発「アイドル」の完成形とさえいえる。

そのギャップが、私のようなオッサンを含め、ファンにはたまらないのだ。

が、曲はまだまだNMIXXとしては完成されていない。

 

●で、夏のカムバック曲を予測しておこう。

80年代ポストパンクのメジャーどころといえば、トーキング・ヘッズとスタイル・カウンシルだろう。バックトラックは彼らのアプローチを、現在のヒップホップのトレンドに寄せる――つまりプリンスだ。

肝心のメロディーは、カイリー・ミノーグが80年代に「ロコモーション」や「I Should Be So Lucky」をヒットさせたように、臆面もなく60年代ガールズPOPをトレースしたものとなるだろう。

 

●いや、そろそろやれよSQU4D

バックトラックはどれだけ玄人好みでもいいが、メロディーだけはバブルガムPOPじゃなきゃ、ガールズ・グループとしてビルボードTOP10を狙えないのは自明の理だろ。

●いや、こんどこそSQU4Dはやるはずだ。これまでが計画通りだったのだ。

オレが約束しよう。

乞うご期待。

 

 

 

5月10日(金)鬼子母神は晴れ。

 

午後、不動産屋から審査が通った旨のメールが来た。

「あとはケースワーカーさんと、わたしのほうでの話になりますから」

ということで、ひとまず私のほうから、生活保護課の担当者へ電話を入れたが、今日は直帰だという。

不動産担当者は月火水が休みをとっているとのことで、この件についての2人の話は木曜日となった。

 

しかし、ここまで来ると、もうあのアパートへの転居は決定のように思える。

(不動産担当者は生活保護受給者の転居の経験を数人経験済み)

とはいえ、まだ引っ越しの準備をする気にはなれない。

まるで実感がないのだ、この七曲り荘を出るのが。

つい先日、ここの13階段を数えながらのぼったような。

 

 

[昼の朝食]

●グレープフルーツ半分

●イチゴ4粒

●バナナ

●食パン1枚

●豆大福

●ミルクティー

 

総務省の「家計調査」によると、過去1年間(20229月~2023年8月)のエンゲル係数が、43年前(1980年)の過去最高域(2900%)に並んだという。

(ただし前年度も同じ数値)

1980年とは、私が高校1年生のときだ。

しかしあのころ、宮城県古川市の喫茶店のコーヒー1杯が300円~350円。

当の喫茶店のバイト代が時給360円という時代でもあった。

 

今や「区民のヒモ」である私がいうのもなんだが、上京し自炊して41年、東京のスーパーが高くなったという実感はない。

なにせイチゴが1パック280円だし。

ま、41年前からずっとこちら、エンゲル係数は80%台だが。

(私の食費は1日ざっと1,000円と決めている)

 

もちろん物価は上がっている。

しかし、下層階級はあんがい実感がないのだ。

いや、そこはやはり私が現在、身銭を切っていないからだ。

(毎月、少しは働いているのだが――もちろん申告してその分は生活保護費から差し引かれている)

 

申し訳ない。

気がつけば、私のいちばん嫌いな、麻生太郎と同じようなことを口にしていた。

(一昨年の朗読会で「安倍と麻生を撃て!」と口走ったほどだ。ひとりには届いたようだが)

どうにも、麻生同様、ヒモ体質は骨がらみなようだ。

ま、政治家も詩人も民衆のヒモだからね。

口をつつしもう。

 

[夕方の昼食]

●昨夜の残りの牛丼

●温泉卵

●たくあん

●ほうじ茶

 

 

[今週の曽根のお勧め作品/Youtube番組「社会主義国キューバ政府が世間に絶対に見せたくない闇の実態」Bappa Shota

 

●彼の番組をずっと見てきた私には、これが偏向報道とは思えない。現在のウクライナ戦争やパレスチナ紛争によって世界中の物価が高くなっているわけで、日本も同様なのだが、このキューバの現状を見る限り、やはり日本こそが「成功した社会主義国」だということが理解できる。私のような男がこうして生きて行けることこそ、その証明なのだ。

●ゲバラの死後、カストロ兄弟は「仲間」を顧みない男と成り果てたのか。革命から60数年、未だに民衆は「政府がどうにかしてくれると待っている」そうだが。

 

 

 

夕方、ふと、せめて弟2人に私の掌編が載った文芸誌『スピン』を送ろうと思いつき、池袋のジュンク堂書店へと歩いた。

先月、病院帰りに覗いたら、けっこうな数が平積みになっていたのだ。

が、やはりそこは文芸誌、たぶん1冊も減っていなかった。

『スピン』は300円だから5冊買った。

弟2人以外にも上げることができるように。

 

あ、そういえば、昨日の夕方、不動産屋帰り、今回書いた掌編をボスYから「やんわり」と褒められた。

「曽根さんは、こういう怪談みたいな話がうまいよね」

(彼は今回の作品より別の話を思い出しているようだ)

あなたも、ぜひ読んでみてちょうだい。

怪談っていうより、独り身のオッサンたちのせつない呑み会の話で、10分かからず読めるからさ。

そして、ぜひ編集部へ、私の次作を読みたいとお手紙を送ってもらいたいもんだ。

 

文芸誌『スピン』河出書房新社/300

掌編「雑司ヶ谷鬼子母神『七曲りの路地』奥の

七曲り荘二〇二号室からずっと」曽根 賢(PISSKEN

 

 

 

[夕食]

●若鶏骨付きモモ肉焼き(塩胡椒、オリーブオイル、ニンニク、唐辛子)

――バジルソース&タップナードをつけて(近所の洋食屋の自家製瓶詰)

●付け合わせピーマン

●カブとキュウリの糠漬け

●海苔

●ごはん

●ほうじ茶

 

 

そろそろ暑くなってきたので、味噌汁をつくるのは止めにしている。

(小鍋が冷蔵庫に入らないため)

本来は1,000円する鶏肉なため、けっこう大きく、半分残し明日の朝食へ。

私は根っからの貧乏性のため、食物に関しては、けっこうやり繰り上手なとこがある。

ま、41年ずっとエンゲル係数が80%台だもんね。

 

 

食事をしながら眺めていたYoutube番組(「楽しいとこ取りガルちゃんねる」)で、昭和のトンデモ・タイトル歌謡が紹介されており、危なく噴き出すとこだった。

 

●順弘子「さっそく振込みありがとう」(1984年/Youtube映像あり)

 

●城卓矢「なぐりとばして別れようか」(1967年/Youtube音源あり)

 

●ほりえみつこ「いっしょに小石を拾いませんか」(1976年/オッサンが歌う音源がYoutubeにあり)

――「アニソンの女王」と呼ばれる堀江美都子の別名義シングル曲。

 

聴けば皆、曲も歌唱も普通の歌謡曲だが、タイトルが説明過剰で笑える。

もちろん畑中葉子の名曲「後ろから前から」(1980年)も紹介さていたが、その次のシングルが「もっと動いて」(1981年)だったことを初めて知った。

 

彼女はもともと歌唱力(表現力)がある歌手だからにして、「もっと動いて」もエロ度の高いメッセージを聴かせてくれる。

 

 

おやすみなさい。

あのアパートに決まれば、自分用の便所があるのは12年ぶりか。

掃除する、し甲斐がちょいと減るな。

昔の彼女は成城の億ションに住み「ここが終の棲家になりそうです」と雑誌に答えていたが、私の終の棲家はここ「七曲り荘」じゃなかったようだ。

ま、どこだって雨宿りの場所でしかない。

良い夢を。

 

 

 

[5/19文学フリマ』出店告知]

4/25BURST公開会議]にて。

 

5/19 日曜日

12:00-17:00

#文学フリマ 出店します!

 

#BURST #公開会議 

K-2122 (第一展示場)

#東京流通センター #東京モノレール

#駅から徒歩1#入場千円

bunfree.net/event/tokyo38/

 

#TSOUSIE #ピスケン

#西牧徹 ※釣崎清隆(メキシコ死体旅のため欠席)

 

#ケロッピー前田 #身体改造本 

#一般書店アマゾンでは販売しません

NEW! #トレパネーション #増補バイリンガル

#頭に穴を開けたら意識は覚醒するのか

#モドゥコン #世界大会 

#モディファイドフューチャー

#身体改造 30年史 #ニューラリンク

#3冊揃う貴重なチャンス

 

 

5/30 木曜日#BURST 公開会議 #40

OPEN 19:30 START 20:00

¥1000D @TABASA_asagaya 

asagayatabasa.com

観覧できます! ぜひ会場で!

 

#ピスケン #ハードコア文学 #ポエトリー

#ハードボイルドムーン

#肥沼和之 #ケロッピー前田

#釣崎清隆 #TSOUSIE 

 

配信アーカイブ

https://m.youtube.com/@user-lf9ff9zw5v/streams

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[七曲り荘日記]

 

巻頭連載[第128回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」

 

「エロトピア育ち」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文

 

「無題」

 

「無題」

 

 

 

ギャラリーのオーナーさんから連絡があって、作品は15日迄に送ってくださいとのこと。

今回はグループ展なので展示は45枚だと思うんだけど、2週間で30枚くらい描いた。

 

それをSNSで見た師匠が、

ZINE予約しとく」って。

気が早いすぎー(笑)。

でも、せっかくだから、ドローイングだけのも作ってみようかな。

 

今日の午後、

「そうだ! 女性を描いてないじゃん」

と思い、筆を走らせると……あれれ、昭和のエロ本の挿絵ぽくなってしまった。

 

 

絵を見ながら思いました。

『エロトピア』育ちの血がそうさせてしまうのかなと。

 

 

[今週のブライアンのお勧めバイク/ベスパ50s

●よく中免を持っていると勘違いされます。

おそらく、トライアンフとかBSA乗ってると期待され、

「バイク何乗ってるんですか?」と聞かれますが、原付きしか持ってません(笑)。

そもそも、乗り物全般、運転が苦手。

そんな私が、高校の時と東京で乗ったのが、このベスパ50sの赤でした。

 

 

 

 

5月2日(木)鬼子母神は晴れ。

 

午前11時、病院へ。

主治医の愛子先生の「茶髪ボブ」が美容院帰りのごとく美しく、今月も賞賛の言葉が自然と口からあふれた。

愛子先生は知的で品のいい美人、齢は40代前半か?

痩せ気味で、たぶん……小柄。

そういや、もう4年ほどの付き合いだが、彼女が立ち上がった姿を見たことがないんだな。

いつか見たら、あなたへ詳しくご報告しよう。

 

[夕食]

●鶏の手羽元焼きバジル風味7本(ラップに包んだ昨夜の残りを保温中の釜で温めて)

●ハスとフキの煮物(総菜屋)

●高野豆腐(総菜屋)

●カブの糠漬け

●牡蠣と豆腐とネギの汁物

●ごはん

●小ぶりのグレープフルーツ(みたいな国産品種)

 

 

 

食事をしながらNETFLIXで、マーゴット・ロビー主演『バービー』を観た。

彼女が『Vogue』のインタビューで、NMIXXの「Love Me Like This」について、

「この曲が発売(注 23年3月20日)されてからずっと夢中になっていて、バービーを形作るのにも役立ちました。この女の子たちは天才で、私は大ファンです」

と語っていることを知ってから、ずっと気になっていたのだ。

そもそも彼女のファンだし。

(ただし日本版『Vogue』のインタビューを確認したが、その部分はない。

私が知ったのはアメリカ人のXからで、たぶん日本版ではカットされたのであろう)

 

で、その感想は、以下の[NMIXXつれづれ草]へとつづく。

NMIXXとバービーの類似点とは?

 

 

NMIXXつれづれ草]

●2022年のソリュン(右/17歳)、ジウ(16歳)

 

●今年5月1日「ソウル・フェスタ」バック・ステージでのソリュン&ジウ。髪型のせいか齢が逆転したように見える。とはいえ、やはりジウは確実に大人顔になったな。

 

●映画のネタバレ全開なので、知りたくないあなたは映画を観てから、以下の文を読んでいただきたい。

 

 

●映画『バービー』世界には、人間界の他に「バービー・ランド」があり、そこにほぼ人間化したバービー「たち」と、男の「ケンたち」が暮らしている。

 

●ただしバービーたちもケンたちも、乳首と性器が無く、その部分はつるつるである。ゆえにバービーとケンは生殖行為をできないし、恋人になることもできない。

●実際に口から水や食物を接種せず排泄もしない。

 

●バービー・ランドは完全な女性優位な世界で、バービーたちが仕事をし、ケンたちは存在を許されながら何の仕事もなく、彼女たちと遊ぶ相手でしかない。

●バービーたちは与えられた仕事とファッションとライフスタイルを毎日楽しみ、ネガティブな思考をすることはなく、死もない。

 

 

●この不完全に人間化したバービーたちと「KPOPアイドル・グループ」と重ね合わせることによって、マーゴット・ロビーはバービー像を形作ったのであろう。

特に「着せ替え人形」であり「生殖行為も排泄」もしない、ネガティブな思考と死から無縁なバービー像をアイドルから学んだのではなかろうか。

 

●映画のバービーは、リアルな人間社会の「マッチョイムズ」を経験し、その後、自らリアルな「意志を持つ女」になろうと人間世界に住む決心をする。

で、最初にやったことが映画のラストの「落ち」となっている。

つまり、女性アイドルがやがて「女」になるには、まず「性器」が必要であると。

 

●しかし、マーゴット・ロビーはNMIXXを見て、彼女たちが単なる着せ替え人形ではなく、アイドルでありながらリアルな少女の本質を表現することに驚き、大いに魅力を感じたのだ。

それはすべて妄想であるが、しかし、さすがマーゴット・ロビー、見る眼があると断言したい。

たぶん、同じオーストラリア出身の歌姫リリー・ペンであると思われる。

 

●それにしても「ケン」という男たちは、世界のどこにいっても「馬鹿なヒモ」であるのだなあ、と安心したのであった。

 

 

 

5月3日(金)鬼子母神は晴れ。

 

NETFLIXで、話題のハードSF作品『三体』(シーズン1)全8話を一気観する。

こりゃあ凄いわ。

原作読んでみようかな。

 

久しぶりに2,000円のNETFLIX用ギフトカードをコンビニで買ったのは、これを観たかったからだ。

気づけば世は「黄金週間」に入っていたし、生活保護受給者もこれくらいの楽しみは許されるかと。

 

 

5月4日(土)鬼子母神は晴れ。

 

NETFLIXで、韓国版『寄生獣 ザ・グレイ』エピソード1の全6話を一気観した。

面白かった。主演女優の魅力に満足する。

6話目最後に日本人俳優(たぶん日本版の主人公役)が現れ、エピソード2の流れを予見させた。

 

 

さて、明日は何を観ようか。

まだ「黄金週間」は2日あるのだし。

 

 

[今週の曽根のお勧め作品/TEENGENERATE LIVE映像]

YouTube映像/Live at Fireside Bowl Chicago 11/2/1995

 

90年代東京のガレージパンク・シーンと、ギターウルフのセイジさんに多大な影響を与えたバンドのアメリカ・ツアーの映像。

●とにかく観ればあなたならわかるだろう。これぞ大和魂全開のパンク・バンドだと。最初小バカにしていた毛唐どもが、音が鳴った瞬間に、みんな吹っ飛ぶ姿が痛快である。

 

 

 

5月6日(月)鬼子母神は曇天。

 

で、昨夜遅く書いてアップしたが、昨日の昼に突如としてパソコンが切れた。

「バッテリーが切れます、早く電源をつけてください」

うんぬんを画面に表示したまま、プツンと。

 

しかし、電源はずっと入ったままだ。

いろいろ試したがダメだ。

で、常のごとく、シギーへメールする。

すぐには返事がなかった。

 

で、パソコンが切れてしまうと、あとは本を読むしかない。

が、先日の「みちくさ市」で、100円老眼鏡を失くしてしまい、文字を判読できない。

しようがないので、百円ローソンへ買いにいこうと立ち上がった。

視界に、洗濯ものを詰めた大きな手提げ袋が2つ入った。

これもしようがないか、出るついでに今日こそ洗濯しよう。

 

で、それを両手に下げ、よろけながらコインランドリーへ行き、4つの洗濯機に分けて回した。

その足で百円ローソンへ。

途中、鬼子母神脇を通ると、境内では恒例の手作り市が開かれていた。

 

 

買って部屋へ戻り、またコインランドリーへ行って、洗濯ものを乾燥機2台にかけた。

が、1台がコインを入れても動かない。

「ええっい、まとめていれちゃえ」

ぎゅうぎゅうに詰めて回した。

 

部屋へ戻り、ごはんに昨夜の豚肉炒めの残りを乗せ、その上にレトルトカレーをかけて食す。

食後、シギーが電話くれ、体力があれば、部屋までパソコン持って来いよと言ってくれた。

洗濯で3日分の電池を使っていたが、もちろん「行く」と伝える。

 

乾燥機にかけた洗濯ものを部屋へ運び、生乾きの数点を干し直して、ようやく部屋を出た。

七曲りの路地を抜けるとすぐ、民家のガレージ内で、韓国料理を売っていた。

初めて見る光景だった。

そこで御土産用に、2種類の韓国炒め物と、白菜キムチ、初めて聞く「春菊キムチ」のパックを買う。

(1パック500円)

売っていたのは、韓国人なまりのある妙齢の女性2人。

保冷剤を入れてくれ、韓国海苔をサービスしてくれた。

 

池袋から埼京線で1本だと言われたが、そこは「人生で1度も満足に目的地へ着いたことのない男」であるからにして、新宿で電車が「なぜか」乗り換えになり、パソコンと韓国料理の入った重いバックを肩に下げてホームを渡り、そこで長い時間待ち、乗ったら乗ったで、渋谷駅直前で「なぜか」緊急停車。

 

シギーは最寄り駅で30分も待ったそうだが、私の方こそ「カフカ世界」に紛れ込んだように感じられ。このまま永遠に着かないんじゃないかと呆然としていたのだった。

シギーは今年11歳になる次男坊と一緒だった。

 

彼は赤ん坊のときに1度見た切りだ。

もうあの夜から10年が経っているのかと、またまた呆然とする。

浅草の三社祭の夜だったっけ。

スケートボードを持った、女の子みたいな顔つきをした次男坊は、途中自転車で母親と兄がいる自宅へと帰った。

 

 

●家まで歩く途中で、シギーが撮ってくれた。青空と緑をバックにした自分が新鮮。下の写真の胸の染みは、自律神経失調症の異常発汗のせい。そろそろ本格的に始まったような。あ、胸の髪の毛は後ろで縛った地毛。早く切りたい。が、素面じゃ床屋が怖い。

 

 

私同様、離婚したシギーは独り住まいで、その部屋はまさに大学生のそれだった。

もう私はへとへとで、着くなりシギーのベッドへ寝そべる。

そのうち手が震え始め、低血糖になっていることに気づき、慌てて、途中に寄ったコンビニで買った菓子パン2つを貪り食う。

 

なんの話からか、中学時代のシギーの喧嘩話となり、何度か聞いた話だったはずだが、ホント(確か親父さんが言ったと聞いたが)「事故で首の骨を折らなかったら、そのうちひとを殺していたかもしれない」というのは、当時の周りの総意だったんだろうな。

 

「喧嘩にはトンファ―が一番、殴ったら軽く吹っ飛んでいくし、鉄パイプで殴られても、こうやって防げるし」

って、鉄パイプで殴りかかられる喧嘩って……。

 

元会津虎徹会で現建築会社社長のOにしろ、私の周りの男たちは、今は誰よりも優しいが、10代のころはホンモノの狂暴が多い。

「強い男は優しい」

だから、私とつきあってくれているのだ。

が、そういう男はたいがい詩人気質も持ち合わせているからだろう。

私は子どもの頃から、そういう不良から不思議と優しくされてきたのだ。

 

●大学生部屋での還暦コンビ。私が持っているのが直して(?)もらったパソコン。

 

 

結局なんのことはない、電源シールドの不備だった。

念のためにと、シギーは「予備の同じノートパソコン」をくれた。

その後、シギー自慢のプロジェクター(映写機)で、壁のスクリーンにNMIXXを映してもらう。

いやあ、いまのプロジェクターの性能って凄いな。

で、前に使っていたプロジェクターを御土産に持たされた。

 

車で送ってくれた。

(それまで19歳の長男へ貸していたのだ)

車中で、2011年の初夏に2人で、東北の震災取材をしたときの話になった。

あれからもう、13年が経っているのか……と、またまた呆然となる。

 

5日間の取材最終日、東京へ帰ってきて、深夜のファミレスでハンバーグ定食を2人で食べた話は、このブログに何度か書いた。

その場で、シギーが口にした「自らの運命に対する呪いの言葉」を耳にし、ようやく私はシギーをダチと認めた。

認めたとは偉そうだが、それまでシギーを、どうしてもダチとは思えなかったのだ。

あまりにシギーはナイスガイ過ぎたゆえに。

 

しかし、あえて彼はあの夜「ダチとして」私の前に姿を現してくれたのである。

それを「認めることができた自分」にも拍手を送りたい。

ちょいと哲学めいた物言いになるが、ダチとはこちらから見つけられるものではなく、あちらから突然姿を現してくれ、それを認めることができた者だけが、ダチとして結ばれるのだと、60近くになって、ようやく理解できたのだ。

そんなダチが、1人でもいたら人生万々歳じゃないか。

 

さて、これをアップしたら、夕食作りをしよう。

一昨日買ったハンバーグ用の、牛豚合挽き肉が腐ってしまう。

付け合わせはズッキーニと人参。

100数十円の「ハンバーグの素」を入れて少量の水と一緒に練り、焼くだけだから実は簡単だ。

が、もうへとへとである。

果たして夕食をとることができるだろうか。

 

おやすみなさい。

「黄金週間」も今日で終わりか。

しかしまあ、入院前は毎年「黄金週間」になると、鬼子母神境内で立ちんぼうしてたんだなあ。

震災取材はついこないだのような気がするが、立ちんぼうは昔昔のことに思えるのはなぜかしら。

 

明日は、ようやくテストステロンを射てる。

体力も切れているが、男性ホルモンは数日前にもうはっきりと切れていたのだ。

今夜はお互い、早く寝ようじゃないか。

良い夢を。