曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

元『BURST』、『BURST HIGH』編集長の曽根賢(Pissken)のコラム

                        

[深雪荘日記]

 

●[連載第240回]

「我らの世代を看取る我らの世代の墓碑銘」

 

「」         

佐藤ブライアン勝彦●作品&文章

 

 

届き次第、

アップします。

 

 

 

9月11日(金)鬼子母神は雨。

 

午前8時半、都立大塚病院で受付をすませる。

2019年ぶりの大腸内視鏡検査のためだ。            

前回には、ポリープが2つ見つかり、切除したひとつの先が癌化していた。

 

1年後に再検査するようにといわれたが、再検査に向かったのは確か3年半後だったか。

しかし、ブログにも書いたが、予約時間から3時間待たされ、体調の悪さから帰ってしまった。

で、さすがに「こんどこそ」主治医の愛子先生の指示に従うしかなかったのだ。

 

 

10時10分から、下剤を飲むが、1リットル(半分)飲んでもなぜかもよおさない。

そこでいったん飲むのをやめ、散歩したりして12時過ぎまで待つが、らちが明かないので浣腸をすることになった。

それも、若い女性看護師の手で。

 

ようやく、午後2時半、内視鏡検査が始まった。

嫌な予感が的中し、医者も、看護師2人も、みな女性である。

(前回は男の3人チームだった)

先日観た、映画『敵』の1シーンを思いだしだ。

 

むぞうさな最初の痛撃。

すぐさま2度目の痛撃。

それから、長い長い、旅が始まった。

 

 

わが愛する詩人田村隆一は、都庁ビルをして「あれは納骨堂だよ」と評したそうである。

 

そして、江戸時代の雑司ヶ谷墓地のこの(深雪荘)あたりは、貧乏儒者が住んでいた。

 

田村は「あの世」を信じているといい、そのあの世とは「遺伝子」のことだと言った。

 

また、こんなことも言っている。

 

「死ぬってことは、一つのね、雑誌でいうところの締め切りみたいなもんで(笑)、あれがなかったら、人間ね、原稿なかなか書かないよ。締め切りがあるんで、みんな原稿書けるんですよ。

 

とくに詩とか、そういったものは、これ完成したらなんて言ったら永遠に完成できそうもないんだから。だからみんな未完成なんですよ。人間の仕事ってのは。

 

それを次の世代の人たちがいろんな形で受継いでくれて、それはまたその人の選択した範囲で実現してくれればいいんです」

 

私が死にぞこなった6年(7年?)前からこっち、大事な仲間が6人も死んだ。

そのうち4人は年下である。

「彼らのぶんも日々を大切に生きよう」

 

なんてことは、金輪際おもわない。

そんな考えは死者への冒涜だ。

 

とはいえ、やはりショーペンハウアー的な厭世気分に浸ることがままあった。

それは、妻子のない、病人の、独居老人の、気の迷いでしかないけれど。

 

ニヒリズムなんて、それこそ死者への冒涜だ。

それに、世界を呪うのも、冷笑するのも、身に余る。

 

そもそも、この「矛盾の谷」を走る列車へ飛び乗ったのは、自分からじゃないか。

 

私の書く詩とは、正しさ、真実を見つけ語ることではない。

それは哲学者、言語学者、聖職者等にまかせるべきだ。

 

私が書く詩とは、読者に、正しい、真実の「欲望」へ、眼を向けさせようとする「欲望」そのものである。

 

私は、犬笛を吹くビッチだ。

 

その昔、『TATTOO BURST』編集長の川崎美穂は、私を評してこう言った。

 

「曽根さんの背中のジッパーを下ろしたら、ヤリマンのブスのギャルが出てくるよね」

 

ブスとはなにごとだ! と怒ったっけ。

 

 

 

[METASEQUOIA用詩 /2026.9.10/第7稿 ]

 

 

 

「狂った俺たちの狂った生活を生き延びる道を教えよ」

 

                                                             

それは真夏の正午のこと

ものものしさを引き連れて、セイレーンは遠のき

眼を開くと、アスファルトの血だまりに

ガソリンの虹が浮かんでいた。

 

タイヤの焦げた匂い

あたりはやけに静かで、耳にするのは数匹の蠅と

遠くであくびするヘリコプターの羽音ばかり

単車のスリップの跡は、針を呑んだ海蛇のように

ゆがんだガードレールに座る、二人の男の足元でちぎれていた。

 

その足元も、明日になれば、死に花に埋もれるだろう

煙草や缶コーヒーや、スナック菓子に埋もれるはずだ。

けれど、青年が愛した女のことは、誰の口にものぼらない。

彼が口に出来なかった、ポルト酒につけたメロンや

オマール海老のカイエンヌ・ソースの話は語られたとしても

青年に愛した女がいたことは、彼女も口をつぐんだまま

ラプラスの悪魔でさえ、あさってを向き、すっとぼけるだろう。

 

 

もどかしいまでにゆるいカーブで、青年は死んだ。

何も見えないもどかしさが、さびしく吠え

逃げ水にすべり、青年の単車はバーストしたのだ。

激しく戦争を夢見ていた彼だったが

いまや水田の側溝へ突っこんだからだを、身じろぎもしなかった。

 

「何かが終わり、何かが始まってる。

それはいつだって、おれから五百メートル先で」

ここから五百メートル先にあるのは、町役場ぐらいだ

戸籍謄本でも必要だったのだろう

彼の千切れた右腕は、三十メートルを稼いだけれど。

 

青年にはテロリスト同様、発言権がなかった。

なにより新鮮な仕事がなかった。

狂った彼の、狂った生活の、生き延びる道の途中にあったのは

真夏の正午の、痛みさえない、新鮮な切断面だけだった。

 

 

男には常に狂気がついてまわる

女に邪推がついてまわるように。

彼がガードレールを飛び越える間に、千の昼と夜がめぐっていた。

あなたが振り返ると、部屋の隅に、ぽつんと彼の一部が落ちており

窓の外は激しい雨が、夜を騒がしている。

 

               

太陽はびくともせず、頭上を占領していた。

男たちはトラブル処理に疲れていた。

鼻血を垂らした相棒の脇で、年上の男が天へ助けを乞う。

「雨よ、ガーゼの匂いがするという雨よ

その角から飛び出してこい

俺たちは当たり屋にだってなるだろう」

                                             

相棒が立ち上がった。

「さあ、仕事にもどろう」

ぐずぐずと二人は歩き出した。

あなたもそのうしろをついてゆく。

 

足元の影が墓穴に見えるから、男たちは顎を上げ

揺れる浮島を目がけ歩いた。

そして三人は思った。

明日の新聞に、あの青年の死亡記事は載らないだろう。

明日の新聞に、俺たちの死亡記事は載らないだろうと。

 

 

男たちは途中の酒場に寄り、パイントグラスで黒ビールを六杯ずつ呑んだ。

そのあと同じグラスで、生のシードルを二杯ずつ。

それを呑めるのは、東京ではこの店だけだった。

 

男たちは酒場を出て、仕事場の床をめざした。

そこしか戻る場所はないのだし、ひび割れた唇は歌を忘れない。

「狂った俺たちの、狂った生活を、生き延びる道を教えよ」

男たちは互いに体をささえ

五百メートル先の仕事場の床を目指した。

狂った男たちの、狂った生活を、生き延びる道を千鳥足で。

 

 

ようやく男たちの昼と夜が昏睡して横たわる。

ようやくあなたの昼と夜が昏睡して横たわる。

自ら、今日を終わらせることのできない男たちの、自滅回路が切断される

ビロードの奈落から、マヤコフスキーの屍がシタールをつまびく

ラプラスの悪魔の記憶を呼びおこすように。

 

明日の新聞に男たちの死亡記事は載らないだろう。

明日の新聞にあなたの死亡記事は載らないだろう。

先走った女たちの亡霊よ

道半ばの側溝へ、あふれんばかりの花を、投げ入れよ。

 

 

 

 

※「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」は、イギリス出身の詩人W.H.オーデンの詩の一説。大江健三郎の中編「「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」はそれから。高校時代に読んで、内容は憶えていないが、ずっとタイトルだけ忘れなかった。詩の内容は自著『BURST DAYS』の中の掌編「BURST」と同じエピソードからである。

 

 

[今週の曽根のおすすめ作品/タイ・ウェスト監督『X』『Pearl』『MaXXXine』ミア・ゴス主演]

 

●ミア・ゴス主演「X三部作」が、一挙NETFILXで公開された。ミア・ゴス好きを公言ながら、実はこの三部作を観るのは初めてであった。しかし公開の度(海外も含め)映画レビュー動画はかたっぱしから見たし、映像の断片も観ているせいで、もう映画を観た気分だった。が、やはり当然違った。

 

●いやあ、いいねえ、やっぱりミア・ゴスは。三部作はそれぞれまったく雰囲気は違うし、なんならジャンルさえ違うが、これはミア・ゴスの「アイドル映画」なのだ。ただただ、ミア・ゴスの姿と表情を堪能すればいい。

(あ、できれば吹替じゃなくね。彼女の声は、そりゃうっとりするほど魅力的だ)

 

●公開は『X』『Pearl』『MaXXXine』の順だが、ミア・ゴス20代最後の映画である。『X』における脱ぎっぷりも、からみっぷりもすがすがしい。一瞬映る尻の美しさよ。あとびっくりしたのが、あのNETFILXシリーズ『ウエンズデー』のヒロイン役で跳ねたジェナ・オルテガがまでが脱いでいるのにびっくりした。ミア・ゴスに負けちゃいられないという女優根性の表れか。

 

●三部作それぞれ評価がわかれるようだが、私は満足、くどいがこれはアイドル映画なのだから。つまり邦画でいえば『ベイビーわるきゅーれ』だ。設定もストーリーもむちゃくちゃだが、ヒロインの「ちさと&まひろ」の魅力を堪能すれば良し、という「ザ・プログラム・ピクチャー」なのである。

(私は断然まひろ推し)

 

●とはいえ「X三部作」の映像は、めちゃくちゃスタイリッシュだし、その凝りようと「志」の高さ、なによりミア・ゴスの演技は、スラッシャー映画やプログラム・ピクチャーの枠などたやすく超えている。アイドル・ホラーであり、アート映画でもあるのだ。

 

●それにしても『X』のパール婆さん(ミア・ゴス一人二役)の夫である爺さん、心臓を心配しながらも、パール婆さんを満足させるのだから、ほんとえらい。『パール』でのダンス・シーン、『マキシーン』での鍵のメリケンサック殴りが、白眉である。

                        

 

 

 

 

長い旅が「中断」されたのは、なんと午後4時を回っていた。

その間、何度、からだの向きを変えただろう。

「大の字」の時間も長かった。

まるで尻にストローを差しこまれ、腹を膨らました、解剖台のカエルの気分だった。

 

「前もこんなに長かったっけ?」

かなり苦しい。

いちいちからだが跳ねる。

ときおり看護師が背中をさすってくれる。

その手が、異様に熱い。

 

「どうしても奥に届かないんで、細いのに変えますね」

どれくらいかかっているのだろう。

時間の感覚が麻痺してきた。

 

切除する数が多いのだろうか?

それとも、ポリープの数が多すぎて、調べるのに時間がかかっているのだろうか。

田舎の同級生が、1度の検査で22ものポリープが見つかったっていってたっけ。

 

 

「腸が長く伸びていて、畳もうとしたんですけど、どうしてもいちばん奥まで届かないんです。血便もないそうだし、ここらへんでやめましょうかね」

私は激しくうなづいた。

長い長い旅は、中断とあいなった。

 

起き上がって、壁時計を見たら4時を少し回っていた。

1時間半も、内視鏡が入れられていたのか。

どれだけのポリープがあったのだろう。

いちいち切除したとしたら、もはや、大手術ではないか。

 

「1年後に、また検査しましょうね」

医者が優しい眼で見下ろした。

「ええ」(嘘)

 

医者が最後の最後になって、むぞうさに言った。

「新しいポリープもなかったですし、前のポリープの跡も大丈夫でした」

「なかったのかい!」(心中)

 

 

午後6時、深雪荘到着。

疲労困憊、へとへとである。

とはいえ、さすがに何か腹に入れなきゃ、低血糖症状をおこす。

検査のため、昨日の午後6時から何も食べていないのだから。

 

 

[夕食]

●バナナ

●カップヌードル

●サツマイモの天ぷら3切れ(スーパーの半額品)

●半熟の煮卵2つ(スーパーの半額品)

●エクレア(100円)

●ミルクティー

 

 

おやすみなさい。

 

なんとまあ、犬笛吹きのビッチの大腸には、ポリープが無いってさ。

〆切が遠のいた気分だ。

納骨堂、貧乏儒者、あの世、遺伝子、仲間の死、厭世気分、死者への冒涜、矛盾の谷を走る列車。

長い長い旅は、結局、中断したままだ。

 

ハイデガーは言う。

「哲学は何かのことに役立つ知ではないが、そうであるがゆえに、あらゆることを支配する知である」

 

田村隆一は言う。

「詩は何かに役立つものではないが、そうであるがゆえに、あらゆる支配に超え得る表現である」

 

哲学者も詩人も暴君と紙一重だ。

 

せめて私は言う。

「明日の新聞にあなたの死亡記事は載らないだろう」

 

よい夢を。

 

 

 

[曽根の掌編収録アンソロジー文庫発売中]

■曽根の掌編「牛乳屋のおんちゃん」も収録されているアンソロジー文庫本『フッハッ!な純文 鴎外から棒一まで』河出文庫/1,210円

■鴎外、芥川、太宰、安吾、織田作之助、町田康、他全21編

 

 

 

[NMIXXつれづれ草]

●バルセロナへ立つ空港にて。みなで「ドクター・マーチン」をそろえた、パンクス6人組。

 

●ソリュンのあざとさは天然の悪女だな。この角度でソリュンを見る男の嬉しさが、なぜか伝わってきちゃうぜ。それにしても、やはり痩せたね。カムバック直前の仕上がりだ。

 

■[JYPn] 보름달(Full Moon) Cover | QUALIFYING

 

●プレ・デビューのソリュン初映像。この映像が公開されて5年が経ったそうな。つまり、私がNMIXXにはまり始めてから、もう5年が経つのか。隔世の感とは逆に、なにも変わっちゃいないなあというのが、本心である。

 

●このときのソリュンは17歳。現在22歳。スタイルも顔も、微妙にしか変わっていないのだから。とはいえ「ちょっとの違いが大きな違い」であるのも事実。ザ・アイドルとして、愛称「将軍」として、現在の歌声の解放感は、大きな違いなのであった。

 

 

■NMIXX - “Si Antes Te Hubiera Conocido” | SPECIAL STAGE | MUSIC BANK BARCELONA 2026

 

 

●これまでつねづねアカペラで歌ってきた曲を、本国スペインで歌うのは、彼女たちにとっても感慨深いだろうな。9月12日にあった合同コンサートに、ガールズ・グループはNMIXXのみ。しかし、リハーサル直後にへウォンの体調が悪化し、5人のパフォーマンスとなった。が、素晴らしい。

 

 

 

[処女詩集販売中]

『火舌(かぜつ)詩集 Ⅰ ハードボイルド・ムーン』

著者:曽根 賢(PISSKEN)

ドローイング:佐藤ブライアン勝彦

 

判型A5/平綴じ/96ページ

部数:300部

税込み価格1320円

 

さて、販売方法だが、以下の2つの書店で、通信販売、また店頭発売します。

2書店のサイトを検索してもらって注文してください。

ネット注文できない私のようなひとは、誰かに頼んで注文しましょう。

 

※詩集には私のサインが入っています。

 

「タコシェ」

http://tacoche.comであれば要注意(ボーダーライン)、8.5pg/ml以(シングル小説もセカンド&サードも注文できます)

 

「模索舎」

http://www.mosakusha.com/

 

「阿佐ヶ谷ネオ書房」

※書店販売のみ

 

尚、くどいようだが、この処女詩集は、あくまで『火舌詩集』のⅠであって、今後あと2冊を発行します。

3冊合わせて『火舌詩集』となるので、ぜひコンプリートしましょう。

※「火舌」とは中国語で、火事の際、窓から吹き出し、壁を舐める炎をいう。

 

[サード&セカンド・シングル通販中]

●A面「PISS(INTO)MY HEROES」
●B面「七曲荘二〇三号室」

 

●セカンドシングルのジャケット。被写体は細菌学者の志賀潔。撮影は土門拳。

 (ファーストは売り切れ)

●1,600円(発送代込み)

 

●アドレス:pissken420@gmail.com

――以上へいったん、欲しい旨のメールをください。

(ファーストは売り切れ)
 

『キャンプ日和』(河出書房新社)

キャンプ小説&エッセイのアンソロジー。トリに曽根 賢の短編「二つの心臓を持つ川の縁で」が掲載されています。

 


『点線面』5号(ポンプラボ)

曽根 賢の特集と、論評風の新作エッセイが載ってます。詳しいことはネットで検索してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        

[深雪荘日記]

 

●[連載第240回]

「我らの世代を看取る我らの世代の墓碑銘」

 

「」         

佐藤ブライアン勝彦●作品&文章

 

 

届き次第、

アップします。

 

 

 

9月11日(金)鬼子母神は雨。

 

午前8時半、都立大塚病院で受付をすませる。

2019年ぶりの大腸内視鏡検査のためだ。            

前回には、ポリープが2つ見つかり、切除したひとつの先が癌化していた。

 

1年後に再検査するようにといわれたが、再検査に向かったのは確か3年半後だったか。

しかし、ブログにも書いたが、予約時間から3時間待たされ、体調の悪さから帰ってしまった。

で、さすがに「こんどこそ」主治医の愛子先生の指示に従うしかなかったのだ。

 

 

10時10分から、下剤を飲むが、1リットル(半分)飲んでもなぜかもよおさない。

そこでいったん飲むのをやめ、散歩したりして12時過ぎまで待つが、らちが明かないので浣腸をすることになった。

それも、若い女性看護師の手で。

 

ようやく、午後2時半、内視鏡検査が始まった。

嫌な予感が的中し、医者も、看護師2人も、みな女性である。

(前回は男の3人チームだった)

先日観た、映画『敵』の1シーンを思いだしだ。

 

むぞうさな最初の痛撃。

すぐさま2度目の痛撃。

それから、長い長い、旅が始まった。

 

 

わが愛する詩人田村隆一は、都庁ビルをして「あれは納骨堂だよ」と評したそうである。

 

そして、江戸時代の雑司ヶ谷墓地のこの(深雪荘)あたりは、貧乏儒者が住んでいた。

 

田村は「あの世」を信じているといい、そのあの世とは「遺伝子」のことだと言った。

 

また、こんなことも言っている。

 

「死ぬってことは、一つのね、雑誌でいうところの締め切りみたいなもんで(笑)、あれがなかったら、人間ね、原稿なかなか書かないよ。締め切りがあるんで、みんな原稿書けるんですよ。

 

とくに詩とか、そういったものは、これ完成したらなんて言ったら永遠に完成できそうもないんだから。だからみんな未完成なんですよ。人間の仕事ってのは。

 

それを次の世代の人たちがいろんな形で受継いでくれて、それはまたその人の選択した範囲で実現してくれればいいんです」

 

私が死にぞこなった6年(7年?)前からこっち、大事な仲間が6人も死んだ。

そのうち4人は年下である。

「彼らのぶんも日々を大切に生きよう」

 

なんてことは、金輪際おもわない。

そんな考えは死者への冒涜だ。

 

とはいえ、やはりショーペンハウアー的な厭世気分に浸ることがままあった。

それは、妻子のない、病人の、独居老人の、気の迷いでしかないけれど。

 

ニヒリズムなんて、それこそ死者への冒涜だ。

それに、世界を呪うのも、冷笑するのも、身に余る。

 

そもそも、この「矛盾の谷」を走る列車へ飛び乗ったのは、自分からじゃないか。

 

私の書く詩とは、正しさ、真実を見つけ語ることではない。

それは哲学者、言語学者、聖職者等にまかせるべきだ。

 

私が書く詩とは、読者に、正しい、真実の「欲望」へ、眼を向けさせようとする「欲望」そのものである。

 

私は、犬笛を吹くビッチだ。

 

その昔、『TATTOO BURST』編集長の川崎美穂は、私を評してこう言った。

 

「曽根さんの背中のジッパーを下ろしたら、ヤリマンのブスのギャルが出てくるよね」

 

ブスとはなにごとだ! と怒ったっけ。

 

 

 

[METASEQUOIA用詩 /2026.9.10/第7稿 ]

 

 

 

「狂った俺たちの狂った生活を生き延びる道を教えよ」

 

                                                             

それは真夏の正午のこと

ものものしさを引き連れて、サイレンは遠のき

眼を開くと、アスファルトの血だまりに

ガソリンの虹が浮かんでいた。

 

タイヤの焦げた匂い

あたりはやけに静かで、耳にするのは数匹の蠅と

遠くであくびするヘリコプターの羽音ばかり

単車のスリップの跡は、針を呑んだ海蛇のように

ゆがんだガードレールに座る、二人の男の足元でちぎれていた。

 

その足元も、明日になれば、死に花に埋もれるだろう

煙草や缶コーヒーや、スナック菓子に埋もれるはずだ。

けれど、青年が愛した女のことは、誰の口にものぼらない。

彼が口に出来なかった、ポルト酒につけたメロンや

オマール海老のカイエンヌ・ソースの話は語られたとしても

青年に愛した女がいたことは、彼女も口をつぐんだまま

ラプラスの悪魔でさえ、あさってを向き、すっとぼけるだろう。

 

 

もどかしいまでにゆるいカーブで、青年は死んだ。

何も見えないもどかしさが、さびしく吠え、

逃げ水にすべり、青年の単車はバーストしたのだ。

激しく戦争を夢見ていた彼だったが

突っこんだ側溝に身をよじらせたまま、身じろぎもしなかった。

 

「何かが終わり、何かが始まってる。

それはいつだって、おれから五百メートル先で」

ここから五百メートル先にあるのは、町役場ぐらいだ

戸籍謄本でも必要だったのだろう

彼の千切れた右腕は、三十メートルを稼いだけれど。

 

青年にはテロリスト同様、発言権がなかった。

なにより新鮮な仕事がなかった。

狂った彼の、狂った生活の、生き延びる道の途中にあったのは

真夏の正午の、痛みさえない、新鮮な切断面だけだった。

 

 

男には常に狂気がついてまわる

女に邪推がついてまわるように。

彼がガードレールを飛び越える間に、千の昼と夜がめぐっていた。

あなたが振り返ると、部屋の隅に、ぽつんと彼の一部が落ちており

窓の外は激しい雨が、夜を騒がしている。

 

               

太陽はびくともせず、頭上を占領していた。

男たちはトラブル処理に疲れていた。

鼻血を垂らした相棒の脇で、年上の男が天へ助けを乞う。

「雨よ、ガーゼの匂いがするという雨よ

その角から飛び出してこい

俺たちは当たり屋にだってなるだろう」

                                             

相棒が立ち上がった。

「さあ、仕事にもどろう」

ぐずぐずと二人は歩き出した。

あなたもそのうしろをついてゆく。

 

足元の影が墓穴に見えるから、男たちは顎を上げ

揺れる浮島を目がけ歩いた。

そして三人は思った。

明日の新聞に、あの青年の死亡記事は載らないだろう。

明日の新聞に、俺たちの死亡記事は載らないだろうと。

 

 

男たちは途中の酒場に寄り、パイントグラスで黒ビールを六杯ずつ呑んだ。

そのあと同じグラスで、生のシードルを二杯ずつ。

それを呑めるのは、東京ではこの店だけだった。

 

男たちは酒場を出て、仕事場の床をめざした。

そこしか戻る場所はないのだし、ひび割れた唇は歌を忘れない。

「狂った俺たちの、狂った生活を、生き延びる道を教えよ」

男たちは互いに体をささえ

五百メートル先の仕事場の床を目指した。

狂った男たちの、狂った生活を、生き延びる道を千鳥足で。

 

 

ようやく男たちの昼と夜が昏睡して横たわる。

自ら、今日を終わらせることのできない男たちの、自滅回路が切断される

ビロードの奈落から、トルストイの屍がシタールをかき鳴らす。

ラプラスの悪魔の記憶を呼びおこすように。

 

明日の新聞に男たちの死亡記事は載らないだろう。

明日の新聞にあなたの死亡記事は載らないだろう。

先走った女たちの亡霊よ

道半ばの側溝へ、あふれんばかりの花を、投げ入れよ。

 

 

 

 

※「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」は、イギリス出身の詩人W.H.オーデンの詩の一説。大江健三郎の中編「「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」はそれから。高校時代に読んで、内容は憶えていないが、ずっとタイトルだけ忘れなかった。詩の内容は自著『BURST DAYS』の中の掌編「BURST」と同じエピソードからである。

 

 

[今週の曽根のおすすめ作品/タイ・ウェスト監督『X』『Pearl』『MaXXXine』ミア・ゴス主演]

 

●ミア・ゴス主演「X三部作」が、一挙NETFILXで公開された。ミア・ゴス好きを公言ながら、実はこの三部作を観るのは初めてであった。しかし公開の度(海外も含め)映画レビュー動画はかたっぱしから見たし、映像の断片も観ているせいで、もう映画を観た気分だった。が、やはり当然違った。

 

●いやあ、いいねえ、やっぱりミア・ゴスは。三部作はそれぞれまったく雰囲気は違うし、なんならジャンルさえ違うが、これはミア・ゴスの「アイドル映画」なのだ。ただただ、ミア・ゴスの姿と表情を堪能すればいい。

(あ、できれば吹替じゃなくね。彼女の声は、そりゃうっとりするほど魅力的だ)

 

●公開は『X』『Pearl』『MaXXXine』の順だが、ミア・ゴス20代最後の映画である。『X』における脱ぎっぷりも、からみっぷりもすがすがしい。一瞬映る尻の美しさよ。あとびっくりしたのが、あのNETFILXシリーズ『ウエンズデー』のヒロイン役で跳ねたジェナ・オルテガがまでが脱いでいるのにびっくりした。ミア・ゴスに負けちゃいられないという女優根性の表れか。

 

●三部作それぞれ評価がわかれるようだが、私は満足、くどいがこれはアイドル映画なのだから。つまり邦画でいえば『ベイビーわるきゅーれ』だ。設定もストーリーもむちゃくちゃだが、ヒロインの「ちさと&まひろ」の魅力を堪能すれば良し、という「ザ・プログラム・ピクチャー」なのである。

(私は断然まひろ推し)

 

●とはいえ「X三部作」の映像は、めちゃくちゃスタイリッシュだし、その凝りようと「志」の高さ、なによりミア・ゴスの演技は、スラッシャー映画やプログラム・ピクチャーの枠などたやすく超えている。アイドル・ホラーであり、アート映画でもあるのだ。

 

●それにしても『X』のパール婆さん(ミア・ゴス一人二役)の夫である爺さん、心臓を心配しながらも、パール婆さんを満足させるのだから、ほんとえらい。『パール』でのダンス・シーン、『マキシーン』での鍵のメリケンサック殴りが、白眉である。

                        

 

 

 

 

長い旅が「中断」されたのは、なんと午後4時を回っていた。

その間、何度、からだの向きを変えただろう。

「大の字」の時間も長かった。

まるで尻にストローを差しこまれ、腹を膨らました、解剖台のカエルの気分だった。

 

「前もこんなに長かったっけ?」

かなり苦しい。

いちいちからだが跳ねる。

ときおり看護師が背中をさすってくれる。

その手が、異様に熱い。

 

「どうしても奥に届かないんで、細いのに変えますね」

どれくらいかかっているのだろう。

時間の感覚が麻痺してきた。

 

切除する数が多いのだろうか?

それとも、ポリープの数が多すぎて、調べるのに時間がかかっているのだろうか。

田舎の同級生が、1度の検査で22ものポリープが見つかったっていってたっけ。

 

 

「腸が長く伸びていて、畳もうとしたんですけど、どうしてもいちばん奥まで届かないんです。血便もないそうだし、ここらへんでやめましょうかね」

私は激しくうなづいた。

長い長い旅は、中断とあいなった。

 

起き上がって、壁時計を見たら4時を少し回っていた。

1時間半も、内視鏡が入れられていたのか。

どれだけのポリープがあったのだろう。

いちいち切除したとしたら、もはや、大手術ではないか。

 

「1年後に、また検査しましょうね」

医者が優しい眼で見下ろした。

「ええ」(嘘)

 

医者が最後の最後になって、むぞうさに言った。

「新しいポリープもなかったですし、前のポリープの跡も大丈夫でした」

「なかったのかい!」(心中)

 

 

午後6時、深雪荘到着。

疲労困憊、へとへとである。

とはいえ、さすがに何か腹に入れなきゃ、低血糖症状をおこす。

検査のため、昨日の午後6時から何も食べていないのだから。

 

 

[夕食]

●バナナ

●カップヌードル

●サツマイモの天ぷら3切れ(スーパーの半額品)

●半熟の煮卵2つ(スーパーの半額品)

●エクレア(100円)

●ミルクティー

 

 

おやすみなさい。

 

なんとまあ、犬笛吹きのビッチの大腸には、ポリープが無いってさ。

〆切が遠のいた気分だ。

納骨堂、貧乏儒者、あの世、遺伝子、仲間の死、厭世気分、死者への冒涜、矛盾の谷を走る列車。

長い長い旅は、結局、中断したままだ。

 

ハイデガーは言う。

「哲学は何かのことに役立つ知ではないが、そうであるがゆえに、あらゆることを支配する知である」

 

田村隆一は言う。

「詩は何かに役立つものではないが、そうであるがゆえに、あらゆる支配に超え得る表現である」

 

哲学者も詩人も暴君と紙一重だ。

 

せめて私は言う。

「明日の新聞にあなたの死亡記事は載らないだろう」

 

よい夢を。

 

 

 

[曽根の掌編収録アンソロジー文庫発売中]

■曽根の掌編「牛乳屋のおんちゃん」も収録されているアンソロジー文庫本『フッハッ!な純文 鴎外から棒一まで』河出文庫/1,210円

■鴎外、芥川、太宰、安吾、織田作之助、町田康、他全21編

 

 

 

[NMIXXつれづれ草]

●バルセロナへ立つ空港にて。みなで「ドクター・マーチン」をそろえた、パンクス6人組。

 

●ソリュンのあざとさは天然の悪女だな。この角度でソリュンを見る男の嬉しさが、なぜか伝わってきちゃうぜ。それにしても、やはり痩せたね。カムバック直前の仕上がりだ。

 

■[JYPn] 보름달(Full Moon) Cover | QUALIFYING

 

●プレ・デビューのソリュン初映像。この映像が公開されて5年が経ったそうな。つまり、私がNMIXXにはまり始めてから、もう5年が経つのか。隔世の感とは逆に、なにも変わっちゃいないなあというのが、本心である。

 

●このときのソリュンは17歳。現在22歳。スタイルも顔も、微妙にしか変わっていないのだから。とはいえ「ちょっとの違いが大きな違い」であるのも事実。ザ・アイドルとして、愛称「将軍」として、現在の歌声の解放感は、大きな違いなのであった。

 

 

■NMIXX - “Si Antes Te Hubiera Conocido” | SPECIAL STAGE | MUSIC BANK BARCELONA 2026

 

 

●これまでつねづねアカペラで歌ってきた曲を、本国スペインで歌うのは、彼女たちにとっても感慨深いだろうな。9月12日にあった合同コンサートに、ガールズ・グループはNMIXXのみ。しかし、リハーサル直後にへウォンの体調が悪化し、5人のパフォーマンスとなった。が、素晴らしい。

 

 

 

[処女詩集販売中]

『火舌(かぜつ)詩集 Ⅰ ハードボイルド・ムーン』

著者:曽根 賢(PISSKEN)

ドローイング:佐藤ブライアン勝彦

 

判型A5/平綴じ/96ページ

部数:300部

税込み価格1320円

 

さて、販売方法だが、以下の2つの書店で、通信販売、また店頭発売します。

2書店のサイトを検索してもらって注文してください。

ネット注文できない私のようなひとは、誰かに頼んで注文しましょう。

 

※詩集には私のサインが入っています。

 

「タコシェ」

http://tacoche.comであれば要注意(ボーダーライン)、8.5pg/ml以(シングル小説もセカンド&サードも注文できます)

 

「模索舎」

http://www.mosakusha.com/

 

「阿佐ヶ谷ネオ書房」

※書店販売のみ

 

尚、くどいようだが、この処女詩集は、あくまで『火舌詩集』のⅠであって、今後あと2冊を発行します。

3冊合わせて『火舌詩集』となるので、ぜひコンプリートしましょう。

※「火舌」とは中国語で、火事の際、窓から吹き出し、壁を舐める炎をいう。

 

[サード&セカンド・シングル通販中]

●A面「PISS(INTO)MY HEROES」
●B面「七曲荘二〇三号室」

 

●セカンドシングルのジャケット。被写体は細菌学者の志賀潔。撮影は土門拳。

 (ファーストは売り切れ)

●1,600円(発送代込み)

 

●アドレス:pissken420@gmail.com

――以上へいったん、欲しい旨のメールをください。

(ファーストは売り切れ)
 

『キャンプ日和』(河出書房新社)

キャンプ小説&エッセイのアンソロジー。トリに曽根 賢の短編「二つの心臓を持つ川の縁で」が掲載されています。

 


『点線面』5号(ポンプラボ)

曽根 賢の特集と、論評風の新作エッセイが載ってます。詳しいことはネットで検索してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[深雪荘日記]

 

●[連載第239回]

「我らの世代を看取る我らの世代の墓碑銘」

 

「」         

佐藤ブライアン勝彦●作品&文章

 

 

届き次第、

アップします。

 

 

 

 

 

 


●以下、店内の撮影は服部俊幸(その昔、おれの頭をまわし蹴りしたカメラマン)。

 

 

 

9月5日(土)鬼子母神は曇り。

 

目覚める寸前の、夢うつつの状態で、こんなことを考えた。

「既存のYouTube番組を、おれが選び、YouTubeアンソロジーを編んでみるのはどうだろう?」

 

私が観ている番組で、ひとに進められる傑作回を、雑誌形式に並べ、一覧を編むというものだ。

私が「面白い」と思うものばかり選ぶので、全編を観ると「ある傾向」が感じられるアンソロジーとなるはずだ。

 

音楽、美術、文学、映画、漫画、人文系、ドラッグ、料理、歴史、サイエンス、ファッション、芸人、事件、政治、経済、etc.

 

「人の褌で相撲を取る」行為だが、アンソロジーとはそういうもので、編集者なら1度はやってみたい仕事だろう。

その魅力の度合いは、企画と取捨選択次第、編集者のセンスが問われる仕事だからだ。

ま、私の場合、仕事じゃなく、道楽だから気が楽だ。

 

道楽としては、ひとつのアイデアだと思う。

いわゆる「テレビ情報誌」は数多くあったし、現在もあるが、まだYouTube番組情報誌は出ていないんじゃなかろうか。

 

AI映画の他に、道楽企画がふえて、生きる糧となる。

寝たきり暮らしにも、いや、寝たきりだからこそ、暮らしに楽しみを見つけださなきゃ生きる甲斐がない。

「六畳間に花束を」

だ。

 


[今週の曽根のおすすめ作品/アリ・アスター監督『ヘレディタリー/継承』2018年


■現在YouTubeで無料公開中

 

●こんな傑作ホラーが、突然YouTubeで無料公開されるとは驚きだ。観たことのないひとはもちろん、観たことのあるひとも、この機会に今一度おすすめする。

 

●アリ・アスター監督の出世作であり、制作会社の「A24」を多くの映画好きに認識させ、映画「考察」ブームの一端を担った映画でもある。

 

●私はこれが3度目で、これを書くために、そういう視線で観ていた。まず驚いたのがそのカット数の多さ。そして画面デザインの秀逸さ。照明、撮影、美術、音楽、スタイリングの職人的丁寧さ。見事だ。

 

●で、なによりも、俳優たちの素晴らしさ。4人家族の「顔」の魅力。特に(妹と)母親役のトニ・コレットの演技たるや、この映画を傑作にし、大ヒットさせた最大の功労者である。怖さを通り越して、最後は笑いになるというが、それこそが傑作ホラーだ。

 

●「先天性遺伝」、「夢遊病」、「血筋」、「男子継承」を強調しすぎ、優性思想的だと批判もあるが、ま、この1作に関しては「悪魔」と「悪魔教」の仕業ということで、残酷すぎる「宿命」を楽しもう。

 

(次作『ミッドサマー』や『ポーはおそれている』を観ると、アリ・アスターはやはり「血筋」にこだわりすぎるほどこだわっているが)

 

●ちなみに、初めて観るひとは、内容をいまいち把握できないかもしれないが、その際は、YouTubeの考察番組を観るのも、この映画の楽しみ方である。

それにしても、父親はつくづく可哀そうだな。

 

 

 

●福ちゃんがカッコよくデザインしてくれたフライヤー。この写真は入院前後の40キロ台。一緒に写っているのは泥酔した死体写真家釣さん。
 

●「バー・モダンフリークス」前にて(撮影・福ちゃん)。

 

 

 

 

 

午後2時半、約束通り、大野さんが車で迎えにきてくれた。

今日のトーク・ライブは、そもそも大野さんが言い出しっぺなのだ。

「おれが車で、行きも帰りも運ぶんで、福田さんの店へ行きましょうよ」

じゃなきゃ、新宿2丁目のバーになんて「永遠にひとりで」行けるわけない。

 

で、結局、運転してきた車はパーキングに止め、タクシーで2丁目へ行った。

なんのことはない、大野さんは「送迎係」というより、たんに「介添え」役を果たしてくれるのであった。

 

午後3時、店主の福田光睦(お公家)が店を開けてくれ、2人で入った。

福ちゃんは元『SMスナイパー』の編集者で、昔からの仲間である。

フリーの編集者で、映画を撮ったり(『ヤリマン・ハンター』)、ユーチューバーをやったり、こんどはバーのマスターとなったわけだ。

 

彼が営む「バー・モダンフリークス」は、元「サイドB」というカウンターバーであった。

ケイコさんというママがひとりでやっていた店で、『BURST』時代のたまり場であった。

 

最後の記憶は、作家の永沢光雄さんの通夜の晩に、Aちゃんと2人で呑んだときか。

2人の他に客はいなかった。

 

その晩、新宿の寺での通夜で、私たちは受付係をした。

通夜客は200人を超えた。

その晩のビールの数は、確か400本近くで、その寺の新記録だった。

 

新宿2丁目のおねえやゲイが手伝いにきていた。

テントでの受付が終わると、明らかに年下のゲイが、次は通夜客の「下足番」をしろと命令してきた。

私たちは笑顔で従い、200足以上の靴を整理した。

 

「実はさ、嫌だったよ、下足番なんてさ」

通夜後の0時を回ったあたり、サイドBのカウンターでAちゃんがつぶやいた。

「えっ、Aちゃんも? おれだって嫌だったよ、40過ぎて下足番なんてさ!」

「最後までやられたな、永沢さんに」

「ああ、永沢にやられたよ」

 

そのあと、店の外へ出て、監視カメラがないのを確かめてから、ドアにもたれて、ジョイントを回し吸いした。

「こんなこともあろうかと、1本巻いてきたんだよ」

「ナイス、Aちゃん」

外に出たのは、ケイコさんが許してくれなかったからだ。

 

 

●手前左から死体写真家釣崎清隆(見えないけど)、元同僚ヒロシ。後半にはNYの大学院(哲学)生の白人女子(25歳)もやってきた。なんと日本のアンダーグラウンド(特にエロ)を勉強しにきたという。声をかけられたが、あっちはもちろん英語で、会話にならなかった。残念。

 

 

 

あの夜が41歳だから、店の中に入るのは、もう21年ぶりになるのか。

サイドBは、ミニマルでモダンな店内だったが、「バー・モダンフリークス」は、ポスターや絵やTシャツから、釣(崎清隆)さんの死体写真まで、壁がぎっしりと埋められ、新宿ゴールデン街の店のようであった。

 

ただし、端がJ型となった長いカウンターは変わっていない。

何も食べていなかった私は、コンビニのおにぎりを2つ腹にいれた。

今日は呑むつもりだったからだ。

 

誰も客なんてこないだろと心配していたが、結局、カウンターはすべて埋まり、ホッとした。

とはいえ、大半が元同僚や仲間であったが。

 

 


●福ちゃん、2年前に離婚しとった。

 

●白シャツ眼鏡は元同僚の大島くん。カウンター内の女子は手伝いの――すまん名前失念。あ、右奥に釣さんが確認できる。

 


●早々に電池切れで、途方にくれているおれ。

 

 

午後4時過ぎから、福ちゃんがMCとなって話しが始まった。

内容は、たわいもないエロ話が大半であった。

 

午後6時半、話し終えると、客を残し、大野さんとタクシーで雑司ヶ谷へ帰る。

もう限界だった。



●大野さんと別れ際のツーショット。おれの顔が完全に死んでいる。大野さん(会社員がコラプテッドのTシャツ)、お疲れ様、ありがと。

 

 

パーキングで大野さんと別れ、部屋に着いたのが午後7時過ぎ。

(隣のパーキングがいっぱいだったので坂下のパーキングへ止めていた)

心底、疲れた。

 

実は、1時間くらいで電池が切れていたのだ。

小瓶のビールを2本呑んだが、助けになってはくれなかった。

体力の落ちこみぐあいに、自分でもびっくりした。

 

着替えもせずに万年布団へ倒れ、たちまち眠りに落ちた。

まるで、鉛のからだが、8メートルの高さに積んだ綿(わた)に沈むように――。

 

――2時間後、目覚めた。

小用に立つ。

ジーンズを脱ぎ、パジャマを着かえる。

薬を飲み、睡眠用インスリンを射つ。

で、灯りを消した。

 

おやすみなさい。

 

キアヌ・リースブは9月2日に62歳になったという。

「へえ、おれと同い年だったのか」

映画『スピード』で共演したサンドラ・ブルックは、彼についてこう語る。

 

「彼の父親は彼が3歳の時に彼を見捨てました。娘は生後8ヶ月で亡くなり、恋人は交通事故で命を落とし、最愛の友人(リヴァー・フェニックス)は過剰摂取で亡くなりました。

 

それでも彼は決してその光を失わず、世界が崩れ落ちることもありませんでした。

『湖畔の家』の撮影中、彼は2人のアシスタントの会話を偶然耳にしました。

泣きじゃくる女性が、2万ドルを支払わなければ家を失うかもしれないと話しているのです。

キアヌはすぐにそのお金を彼女の口座に振り込みました。

 

『マトリックス』三部作の収益で、彼は映画の真のヒーローだと信じる特殊効果チームに数百万ドルを贈りました。

 最も危険なシーン以外ではスタントマンを使わず、彼はこれらの“ヒーロー”たち一人ひとりにハーレーダビッドソンのバイクをプレゼントして感謝の意を伝えました。

 

今でも、彼は地下鉄やバスで移動し、決して恥じることなく暮らしています。

多くの病院が、彼から数千万ドルもの寄付を受け取ったと証言しています。

ある映画では、制作が他の俳優を雇えるように、彼は自身の出演料の90%を諦めました。

 

 1997年、パパラッチは彼が路上でホームレスの男性の隣に座り、朝食を分け合い、その人の話を聞いているところを目撃しました。

私たちがキアヌ・リーブスについて知るすべては、彼自身が話したのではなく、彼の助けと寛大さの恩恵を受けた人々から聞かされたものです。

 

彼は決して自慢しようとはしませんでした。

これほど多くの試練を経験したなら、彼は暗く絶望的な人生観を抱くこともできたはずです。

しかしそうはしませんでした。彼はいつも優しくない世界で、善良な人間であり続けることを選びました」

 

●『コンスタンティン』2はまだかいな。そのときは、さすがに髭を剃れよ(マトリックス4は髭のせいで、ジョン・ウィックになってた)。

 

 

こういう男が同い年に存在するので、私は気楽に眠ることができる。

世界を呪うこともせず、矛盾の谷底で、あなたへはにかんだまま。

8メートルの高さに積んだ綿に沈み。

お互い。

よい夢を。

 

 

 

[曽根の掌編収録アンソロジー文庫発売中]

■曽根の掌編「牛乳屋のおんちゃん」も収録されているアンソロジー文庫本『フッハッ!な純文 鴎外から棒一まで』河出文庫/1,210円

■鴎外、芥川、太宰、安吾、織田作之助、町田康、他全21編

 

 

 

[NMIXXつれづれ草]

 

●ミニアルバム『ヘヴィー・セレナーデ』は、ビートルズにとっての『ビートルズ・フォー・セール』だと思う。いい曲はあるが、やはり全体に小品なイメージはいなめない。NMIXXに感じる「乱暴」「乱雑」さに、やや欠けるのだ。

 

●それは、過密スケジュールのせいとしかいいようがない。6人よりも運営側のSQU4Dメンバーがまにあってないのだ。しかし、それもしょうがない。作り手の気持ちはわかる。

 

●しかし、だからこそ来月の新譜への期待は大きい。さて、果たしてNMIXX流『ラバーソウル』は、われらの手に入るだろうか。NMIXX中期の傑作が。私の予想では「ジウ」がカギになると思う。彼女の声は、リリーと共に「欧米声」なのだから。

(つまり、本国受けではなく、あからさまにアメリカを狙った曲と音が来るはずだ)

 

 

●休暇中に「静岡」へお姉ちゃんと旅行に来た記録。まあ、この顔の威力は凄いね。兄貴だったら大変だな。

 

 

 

[処女詩集販売中]

『火舌(かぜつ)詩集 Ⅰ ハードボイルド・ムーン』

著者:曽根 賢(PISSKEN)

ドローイング:佐藤ブライアン勝彦

 

判型A5/平綴じ/96ページ

部数:300部

税込み価格1320円

 

さて、販売方法だが、以下の2つの書店で、通信販売、また店頭発売します。

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「タコシェ」

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※書店販売のみ

 

尚、くどいようだが、この処女詩集は、あくまで『火舌詩集』のⅠであって、今後あと2冊を発行します。

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※「火舌」とは中国語で、火事の際、窓から吹き出し、壁を舐める炎をいう。

 

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●A面「PISS(INTO)MY HEROES」
●B面「七曲荘二〇三号室」


●セカンドシングルのジャケット。被写体は細菌学者の志賀潔。撮影は土門拳。

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●1,600円(発送代込み)

 

●アドレス:pissken420@gmail.com

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『キャンプ日和』(河出書房新社)

キャンプ小説&エッセイのアンソロジー。トリに曽根 賢の短編「二つの心臓を持つ川の縁で」が掲載されています。


『点線面』5号(ポンプラボ)

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Modern Freaks Live Interview Night

■Modern Freaks Live Interview Night 

 

【ゲスト】 曽根賢(作家) 

【聞き手】 福田光睦 

 

■作家/元バースト編集長の曽根賢(ピスケン)が、編集者時代を過ごした新宿二丁目の酒場「Side-B」の跡地で、その若き日々を語る! 

 

■9月5日(土)16時~ ¥2,500+1d 

※ご予約はDMかEメールにて(検索してみてちょうだい)

 

■「Bar Modern Freaks 」東京都新宿区新宿2−14−12阿部ビル1階 ※新宿三丁目駅徒歩5分

 

●なんか、こういう集いを企画してくれたので、久しぶりに呑みます。誰もいないのもオツだけど、ま、ひまだったら遊びに来てちょうだい(曽根)。

 

 

 

 

 

 

[深雪荘日記]

 

●[連載第239回]
「我らの世代を看取る我らの世代の墓碑銘」
 
「」         
佐藤ブライアン勝彦●作品&文章


届き次第、
アップします。

 

 

 

●万年布団を畳んだ6畳間にて。フローリングもどきなので、なぜかこのときスリッパをはいたままだ。左のビニール袋に蒸篭がはいっている。

 

●右側にテーブルがあり、その奥がカーテンの無い(代わりにすだれを垂らした)窓。肝心の新しいこのPCが映っていないのが残念。写真はもちろんシギー吉田。

 

 

 

8月28日(金)晴れのち曇り。

 

午前6時、シギー(吉田)よりメールがくる。

昼ごろにそっちへゆく、と。

「午前6時にメールを寄越すなんて、まったく、年相応な早起きだこと」

 

彼と同い年の私は、午前6時になっても、まだ眠っちゃいなかった。

なにせ、昨日も午前9時に寝て、おきたのが午後5時だったのだし。

「しようがない」

そのまま眠らず、昼までだらだらとYouTubeを眺めることにする。

 

 

「ああ、そうか」

観ていたYouTube番組(※)の「指摘」に、思わず膝を叩いた。

※「昭和40年生まれの映画レビュー室」

 

伊丹十三監督『タンポポ』のラストと、次作の『マルサの女』のオープニングは、どちらも「授乳」シーンであり、それは2作の繋がりを意味しているのだ、と。

(『マルサの女』の場合、死にかけた老人と看護師であったが)

 

『タンポポ』の授乳シーンが、「食欲」と「性欲」の象徴であることは、私を含め、観たもの誰もが納得しただろう。

そして『マルサの女』の授乳シーンは、あくまでグロテスクなアイロニーだとばかり、私は考えを流してきた。

 

しかし、映画が繋がっていると知ると、それは別の意思を気づかせる。

つまり、食欲と性欲から、こんどは「金欲」(そんな言葉はないが)を描きますよ、という伊丹のウインクだったのだ。

「さすが伊丹十三、こじゃれてるなあ」

 

私が母乳の味を知った相手は(ここに何度も書いたが)授乳期間中の恋人だった。

「当時のおれにとって、彼女は性欲と食欲と、物欲の象徴だったのかもしれないな」

彼女は私にとって、本来なら「高嶺の花」であったからだ。

                                                                                                   

ま、若い時期に、そんな経験しといてよかった。

ふがふがと歯のない口で、差しだされた乳首に吸いつくなんて、醜悪そのものではないか。

 

「そうか?  差しだされたら吸いつくだろう?」

ま、あの薄甘い汁が、恋しい季節がくるかもなあ。

母乳こそ「至高の老人食」とも、いえるかもだし。

 

あなたなら、そのときどうする?

私なら、間髪入れず吸うだろう。

差しだした女性に恥はかかせられない。

死に際も、私は「男子」でありたいもの。

 


[曽根今週ののお勧め作品/SION『SION』1986年

 

■「風向きが変っちまいそうだ」

 

■「街は今日も雨さ」

 

●上京したての84年ごろ、新宿西口の地下道脇のアクセサリー店に、緑の髪を逆立てた、派手な売り子がいたのを憶えている。それがのちのSIONだった。初期のSIONはパンクスからの支持が多かった。私も熱烈なファンだった。特にこのファーストを聴いたときの衝撃は忘れられない。

(私もこんな髪をしてたっけ)

 

●日本語ロックの歌詞に影響を与えたミュージシャンは、年代順に、はっぴいえんど(松本隆)、吉田拓郎(&岡本おさみ)、サザンの桑田佳祐、佐野元春、INUの町田町蔵、スターリンのミチロウ、そしてSIONだった。SIONは日本語ロックに「私小説」を持ちこんだ。

 

●インディーズ時代から、先行シングル、このアルバムの数曲で、岡本おさみが共作している。当時それを知りびっくりしたが、確かに「私小説」を持ちこんだのは岡本おさみが先輩か。とはいえ、皿洗いのバイト代「3200円」とまで歌ったSIONは新しかった。

 

●次作のミニアルバム『春夏秋冬』が発売されたあたりに、確か中野サンプラザ(渋谷公会堂の間違い)へ、ダチのター坊と観にいったことがある。ター坊の部屋でよくレコードを聴いたし、お互い影響を受けた歌詞を書いたり、トム・ウェイツを聴いたりした。ター坊の歌は、若くして酒で死ぬまで、SIONに影響を受けたものだった。

 

●上京したての私にとって、このアルバムの最初を飾る「風向きが変っちまいそうだ」と、ラストの「街は今日も雨さ」は、まさに自分の歌、「上京組」の歌だった。今も毎年、こんな気持ちで、この東京で生きている地方出身者の若造がいるだろう。ぜひ、彼らにこのアルバムが届けばなあと、しみじみ思う62歳であった。

 

 

 

 

午後0時半、シギー到着。

が、隣のパーキングがいっぱいであった。

なんで、荷物を一旦部屋へ置き、それからパーキングを見つけ、そこからカートで部屋へ戻ってくるという運びとなった。

 

しかし、部屋の狭い玄関からが、さらに大変だった。

40センチほどの高さの床へ、両足をつくのに苦労した。

結果的に、シギーは(汚い)床を匍匐前進するかたちをとらざるをえなかった。

私といえば、その場でおろおろと見ているばかり。

 

しばらくして、どうにか椅子に座り落ちつくことができたが、それまでの時間、脚を撃たれた戦友を、ただ突っ立って眺めている幽霊の気分だった。

「部屋で転んだら、遭難しかねないな」

なんて、かるくちを叩いていたが、実際、顔色は青ざめていただろう。

 

(念のために書くが――シギーは高校生のときに全日本ラグビーの練習で首の骨を折り、そこから数年のリハビリ後、松葉杖でパレスチナ取材をするほどのカメラマンとなった。が、さすがにこの頃は、前のようには動けなくなってきたようだ)

 

いま思えば、私が背負えばよかったのだが、いやいや、とてもひとを背負う力はない。

ましてや、相手はシギーだ。

背丈は同じだが、私と違い、骨太の頑丈な男である。

ましてや、そういう身体であっても、私を心配し、部屋までやって来る偉丈夫なのだし。

 

 

私のために、シギーは、自ら買った中古のPCをもってきてくれたのである。

(買ったものに、いろいろ操作をくわえたうえで)

シギーがパーキングから帰ってくるまでに、PCに線をつなげ、すでに使えるようになっていた。

 

他に、持ってきてくれたもの。

●寿司

●ワイヤレスのヘッドフォン

●蒸篭(せいろ)

●冷凍の肉まんと小籠包

 

 

さっそく、いっしょに寿司を食べた。

北寄貝と鉄火巻きが旨かった。

大半を私ひとりで喰った。

 

そのうち(シギーが呼んだ)ボスYもやってきた。

ボスYも、私たちの飲み物を買ってきてくれた。

(熱中症を心配し、ボスYはペットボトルの水を冷蔵庫へ入れ、ついでに「きったねえな」とののしった。昨晩おれもそう思い、掃除をする気だったのだが、ここは「てへ」と頭をかいて涙を飲んだ)

 

で、3人で駄弁る。

 

 

●左からボスY、シギー、おれ。手にしている皿が、シギーが買ってきてくれた寿司。ガラス戸の向こうが台所。その右が風呂場で、左側が便所。寿司はパックから皿に移した。

 

 

 

熱中症の話のおり、何気なくシギーが言った。

「おれ、首の骨を折ってから、汗をかけなくなったからなあ」

びっくりした。

 

「ええ! そんな話、初めて聞くぞ!」

シギーとはざっと四半世紀の仲だが、そんな話は初耳だった。

(脚は少し汗をかくが、上半身はまったくだそうな)

 

「東北大震災の取材のとき、あんだけ暑い場所を巡ったのに、なんにも言わなかったじゃん」

そう、震災60日目から5日間、私の実家をキャンプ場所として、岩手から宮城までの海岸線を、シギーが運転する車で巡ったのだった。

 

あのときは、まだ余震の可能性があり、いざそのときになったら、シギーの重い体を背負って、どれだけ歩けるか心配したもんだが、あれから15年、もはや背負うことさえできない身となっている。

 

 

●シギーがもってきた超広角レンズのカメラにて。寿司のテーブル代わりになっているのは逆さにした竹網籠。引き戸の上がやはりガラスになっているあたりが、築60年なのであった。

 

 

 

1時間ほどで、雨が降りそうになってきたので、シギーはそろそろ帰ると松葉杖で立ち上がった。

パーキングまでボスYがつきそうという。

けっこう遠くのパーキングしか空いてなかったとのことで、そこまでカートで向かわねばならないからだ。

(初めてこんな坂を上ったという急坂を下りなきゃならない)

 

玄関に降り立つのは、ボスYの介添えもあり、スムーズに済んだ。

私は玄関を下りず、2人を見送り、扉を閉めると鍵をかけた。

チェーンもする。

 

で、部屋に戻ると、さっそく畳んでいた万年布団を敷きなおした。

それから、入れ歯をはずし、のろのろと歯をみがく。

少ない歯をみがくのは難しい。

 

 

おやすみなさい。

 

乳兄弟という言葉がある。

日本でも古くからさまざまに物語られてきた。

ローマ建国神話のロムルスとレムスという神話もある。

同じオオカミの乳を飲んだ記憶はないが、もしかしたら飲んだのかもしれない。

 

なんて、大げさな仲ではないが、シギーにしろボスYにしろ、乳兄弟なんて大げさな言葉を思いおこさせる男なのだ。

 

このブログは、シギーが用意してくれた(たぶん6代目か7代目の)新しいPCで書き、アップした最初のものとなる。

中古とはいえ、最新の型だそうで、カウンタック並みに速い。

 

明日の朝食は、まず肉まんを2つ、蒸篭で蒸して喰おう。

いったん冷まして、人肌にし、授乳の代わりに2つのふかふかを味わおう。

あ、そういやオレ、乳房を噛んで、歯型をつけるのが好きだったなあ。

 

ちなみに、おふくろはGカップで、私は粉ミルクを決して飲まず、母乳のみで育ったと聞く。

生まれたときから、味と舌ざわりにうるさい男であったか。

あなたも、差しだされたら、間髪入れず吸いつくにかぎるよ。

差しだされないなら、私のように眼をつぶって。

よい夢を。

 

 

 

[曽根の掌編収録アンソロジー文庫発売中]

■曽根の掌編「牛乳屋のおんちゃん」も収録されているアンソロジー文庫本『フッハッ!な純文 鴎外から棒一まで』河出文庫/1,210円

■鴎外、芥川、太宰、安吾、織田作之助、町田康、他全21編

 

 

 

[NMIXXつれづれ草]

●ベイ(22)は、以前から私が言ってきたように、外人から見ても「ミックス(ハーフ)」に見えるそうな。鼻がアジア人と違うと。やはり半島は、ミックスの究極形が生まれる場所なのかもしれない。

 

Live Clip] Parc Jae Jung, SULLYOON (NMIXX) - Always(日本語字幕)
●一緒にデュエット曲を歌ったパク・ジェジョンが、インタビューで中島美嘉が好きで、ソリョンが韓国のナカシマ・ミカになる気がするといった。野太いナカシマだな。

 

Live Clip] Parc Jae Jung, SULLYOON (NMIXX) - Always(日本語字幕)


■NMIXXが、フランスのコスメティックブランドMAKE UP FOR EVERの新たなグローバルアンバサダーとして9月1日に発表される予定だという。

 

 

 

[処女詩集販売中]


『火舌(かぜつ)詩集 Ⅰ ハードボイルド・ムーン』

著者:曽根 賢(PISSKEN)

ドローイング:佐藤ブライアン勝彦

 

判型A5/平綴じ/96ページ

部数:300部

税込み価格1320円

 

さて、販売方法だが、以下の2つの書店で、通信販売、また店頭発売します。

2書店のサイトを検索してもらって注文してください。

ネット注文できない私のようなひとは、誰かに頼んで注文しましょう。

 

※詩集には私のサインが入っています。

 

「タコシェ」

http://tacoche.comであれば要注意(ボーダーライン)、8.5pg/ml以(シングル小説もセカンド&サードも注文できます)

 

「模索舎」

http://www.mosakusha.com/

 

「阿佐ヶ谷ネオ書房」

※書店販売のみ

 

尚、くどいようだが、この処女詩集は、あくまで『火舌詩集』のⅠであって、今後あと2冊を発行します。

3冊合わせて『火舌詩集』となるので、ぜひコンプリートしましょう。

※「火舌」とは中国語で、火事の際、窓から吹き出し、壁を舐める炎をいう。

 

 

[サード&セカンド・シングル通販中]

●A面「PISS(INTO)MY HEROES」
●B面「七曲荘二〇三号室」

 

●セカンドシングルのジャケット。被写体は細菌学者の志賀潔。撮影は土門拳。

 (ファーストは売り切れ)

●1,600円(発送代込み)

 

●アドレス:pissken420@gmail.com

――以上へいったん、欲しい旨のメールをください。

(ファーストは売り切れ)

 

『キャンプ日和』(河出書房新社)

キャンプ小説&エッセイのアンソロジー。トリに曽根 賢の短編「二つの心臓を持つ川の縁で」が掲載されています。

 

 

『点線面』5号(ポンプラボ)

曽根 賢の特集と、論評風の新作エッセイが載ってます。詳しいことはネットで検索してください。