紅蓮の炎に被われてスッキリしてしまった件 | 笛吹きの備忘録

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おばあさんのモノワスレ対策ブログです。
アマチュア楽団でフルートを吹いています。
お芝居が大好き!

渋谷PARCOで『夜叉ヶ池』を観てきました。


観劇の前に、PARCOの地下にあるミュージックカフェ『QUATTRO LABO』でランチ♪
今日も、客は私一人…、そして、もしかして私のために選んでくれたのかもしれないレコードは…、
大江千里さんでした。
う~ん…、10歳ほど若く見られたかも…、うれしいけど残念!

さて、『夜叉ヶ池』です。
泉鏡花の戯曲を、そのままの言葉遣いで演じているので、こんなプリントが用意されていました。
歌舞伎のイヤホンガイドみたいなものですね。

鐘つき男に勝地 涼さん、その親友に入野自由(いりのみゆ)さん、鐘つき男の妻に瀧内公美さん、夜叉ヶ池に棲む竜神姫に那須 凜さんという配役です。

竜神姫役の那須 凜さん、迫力ありましたよ。
そして、ワラワラ登場した異界のもののけたちの不思議な動き! 人間には見えません!
魑魅魍魎という漢字が、ひとつずつ独立してうねうね動いて、パッと集まると魑魅魍魎になっている!
目も心も釘付けになる舞台でした。
演出は森新太郎さん、振付は森山開次さんです。

あらゆる欲をむき出しにしながら、いたって平然と生きている村人たちは、人間ともののけとの間に交わされていた約束を軽んじて、ついに自然界の均衡が崩れます。

夜叉姫伝説をもとに、泉鏡花が創りあげた愛の物語は、劇場全体を真っ赤な幕で怪しく包み込むスケールの大きな結末を迎えます。
私たち観客も巻き込んで!

カーテンコールのとき、もののけたちには、まちろん惜しみなく拍手を送ったのですが、村人たちが登場したとき、なんか、とっても違和感あって、拍手を止めちゃいました。
「お前たち滅んだはずだろ! ニコニコ出て来るなよ!」って気分だったんです。それほど、村人たちの俗っぽさに嫌悪を覚えたし、彼らが滅ぼされる結末にスッキリしたお芝居だったのです。

しかし、よく考えたら…、終幕で、観客も同じく欲にかられて生きる人間として、村人たちと一緒に、紅蓮の炎で滅ぼされたのですよ。

スッキリしてる場合じゃなかった…。