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アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

インドのプラヤグラージで行われたヒンドゥー教の宗教行事「マハ・クンブメーラ」に関して、群衆の密集による圧死事故と関連駅での圧死事故が2件続いて起こったので、インドの巡礼事故・圧死事故・転倒事故に関する一覧表を更新させて頂くことにする。

 

 

・1999年1月、南インドのケララ州のヒンドゥー教聖地で、丘の上に詰めかけた参拝者100人が負傷。

 

・2005年1月、西インドのマハラシュトラ州の寺院で火災があり、信者300人が死傷。


・2008年10月、ディワリ祭で賑わうジョドプールののヒンドゥー寺院で200人以上の参拝者が転倒。
 

・2010年3月、北インドのウッタルプラデシュ州のアシュラムに詰めかけて転倒した信者100人が負傷。

 

・2012年 ヒマーチャル・プラデシュ州で巡礼者の乗ったバスが事故。

 

・2013年8月 ビハール州で線路を横切っていた巡礼者の列に、列車が突っ込み、怒った群衆が暴徒化。

 

・2013年10月、マディヤプラデシュ州の寺院付近の橋で巡礼者が押し合いになり、死傷者100人以上、少なくとも89人以上が死亡。

 

・2024年7月、インド北部で開かれたヒンドゥー教の行事で圧死事故が発生し、100人以上が死亡。ウッタル・プラデーシュ州警察が、集会を主催したヒンドゥー教の説教者スラジ・パル(Suraj Pal・信者からは「ボーレ・ババ」と呼ばれていた)を捜索中とのこと。

 

・2025年1月 インドのプラヤグラージでヒンドゥー教の宗教行事「マハ・クンブメーラ」において群衆の密集による圧死事故が起こる。

・2025年2月 デリー駅でマハ・クンブメーラに向かうための列車に群衆が押しかけ、圧死事故が起こる。

 

 

「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。

 

 

 

※追記:その他の事故

 

・2022年10月 巡礼時の事故ではないが、インドのグジャラート州の吊り橋が落下し、130人以上が死亡。

 

・2015年9月 インドの事故ではないが、サウジアラビアのメッカで巡礼の群衆700人以上が圧死。

 

・2024年6月 メッカへの大巡礼(ハッジ)で、少なくとも数百人以上が猛暑による熱中症などで死亡。

 

                   以上

 

 

 

去年も涅槃会のこの時期は美濃方面でご法務があって、その合間に涅槃図のあるお寺はないかと思い、岐阜県の臨済宗瑞林寺・絹本着色涅槃図をお参りさせて頂いたものだが、今年もこの季節のご法務中、どこかでと思って調べさせて頂いたら、尾張の曹洞宗西来寺に大変有名な涅槃図があると知り、足を延ばさせて頂いた。

 

 

 

珊瑚をくわえた鯨や蛸が描かれている涅槃図と言えば、京都の真如堂のそれが先ず知られているが、西来寺の涅槃図には珊瑚を捧げる善女竜王・鯨・蛸に加えて鰹や鯛も描かれており、また左右に仏伝(ブッダの伝記)をあしらった八相涅槃図であることも見どころの一つで保存状態も非常に良く、何と言ってもごくごく間近で拝観させて頂ける上に撮影もできるということで、有難くお参りさせて頂いた。

 

 

 

すぐ近くのお城までが戦災で焼けたそうであるのに、西来寺は危ういところで難を逃れ、涅槃図も焼けずに残ったそうだ。

 

禅寺らしいすっきりと美しい境内で、お庫裏さまが誠に優しく楽しく応対して下さり、貴重な参拝をさせて頂けたことに改めてお礼申し上げます。

 

                    合掌

 

※先日投稿させて頂いた「ブッダの時代に猫はいた…涅槃図に猫がいない本当の理由」もご覧ください。

 

※西来寺でも東司の注意書きを採集させて頂きました。最近お参りしたいくつかのお寺のお手洗いの注意書き画像を含めて、「ホームページ アジアの東司…お寺のトイレ」のページを早く更新せねばと考えています。

 

比叡山延暦寺で授与している叡山香というお線香があって、私の知り合いの天台宗のお坊さんの中には、お香はこれしか焚かないとまで仰る方もあるほどだ。

 

比叡山内でしか授与されていないこのお香を、近頃ではインターネットで高値で売買する方もおられるようで、そうした高値での転売やスピリチュアルな叡山香の意味付け解説に苦言を呈する良心的なお線香ブログの方などもあるにはあるが、さて、このお香がどこの会社で作られているかが分からないと書いておられるサイトをたくさん目にする。

 

「優良薫香本舗」という文字が箱内に付されているので皆さん、この名前を挙げておられるが、これは言わば屋号だ。作っておられる線香屋さんは明らかで、何年か前の比叡山時報にも紹介されていた。

 

けれど、ここには書かない。比叡山時報の号数も記さない。世の中にはわざわざインターネットで広めなくても良い事柄が、たくさんあると思うから。

 

 

 

                  おしまい。

 

「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。

いつもなら自分のブログを前後編に分けたりはしないのだが、今回アイザック・アシモフの短編ミステリ連作「黒後家蜘蛛の会 1」の感想を書くに当たって「前編」と謳ったのは他でもなくて、実はこの本をまだ読み終わっていないのに、書きたいことがたくさんあるからだ。

 

私事ながら、ごくたまにミステリの文庫本新刊を買う時はなるべく慎重に選ぶように心掛けていて、今回も未読のクリスティー作品を買うか、よく読ませて頂いているミステリブログの方の影響で久々にディクスン・カーの不可能犯罪ものを読むか、或いは最近読んだクラークのSF「幼年期の終り」はつまらなかったけれど、初読の「われはロボット」(アシモフ著)が面白かったので、SFは苦手だけれど、もう一度何か未読の名作SF作品に挑戦するかなどと考えていた。

 

そうこうする内に、やっぱり「探偵」の出て来る「探偵小説」っぽいものが読みたい、未読ながら読む気の昂まる頓智の効いた話で、感情移入できる名探偵が出て来るような物語、と思った時に「黒後家蜘蛛の会」を思い付いた。

 

そう言えば、松田道弘氏の奇術とミステリに関する随筆「とりっくものがたり」に、このシリーズの一編「ロレーヌの十字架」のことが載っていて、そこにラリという奇術師が演じるトリックのことが記されていたのを10代の頃に読んでから、なぜか「黒後家蜘蛛の会」を一度も読んだことがない!

 

さて、久々に書店で本を買う楽しみを味わい、「まえがき」とシリーズ第1作「会心の笑い」だけを読み終えたところ、とてもとても面白かった。だがしかし、「ロレーヌの十字架」は、まだ買いもしていない遥か後の「黒後家蜘蛛の会 3」に収録されているということなので、いずれ読了したら、「黒後家蜘蛛の会 雑感 後編」と銘打って、感想を書かせて頂くことに致します。

 

                おしまい。

 

2月15日の涅槃会にちなんで、涅槃図に猫がいない理由についての推理を、今年も再録させて頂くことにする。

 

・ほとんどの涅槃図に猫が描かれていない理由は、「ブッダの時代のインドには猫がいなかったから」ではない。下に述べるように当時のインドには猫がいた。

それなのにインターネットには「インドのマヌ法典には猫が出て来ないが、ブッダはマヌ法典より何百年も前の人なので、お釈迦さまの時代には猫がいなかったことになる。だから、涅槃図には猫がいない」という説を始め、動物史的にも仏教史的にも大嘘の情報が溢れている。

 

・ブッダの時代のインドには、間違いなく猫がいた。エジプト発祥の家猫がインドや中国に早い時期に広まったという事実は、猫の歴史を述べた書物に必ず出て来るし、現にブッダの入滅を描いたパーリ版「大般涅槃経」にも、猫という言葉が出て来る(岩波文庫「ブッダ 最後の旅」30頁)。
そして、その箇所の注釈部分(205頁)で訳者の中村元博士が、サンスクリットにおける「猫」という語についての解説と共に、「日本には釈迦涅槃の時に猫が来なかった云々の伝説があるが、こうして原典には猫が出て来るのが面白い」みたいなことを書いておられる。

・ところで、猫が描かれている涅槃図もたまにはあるが、それはあくまでも、猫のいない涅槃図が基本であることを作者が踏まえた上での、遊び心による例外である。

・猫がいない理由については、摩耶夫人が天上から投げた薬壺を届けようとした鼠を阻止した猫がお咎めを食らったためだという伝説があるが、こうしたエピソードは涅槃図に猫がいないことを説明するために、後から付会されたものに過ぎない。

・ちなみに、ブッダの伝記に関する壁画やレリーフはインドにもあったが、現在我々が見るような「涅槃図」は、唐代以降に中国で作成されたものだ。

中国にも昔から猫はいるが、十二支にも猫が入っておらず、そして、そのことに関して、やはり同様に「十二支に猫がいない理由」的な伝説があることから、どうやら涅槃図に猫がいない理由は「釈尊入滅当時、インドに猫がいなかったから」ではなく、「涅槃図が製作され始めた当時、中国で猫が重要視されない何らかの根拠があったから」ではないかと私は思う。

               おしまい。

 

※「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。