1日目 8月15日

Ollomont 1385m 村
Col Brison 2480m 峠
Oyace 1397m 村


文章が長すぎるので、まず写真から!

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今年の出発地点Ollmontからの景色




ここら辺の村には、いたるところにこんな水場があるのである。
いつもおいしいお水をいただくことができるのだ!
こんな水場を見るだけで、なぜかとても幸せな気分に。




今日の目的地Oyaceまで5時間35分
=私はいつもこの2倍かかるので、11時間!!!
Difficulteって難しいよってことかしら?




Ollmontからの景色。すんばらしい!



Ollmont近辺



Ollmont近辺






これが、Alta Vie1の目印。今日からこれを頼りに歩くのである。




登ってる途中。かわいいというか崩れかかったような集落とかがある。












途中道を間違えた分岐。









Alta Vie1去年の続き

今年も去年に続いて、イタリアのトレッキングに行くことにした。去年歩いたAlta Vie1の続きである。

去年にご興味のある方はどうぞ!去年の山歩きも素晴らしかった!
http://ameblo.jp/pingdao/entry-12064549416.html


しかしながら、今年は非常に大きな懸念事項があった。なんと私は、マラソンで足を痛めていたのである。それも1か月前くらいからずっとおかしく、びっこをひいていた。足がそんな状態だったので、当然トレーニングも足を使わないものしかできずに、とろとろ平泳ぎといい加減スクワットぐらいしかしていなかったのである。

多少ましになったとはいえ、非常に大きな不安を抱えての、トレッキングホリディだったのである。

今回またイタリアのトレッキングに行くことにしたのには、いろいろ理由があるが、人が少ないけど、かなり満足度が高いこと、食べ物がおいしいということと、何といっても去年から続きなので、それほど下調べをしなくてもすむというおまけメリットもあったのである。

痛めた足とトレーニングしていないぶよぶよの体という不安要素を無視し、数か月前に決めたスケジュールを決行することにした。果たして、予定通り進むのであろうか。

ちなみに、あいつはこの時点で、私の足が痛くなり、トレッキングするのは、1,2日ぐらいとほくそ笑んでいたらしい。あいつが、私のトレッキングにくっついてくる理由とは、ヨーロッパで運転がしたいからだけであり、山で歩くなんてあいつは全く興味がないのである。

さて、今日は山歩き初日であるが、初日からいきなりかなりきついのである。(私にとっては。)なんと1200m近く登った後に、また1200mぐらい下るのである。

おまけに、コースタイムでは、5時間50分とある。ということは、私が歩くとヨーロッパのコースタイムの倍かかるので、10時間ぐらいということが既に予想されている。

それなので、早めに出発したいのではあるが、宿の朝食が7時半からという。ちなみに、ヨーロッパの宿の朝食は、非常にのんびりしているのだ。それなので、登山を始めるOllomontという村に到着するのは、どうしても10時頃になってしまうのだ。

いつも通り、あいつをせかして、なんとか9時頃には、宿を出発、10時前には、Ollomontに到着した。ちなみに、Ollomontとは、去年の最終日に降りてきた村であり、去年はここからバスに乗って、車のおいてあるクールマイユールまで移動したのである。

去年の最終日の様子。


Ollomontには、駐車場もあるのであるが、今回はあいつの希望により金曜日に宿泊予定のホテルの敷地に車をおかせてもらうこととした。

それなので、Ollomontから若干離れたホテルにまず行くこととした。

そのホテルとは、有名サイトなどには掲載されていないとても小さくかわいいホテルなのである。本当は出発日前日にここで泊まりたかったのであるが、予約がとれなかったので、最終日に泊まることとしたのである。

ホテルの家族の人も本当にみんな親切な感じで、金曜日にここに戻ってくるのが、ますます楽しみになったのである。それに、車を快く預かってくれたのも、本当に感謝しなくては。駐車場代いらないっていわれたけど、もちろんそれなりのチップはおいてくるのである。

そして、車とホテルの人たちに別れを告げて、今日の山に立ち向かうのである。

ホテルから10-15分ぐらいで、Ollomontの村に戻ってきた。去年は、雨でほとんど何も見えなかったが、今年はきれいに晴れている。そしてほとんど何も変わっていないような感じである。しかしながら、バス停前に、テラスのようなものができていた!去年ここがあれば、バスを待つ時に、お茶でもできたのに。


久しぶりの山歩き

まさに去年バスに乗って去った場所の奥に、Alta Vie1の続きの道が続いている。今日の目的地のOyaceまで5時間35分って標識もちゃんとある。おまけにDifficuteって書いてある。むつかしいってことかしら?去年の段階では、本当に来年も続きで歩くとかどうかなんて、決めていなかったけど、1年後に本当にまたここに来ている。

ぐずぐずしているあいつを見捨てて、私だけ出発した。なんだかんだ言ってあいつは、私の何倍も体力があるので、歩ける時に、私が先を進んでいた方がよいのである。

村の裏の道を登り始めてすぐに、水場を発見。水場というか、ここら辺の村、町ではよく見かける水がいつもでている水道みたいなものである。去年もよく見ていたが、今年初めてこの水は飲むことができるものであることを知る。

ここの冷たい水を触ったりして遊んでいると、あいつがすぐ追い付いてきた。

天気もいいし、一応それほどトラブルもなく、登山開始ができて、とてもうれしいのである。幸い足の痛みも落ち着いてきた模様である。久々の登山は、いったいどんなことになるのだろう。

遅いながらも、なんとか斜面を登っていく。やっぱり、やっぱりなぜかとても心が落ち着くのである。久々に歩くと余計に、そのありがたみを感じることができる。

順調に?私のペースである、通常のコースタイムの2倍の時間ぐらいで、進んでいく。それにしても、このコースタイムで登れる人たちって、いったいどんな人たちなんだろう・・・。

今回の新アイテムたち

今年のトレッキングでは、いつものトレッキングの反省?経験をもとに、いくつかの新アイテムを追加してみたのである。

まず行動食として、トマトを持ってきた。昨日近くの町(Aosta)でぶらぶらしている時に、スーパーを発見、今日の登山用に仕入れたのである。

それにしても、イタリアのトマトの種類の多いこと!おまけにどれも本当においしそうなのである。トマトなら水分も多いので、途中の行動食によいかもしれないということで試しに持っていくことにした。

しかも今日は山小屋泊ではなく、村のホテル泊なのでゴミ捨てもできるのである。それなので、今日はバナナ、トマトとゴミがでるものも恐れることなく、持ってくることができたのである。

それから、いつもは前日に宿泊するホテルでランチボックス(こっちでは、ピクニックって呼んでいる)を作ってもらうことが多いのであるが、ここ数年のピクニック経験により、巨大サンドイッチを完食することが非常にむつかしいことを悟ってきている。それなので、今回は、スーパーで菓子パンを買ってみることにした。大量のトマトとバナナもあるので、おそらく初日のランチとしては問題ないはずである。

私にとっては、新アイテムではないが、あいつにとっての新アイテムが、シンガポールで購入してきたドライマンゴーである。いつか日本の北アルプスで、ドライマンゴーが大活躍したので、5月の一時帰国の途中の新シンガポールで購入、そして今回のために家で大事に保管してあったのである。その時の記事 。(控えめであるが、ドライマンゴー紹介。)

二人の味覚が合致することは、非常に珍しいのではあるが、あいつも気に入ったらしく、ドライマンゴーがなくなるまでは、えさをねだる子猫のように、ちょくちょくドライマンゴーを登山中にねだってきたのである。

それから、最終日に登場させる予定の、カップ麺。さすがに1週間ヨーロッパでの外食、山での食事が続くと山の最終日ぐらいにいつも日本の味が恋しくなるのである。そのため、今回は日本のカップ麺を持ってきたのである。小さいものであるが、最終日での活躍が予想されている。ちなみに、カップ麺のための熱湯を準備できるように、500mlのテルモスの水筒もばっちり準備済である。

そして足を痛めているので、念のために購入したストック。(というか杖。)かなり状況はよくなってはきていたのであるが、長時間歩いても大丈夫であるという保証は全くない。そのために、かなり念のためであるが、万が一のために少しでも何かに役にたつかもしれないと買ってみた。2本のストックにした方がいいかと非常に迷ったのであるが、基本的に私はストックが好きではないし、地図やカメラも持たなくてはならないので、さすがに2本のストックを持ちながらの山歩きは、非常に困難である。そのために、一本だけの杖を買ってみた。

この杖がなんと大活躍したのである!もともとの足の痛みは、1日目で他の部位の痛みも重なり?どこかへぶっ飛んでいってしまったのであるが、久々の山歩きでかなりひどいことになってきた。何にでもすがりたい一心でこの杖を使ってみたところ、なんと!足が3本にもなったように、2本への足の負担が激減したのである。登山道具とは、やはりそれなりに考えられてあるものなのだと非常に感心したのである!

非常に軽いし、イタリア製でかなり性能がいいので、これからの登山の友になりそうである。まるで足の痛みがこの子(杖)との出会いを作ってくれたようである。

道を間違えた私たちの救世主&体中のどこからもエネルギーが出てこない

 
さて、カメラと地図を持ち、あいつ曰く”ちんどん屋”の格好で、とろとろと登っていく。登りの途中で、レッドブルの缶も飲み干し、登りの辛さに備えるのである。

登り途中の大きな岩で休んでいると、上の方から2人組の人が降りてきた。そして、ボンジョールノと普通に挨拶をすると、

”もしかしてAlta Vie 1を歩いているか?”

と聞かれる。

”そうだよ!”

と無邪気に答えると。

”この道は違うよ!”

と言われる。

”へっ!”

その二人は、道を間違えてなんと次のコルまで行ってしまったという。次のコルは、とてもよかったとは言うが、私のように、コースタイムの2倍かかる人にとっては、寄り道などする余裕は全くないのである。


地図で、現在の場所を教えてもらうと、私が思っていた場所よりも高い位置に既に来ている。

うかつであった。

高度計のチェックをきちんとしてこなかったのも原因の一つである。高度計はいつも正しいとは限らないので、出発時点でどれくらい違うのかチェックしなくてはならなかったのである。(というか、高度計の調節しなくちゃいけないんだけど、やり方がわからない。)いつもは、何気なくチェックしていたのであるが、今日はすっかり忘れていた。今日の高度計は、実際の標高よりも100m程度高く表示されていたのである。

この二人組は、私たちにとっての本日のまさに救世主である。彼らが教えてくれなかったら、私たちもそのコルまで行き、間違えたのに気づき、それから本日の村に向かうとなると、到着がおそらく9時、10時になってしまっていただろうと思われる。おまけに、それだけの距離を歩ききることができたかどうかも非常に疑問である。

真剣にあの二人組に感謝である。彼らは、今日はChampillonという山小屋から来たという。この山小屋は、去年の山歩き最終日に泊まった小屋である。あの小屋から降りてきて、そして今日は私たちと同じ目的地に行くと言っていた。ものすごい体力である。フランス人の二人組で、とてもきれいな英語を話す人たちであった。

下の村でまた会うことができるかなと思ったが、結局もう会うことはなかった。彼らは、まさに私たちの救世主であった。

暑い日差しにやられながらも、その後なんとか今日の最高地点のコル(峠)に到着、下りが始まった。順調に、コースタイムの約2倍の時間がかかっている。

それにしても、やっぱり必死に山を登るって、辛いけど、何でこんなに気持ちいいんだろう。久しぶりにこのすがすがしさを味わうことができて、うれしいような懐かしい。やはり人間、自分の限界ぐらいの力をたまには、出した方がいいのである。

特に、山であれば、歩かないと今日の目的地に着かないし、家にも帰れない。意志の弱い人間にとって、山とはとてもよいトレーニングの場になるのだ。何って言ったって、途中でやめることができないトレーニングだからである。まさに私とって、うってつけである。

登りが終了したことは、非常にありがたいのであるが、下りも30分ぐらいたつと、だんだん辛くなってくる。あいつも同じらしく、

”下りは、下りで辛いね。”

と言ってくる。

まさにその通りである。下りが続くと、足に負担がかかり、足ががくがくしてくる。これもしばらく運動していなかったつけかもしれない。そして、足がふらついているからかもしれないが、たまにざざっと滑ったりしてしまう。

あいつも一緒のようである。それでも今日の村につかないと夕食にもありつけないし、寝るところもない。とにかく歩くしかないのである。

しばらく歩いていると、下方に村が見えてきた。おそらくあそこが、今日の目的地であろう。はるか下の方ではあるが、一応目的地が見えたことで、多少元気がでる。

けれども経験上、これくらいの見え方であれば、まだまだ時間はかかりそうな気がするのである。そして、わらにもすがる気持ちで、ずっとザックの横につけていた杖を使ってみた。

それが、なんと!足が3本にもなったがごとく、他の2本の足への負担がかなり軽減されたのである。これは、本当に素晴らしい。おまけに、イタリア製のこの杖は、私が前にもっていたストックよりもはるかに性能がよく、使いやすいのである。もしかして、とてもいい買い物をしたのかもしれない。

私は杖のおかげで、多少元気を取り戻し、下っているが、あいつの方がやられてきたらしく、私の方が前を歩くようになり、私があいつを待つ時間が長くなってくる。それを何度か繰り返し、あいつがひょこひょこ私になんとか追い付き、へたりこんで、地面にペタンと座り込んだ。

”もう体のどこからもエネルギーが沸いてこない。もう何にも残ってない。”

と弱音を吐く。

うん。確かにそうかも。私もそれに近い。

杖を使ってみろというが、意地をはって、使おうとしない。

さすが意地っ張りである。

今の状態は、明らかにあいつの方がダメージを負っているので、数分だけでもと思い、無理やり杖を使わせてみた。意地っ張りなあいつは、感想もなく、私にまた杖を返してきたが、この1本の杖が、かなりの役に立つことを悟ったはずである。

今のヨーロッパは夜の8-9時ぐらいまで明るいのが、せめてもの救いである。日本で5時すぎてまだ山を歩いているなんて、はっきりいって考えられない。特に山小屋泊で5時すぎとかに到着したら、小屋の人に嫌な顔されるし、まず自己管理ができていない困った登山者である。

6時が過ぎて、7時過ぎでも私たちは、今日の宿を目指して、ひょこひょこ山を下りていく。けれどもまだ全然明るいので、それほどの切迫感はない。

今日のパワーをほぼすべて使いきったと思われる頃に、やっとこ村のはずれに到着した。しかし、予約した宿は、村の中心ぐらいなので、まだ到着ではない。

村の詳細の地図がないので、どの道が近道なのかがわからないので、あいつの野生の感で宿を探すことにした。車の通れる道を通るか、それとも、畑の中の道を突っ切るか、私が選んで文句を言われるのが嫌だったので、あいつにすべて任せてみた。

驚いたのが、アスファルトを歩くと足への負担がさらにかかるのである。それなので、わざわざ草が生えている端っこを歩いたりしてみた。

あいつの感で歩いていると、宿や別荘みたいな建物がたくさん集まっている集落に来た。おそらくこの集落のうちのどこかが本日の宿であろう。

そして、その集落の看板を見て、びっくり仰天した。

なんと私が目指していたOyaceと書いていないのである。

まさか、まさか、違う村に到着したなんてと、気が遠くなる。

そして、たまたま通りかかった人達に、

”この村はOyace? 私たちは、La Tourっていう宿を探しているんだけど?”

と必死に聞いてみた。

そうすると。

”そうよ。ここは、Oyace。そしてLa Tourは、あなたのすぐ後ろよ。”

と教えてくれた。

”へっ!”

よかったのである!正しい村に到着していたのだ。そして、ホテルはすぐ裏であった。

ひとまず安心である。今日はなんとかサバイブしたのである。

実は、つい数日前までは、私は違う宿を予約していたのであるが、数日前にその宿がこの村からさらに30分ほど歩かないとつかない場所だったのである。それなので、急きょこの宿に変更したのである。

数日前に気が付いて本当によかったのである。この状態であと30分、車の通るアスファルトを歩くなんて、考えられない。ここからまだ30分歩くなんて、あいつに伝えたら殺されそうである。

若いオーナーの宿


疲労困憊して、たどりついたのは、この村で最近オープンしたという宿である。だからこんな直前でも予約できたのかもしれない。

宿に到着すると、とってもかわいい若い女の子が迎えてくれて、部屋まで案内してくれた。まあそこそこの値段がするので、まあそこそこである。きれいに整えられた部屋をみて、ひとまずほっとする。

今日は下界での宿泊なので、シャワーを浴びることもできるし、ごみを捨てることもできる。ベットに倒れこみ、瀕死の状態のあいつをほったらかし、シャワーに直行する。

あーあ、本当に幸せ。そして、こんな幸せを感じることができる山歩きがやっぱり好きである。

あいつはあいつで、シャワーを浴びているときに、足ががくがくし、まともにたつことができなかったという。

かわいそうなやつである。私に連れてこられなければ、そんな状態になることもなかったろうに。まあいいのだ。人間たまには、自分の限界に近づいた方がいいのである。

夕食は、このホテルのレストランでいただいた。今日迎えてくれたお姉ちゃんお勧めのこの地方のお肉とチーズの盛り合わせ、それからこの地方の料理であるスープグラタンなるものとデザートのセットメニューとこの地方のワインをいただいた。

はっきりいって、ワインの気分ではなかったのであるが、お肉の盛り合わせとチーズがあるのであれば、やはりワインといただかなくてはならないのである。(どんだけ食い意地がはっているのだろうか。)ついでもお水もお願いして、大量の水分補給もしたのである。

やはり天気がよかったからだろうか。体の中の水分がかなり奪われていたようであった。トイレはもともと存在しないので、一回も行っていないというか、行きたいとも思わなかったし、それ以上に体の水分がなくなっていたようである。

前菜のお肉とチーズの盛り合わせが、素晴らしかった。それとワインで、今日の疲れが癒される。あーあ、本当に幸せなのである。辛いことの後は、何もかもが素晴らしく感じるのである。こういう幸せを感じることができるのも、私が山歩きが好きな理由の一つである。

メインのスープグラタンのようなものは、個人的には好きなのであるが、どうも今日は心がいっぱいというか疲労困憊していて、がんがん食べることがむつかしい。それでもなんとかおなかいっぱいいただくが、完食はできなかった。非常に残念である。デザートも本当においしかったのであるが、どうしてもすべて食べることができなかったので、あいつに残りを食べさせた。

おいしいのに、完食することができないって、とても悲しいのである。

久々の山歩きで、体力的にはボロボロであるが、久しぶりにこの気持ちを思いだすことができて、本当にうれしかったのである。

あーあ、やっぱり私は山が好き。