今度は、ネパールからのトルコ航空での帰国編である。

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帰りは、早朝にKeikoさんと慌ただしいお別れをして、Rさんに空港まで送っていただいた。旅行会社の社長さんに空港まで送っていただけるなんて、なんとなんとVIPな旅なのだろうか。改めて、KeikoさんとRさんとの今までの信頼関係の重みを感じる。

朝の8:45フライトなので、6時半にホテルでピックしていただき、7時には空港に到着した。それにしても私はカトマンドゥに24時間も滞在しないで、今回は帰ることになるのか・・・・と少々悲しくなる。
(実際には、24時間以上滞在することになるとは、この時点では思いもよらない。)

Rさんが見えなくなってから、なんだかとっても親切な空港職員が、私の荷物をカートに乗っけて、トルコ航空のチェックインカウンターまで案内してくれた。と思った私は、甘かった。

トルコ航空のカウンターの列に並んだところで、

”せんえん せんえん”

とその親切な空港職員が言っている。

ええ?

こいつは、空港職員などではなかった。けどなぜこんなたぐいの人が空港に出入りできるのだ。空港に入る前には、チケットのチェックをされるので、変な人間は入ることができなくなっている。ということは、やはり空港職員がこんなことをしているのか・・・・・。

そうなのだ。途上国との部類に入ってしまう国では、たまにこういうことが起こるのだ。仕方ない。
1000ルピー(約1000円)なんて、持ってないし、高すぎるので、100ルピーぐらいを渡して、あとは無視をする。

そして、トルコ航空の長蛇の列に、また愕然とする。

早起きをして、まだぼーっとする頭を抱えて、列に並んでいると、

”フライトが8時間遅れるので、空港に迎えに来い”

と後ろの北欧の雰囲気が漂うおっさんが電話で話している。

ええええええええ!

本当か!?また遅延。そして、8時間!8時間の遅延であれば、完全に次の乗り継ぎに間に合わない。これは、何かの間違いだと祈りながらも、そのおっさんに聞いてみた。

”8時間遅延って本当なの?”

”そうらしいよ。”

ひえーーーー、と奈落の底に落とされる。

8時間もこの空港で何して過ごせばよいのだ。8時間ってことは、Keikoさんよりも後になる。
とにかく、チェックインをしてトルコ航空の人に実際に何時間遅れるか確かめなければならない。

とろとろと列が進んでいき、やっと私の番になる。トルコ航空の人曰く、今日は6時間遅延ということ。トルコからの飛行機が今日の午後1時にカトマンドゥに到着すると言う。そして、私の乗り継ぎ便は翌日の便へと変更され、搭乗券まで丁寧にいただいた。ホテルは、イスタンブールでトルコ航空が手配するよと言い渡される。

本当か?本当にこのトルコ航空がホテルなんて、手配してくれるのか。

後ろのおっさんは、来る時には3時間遅れたといっている。私は、5時間遅れていた。年末ぐらいから今まで、イスタンブールーカトマンドゥ間はずーーーーーっと遅延している模様だ。というか、カトマンドゥに来た飛行機が、そのままイスタンブールに帰るので、航空会社がなんとかしない限り、永遠にオンタイムになることはない。

これって、航空会社でなんとかしないものなのか?私は、航空会社のことはよくわからないが、こんなにすごい遅延を毎日続けててよいものなのか?みんなそう思っているに違いない。

腑に落ちないまま、Keikoさんが空港に到着するまでは、日記を書いたり、おみやげもの屋さんをひやかしたりしていた。おみやげやさんのにーちゃんがなんだか話しかけてきたので、暇つぶしに話していると、昨日のトルコ航空はなんと10時間も遅れたという。

10時間遅延なんて聞いたことないし、これを放っておく体質ってすごいなあと違う観点から感心してみる。

カトマンドゥの空港は、これでもWIFIフリーである。この点は、イスタンブールの空港よりも気前がよい。電話会社のブース近くでWIFIに繋いで、あいつにヒースロー到着が当初の予定の土曜日の夜ではなく、日曜日の朝に変わった旨を連絡する。

どうか、このメッセージを見てくれと祈りながら、送ってみた。土曜日の夜に、空港に無駄足させることは、さすがに申し訳ない。

メッセージを送った後に、この電話会社で携帯の充電してくれないかなあとかすかな望みを抱いて、聞いてみた。そうするとなんと、どこからかいろんなケーブルを持ってきて、私のソニーのスマホの充電をはじめてくれた。充電の費用は、私が好きなだけ払えばいいという。

そうそう、こういう適当さ加減、融通がきいてしまうこと。これも海外のなんだか憎めない、いいとこだ。

携帯の充電を待っていながら、他社のチェックインカウンターを眺めていると、なんだか普通の空港とは違う風景を見ることとなる。

まずマレーシア航空のチェックインカウンターには、なんだか山でよく出会ったような格好をした人たちが、ずたぶくろみたいなのを担いで、たくさん並んでいる。そして、みんななんだかどこからかのレターのようなものをとても大事に持っている。

なんだありゃ。

そして、ふとその横を見てみても、似たような雰囲気の人たちばわさわさ並んでいる。これは、カタール航空のカウンターであった。

ん?

もしかして、これがRさんがおっしゃっていた海外に出稼ぎに出るネパール人ということか。

もし私がマレーシア航空やカタール航空にしていたら、同じエコノミーであの人たちの中で座って、機内食とか食べることになっていたんだと気づいてみた。
それはそれで、またすごい体験になるけど。

トルコ航空だけは、かろうじてヨーロッパの人がほとんどである。イスタンブールがネパール人の出稼ぎの地となっていないからだ。

それにしてもこの出稼ぎの人たちの数は、驚くべきである。そして、カトマンドゥの空港が他国の空港と様相が更に違って見える理由の一つが彼らの存在であろう。

しかし、ネパールがこんな出稼ぎ大国になっているとは、全く知らなかった。国内の産業がほとんどなく、輸入品でスーパーが埋め尽くされている国では、労働力ぐらいしか輸出するものがないのだろうか。有無を言わさないグローバル化されてしまった国の末路なのだろうか。

ネットで少し検索しただけでも、ネパールの出稼ぎ人口が多く、彼らが各海外で、それほど幸せな扱いを受けていないことが記載されている。Rさんらによると、ネパールの人は、他の国の民族に比べて従順であり、問題を起こすことも少なく、よく働くから、海外で人気があるという。確かに、ネパール人の優しいところをたくさん魅せられてきたので、それはとても理解することができる。

カトマンドゥ空港は、海外に出る人たちの華々しい場所ではなく、なんとなくちょっと哀しみが漂うちょっと昔の上野駅って感じのイメージになっている。

そんな光景に圧倒されていると、トルコ航空の出発時間が午後5時半に更に変更されていることにやっと気がついた。

詳しい説明とか、トルコ航空の人がでてきて謝罪するとかそんな気配は、全くない。

仕方ないのだ。

そして、Keikoさんがタイ航空に乗るべく、タイ航空のチェックインカウンターにやってきた。まさかの再会である!しかしながら、Keikoさんは、ネパールに着いた当初から、こうなることを予言していたのだ。改めて、Keikoさんの予知能力に乾杯である。

それにしても、人と一緒にいるって、すごいことだった。Keikoさんが到着するまでの2時間ぐらいと、Keikoさんが到着してからの時間の過ぎる速度が圧倒的に異なるのだ。

トルコ航空が準備してくれるというランチをレストランにKeikoさんと一緒に食べに行こうとすると、タイ航空の乗客は入るな!とレストランに入ることすら許されなかった。

え? ここって、普通に入れるレストランではないの?

なんだか入口の人が、トルコ航空以外の人はブロックしている。それで、気分を害してもう少し後の時間に私だけ行くことにした。

あーあ、一緒にランチしたかったのに。

そのレストランの近くには、航空会社のラウンジがあった。カトマンドゥの空港では、きれいすぎて、なんだか非常に異質な空間になっている。この国では、お金が全てを解決するのか。

Keikoさんと別れを告げて、再度レストランに向かってみた。そこでは、ダルバートが準備されていた。しかし、トルコ航空予定の大人数でいろいろ大変だったんだろうなという形跡が残されていた。スプーンがなかなかでてこなかったり、ダルスープ(豆カレー)がなくなってたり。レストランの人たちもトルコ航空のせいで、てんやわんやだったんだろう。

しかも、ここ最近毎日こんな状態だったはずだ。トルコ航空は、レストランの人たちにも迷惑をかけている。(まあ、レストランからすれば、収入が増えるのでありがたいのかもしれないが。)

まだまだ時間は、たっぷりすぎるほどあるので、ゆっくりランチをいただき、レストランで本を読んだりしてみた。するとあのさきほど私たちをブロックした小さい男の人が来て、”OK???”とか話しかけてきた。

さっきと全く違う態度である。さきほどの態度が私に悪いと思ったのだろうか。なんだか、反省した雰囲気が感じ取れたので、愛想よく答えておいた。

それにしても、まだまだ時間がある。レストランで5時半までの時間はつぶせない。それなので、微妙な免税店がある場所で、また本でも読むことにした。おまけに今日は、8時45分のフライトに間に合うように、5時には起きて活動しているのだ。当然眠くなってくる。いつの間にか、カトマンドゥ空港で、眠りこけていた。

しかしながら、後ろでものすごいがやがやした騒音がしたために目が覚めた。

出国のセキュリティー検査が、出稼ぎの人たちでものすごい列になっている。
フライトスケジュールのスクリーンを見ると、どうやらカタール航空の出発する時間が近づいているらしい。この人たちは、カタールに出稼ぎに行くのだ。ネパールから、カタールへ。カタールでは、建設現場などで働くのではないだろうかと勝手な予想をする。

それにしても朝にもドーハ(カタール)行きの便がでていたし、どうやらドーハには一日数便あるらしい。それほど需要があるのだ。それにしても、新しいピカーっとしたカタール航空の機体と、搭乗する人たちのギャップにも何か違和感を感じる。

この状態に圧倒されていたが、しばらくするとまた静かになる。そしてカトマンドゥの空港には、他航空会社がどんどん出発するにつれて、トルコ航空のタグがついた手荷物を持っている人の割合がどんどん高く、目立ってきた。ほとんどが、朝から缶詰になっている人たちだろう。

私は、あともう少しで搭乗時間という時に、ネパールミルクティーを最後に楽しませていただいた。

空港の免税店やカフェでは、なんだかネパールがおかれている状況を感じることができた。トレッキングの時にも感じたが、欧米からの輸入品が定価の何倍もの金額で売られているのだ。これは、金額の違いこそされ、空港だけでなく、庶民のスーパーでも同じであった。まあ、外国人向け商品、価格という面ももちろんあるが、一般的なネパール人もそれに少なからずの影響を受けてしまっている。

例えば、トレッキング中には、ロッジで食事をすることになるのだが、ネパール人であるシェルパの人たちもロッジで食事をしなくてはいけない。そして、その食事の価格とは、外国人とほぼ同程度となっている。一般的な村や町で食事をするのと全く異なる価格体系となっているのだ。

空港でだって、お茶を飲むにも、何かを食べるにも外国人価格である。例えば一般的なネパール人の平均給与は、約12000ルピー(約12000円)という。その給料で、150-300ルピーする空港のお茶や、同じぐらいするチョコレートバーは高すぎる。いろんな価格体系が輸入品などで、めちゃくちゃになっている感じを受ける。

(少々長くなったので、また明日。明日はトルコ航空 イスタンブール編~)