深夜のバイトに初めて入った日に一緒に組むことになったのが
Aさん(女性)でした。20代後半で僕よりは年下ですが、
ソバージュがかかり損ねたような長めの髪は中途半端にブリーチ
されていて、さらにノーメイクなもんだからほとんど年齢不詳の
方でした。事務所でタバコをふかして就業時刻になるのを待って
いました。店長に「今日組むAさん」と紹介され、僕は「よろし
くお願いします。」と挨拶しました。
正直、最初のAさんに対する印象はあまりよくありませんでした。
というのも彼女が人見知りだったからかもしれませんか、あまり
愛想もよくなかったですし、外見が恐かったからかもしれません。
ですが、一緒に仕事をしていくうちに、彼女がオーナーや店長を
はじめ従業員たちからも信頼を得ていることに気づきました。
そしてその理由についてもすぐに知ることができました。
理由は簡単です。彼女は店で一番の働き者だということです。
ここで、少し話が外れますが「深夜コンビニ」の業務について
触れておきますね、みなさんは「深夜コンビニ」のバイトって
どんな印象でしょうか?
冴えない男が店番的な感じで時間を潰す、誰でもできるバイト
なんて思う方もいると思います。実際、そうゆうコンビニもあるか
と思いますが、僕の働くコンビニチェーンは深夜にこなすべく業務
が大量にあります。(それが他のコンビニと違うところで、他の
コンビニチェーンを突き放している要因だと聞きました)
レジや検品・品だし等の普通業務に加え、商品の鮮度管理・雑誌類の
陳列、店舗全体の清掃・駐車場の清掃、什器の洗浄・新商品やキャン
ペーン商品の棚作りなど多岐にわたります。それを時間内に、しかも
順序よくこなしていかなければいけませんから結構大変です。
加えて、僕の働く店舗は大きな道路に面しており、周辺には流通系の
大きな倉庫があるため深夜でもトラックが頻繁に通ります。
それにT社の下請けの下請けみたいな会社も多くて、深夜でも工場が
動いているため、多国籍の外国就労者たちが大勢来店するんです。
そうゆうわけで、やることには事欠きませんし、立ちっぱなしなので
思った以上に疲れますし、そこに睡魔が襲ってくるという重労働です。
とはいえ、深夜にここまでちゃんとやっている店舗はほとんどなく
僕の働くコンビニが稀なのだと思いますが・・・。
もちろんさぼろうと思えばさぼれますが、しかし彼女は違います。
業務に対してとても忠実で、さらに自分にできることを考えて
売り上げアップのためのポップ作りや店舗のメンテナンス等をして
時間いっぱい働くんです。
はっきり言って、少し手を抜きつつバイトしようと思っていた僕に
とっては、一緒に組むととてもやりづらい人でした(笑)。
以前バイトしていたときでもこれほどよく働く人はいなかったし
予想外の展開に不謹慎な僕はとまどい、疲労も倍増したものです。
実際2週目ぐらいにぶっ倒れて起きられなかった日がありました。
それでも彼女に合わせて一生懸命仕事をしているうちに、心が律せ
られていき、達成感というか充実感を感じるようになりました。
この感覚は僕にとって新鮮でした。初めて感じたわけではないと思う
のですが、何か新しいことに気づかされたような気持ちになりました。
彼女も僕もとくにコンビニの仕事が好きなわけではありません。
変なお客は多いし、トイレ掃除だって頻繁にしなきゃいけない。
でも腐らずにまじめに働いていることで、心を鍛錬し自尊心を育てる
ことができます。その自尊心がさらに良いループを作り上げていきます。
単純なことですが、こうゆう大切なことって、繁忙な日々に追われていると
忘れてしまうものですが今回の件で僕はそれを思い出すことができました。
働くことは、決してお金のためだけじゃないのだなと、心のトレーニングだと。
余談ですが、Aさんは元レディースで補導歴も家裁送致も経験している
札付きの非行少女だったらしいです。(ここでは言えないことも多数有り)
変わらない奴も多いですが、ホント変わる人は変わるものですね。
それからコンビニ本社の人が言ってましたが、彼女がバイトに入ってから
その人が管轄する地域の中で、1番雰囲気の良い店舗になったそうです。
変えられる人は周りも変えられるものなんだと感心した次第です。




