松姫リターンズ
昨夜、某自転車関係団体の宴会で盛り上がってしまい、今日は早起きできず。
ということで、山に行くまでを電車に乗って省略。

青梅駅のホームの待合室。駅前の商店街とおなじくレトロ風で古い映画のポスター(「駅馬車」)が。
さらに青梅線の終点奥多摩駅まで。ここまで電車で来たのは初めて。目黒から2時間半ぐらいかかりました。自転車で来るのと大差ないかも。
もう12時だったので、奥多摩駅の2階の「Earth Garden Marche」というお店で塩麹豚丼をいただきます。水菜サラダつきでおいしかったです。
ここからトンネルを何個も通り抜けながら奥多摩湖(小河内ダム)まで登ります。
奥多摩湖の水位は戻ってます。夏にはかなり下がってました。
ここから、奥多摩湖沿いに山梨方面に向かいます。途中で風張峠に向かう橋を渡りますが、そっちにはいかずに、直進して小菅村へ。
村を抜けると本格的な峠道に。大体7%ぐらいの道を10キロほど登ります。ここまで20キロぐらいしか走ってないので、足がまだフレッシュなので楽に登れます。遅いのは同じですが。
松姫峠到着。8月にここに来た時は山梨側(大月)から登ってきました。今日は反対から。今日の方が涼しい分楽だったかも。
この道は大変静かです。時々オートバイや車が通るぐらいです。途中なぜか同じヤマトの配送車に何回も追い抜かれたました。自転車は登りで2人、峠で高校生の自転車部みたいな人4人にあっただけです。
前回はもやで見えなかった富士山が今日は見えました。
ここから山梨側に気持ちよく下ります。
もう4時近いので影が長いです。
前回大月に来た時に見過ごした「猿橋」に最後に寄ってみます。
独特の構造で、日本三大奇橋のひとつだそうです。(他の二つはどこ?)
中央線猿橋駅から電車に乗って帰りました。
今日は、思ったより気温がまだ高く、日なただと長袖ジャージはちょっと暑かったです。でも、夕方や下り坂は涼しかったので長袖で良かったです。紅葉はまだ全然ありません。まだ暑いですからね。
今日の走行距離はサクッと57キロ。
コースは
http://yahoo.jp/P1D5av (ルートラボ)
「シークレット・レース ツール・ド・フランスのしられざる内幕」 タイラーハミルトン D.コイル

この本は、ツール・ド・フランスなどで活躍し、オリンピックの金メダルもとった自転車選手タイラー・ハミルトンのデビューから引退までを語った内容をダニエル・コイルが書き起こしたものです。、さらにダニエル・コイルが独自に取材した他の関係者の証言などが挿入されています。
ハミルトンはランス・アームストロングのチーム「USポスタル」に最初から所属していて、ランスのツール7連勝の前半で、チームメイトとしてランスをサポートしていたのですが、その間、チーム全体で組織的にドーピングをしていた詳細が書かれています。
最初はEPOという赤血球増強剤、後半では自己血輸血(レース前に自分の血を保管しておき、レース直前や休息日に輸血してもどす。)という方法も加わります。そのやりかた、ランス、監督、専門の医者、奥さんなどの役割やドーピング検査のすり抜けかたなどが詳しく語られています。
後半ではハミルトンはランスと決別はするのですが、それぞれドーピングが続けていきます。最後には、ハミルトンのドーピングは発覚し、ランスのドーピングがUSADA(アメリカのドーピング取り締まり機関)によって追求されます。
そしてこの本が2012年にアメリカで発行されるのとほぼ同時にランスの全タイトル剥奪と永久資格停止という発表がされる、というロードレース界最大のドーピングスキャンダルになりました。
事件の概要は知っていたので、重苦しい本かと思ったのですが、予想に反して読みだすとやめられないある種のエンターティメントとしても読める本でした。
ドーピングという大きな問題を扱う本であると同時に、タイラー・ハミルトンというアメリカの若者がランス・アームストロングという強烈な人物に出会い、ヨーロッパ中心のレースでアメリカのチームとして勝利をあげながら訣別し、挫折する、という青春の物語としても共感を呼びます。
この本に書かれていることが本当だとすれば、この時期のツール・ド・フランスはドーピングなしで勝つことは誰にもできず、その意味では全員同じ条件で、表のレースとは別に、如何にして自分の赤血球濃度を規制ぎりぎりで最適に保ちかつ薬剤を検出させないか、という裏のレースを同時にしていたことになります。これが「シークレット・レース」という題の意味なのでしょう。
自転車レースは自転車という機械を人間というエンジンが回す競技なので、自転車についているセンサーで速度、出力、心拍、回転数などが詳細に記録されます。さらに人間の方も、血液、体重、体脂肪などが毎日ドクターにより計測され、食べ物と薬品で管理されます。あたかも、選手の肉体がレースカーのエンジンであるかのようにメカニックの代わりにドクターが「整備」するのです。
ランス・アームストロングのドーピング発覚はロードレース界に大きな影響を与えていて、今年は多くのチームがスポンサーを失いました。レースを主催する企業ASOやUCI(国際自転車連盟)そのものがランスのドーピングの隠ぺいに関わっていた可能性もあり、業界全体としてもまだ事態を収拾したとは到底言えない状況です。
この本にも現在まだ選手や監督として現役の選手の名前も多く出てきますし、過去の著名選手のドーピングについても書かれています。現状でもとてもクリーンとはいえないことが推測されます。
読み物としては青春と挫折の物語でもあり、スパイ小説のようなスリルあり、ランス・アームストロングという強烈な個性の人物像もあり、楽しめますが、ランスの7連勝の時代にツール観戦に熱中していた人が読むとかなりショックだとおもいます。私はそのころは自転車には無関心でしたが。
もう少し時間がたって、いろいろ型がついたころに、映画化されるのではないかと思います。
「あまちゃん」 入れ替わりと折り畳みの物語 完結編
先月、「あまちゃん」は伝統的「女の一生」プロットを折りたたんで5人の女性の話に再構成した画期的ドラマだ、というのを書いたのですが、9月分の放送を見てそれがどうだったか考えてみました。
9月のプロットはおおまかにいって3.11の震災とその後です。では、5人の女性達には何が起こったか見てみましょう。
天野夏: 震災のときに現地にいて被災するが、家が丘の上だったので助かる。その後、ストレスで心臓を悪くして手術を受けるが回復する。最終回では、娘春子のまさかの花嫁姿をみることになる。
天野春子: なぜか鈴鹿ひろ美の事務所の社長になってしまい、鈴鹿ひろ美に歌の特訓をすることに。あまカフェでの鈴鹿ひろ実のリサイタルで彼女の歌におどろかされる。最終回では再婚の結婚式を鈴鹿ひろ美、あんべちゃんと三重結婚式として挙げる。
天野アキ: 震災をきっかけに東京でのアイドルを辞めて、北三陸に戻ってくる。あまカフェを再現し、ユイとの「潮騒のメモリーズ」を再結成し、北三陸鉄道再開イベントで歌う。
鈴鹿ひろ実: 荒巻との事実婚を正式な結婚にすることを決意する。同時に「封印してきた歌」に再挑戦しあまカフェでのリサイタルで「潮騒のメモリー」を見事に歌う。
足立ユイ: 天野アキが戻ってきたことをきっかけに「潮騒のメモリーズ」再開を利用したみずからの芸能界デビューの作戦をたて実行しはじめる。最終回では天野アキと鉄道のはての何かにむけて歩き出す。
さて、最終週にはおなじみ「重なりと入れ替わり」があからさまに一杯でてきます。
結婚式: 鈴鹿ひろみ、あんべちゃん、天野春子の三組同時結婚式。それぞれ同じ相手との再婚あるいは事実追認婚であるところが面白いところです。この結婚式は天野春子と鈴鹿ひろ美が実際に物理的に重なって登場します。
あまカフェでのリサイタル:鈴鹿ひろ美が歌いだす瞬間に、吹き替えで歌う準備をする天野春子(現代)とそれを止めようとする天野春子(80年代)が画面の中で交錯します。
北鉄再開通式:80年代の開通式では天野春子が階段で人を押しのけた結果、式典参加者が将棋倒しになりますが、今回は春子の夫、正宗が春子を探しておなじことをしてしまい、くすだまが割れ
てしまいます。
この最終週の物語は鈴鹿ひろ実と天野春子が軸になっています。かつて影武者とスターという文字通り「ふたりでひとり」だったこの二人の「統合」というか「和解」がテーマです。ここで鈴鹿ひろ実は実は歌がもともと歌がうまかったのかも、という示唆がされます。だとすれば、「影武者」は必要なかったかもしれないわけで、「畳み込み」を広げて再構成した物語のなかでは、この二人は実はひとりの人格だったのです。また、その前に、ふたりで「春子の部屋」でしみじみ語る、というシーンもありますが、これはあたかも二重人格が統合されていくシーンでもあったのです。
そして最終回は天野アキと足立ユイの二人が線路に向こうに歩いていくシーンでおわり、エンディングのタイトルバックでは、天野あきが一人でやっていたことを二人でなぞっていました。つまり、ここであこの二人の重ねあわせも「統合」されたのです。
つまり天野夏ー>天野春子ー>天野あきの「三世代のマーメイド」の2代目、3台目に鈴鹿ひろ美と足立ユイは畳み込まれて物語は完結したのです。
天野春子(=鈴鹿ひろ美)の物語:
アイドルとしてデビューして、やがて女優として成功するが、「歌が下手」ということをずっとひきずっていたが、故郷の被災をきっかけにそれを克服して歌手としても認められる。
天野アキ(=足立ユイ)の物語:
女優 天野春子の娘として、アイドルデビューするが、ヒットには恵まれない。故郷の被災をきっかけに一度は芸能界から遠ざかるが、母の歌手としての再出発を目の当たりにして、再び東京でアイドルとして頑張ることを決意する。
では天野夏は?天野夏はこの最終週ではただ喜んだり意見を言ったりしているだけであまり役割をはたしていません。なぜか、物語のしくみのなかでは天野夏は震災か心臓病で「死んでいる」のです。ご先祖様として、娘と孫の物語を見つめているだけなのです。物語の前半で、夫、忠兵衛の写真が遺影みたいに飾られていて死んだと思われていたのですが、終盤ちかくではその写真が一家の写真に置き換わっていたと思います。これは多分、夏も忠兵衛とともにすでに「死んでいる」人物だという意味があるのでしょう。
物語の中で天野夏は天野あきの大人へのイニシエーション(海女になること)と、帰郷した天野春子と和解する、という重要な役割を担っています。でもその後は重要な役割をしていません。前回、書いたようにもしこの物語が天野春子の一生の物語だったとすると、あきを海女に育てあげる話は実は夏が春子を海女にそだてる話だったのかもしれません。
実際のドラマでは、春子は高校生のころは海女になるのがいやでスケバンになり、さらに東京に家出したことになっています。ところがスケバンになった春子の姿はわざわざ別の女優がいるのに視覚的には演出されていません。そのかわり足立ユイがなぜかグレてしまいます。これは若い春子=足立ユイ、という「入れ替わり」を暗示しています。そして足立ユイは天野アキと同一人物でもあるので、実は若い春子は天野あきでもあるのです。
では、9月放送分を加えて改めて「女の一代記」版の「あまちゃん」のプロットを。
(仮題)天野晴海の物語
「天野晴海は北三陸に生まれ、幼いころから歌うことが大好きであった。母、天野夏子は高校生になった晴海に海女を継がせようと練習させる。晴海は最初はウニ取りに熱中するが、やがてこのままでは地元に埋没してしまうと思い、東京にでたいと言い出し夏子と衝突する。やがて、晴海は海に潜るのをやめスケバンになる。そんなある日、海女の仲間の友達「まんべちゃん」が勝手に応募した「スター誕生」で晴海は勝ち抜いてしまい、「歌が下手なのに可愛い」のが人気で東京でアイドルデビューを果たす。
その後、歌についていろいろ思い悩み、ヒットも出ず、苦悩するが、結婚して、プロデューサーの夫、細巻と共に女優としての再デビューに挑戦しついに「潮騒のメモリー」で女優として成功する。やがて晴海と夫、細巻の間に娘、亜希子が生まれる。亜希子とともに北三陸を訪れた晴海は、ついに母、夏子と和解し、自ら海女のコスチュームを着てかつての海女クラブの仲間と町おこしキャンペーンに協力して故郷に恩を返す。
少女となった亜希子も歌が好きで、しかも、母、晴海と違って、上手だった。そして、みずからも芸能界入りを希望するが、母、晴海は、自分と同じような苦労はさせたくない、と反対する。そんななか、北三陸を地震が襲い、晴海、亜希子親子は、北三陸に駆けつける。夏子は地震は生き延びたものの、心労のため、「北三陸をたのむ」と晴海、亜希子に言い残して亡くなってしまう。
晴海はこれをきっかけに苦手だった歌を娘、亜希子とともに練習し、歌手として海女の衣装をきて「潮騒のメモリー」を歌い震災後の日本人の癒しとなる大ヒットとなる。そして、ついに晴海と亜希子は北三陸で撮影する映画「潮騒のメモリー 母娘の島」で共演することになったのであった。北三陸の小さな公民館で北三陸の仲間を前に映画の完成披露会が開催される。そしてエンディングは母娘で歌う「潮騒のメモリー」であり、最後には「北三陸と母、夏子にささぐ」とクレジットされたのであった。」
これはこれで感動的な話だと思いますが、月並みと言えば月並みです。
この物語を分解、再構成して5人の女性の物語を作り上げた宮藤官九郎はやっぱり天才だと思うのであります。








