Twilignt(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「それは・・ぼくが、北都フィルに所属する、ということですか。」

 

瑠依はしばし考えたあと言った。

 

「いや。 オケにというわけではなくて。 とりあえず。 聴かせてくれる?」

 

斯波は淡々と言った。

 

「あ、ハイ・・」

 

瑠依はケースからサックスを取り出した。

 

丁寧にマウスピースをつけて、おもむろに吹き始める。

 

 

曲は

 

チャイコフスキーの『白鳥の湖』

 

この選曲に志藤と斯波はハッとした。

 

一番、サックスに似つかわしくないロシアのバレエ曲。

 

導入の穏やかさ、音の強弱のつけ方、盛り上げ方、音の確かさ。

 

全てが完璧だった。

 

サックス1本なのに、まるでアンサンブルのような。

 

3人は思わず聴き惚れてしまった。

 

そして、『白鳥』からの『ブラックスワン』の映画音楽に自然にアレンジで持っていく。

 

 

・・これは、

 

志藤はまばたきをするのを忘れてしまった。

 

非常に荒削りではあるものの、彼自身の自己表現が素晴らしく

 

人を惹きつける。

 

そして彼が演奏を終えると、

 

南がものすごい勢いで拍手をした。

 

「すごーい! めっちゃ感動したー!」

 

素直な彼女は感じたことをそのまんま言った。

 

「あ、あざーっす!」

 

瑠依は明るく頭を掻いてぴょこんとお辞儀をした。

 

志藤と斯波は顔を見合わせた。

 

長い付き合いでだいたいお互いの顔を見れば何を考えているかわかってしまう。

 

「・・ウチに。 ソロで所属しませんか、」

 

斯波はそう言った。

 

「え? えっと、アンサンブル要員とかでは、」

 

瑠依は少し驚いた。

 

「・・まあ、それもあるかもしれませんが。 オケの楽団員ではなく。 ソロのアーティストとして所属しませんか、」

 

「・・え、っと、」

 

突然の話に瑠依はやや戸惑った。

 

志藤から連絡をもらった時には、

 

興味があるので一度あなたのサックスを聴かせてもらえませんか

 

くらいだった。

 

大手プロダクションからそんな話があって、心踊らないわけではなかったが

 

非常に軽い気持ちでここにやってきた。

 

「・・非常にエンターテイメント性を感じました。 ぼくは専門外ですがこの仕事を長いことしてますから。 それは、わかる。」

 

志藤も静かにそう言った。

 

「きみは。 ハタチですか。 一応、親御さんとも相談して下さい。 返事は、待ちます。」

 

志藤は彼の資料を見ながらそう言った。

 

その時。

 

ノックの音がして、ドアが開いた。

 

「あ、すみません。 まだお話中でしたか、」

 

葦切が中の様子を見て慌ててまたドアを閉めようとした。

 

その時。

 

え。

 

その残像が彼の網膜に引っ掛かり。

 

思わず再びドアを開けた。

 

瑠依のサックスは素晴らしいものでした。契約をしたいと言う斯波に彼は・・

ひなたと奏の出会いはこのへんから→

 

奏が北都家に下宿するいきさつからさくらとの出会いはこのへんから→

 

お話が長くなっております。よろしかったら読んでやってください・・

 

 
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