「なつぞら」 第147回
第25週 「なつよ、千遥よ、咲太郎よ」
なつから渡された父の手紙に涙する千遥
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なつ) お父さんが揚げた天ぷらを、
いつも横で働いてた母さんが、
ダシをとって、タレを作って…。
(回想)
母) お待ち遠さま。
なつ) 思い出した…。女将さんが、
それを作ってた母に似てたから…。
咲太郎) そうかもしれない…。
**********
咲太郎) ごちそうさまでした。
一同) ごちそうさまでした。
千遥) ありがとうございました。
(店を出る咲太郎たち)
孝子) ありがとうございました。
(出て行く間際カウンターに古い封筒を置くなつ)
上田) 何か、いろいろあったようだけど…
変な人たちでしたね。
千遥) そうでしたね…。
(封筒を割烹着のポケットにしまう千遥)
**********
(店を振り返り、微笑みあうなつや咲太郎たち)
咲太郎) 行こうか。
なつ) うん。
信哉) うん。
**********
<店の奥の部屋>
(封筒から手紙を出す千遥)
「咲太郎、なつ、千遥、この手紙を受け取った
時には、もう、この世にはいない。だけど、今
も一緒にいる。だから、悲しむな。やっと父さ
んは、お前たちのそばに戻れたんだ。今、一
緒にいるんだ…」。
(父が書いた家族5人の絵を見る千遥)
(父と手をつないだなつ、肩車をしてもらった
咲太郎、優しく微笑む母に抱かれた千遥)
千遥よ…ただいま。
千遥) (泣)
**********
<坂場家>
テレビ) ♪明日の笑顔は きっと友達
翌日の日曜日、
また、「大草原の少女ソラ」が、
放送されました。
**********
(千夏とテレビを見ている千遥)
レイ) 「父さん、僕も乳搾りやりたい!」。
父さん) 「よし、やってみろ」。
レイ) 「うん。う~ん、う~ん、う~ん…。はあ…」。
父さん) 「いいか、レイ。こうやって、数を数える
ように、上から指を折るようにして、搾ってみろ」。
レイ) 「うん、分かった。あっ、出た!」。
父さん) 「できたじゃないか!」。
**********
(アニメを見ている柴田家一同)
レイ) 「やった!」。
ソラ) 「レイ、できたの?」
キク) 「どれどれ」。
レイ) 「ほら!」。
**********
(アニメを見ている千遥と千夏)
ソラ) 「すごい! レイ、できたじゃない!」。
キク) 「うまいもんだな。
どうだ、坊主、うちで働くかい?」。
ソラ) 「ダメよ。レイは私たちと一緒に、
自分の牧場を作るんだから!」。
キク) 「え~」。
ソラ) 「ね、レイ」。
レイ) 「うん」。
(泰樹に教わり、乳搾りをした事を思い出す千遥)
千夏) 私も乳搾り、やってみたいな…。
(指を動かし、まねをする千夏)
**********
<坂場家>
なつ) 優、どうだった?
坂場) 楽しかったか?
優) うん。優ちゃんも、
乳搾りしてみたい!
なつ) じゃ、今度北海道に
帰ったら教えてあげる。
優) うん。
坂場) 千遥ちゃんも、
きっと見てくれてるだろうな。
なつ) うん…きっと。
千夏ちゃんと一緒に。
坂場) 北海道には知らせたんだろ?
なつ) うん、千遥に会ったことだけは…。
明美ちゃんからも話してくれてた。
坂場) 君は、安心できたの?
なつ) うん…どうして料理人になったの
かは分からないけど、千遥は、立派な
料理人だった。あの店で、誇りを持って
料理していることだけは、よく分かった。
まあそれだけで、私は安心できた。
坂場) うん。
**********
それからも、なつは、
「大草原の少女ソラ」の製作に、
追われていました。
手が回らない原画は、外注に出し、
戻ってきた原画を、イッキュウさんと、
手分けして、チェックしていきました。
坂場) ちょっといいですか?
なつ) はい。
坂場) これ、母さんが卵を割って焼くシーン
ですが、描き直してもらえますか?
卵が、おいしそうに見えないんです。
なつ) なるほど…。
麻子) ちょっと待って! 外注先の原画を、
そこまでこだわって直してたら本当に
身が持たないわよ。
なつ) だけど、確かに、おいしそうに
見えないですよこれは。
麻子) でも、多少の妥協をしていかないと、
もう間に合わないのよ。
なつ) だけどこれは開拓者にとって、
やっと手に入れた鶏が初めて産んだ
卵なんです。ソラとレイもどれほどこの
卵を楽しみに待っていたことか。それ
をお母さんが料理するところを見る、
そこは、大事なとこだと思うんです。
坂場) そのとおりです。
麻子) 卵よ? 難しいわよ!
**********
(フライパンとコンロを用意し、
目玉焼きを作る神地)
(目の前で絵を描くなつ)
なつ) ちょっともう一回、お願いします。
神地) オッケー。いくよ。
(卵が焼ける音)
なつ) 卵が殻からとろりと落ちて、落ちた
あとも、黄身を中心に跳ねるような、
揺れ、細かく入れてみたんだけど…。
神地) 落下直後のトュルントュルンな感じは
出てるよ。でもさっきから観察してるとさ、
動きも大事なんだけど、色の変化が重要な
んだよね。白身が透明から白くなっていって、
ふちの方が、かたくなってこんがり焦げてく
感じが食欲をそそるんだよな~。
なつ) それはそうだけどそれは
線画じゃ表現できないでしょ。
神地) てことはやっぱり色だよね。
モモッチ色見本!
桃代) はい!
麻子) 色?
神地) あ…色も同時に考えるんです。
桃代) 何の色?
なつ) 目玉焼きを作るシーンだけど
モモッチの力を貸してほしいの。
桃代) うん。
神地) フライパンに落ちた卵が、
目玉焼きに変わっていく瞬間の
色を細かく表現したいんだ。
桃代) 分かった。
じゃ、もう一回焼いてもらっていい?
神地) お安い御用だよ。
**********
(目玉焼きを焼く神地)
茜) あ~それにしてもいい匂い。
さっきからおなかすいちゃうわね。
下山) ね、ハハハ…そろそろお昼だしね。
茜・下山) はあ…。
なつ) あ…それだ! それが足りなかったんだ。
匂いの表現です。ソラとレイが卵が焼き上が
るのを待つ間に、匂いを吸い込む動作を加え
たらどうでしょうか?
坂場) それはいいかもしれません。
テレビを見ている子どもたちにも一緒に、
匂いを感じてもらえるようにしましょう。
なつ) はい、やってみます。
神地) あ…みんな、目玉焼き食べて。
下山) え…何か、ない? しょうゆとか。
石沢) あ、しょうゆ、しょうゆ、しょうゆ…。
**********
それから3週間後。
麻子) これ見てよ、これ!
(段ボール箱の中に、手紙がぎっしり)
下山) おっ?
麻子) よいしょ。
坂場) 視聴者から?
麻子) そう! 子どもからも親からもどんどん
増えてるって。特に反響があったのが、
あの卵を焼くシーンよ!
なつ) えっ?
麻子) あれを見て、みんな子どもたちが
卵を食べたがったって書いてある!
なつ) 本当ですか?
麻子) 本当よ。
(卵が焼ける音)
(母さんが作る目玉焼きをのぞき込むソラとレイ)
ソラ・レイ) うわ~いい匂い! はあ…。
**********
<料理屋・杉の子>
(千遥が作る卵焼きをのぞきこみ、
匂いを吸い込む千夏)
千遥) それソラのまねしてるの?
千夏) そう! ソラの卵を描いたのも、
お母さんのお友達かな?
千遥) そうかもね…。
(微笑みあう千遥と千夏)
**********
<夜・店の奥の部屋>
(たんすの引き出しを開けている千遥)
(布団で眠っている千夏)
(風呂敷の包みを開く千遥)
(なつが牧場で来ていた作業服)
(手に取り、見つめる千遥)
**********
<昼>
(店でダシを取っている千遥)
義母・雅子) どう、忙しい?
千遥) はい。おかげさまで。
雅子) ああ。清二はどう? 帰ってきてるの?
千遥) いえ…。
雅子) そう…困ったものね。まあでも、
そのうち目が覚めるでしょうからね。
千遥) あの人はもう、私のところには
戻らないと思います。
雅子) ハハ…そんなこといったって、
この店は、清二の店ですからね。
千遥) お義母さん…
お話ししたいことがあります。
雅子) えっ?
千遥) 清二さんとも、
きちんとお話しさせて下さい。
雅子) 別れたいってこと?
千遥) お願いします。
**********
<マコプロダクション>
(レイの原画を描いているなつ)
(出かける支度をした麻子が戸を開ける)
麻子) なっちゃん!
なつ) はい…?
(表を見るなつ)
なつ) 千夏ちゃん!
千夏) こんにちは。
なつ) こんにちは…。千遥…。
(お辞儀をする千遥)
なつよ、どうやら千遥は、
決意をしたようだ。
**********
何か、いろいろあったようだけど…
変な人たちでしたね。
板前さんのセリフで、なつたち以外の人がまとも
だって分かってよかった~w 変な人たちだよね、
ホント。やたら自分語りするわ泣き出すわ…(呆)
おまけに何やらボロイ封筒を置いて去ってくしw
千遥と千夏のシーンだけ、違うドラマを見ている
ようで、ドラマの中での温度差がすごいなぁと…。
それにしても、優ちゃんの将来が心配になってく
るよ。アニメを見る度、感想&楽しかったかと圧
をかけてくる両親の空気を読んで答えなければ
ならない娘…。ず~っと空気を読んでいい子にし
ている優は一体どうなってしまうのか…心配だ。
でもなつだしね~。時間もないし、このままいくん
だろうなあ…。優ちゃんの未来に幸あれと願う!
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