幽かな彼女 第10話 「神山先生、最後の授業」 | 日々のダダ漏れ

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幽かな彼女

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第10話
神山先生、最後の授業


窪内) 簡単でしょ。
あんまりしつこいと内申書に響
    く、とか、いい加減空気読めよ、とか言えばい
    いんだから。
河合) もう、そういうことじゃなくて~。
窪内) 気持ちをどうにかする為の魔法の言葉なん
    てない。表面的に取り繕っても意味ないし、
    わだかまりは残るよ。相手がどんなに反省し
    てる
のか、本当にみんなが納得してるのか、
    心の中を
見ることは絶対にできないんだから。
河合) そりゃあそうですけど。
窪内) あとさ、急激にいい人になると疲れるよ。
河合) は?
窪内) 斜に構えてた嫌なやつが、正義に目覚め
    ゃったりするとさあ、普通の人より正論ぶった
    り、
いいことしたがったりするんだよねえ。
    はそれを、改心ズ・ハイ、って呼んでるけど。
河合) もしかして、バカにしてます?
窪内) いや。わかりやすくて好感が持てるよ。
河合) 窪内先生は最初っからいい先生ですよね。

**********

暁) 初めて、お互い本音をぶつけ合えたんじゃ
  いですか? ついでだから僕も本音を言うと、

  直僕はここに来たとき、皆さんの事なんか、

  しも興味がなかったんです。
教師を、大人を見
  下してて、信じてなくて、本音
を言うのをお互い
  避けてて、
ちゃんと適度な距離を取っていない
  といけない。
そういう今の中学生と向き合うこと
  を僕は、仕事と
して割り切ってて、そこにはでき
  るだけ
踏み込まないようにって思ってたんです。
河合) 神山先生・・・。
暁) 
まあでも、そんな僕に、教師っていうのはそう
  じゃないだろって教えてくれた人がいて。
皆さん
  のことを僕ら大人が見守ってることで、
それだけ
  で安心が生まれるって教えられて。
中学生なり
  に皆さんが真剣に、必死に人間関係を
築いてる
  って知って。
少し誤解もあるかもしれないけど、
  皆さんが
今の大人のことをかっこ悪いって思っ
  てるって
気づかされて。自分を変えようともがい
  てたり、人との接し方に
悩んでたり、少しでも今
  よりも大人になりたいっ
て求めることを、見せら
  れて。自分自身を見失って
苦しんで。それでも
  消えない絆みたいなものが
あるってことが解っ
  て。
みんなが胸の奥の奥に、隠し持ってる心を、
  その、
とっても傷つきやすい心を、それでもぶつ
  け合う
ことで生まれることがあるんだって、そう
  じゃ
なきゃいけないんだって思えたことで、それ
  で
僕は今本気で、心の底からこう思ってるんで
  す。
教師で良かった。皆さんみたいな生徒に出
  会えることができて
良かったって。みなさんもう
  すぐ文化祭です。みんなで歌って、合唱で、心
  を1つにしてみてください。皆さんならきっと、大
  丈夫。これから先も大丈夫ですから。それじゃ
  皆さん、この後の授業も頑張ってください。

**********

アカネ) あ、そうだ。結局、合唱できなかった。
暁) 見にいけばいいよ、文化祭。
アカネ) や、そういうんじゃなくて、指揮してる神山
     先生の、隣で見てたかったんです。
暁) じゃ、次の学校でまたやるから、待ってろ。
アカネ) 次って?
暁) 来るだろ? 一緒に。
アカネ) あっいや、そーりゃ行きたいですけど。
     いつ、成仏するかもわかんないですし。
暁) 大丈夫だろ。副校長にほんとのこと話したし、
  それに、渡辺のことも、
残念だけど、もう解った? 
  それなのにまだしぶとく成仏してないんだから。
アカネ) なーんですか。しぶとくって。
暁) きっと、俺のせいだと思う。
アカネ) えっ?
暁) お前にまだ成仏してほしくないから?
アカネ) どういう意味ですか? それ。
暁) お前にずっとそばにいてほしい。きっと学期明
  けの転任だから、9月までは時間があるだろう?
  それまでに次の引っ越し先探して、それと、お前
  と渡辺の墓参りにも行って。
アカネ) そんな・・・相手の親族に挨拶行くみたい
     なノリで言われても。
暁) うん、ケジメはケジメだからな。
アカネ) 先生?
暁) ああ?
アカネ) あの・・・あたし・・・お化けですよ?
暁) 知ってるよ。
  まあでも・・・好きになっちゃったからな。

**********

幽霊が絡むことで、最初はちょっとキワモノな印象
があったのだけれど、中身は骨太だったという嬉し
い誤算。何がいいって、教師が、ちゃんと根っこの
部分で、生徒のことを考えられる教師がこの学校
には存在しているということ。1人のヒーローによる
改革というよりも、少しずつ、互いに影響しあって、
教師も生徒も、いい方向に動きつつある姿に共感
するというか、本当の改革って、こんな風に、みん
なが少しずつ変わっていける事じゃないかなって。
生徒の心に勇気を育てていくことが大事なように、
教師の心にも、生徒を信じる勇気を育てていける
ような環境が作れたら、いいんじゃないのかなあと、
そんな風に思えるドラマだと。たった一人でどうに
かできるほど、簡単な問題じゃなくなっているいま、
学校が、家庭が、子供を取り巻く環境が変わって
いかないと、変わりたくても、その途中で潰されて
しまいそうで。そういう、自分が変わっていくことで、
まわりも変われる、そんなヒントが感じられました。

暁がアカネへの想いを口にしてしまったけれど・・・
これまた切ない恋の落としどころがどうなるのか。
見たいような、見たくないような、複雑な気持ち。


●「幽かな彼女」HP

「幽かな彼女」関連ブログ↓
幽かな彼女
第6話 「アカネ消滅!? 気づいた想い」
第7話 「負ける事を認められる強さ」
第8話 「いじめスパイラル」
第9話 「いじめ、その先に見た闇」
第10話 「神山先生、最後の授業」
第11話(最終話) 「さよなら、先生」


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