「あまちゃん」第63回~潮騒のメモリーとファイナル勉さん | 日々のダダ漏れ

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「あまちゃん」 第63回(完全版)
第11週 「おら、アイドルになりてぇ!」
潮騒のメモリーとファイナル勉さん
 
 
部屋に籠もるユイを外に連れ出すため、
アキはある企画を提案しました。
 
<海女カフェ>
夏) ふぇす? 何だふぇすって。
アキ) みんなで、歌ったり踊ったり、
 潜ったり、ウニ取ったりする、
 海女のフェスティバルだ。
花巻) 海女~ソニック。
 海女のサマーフェス、海女~ソニック。
アキ) それいいよ花巻さん!
花巻) うん?
アキ) 海女~ソニック。いぐねえ?
弥生) そしたらおら、
 「ヨイトマケの唄」歌うべ。
 ♪「父ちゃんのためならエンヤコラ~」
アキ) でも、ママが…。
かつ枝) 何? 「ママが」って。
(春子のマネをするアキ)
アキ) 「いい? 芸能界とかアイドルとか
 チャラチャラしたの、ママ絶対許さない
 からね! 返事は! 聞こえない!」


あまちゃん(63)

(笑い声)
春子) アハハッ、何してんの?
 えっ、何?
かつ枝) め…珍しいね。


あまちゃん(63)

春子) うん。たまにはランチとか
 いいかな~と思って…。

あまちゃん(63)

かつ枝) いらっしゃ~い。
 アハハハハッ…。

あまちゃん(63)

春子) 何?
かつ枝) いやいやいやいやいや、
 珍しい珍しい。
春子) ああそう。何か変じゃない…。


**********
 
夏) いつにする?
アキ) え?
夏) 海女フェス。木曜日でいいか?
アキ) うん…。
夏) おらに任せろ。春子!
春子) うん?
夏) アキ、木曜日借りるど。
春子) どうぞ。
夏) おお~。ハッハッハッ。
 よし、筋は通したど。
アキ) じぇじぇ! 今ので?
夏) ああああ。
アキ) いやいやいや、
 今のでいい訳ない!

あまちゃん(63)

**********
 
<観光協会>

あまちゃん(63)

アキ) 海女~ソニックだ。
ヒロシ) 本当にいいのか? アキちゃん。
アキ) うん、ユイちゃんのためだ。
 いっぺんだけやることにした。
菅原) お~潮騒のメモリ―ズ復活か!

あまちゃん(63)

アキ) いや、そんな大袈裟なもんでなく、
 海女~ソニックの間だけ、ひっそりと、
 期間限定で…。
池田) 派手にやんなきゃしょうがない
 でしょう!生で特番組みましょう。
アキ) そういうわけなんでストーブさん、
 ユイちゃんを、海女カフェさ呼んで下さい。
ヒロシ) よく、お母さん許してくれたね。
アキ) ……。
栗林) えっ、まだ話してねえの?
アキ) それが、家さ帰ってすぐ
 相談しようと
思ったんですが…。

(回想)
(テレビの音)
アキ) ただいま~!
春子) …お帰り。
アキ) ママ、ちょっといい?
春子) …何? 
(振り向いた春子の頬に涙)
春子) 何よ。早く言いなさいよ。
アキ) いや、後でいい。
春子) あっ、そう。ご飯炊いておいた
 からさ、何か適当に食べて。
(出て行く春子)
(ビデオデッキkからテープを出すアキ)
(春子が見ていたのは「潮騒のメモリー」)
 
吉田) あ~やっぱり、
 春子さん泣いちゃった?
アキ) はい。泣いでだ。
 涙ぽろぽろ流してた。
大吉) あの北の冷血女と
 呼ばれた春ちゃんが!?
菅原) 速い車さ乗っけられでも、
 急にスピンかけられでも
 泣かなかった春子さんが!?
吉田) 泣ぐよね、
 「潮騒のメモリー」見だら。
大吉) 泣ぐ泣ぐ、泣ぐに決まってる。
菅原) 俺らの世代はみんな泣ぐ。
ヒロシ) 吉田さんが貸した
 ビデオなんでしょ?
吉田) そう、随分前に、
 テレビで放送したやつ。
 
潮騒のメモリーは、
1986年に制作された、青春映画。
今や実力派女優として知られる、
鈴鹿ひろ美の、デビュー作です。
 
アキ) ねえねえ吉田さん、
 どんな映画?
吉田) それ、俺に聞いちゃう?
 
残念ながら、著作権の関係で、
映像をお見せすることはできません。
代わりに、アニメーションと、
副駅長吉田さんの、
たどたどしい解説で、お楽しみ下さい。


あまちゃん(63)

吉田) 舞台は…新潟だか、鳥取だかに
 浮かぶ、架空の島、鈴鹿島。貧しい
 漁村の、りょ…漁師だか、工員だかの
 娘として生まれた少女ひろみは、もっ
 と貧しい村の、青年、新一だか、新吉
 だかと出会います。

あまちゃん(63)

吉田) ひろみ、17歳だか、
 18歳だかの、夏でした。

あまちゃん(63)

アキ) のっけからイライラするなあ!
吉田) こんなもんでしょう!?
 いきなり説明しろって言われたらさ!
大吉) 新潟と鳥取は大分違うど。
勉) 正しくは松島だね。
菅原) 宮城じゃねえかよ。
吉田) 本当か? 勉さん。
 間違いねえか、それ。
 ファイナル勉さんか?
勉) うん。確かひろみの母ちゃんが、
 海女さんなんだ。
吉田) んだ! ひろ美の母・律子は、
 海女でした。夫に先立たれ、女手
 一つでひろみを育てた律子の夢、
 それは、由緒正しき本土の名家、
 合田財閥にひろみを嫁がせる事。
大吉) いいぞ吉田、その調子だ!
 
律子) 「いけないよひろみ。お前は
 合田様のお嫁さんになるんだ!」
ひろみ) 「いや! 私は新一さんだか、
 新吉さんだかが好きなの!」

 
菅原) もう、どっちかに決めで。
 
ひろみ) 「新吉さんも、
 きっと私と同じ気持ちよ!」
 
大吉) んだんだんだんだ! それで、
 例の名場面、「その火を飛び越え
 て来い!」になる訳だな。
吉田) うーん…。
大吉) えっ、違うの?
勉) その前に、
 新助さんが熱病にかかるんだ。
菅原) 新助じゃねえかよ!
吉田) 間違いねえか? 
 ファイナル勉さん?
勉) ファイナル勉さん。でもって、
 熱病の新助を、ひろみが背負って
 本土の病院に連れて行ごうとして…。
吉田) 船が難破するんだ!
菅原) アキちゃん大丈夫か?
 ここまではついてきてるか?
アキ) うん、なんとか!
大吉) さあ来た来た! 無人島に
 流れ着いた、ひろ美と新助は…!
吉田) んだ!
大吉) たき火を挟んで!
吉田) んだんだ!
大吉) 「新助、
 その火を飛び越えてこい!」
吉田) うーん…。
大吉) な…何だよ、何でそこで
 テンション下がっちゃうんだよ。
吉田) そんな場面は、ないからです。
大吉) ない!?
菅原) ないってどういう事よ?
吉田) いや、20数年ぶりに見返して、
 何がびっくりリしたって、たき火を
 飛び越える場面がなかったんです。
大吉・菅原) じぇじぇじぇ!
アキ) ないの!?
吉田) ないんです。
アキ) ファイナル勉さん?
勉) ファイナル勉さん。おめえら
 みんな三島由紀夫の「潮騒」と、
 記憶が、ごっちゃになってんだな。
大吉) いやいやいやいや…
 だって歌の歌詞は、
 「来てよその火を飛び越えて」だべ。
吉田) 一応、飛び越えるシーンは、
 あるにはあるんだけど…。
菅原) 何を飛び越えるの?

あまちゃん(63)

ひろみ) 「飛び越えてこい!」

あまちゃん(63)

新助) 「うう…」。
ひろみ) 「新助、私が好きなら、
 そのへびを飛び越えてこい!」
 
アキ) へび!?
大吉・菅原) じぇじぇじぇ!
吉田) へびなんです。
大吉) へびか~!
菅原) なんか、盛り上がりに欠けるね。
吉田) 監督も、そう思ったんでしょうね。
 クライマックスにとってつけたように…。
 
ひろみ) 「新助、
 その火を飛び越えてこい!
新助) 無理だ!

(2人の間には空まで
 届きそうな大きな火)

あまちゃん(63)

アキ) 泣げる映画なんですよね。
吉田) 泣げる。
 見れば間違いなく泣げる。
アキ) 本当がなあ?
吉田) こんなもんですよ。
 80年代の、アイドル映画なんて!
アキ) とりあえず帰って見でみます。
 
**********
 
映画、「潮騒のメモリー」は、
荒唐無稽なストーリーと、
斬新な演出が話題となり、
大ヒットを記録し、鈴鹿ひろ美は、
その年の
名だたる映画賞を
総なめにしました。

あまちゃん(63)

特にラストシーン。

あまちゃん(63)

あまちゃん(63)

荒れ狂う海と夕日を背に立つひろみの姿は、
大型新人の誕生を、予感させる名場面で…。



**********
 
<天野家>
(ヘッドフォンをつけ、泣きながら
 「潮騒のメモリー」を見ているアキ)

あまちゃん(63)

あまちゃん(63)

アキ) (泣)

あまちゃん(63)

夏) ただいま~! ご飯にすっぺ。

あまちゃん(63)

アキ) (泣)
夏) アキ、どうした? 
 具合でも悪いのか?
アキ) 夏ばっば…。
夏) うん。
アキ) おら、映画女優になりでえ!
夏) 何!?
アキ) この人みでえになりでえ!
夏) 水野晴郎か?
アキ) 違う! 
(新聞を広げるアキ)

あまちゃん(63)

アキ) この人だ!
夏) 鈴鹿ひろ美か?
(頷き、記事広告を見つめるアキ)

**********
 
<海女カフェ>
アキ) んだんだ。すげえんだ。
 本当に泣けるんだってば!
花巻) わがったわがった。
アキ) かっこいいんだって! 
 女優ってすげえよな。
 やっぱりこう…あの~。
弥生) オーラか?
アキ) オーラが違うべ。
花巻) あれれ、弥生さん
 今日はボケねえのか?
弥生) まあな。黒酢飲んでっからな。
長内) アハハハッ!
花巻) 黒酢って頭にも効くんだな。
弥生) サプリメントを毎朝飲んでっからな!
 ビタミン、アミノ酸、グル…グル…グル…
 グルグルグルグルグルグルドッカーン!
花巻) 自爆だ!
長内) アハハハハッ!
ヒロシ) アキちゃん、例のもの、
 持ってきたけど。
 
**********
 
ヒロシ) せ~の、よいしょ!よいしょ!
(潮騒のメモリーズの看板を
 運ぶヒロシと栗原)

あまちゃん(63)

アキ) オーライ、オーライ!
美寿々) 夏ばっぱ、
 またアキがおかしな事始めたど!
夏) え~?
美寿々) ほら!
夏) じぇじぇ! アキ、どうしたんだ?
 こんなでけえもん持ち込んで!
アキ) もっと! もっと奥! もっと奥!
長内) あ~!


あまちゃん(63)

花巻) ベンチさ当たるな! これは
 もう真ん中で割るしかねえな。

**********
 
<海女カフェ>
ユイ) ちょっと何?
アキ) 見で!

(ユイに看板を見せるアキ)

あまちゃん(63)
 
(ステージに上がる)
アキ) ここで歌うべ! 

あまちゃん(63)

アキ) 一緒に歌うべ!

あまちゃん(63)

ユイ) アキちゃん…。
アキ) 駄目?
ユイ) 駄目だよ。デビューして
 からって約束でしょ?
アキ) 部屋さ籠ってたら、
 デビューもできなくなるべ。

(回想)
ユイ) デビューしたいんです!
 東京行って、
 アイドルになりたいんです!
水口) それは、君次第でしょ。

 
アキ) ごめん。でも今の本音だ。
 みんなを元気にするのが、
 アイドルの仕事だとしたら、
 今のユイちゃんは職場放棄だべ。
夏) おらもそう思う。
ユイ) 夏ばっば…。
夏) この間のお座敷列車が、北鉄や
 町のためだとしたら、今度は、自分
 のためだ。今度は自分のために、
 歌って、踊ればいい。
かつ枝) おらもそう思う。
ユイ) メガネ会計ババア。
かつ枝) 東京が、なんぼいいか知らねえが、
 まずは地元で、もっともっと人気者になって
 よ、北三陸もユイちゃんも、有名になってよ、
 プロデューサーだかなんだか知らねえが、
 じきじきに頭下げてくるまで、こっちから
 東京さ行くごとはねえ!

(回想)
水口) 君の覚悟っていうか、本気が見
 たいって、もし俺が業界の人間で…
 違うけどね。そういう業界の、そうい
 立場の人だったら思うと思うけどね。
 
ユイ) でも…。

あまちゃん(63)

ヒロシ) 「でも」じゃねえべ! みんな
 お前のためにここまでやってんだぞ!
 やれ! 歌えよ! つべこべ
言わずによ!
 どうしても嫌だっつうなら、
 これ(看板)、駅前まで戻せ!


あまちゃん(63)

アキ) かっけえ!
かつ枝) 「メガネ会計ババア」?

あまちゃん(63)

(回想)
水口) 普通にそこそこ可愛いくて、
 「アイドルになりた~い」なんて
 言ってるちょっと痛い女の子と何が
 違うのか、知りたいと思うけどね。

ユイ) …わかった。
 歌うよ。歌おうアキちゃん!
アキ) うん!
夏) よし! そんだら、海女~…。
ヒロシ) ソニック!
夏) ソニック! 盛り上げるべ! なっ!
(拍手と歓声)

あまちゃん(63)

かつ枝) 「メガネ会計ババア」って何? 
 ねえ、何? みんなで私のこと、メガネ
 会計ババアって呼んでたの? 
 ねえ、なんで目ぇそらすの?
 ねえ、なんで去っていくの?


ユイが復活! 海女~ソニックは、
無事、開催されることになりました。

**********

ようやく、映画「潮騒のメモリー」の内容が、なんと
なく、わかったようなわからないような、テキトーな
感じで、公開されました。てか・・・それだけかい!
潮騒のメモリーに秘められた、もんのすごい秘密
があるかと思わせて(というか、思い込んでた?)、
単に、青春のメモリー、思い出として、観たら泣い
てしまう、青春の思い出の映画だったわけね・・・。
拍子抜けしないでもないけど、何が大切か、何が
心の琴線に触れるものかは、人それぞれだから。
他人が思うよりずっと、本人にとっては、大切な大
切な宝物だったりすることがあるから・・・。ここで
ようやくさりげなく出てきた、中森明菜の歌(飾りじ
ゃないのよ涙は)の歌詞、「速い車に乗っけられて
も急にスピンかけられても」泣かなかった春子が
泣いた映画だとの説明。あの、春子が泣く映画!
当然アキも号泣、そして、女優になりたいと思う。
なるほど~そうきたか~! なるほどザワールド!
(これまた古いw) そういえば、今回は、勉さんが
大活躍。ファイナル勉さん、いいネーミングだあ♪

そして、なぜか、「メガネ会計ババア」がふたたび
注目されたというか、かつ枝さんにバレた日、でも
ありました。もう、毒吐きユイちゃんなんだからぁ!
てか・・・みんな、知ってたわけね・・・。みんな・・・。
そりゃね、狭い町だしね。みんな噂好きだしねえ。
メガネ会計ババアで・・・ファ、ファイナル勉さん?



2015年の再放送時の感想はこちら↓
あまちゃん日記(63)~第11週「おら、アイドルになりてぇ!」

 

2023年の再放送時の感想はこちら↓
第63回~第11週「おら、アイドルになりてぇ!」


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