先日、あるサイトで間違った翻訳がされていて驚いた、
DEAD LEG(ももかん:大腿部の打撲)
の処置について今回は書きたいと思います。
サッカーをしている人ならば、少なくとも一度は経験しているでしょうが、
意外と正しい処置の仕方をしらない人も多いようなのでお話したいと思います。
まず、ももかんとは??
サッカーやバスケットボールではボールを取り合う際に、相手の膝が太ももの前面部に入って受傷したり、ラグビーやアメフトなどのコンタクトスポーツではタックルが入って受傷したり、野球などではデットボールなどで受傷したりする太ももの打撲。
太ももの打撲(大腿四頭筋筋挫傷)のことを、一般的にももかんと呼びます。
イギリス英語ではDead leg、アメリカ英語ではCharley hourseと呼ばれています。
症状としては、主に
①腫れ
②圧痛
③痛みによって、膝の曲げ伸ばしが困難(特に屈曲制限)
①、②に関しては、他の部位を打撲した際にも見られる症状なので皆さんもお分かりになると思いますが、③に関してはももかんで特に顕著に見られる所見です。
本来、人間の身体は痛みがある姿勢や動きは本能的にしないようになっています。
ですので、現場で選手の多くは、受傷した直後は、
足を伸ばした状態でうずくまっていることが多いです。
なぜなら、曲げると大腿部の筋肉が伸長されて痛みがでるからです。
もちろん重症度によって症状は変化します。
重症度の判断の目安としては、どこまで膝が曲がるのか?によって判断します。

かかとをお尻につけるように膝を曲げていく。
軽度なら痛みはあるが、可動域いっぱいに膝の曲げ伸ばしが可能。
中程度なら45°~90°くらいまで可能。
重症だと少し膝を曲げただけでも痛みがあり、屈曲角度が45°以下に制限。
モモカンは受傷直後の処置によって回復具合が全く違います。
ももかんの負傷からの早期復帰に向けて1番の問題になるのが、
翌朝起きたら、膝が全く曲がらない状態になっていることです。
(屈曲制限)
皆さんも経験があるのではないでしょうか??
この状態を回避するために最も重要なことは、
固定肢位をどの角度でするかです。
1番やってはいけないのは、痛みのあまり、膝を伸ばしたままでいることです。
そのままでいると、腫れがどんどんひどくなり血腫が形成され,膝が曲がらなくなってきてしまいます。
正しい処置の方法としては、血腫形成を出来るだけ抑えるためにも、
選手自身がが可能な限り痛めた部分を伸ばす状態
(膝を曲げた状態)で固定していきます。
選手を仰向けで寝させて損傷部を圧迫しながらアイシングして、弾性包帯やバンテージなどで下のような状態にします。

これが一般的にスポーツ界の現場で行われているももかんの処置になります。
ここからは、私の現場での経験を元にしたお話になりますが、
打撲とは、骨を除いたやわらかい組織のうち、おもに皮下組織が損傷した状態です。
つまり、組織が多かれ少なかれ壊れて(挫滅(ざめつ)して)います。
その状態に対して、アイシングを長時間に渡って行ったり、頻回にしすぎてしまうと、
が進んだ状態になってしまい、より悪化したり、治りが遅くなってしまう印象があります。
アイシングの弊害については、また後日記事にしたいと思います。
私個人の意見としては、潰れた組織を回復させるためには、血液の循環が必要になりますので、受傷した直後から、できるだけ温めたほうが復帰が早い印象があります。
(写真は、鍼にマイクロカレントの電気を流しています)
ですので、アイシングとホットパックなどの交代浴のような処置ができれば1番良いです。
さらに、キネシオテープや吸玉などで、潰れた組織を持ち上げてあげるよう治療も効果的だと思います!!