データベース制圧の精神科医ブログ、長崎広島原爆・福島原発・第二次大戦・児童虐待・DV・レイプ複雑性PTSDの薬物療法 -4819ページ目

(63)広島原爆放射線医科学研究所(原医研)の原爆PTSD調査再開 「黒い雨」の秘密

精神医学の素人集団である広島原爆放射線医科学研究所(原医研)が2002年に行った原爆被爆者PTSDの無効な調査を臨床の素人JSTSS初代会長金吉晴の協力を得て、山間部「黒い雨」被爆者に拡大し2008~2009年に繰り返すわけですが、彼らは同じことを2005年にも朝日新聞の全面的な協力を得て行っていました。その結果は精神医学史に何の痕跡も残しませんでした。彼らが自らの方法論の致命的な欠陥に気がつかない限り今回も同じ結果になるでしょう。
PTSD研究は戦争というストレスから児童虐待や性暴力被害のストレスとの同質性が理解されてから一層の発展がありました。彼らが岩国基地海兵隊員による少女集団レイプ事件に沈黙を守ったことは彼ら(今回協力するJSTSS初代会長金吉晴も含む)がPTSD研究を行う道義的な資格を欠いていることを意味しています。

(62)日本のPTSD研究の正統性を引き継ぐ私のPTSD薬物(SSRI・SDA)治療研究

小沼の論文もリフトンの著作もわが国では忘れ去られていました。現代精神医学の到達点であるSSRIとSDAを用いた広島被爆者の複雑性PTSD治療記録であるわたしの「東京大空襲被災と広島原子爆弾被爆の両方を経験し複雑性外傷後ストレス障害を呈した一例」(広島医学2006)こそが小沼、リフトンの研究を真に継承する現代精神医学の頂点なのです。
少なくとも「黒い雨」被爆PTSDの無意味な再再調査をする広島原爆放射線医科学研究所(原医研)が異端なのは確かです。

(61)日本のPTSD、原爆PTSD研究の元祖 小沼十寸穂教授

国立広島大学 医学部精神医学教室初代教授小沼十寸穂 の「(広島)原爆症後遺症の間脳症性苦訴並びに症候の理解について」(長崎医学会雑誌1961)が日本人精神科医による最初のPTSD研究論文です。被爆者の症状が「器質性障害という基礎の上に」「神経症性心的機制という上屋」が乗り「単なる心因性」ではないというPTSDの本質が看破されています。広島被爆者の調査に訪れた若き日のリフトンと対談した模様がリフトンの大著「死の内の生命」に描かれています。リフトンは広島での調査で「繰り返し侵入してくる」外傷記憶の本質を理解しベトナム帰還兵にも同じものを見いだしてPTSDの概念を確立しました。
広島原爆放射線医科学研究所(原医研)さん「黒い雨」被爆PTSD再再調査するならリフトンと小沼から勉強し直しなさいよ。

(60)新海誠監督SF恋愛アニメ「雲の向こう約束の場所」とPTSDの薬物治療

2004年暮れに第3論文「るいそう、下肢麻痺など多彩な症状を呈した複雑性外傷後ストレス障害に精神療法と薬物療法が著効した一例」を執筆していてPTSD患者にどういう条件でSSRI(パロキセチン)の外傷記憶回復作用が生じるのか考えあぐねていました。ネットの予告で気になった新海誠監督のアニメに惹き付けられるように、福岡に新幹線で見に行きました。少年と少女が交わした約束とその履行が壮大な未来科学を巻き込んで世界の破滅と救済の要になるというストーリーでした。帰路の駅のホームで突然ひらめきました。患者と治療者の私が交わした暗示(ラポール)による約束(治療契約)が後催眠暗示(アンフリュアンス)として持続し、その時に服用したSSRIのみが治療的に作用するのです。後催眠暗示の重要性は当時精読していたエレンベルガーの大著「無意識の発見」の中でPTSD研究先駆者のピエールジャネが強調していたことながら、初めて自分の臨床経験の中で消化されたのです。新海氏とはいつも舞台あいさつを逃してしまうのですが、優れた創作者の作品は科学的精神医学の発見としばしば重なりあうという好例でしょう。

(59)とんでも本の典型なのに結構売れた「危ない精神分析」マインドハッカーたちの詐術 矢幡洋

真実を否定したいというどこから出てくるかわからない妄念という点では「アウシュビッツの嘘」と通じるところがあるこのとんでも本が、意外にもてはやされるのは、人類の歴史で繰り返されてきた人間の負の局面を否認したいという無意識の欲望を満たしているからでしょう。まともに論破するのも自分が馬鹿になるみたいだから嫌なんですが、「外傷記憶とはオカルトである。だから否定する。」の一行がこのとんでも本の中身の全てです。実証的調査の積み重ねとか、論理的科学的思考に基づく議論とかから一万光年隔たったこの著者の思考にはため息しか出ません。思考というより泥沼から浮き出てくるメタンガスみたいなもんなのかもしれませんね、この人の頭の中で起きていることは。オカルトの方がこんな人間に下に見られてかわいそうです。「脳内革命」に匹敵する奇書です。こんな本が売れるから三十万人の自殺者の山を築きながら、うつ病が誤診であることに気がつかないんでしょうねこの国は。

(58)リフトン医師とPTSD

PTSDの疾患概念を精神医学で確立したのはユダヤ系米国人精神科医リフトンです。彼が最初にアウシュビッツ強制収容所の加害者被害者の精神医学的調査研究を開始したのはかれがユダヤ人であったことと無関係ではないでしょう。日本人精神科医の誰もがなし得なかった広島原爆被爆者の精神障害の体系的調査を行ったのも彼です。ベトナム戦争で無抵抗の住民500人を殺害したソンミ村事件の加害兵士の調査を行ったのも彼です。彼の尽力なしではPTSDは成立しませんでした。かなり高齢の彼はイラク復員兵のPTSD支援も行いました。傷ついた人間を支えようとする彼の執念を見習いたいと思います。
「黒い雨」被爆PTSD再再調査をすると騒いでいる広島原爆放射線医科学研究所(原医研)さん。リフトンの「死の内の生命」探してきて読みなさい。

(57)チェルノブイリとPTSD

以前朝日新聞の記事でチェルノブイリ原発事故の処理作業で被爆した元軍人のインタビューがありました。その人物自身も放射能障害による体の不調に苦しんでいましたが、周囲では同じ作業にあたった仲間が次々と発癌して死んでいました。その人物は記憶力の低下にも悩まされていましたが、記事を書いた記者も患者自身もPTSDの病態に知識がないためか、やはり知識のない読者が読んでも放射線による記憶力の低下と信じてしまうような文面でした。PTSDによる解離性健忘と思われます。

セミパラチンスクとか好きな広島原爆放射線医科学研究所 (原医研)さん精神医学も勉強したほうがいいよ。

(56)PTSDに有効な向精神薬 SSRI SDA 3環系抗うつ薬 セロトニン作用活性薬

世界中の精神科医が唯一の科学的手法と思い込んで抜け出せなくなっている、非科学的な統計の迷路とは関係なく、わたしの症例報告数世界最多の薬物治療経験によれば現在までにPTSDに有効性が確認できたのはSSRIではパロキセチン、ルボックス(商品名:ジェイゾロフトは未経験)、SDAではリスパダール、ジプレキサ、セロクエル、セロトニン作用活性薬のセディール、3環系抗うつ薬のアモキサン、デジレル(3環系ではない)。患者 と深く関わらない精神科医がこれらの薬物に有効性を見いだせないのは(1)ミルトン・エリクソンの混乱技法などで患者と無意識下の交流である「ラポール」が形成された時にのみ治療的に作用する。(2)うつ病と紛らわしい抑うつ感などの表層的症状の改善よりも抑圧された外傷記憶の想起など認知・記憶機能の改善が主作用である。(3)催眠術が治療の主役ではないように薬物治療もPTSDの膨大な治療体系の重要ではあるが全体の一部に過ぎないこと。などが全く自己の経験として理解できないからです。

(55)催眠療法家ミルトン・エリクソンの混乱技法

第二次大戦後に精神医学の本流からは催眠療法が もっとも否定された時期に独創的な研究を行ったのがミルトン・エリクソンです。いわゆる五円玉を糸でつないでゆらす「定型」催眠術とは異なる「混乱技法」の開発者です。自分がPTSD患者の治療中にしばしば患者が催眠状態に陥るのは彼の技法に類似していることがわかりました。「君の悩みは君のお父さんの自殺と関係があるんじゃないかね」「肉親の自殺が障害を引き起こすのは不思議ではないよ」「お父さんの自殺が障害と関係ないか検討する価値があるんじゃないか」少しずつ言葉を入れ換えて同一の主題について語り続けていると患者が催眠状態に陥ることがあります。これが混乱技法です。定型法が無効な患者にも有効です。催眠術は万能ではありませんがPTSDの病態を調べる探り針の役割を果たしたり、治療経過を短縮させる効果があります。

(54)日本精神神経学会総会の内情

103回(昨年・高知)、104回(今年・お台場)両方で総計600の演題の中でPTSDの薬物治療についての発表は今年の自分一人なので精神医学正統の灯を消さないようにしなければならない。友人が今年はスライド発表が少ないような気がすると言った。特別講演(えらい先生が話す華々しいが中身のない話)はどうでもよいが、一般講演(臨床第一線の話)でポスター講演(青二才の話すレベルの低い話)が多く、スライド発表が少ないと。臨床の古強者(ふるつわもの)はみな討ち死にして絶えたということらしい。