1978年に新津章夫のデビューアルバム「I・O」が発売された時、業界内の人の間ではボストンのトム・ショルツとの比較というのが話題になりました。
以下はウィキペからの引用です。
1.自宅アパートに多重録音可能なスタジオを構築、そこで作り上げたデモ・テープがCBSレコードに認められ、デビューの運びとなる。このデモ・テープの完成度は異様なほど高かったので、ほとんどショルツ一人で作ったという話をCBS側はにわかには信じず、後で「実は…」とバンドのメンバーが明かされるのではと期待していた
2.アルバムジャケットに刻印された「No Synthesizers Used(シンセサイザー使用せず)」「No Computers Used(コンピュータ使用せず)」という有名なクレジットは決してハッタリではなく、その綿密に手を加えられた音源と、膨大な時間と労力を費やしたミックス作業を物語るものである。
上記の2点が新津章夫のケースと酷似していたからです。
新津章夫の場合は、スタジオと呼べるようなものではなく、ソニー製の4チャンネル・オープンリールデッキを使って自室でシコシコ録音したものですが、「アルバムの制作はショルツの完成度の高いデモ・テープの内容を、プロのスタジオのクオリティで忠実に再現することに費やされた」という部分ではまったく一緒です。
新津章夫のデモテープを発掘していただいたのは、スーパーバイザーであり、音楽ライターである、岩田由記夫氏ですが、岩田氏の言葉を確かめるために、当時の日本フォノグラムのプロデューサー、三浦光紀氏は自宅に新津章夫を招き、目の前でギターを弾かすという「確認」をしました。デモテープを聴いた限りでは、それがたった一人で自室にて録音されたものとは到底思えなかったためです。
トム・ショルツが「コンピュータ不使用」とクレジットに書いたように、新津章夫はインタビューにて、「今後、コンピュータで音楽を作る時代がくるだろうが、その時代のミュージシャンたちでも、僕の音は作れないと思うよ」と語っています。
僕は今でもたまに若いミュージシャンたちとコンタクトすることがありますが、デモテープ作りは、野球で言えばキャッチボールやノックに相当する、基本中の基本で、しかも地味な作業です。が、この段階で完璧なものが作れなければ、いざプロのレコーディングスタジオに入っても、機材におんぶにだっこの底の浅いものしか作れないだろうと断言します。
昔、原田真二さんがフォーライフレコードに送ったデモテープを聴かせていただいたことがあります。それはそれは、コレが本当に高校生が作ったものなのか、耳を疑いました。あのデモテープがあっての、その後の原田さんの音楽性なのだと思います。
これからミュージシャンを目指す皆さんは、ぜひともデモテープ作りに全神経とエネルギーを費やしてください。